デムーロ騎手は勝ち方を知っている

Febs2017

ニシケンモノノフが逃げるかと思いきや、外からインカンテーションが強引にハナを奪ったことで、前半マイルが46秒2、後半が48秒9というハイペースを作り出した。これぐらいの速いペースに流れても、前々を攻めた先行勢もなかなか止まらず、後ろから末脚を伸ばした馬たちにとっては厳しいレースとなった。砂の状態やレースレベルなど、あらゆる要素が絡み合って、フェブラリーSを勝つために走るポジションは外の3、4番手となる。勝ち馬と2着馬との差は道中で外に出したか内に入れたかにあり、連対馬と3着馬との差は最終コーナーにおける番手にあった。

勝ったゴールドドリームは、スタートが決まり、道中は馬群の中を進み、最終コーナーは外を回して早めに抜け出した。前走のチャンピオンCはスタートで立ち遅れ、それを挽回しようと強引に馬を出していったことで引っ掛かり、しかもハイペースに巻き込まれて失速という、絵にかいたようなチグハグなレースであった。普通であれば、悔しくて暮れの東京大賞典に使ってしまいたくなるところを、陣営は我慢してフェブラリーSまで待ったことが吉と出た。ダート戦においては、この世代の最強馬であることを証明してみせた。

ミルコ・デムーロ騎手は、内枠からの発走であったにもかかわらず、隙を見てゴールドドリームを少しずつ外に導いていた。第4コーナーでは外を回るために、意識的に外を狙っていたところがさすがである。昨年のモーニンで勝ったときもそうであったが、フェブラリーSの勝ち方(勝つために走らせるべきポジション)を熟知している。ゴール前で2着馬を凌いだあと、得意のヒコーキポーズを披露して、くすぶっていた気持ちを爆発させた。

ベストウォーリアは一瞬、突き抜けるかという伸びを見せたが、最後は止まってしまった。年齢的な問題か、それともスタミナの問題か、これで5連続での2着。勝つためにはロスなく乗らなければという意識がそうさせたのだろうが、道中で勝ち馬と交錯するように内へ入れた進路取りは、(結果論ではなく)正しくはなかったと思う。ラスト1000m手前の時点でそのまま外に出していれば、ゴールドドリームが走ったポジションを走ることができていたはずで、クビ差ぐらいは逆転できていたのではないだろうか。

1番人気のカフジテイクは自分の型で競馬をして3着に健闘した。この脚質を貫くとすれば、フェブラリーSの勝ちポジを走ることはできず、どうしても今回のような結末を迎えてしまう。それでもここまで追い込んできたのは力を付けた証明である。展開が向くか、それとも自ら動けるようになれば、ダート界の頂点に立つことも決して夢ではない。

ノンコノユメは中団を追走したが、全盛期の末脚を繰り出すことはできず。このメンバーに入ると馬格のない馬ではあり、それでも3歳時は気持ちの強さで常に追い込んできたが、ある時点からその気力が失われてしまった。せん馬にしてもそれは変わらなかったようだ。昨年の覇者モーニンにとっては、本質的にマイル戦は距離が長い。昨年は雨が降ったことで勝利したが、1400mがこの馬にとってはベストである。コパノリッキーは昨年秋シーズンからの負けっぷりを見ていると、精神的に燃え尽きてしまったのだろうと想像できる。肉体的にはまだまだやれるが、気持ちが戻ってこない限り、かつての走りは期待できない。

Photo by 三浦晃一

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キックバックを受けないポジションを走る馬を探せ

Cover

ダート競馬における砂のキックバック(蹴り返し)は、競走馬の肉体面だけではなく精神面にも大きく影響を与える。芝のレースであれば、たまに前の馬によって掘られた芝と土がまとまって飛んでくる程度だが、ダートのレースになるとそうはいかない。蹴り上げられた砂が常に前からぶつかってくる。実はかなり痛く、それを我慢しなければならない。砂を被るのを嫌がったり、首を上げて避けようとする素振りをするような馬では到底勝ち目はない。ダートと芝の競馬における大きな違いはここにあり、ダート競馬を走る馬は、激しいキックバックに耐えることができなければならない。

どういう気性の馬がダート競馬に向いているのかというと、砂を被ってもひるまない、向こうっ気の強い馬である。元々、砂が顔に当たってもビクともしない気性の馬もいるし、また初戦は戸惑ったり嫌がったりしたとしても、2戦目からは慣れてきて、我慢が利くようになる馬もいる。そういった意味では、ダート競馬を走った経験が重要であることが分かる。たとえダート競馬向きの体型や走り方をする馬であっても、初戦は砂を被ることを嫌がって、思わぬ大敗を喫してしまうことだってある。

芝コースで圧倒的な実績を残している馬がダート初戦であっさりと敗れてしまうのは、キックバックにも大きな原因がある。

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力が漲っているケイティブレイブ:5つ☆

サウンドトゥルー →馬体を見る
やや腹回りに余裕が残っているように、ひと息入れて、完調とは言い難い。
それでも全体のシルエットは大きく変わらず、力は出し切れる仕上がり。
Pad3star

ノンコノユメ →馬体を見る
若駒の頃と比べて、馬体重こそ変わらないが、馬体に重厚感が出てきた。
牝馬のような線の細い馬体であったが、ここにきてダート馬らしくなった。
Pad4star

ホワイトフーガ →馬体を見る
クロフネ×フジキセキという配合にしては、馬体に伸びがある。
牝馬としては立派な馬体を誇り、距離もやや短さを感じるぐらい。
Pad4star

カフジテイク →馬体を見る
筋肉のメリハリという点においては物足りないが、筋肉は柔らかそう。
脚質的には気性の難しい馬かと思っていたが、顔つきから素直さが分かる。
Pad4star

ゴールドドリーム →馬体を見る
3歳時は重心の低い、いかにもパワータイプの馬体を誇っていた。
ここに来て馬体に長さが出てきて、距離がさらに伸びても対応できそう。
Pad4star

ケイティブレイブ →馬体を見る
馬体全体に力が漲っていて、使い詰めの疲労は全く感じさせない。
胴部は実が詰まっているが、手脚は軽く、頭部もコンパクトで理想的。
Pad5star

モーニン →馬体を見る
スラリとした立ち姿を見ると、マイルまでならば今は通用するはず。
敢えて言うならば、筋肉のメリハリという点において不足していてもう1歩。
Pad3star

ベストウォーリア →馬体を見る
この馬は胴部が詰まっているように映るように、短距離を得意とするだろう。
毛艶は素晴らしく、筋肉の柔らかさもあるので、仕上がりはメンバー中でも随一。
Pad3star

コパノリッキー →馬体を見る
馬体全体がコンパクトにまとまっていて、馬体重の重さを感じさせない。
疲れは癒えているように、チャンピオンC後の休養が良い形で出ている。
Pad3star

アスカノロマン →馬体を見る
ここにきて馬体全体に大きく筋肉がついて、パワーアップが著しい。
その分、距離はマイルあたりがベストになってきて、距離短縮は良い。
Pad3star

ニシケンモノノフ →馬体を見る
父メイショウボーラ―よりも立派な馬体を誇り、いかにもダート馬らしい。
前後にバランス良く実が入って、大崩することは考えられない。
Pad4star

インカンテーション →馬体を見る
この時期にしては毛艶も良く、ここに照準を合わせて仕上がりは良い。
後躯に比べると、前駆がやや勝っているように、パワー優先の馬体。
Pad3star

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東京ダート1600m

Tokyo1600d1

ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。ダートコースに入ってすぐの2コーナーは緩く、進路を左に変える程度のもので、実質的な第1コーナーは3コーナーとなる。そのため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。

それでも、フェブラリーSは1分34秒台という芝なみの速い時計で決着することが多く、前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められるため、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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フェブラリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Feb
■1■スピードが求められる
平成14年以降、アグネスデジタル(マイルCS、天皇賞秋、安田記念など)、ゴールドアリュール(ダービー5着)、アドマイヤドン(朝日杯フューチュリティS、菊花賞4着)、メイショウボーラー(皐月賞3着、NHKマイルC3着)など、芝コースで実績のある馬の活躍が目立っていた時期がある。2着馬に目を移しても、平成16年のサイレントディールはシンザン記念を制していて、平成17年のシーキングザダイヤはニュージーランドTを勝っている。近年は芝のG1戦線でも十分に勝ち負けになる実力馬の参戦、もしくは転戦により、フェブラリーSの勢力図が変化してきていることは見逃せない。

なぜ芝コースで実績のある馬が、畑違いのダートG1レース・フェブラリーステークスでも同じような走りを見せることができるのだろうか。もちろん、芝コースで実績のある馬は能力自体が高いのだが、それ以外の理由として以下の2つが挙げられる。

1)東京ダート1600mのコースは、スタート直後に80mほど芝コースを走るから
2)1分35秒台で決着することが多く、スピードが求められるから

1)のスタート直後の芝コースは、確かに東京ダート1600mコース独特のものである。スタート直後80mの芝部分を利して、芝実績のある馬が先手を取って流れに乗ることが出来るということである。しかし、わずかスタート直後80mの芝部分がレースの勝敗を左右するとは思えない。とすると、2)のスピードが求められるという理由の方が大きいのではないだろうか。

東京競馬場のダートコースは砂が浅いため、冬場の時期でも、それほど力のいる馬場にはならない。平成10年は勝ち時計が1分37秒5と、非常に力の必要とされる馬場であったが、さまざまな原因が重なって起こった例外的なものと考えていいだろう。

標準的な馬場であれば、オープンクラスだとマイルで1分35秒台での決着となる。これくらいの馬場状態だと、ダート戦といってもスピードがないと勝負にならず、パワーだけで勝負する生粋のダート馬にとっては苦しいレースになるだろう。スピードの絶対値が高い馬、つまり芝コースでの実績馬が活躍するのは当然といえば当然の結果である。

■2■4、5歳馬が中心
4歳   【3・3・1・29】
5歳   【5・2・3・15】
6歳   【2・1・4・34】
7歳以上【0・4・2・51】

過去10年の年齢別の成績を見てみると、4、5歳馬から勝ち馬が8頭と、若い世代が高齢馬を圧倒している。ダートは馬が痛まないので高齢まで長く好走できるのだが、極限のスピード能力が要求されるフェブラリーSでは、スピード能力の落ちてきた高齢馬のゴマカシが利かず、ある意味において篩(ふるい)に掛けられてしまうのである。

■3■1600m以上のスタミナが求められる
スタートしてから第1コーナーまでの距離が長いため、息の入らない激しい流れになることが多い。そのため、スピードだけではなく、最後の直線でバテずに踏ん張ることのできるスタミナも必要とされる。1600mという数字以上のスタミナを要求されるのは、過去の勝ち馬を見ても明らかである。前述したスピードと、それを持続するスタミナ、そのどちらを欠いてもフェブラリーステークスを制することはできない。

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プロフェッショナル 仕事の流儀「オグリキャップ」を観た人に読んでほしい1冊

Umahadarenotameni

オグリキャップが勝った有馬記念は、私は馬券も買わず、ひとりぼんやりと後楽園ウインズで観ていた。当時はまだ右も左も分からない競馬初心者で、有馬記念のウインズがあれほど混むとは思いもよらず、長蛇の列に並んでみたものの馬券を買うことが出来なかったのだ。しかし、あの時、生まれて初めて、競馬のレースを観て鳥肌が立った。最後の直線でオグリキャップが先頭に立った時の、後楽園ウインズを包んだあの異様な空気は、今でも忘れられない。

この本の著者、木村幸治氏はその空気を映画「蒲田行進曲」のラストシーンに重ねる。

(オグリ、来い、来るんだ、オグリ。) 心の中で、わたしも叫んでいた。胸の奥で熱いものが湧いてきた。何かのシーンに似ている。そうだ。映画「蒲田行進曲」のラストシーンだ。<池田屋階段落ち>で、新撰組に扮した風間杜夫の銀ちゃんが、自分のため死を覚悟で階段を転げ落ち、瀕死の重傷を負った安次に、涙で顔をグシャグシャにして言うセリフにそっくりだ。 (ヤス、来い、来るんだ、ヤス、上がってこい、立つんだ、ヤス) 不思議な感覚が、小さな震えが、わたしの全身を襲ってきた。 オグリは下がらなかった。トップを譲らなかった。 ゴール。オグリキャップが勝った。勝ってくれた。メジロライアンを四分の三馬身差に押さえ込んで。信じられないことが、目の前で起きた。奇跡といっていいだろうか。

やはり、競馬のノンフィクションを書かせたら、木村幸治氏の右に出る者はいないと思う。このくだりは何度読んでも、読むだけであの時の興奮が蘇ってきて、鳥肌が立つ。そして、あのレースを生で観ることが出来たことを、一競馬ファンとして幸せに思う。

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ダービーに先回りすることで見えてくる今がある

Cover

クラシックで活躍するような馬は年内にデビューしていることがほとんどだから、年が明けた時点で今年のクラシックを占うことは十分可能である。もちろん休養に入っている有力馬の冬の過ごし方によって誤差は出てきてしまうとしても、各馬のおおよその力関係は把握できるということだ。それは牡馬にも牝馬にも当てはまる。さすがに菊花賞や秋華賞までは難しいかもしれないが、皐月賞から日本ダービー、桜花賞からオークスへと続く春のクラシックロードはおぼろげながらも見え始めている。

そのことに気づいてから毎年、自身のブログ上で未来のダービー馬を占うコラムを書いてきた。たとえばロジユニヴァースに始まり、ディープブリランテやワンアンドオンリーを言い当ててきたし、昨年のサトノダイヤモンドのように惜しくも涙を飲んだ年もある。普通のレースであれば1週間前でも勝ち馬を当てるのは難しいのに対し、クラシック(特に日本ダービー)馬は数か月前に見えてしまうのだから不思議である。

と偉そうな前置きをしたものの、今年のクラシックを占うのは実に難しい。なぜなら、例年は朝日杯フューチュリティSやラジオNIKKEI杯2歳S(昨年からはホープフルS)、東京スポーツ杯2歳Sを勝った馬たちが有力候補として挙がるのだが、今年は一筋縄では収まらないような気がするのだ。混戦のクラシックを占うにあたって、せっかくなので本誌1月29日号の企画「2017クラシック大予想」に便乗し、番付(3歳牡馬編)という形でここに記しておきたい。

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仕上がりの違いは明らかミッキーロケット:5つ☆

★共同通信杯
エアウィンザー →馬体を見る
全体的にふっくらとして、兄と比べると、馬体の完成度という点では劣る。
気性は良さそうだし、時間を掛けて良くなっていくタイプだから将来性は高い。
Pad3star

スワーヴリチャード →馬体を見る
走るハーツクライ産駒の特徴である後ろ肢の長さがあり、距離は延びて良い。
まだ体全体に筋肉が付き切っていないところはあるが、前後のバランスは良い。
Pad3star

ムーヴザワールド →馬体を見る
馬体の幅の薄さが伝わってくる体型であり、距離が延びて良さを発揮するタイプ。
前駆の力強さが勝っている反面、現時点ではトモの実の入りが物足りない。
Pad3star

タイセイストーリー →馬体を見る
表情を見ると、気の難しい面があるのが分かるが、筋肉のメリハリは素晴らしい。
特にトモの実の入りは力強く、今回も安定して末脚を使ってくるはず。
Pad3star

★クイーンC
フローレンスマジック →馬体を見る
いかにも牝馬らしい線の細い馬体で、筋肉のメリハリという点でも乏しい。
頑固な面があるのが顔つきから伝わってきて、スムーズにレースを運べるかどうか。
Pad3star

アエロリット →馬体を見る
立ち姿はやや力みを感じるが、前駆の盛り上がりが素晴らしくパワーは相当にありそう。
その分、後躯の実の入りに物足りなさを感じるが、将来的には解消されてくるだろう。
Pad3star

アドマイヤミヤビ →馬体を見る
厳寒期ということもあるが、毛艶も冴えず、毛色の関係もあって見栄えがしない。
馬体全体のシルエットは、各パーツに長さが十分にあって、距離が延びて良さそう。
Pad3star

レーヌミノル →馬体を見る
いかにもダイワメジャー産駒らしい胴部の詰まり具合で、マイルまでがベスト。
それほどガッチリと筋肉が付いているわけでもないので、府中マイル戦はギリギリ持つ。
Pad3star

★京都記念
マカヒキ →馬体を見る
相変わらずのグッドルッキングホースで、首差しの長さがさらに目立つようになった。
帰国初戦ということもあって全体のバランスはまだだが、ひと叩きされて良くなる。
Pad4star

ヤマカツライデン →馬体を見る
腹回りがしっかりとして、胴部は詰まっているように映り、2200mの距離はどうか。
前後躯にきっちりと実が入って、他の有力馬との仕上がりの違いでどこまで。
Pad3star

サトノクラウン →馬体を見る
腹回りには余裕があるが、それ以外はきっちりと作り込まれており、9割方は仕上がった。
この時期にしては毛艶も良く、香港を勝って帰ってきた反動は全く感じられない。
Pad4star

ミッキーロケット →馬体を見る
他の有力馬との仕上がりの違いは馬体からも明らかで、現時点での立ち姿は完璧。
キングカメハメハ産駒にしてはトモの力強さが目立たず、それが距離につながっている。
Pad5star

ガルバルディ →馬体を見る
仕上がり自体は悪くないが、前走に比べると今ひとつで、前走の惨敗が腑に落ちない。
良いときは四角形に映る馬だが、今回の馬体は線の細さを感じるほど力弱い。
Pad3star

スマートレイヤー →馬体を見る
牝馬とは思えない力強さを備えていて、ここまで長く使う厩舎の力に驚く。
馬体としてはほとんど隙がなく、今回もこの馬の力は出し切るのではないか。
Pad45star

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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第21回)

Hitokuti211

「ガラスの競馬場」の読者の皆さまに、この場を借りて重大な報告がある。まさかと驚かれた方もいるかもしれないが、ブログ終了のお知らせではなく、もちろん結婚発表でもない。隠していたわけではなく、ただ単に書くタイミングを逸してきただけにすぎない。実は、2頭目の出資を決めたのである。今度はノルマンディーオーナーズクラブの募集馬。クインアマランサスがデビューしてから現役を退くまで、1頭だけを見守ろうと考えていたにもかかわらず、この段階でさらにもう1頭に出資するなどとは思いも寄らなかったが、これにはれっきとした理由があるので聞いてもらいたい。

昨秋、オータムセールの直前に北海道日高を訪れ、岡田スタッドの岡田牧雄さんにインタビューをさせてもらった。岡田さんの自宅にて、馬体の見かたから昔の思い出話まで、ひと言も聞き漏らすまいと私は耳を傾けた。岡田さんは包み隠すことのない性格で、初対面の私にも心を開いて多くのことを教えてくださった。えりも岬に放牧地をつくってから、生産馬や管理馬たちの成績がみるみるうちに上がって、今の快進撃につながっていると。それだけではない。彼が大物であることは疑いようもないのだが、かといって偉ぶるところはまったくなく、むしろ心の温かさや熱さを感じさせる人柄に私は惚れてしまったのだ。

そして、私が日高を訪れたときには、わざわざ空港まで迎えに来ていただいたり、泊めてもらったり、ラーメンを食べに連れて行ってもらったりと、大変お世話になっている長谷川ファミリーが経営する碧雲牧場がある。今の私には手が届かないとしても、いつの日か、碧雲牧場の生産馬を買って、馬主として走らせてみたいという想いは心のどこかにあった。それはお世話になっているからということだけではない。ホスピタリティや愛情に溢れた人間に育てられたサラブレッドは走る、という確信があるからである。

東京に戻った私は、オータムセール2016の結果をホームページで確認した。碧雲牧場の馬もセリに出ると聞いていたので、果たして売れたのだろうか、いくらの値がついたのかと気になっていたのだ。馬が売れることが、牧場にとっての最大の関心事であり喜びであることは、長谷川ファミリーとの付き合いを通して肌で感じることができるようになっていた。牧場名で探していると、碧雲牧場の文字が目に入った。しっかりと売却されていることが分かり、家族全員の笑顔が脳裏に浮かんで、私まで嬉しくなった。

ふと誰が買ってくれたのだろうと思い、落札者の欄を見ると、なんと「(有)ノルマンディーファーム」の名がそこにあったのだ。なんという偶然だろうか。昨日、お会いした岡田牧雄さんが率いるノルマンディファームが、昨日まで泊まらせてもらっていた碧雲牧場の生産馬をセリで落としたのである。ノルマンディファームが他の牧場の生産馬を購入したということは、十中八九、ノルマンディーオーナーズクラブでの募集馬となるはず。いくらで募集されるか分からないが、できるだけその馬の多くの権利を持ちたいと思った。そうすることで、彼らの馬にかける情熱に少しでも報いたい、分かち合いたいと願ったのだ。

Hitokuti212


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京都記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotokinen

■1■明け4歳馬が断然
過去10年における、年齢別の勝利数と連対率は以下のとおり。

4歳 【5・3・1・24】 24%
5歳 【4・1・6・22】 15%
6歳 【1・6・2・22】 23%
7歳以上【0・0・1・27】 0%

連対率では4歳馬と6歳馬が互角でも、勝率に限って言えば、明け4歳馬が圧倒的な強さを見せている。年齢が高くなるごとに勝率は低くなっていく傾向は顕著であり、7歳以上の馬に至っては勝ち馬が出ていない。春の中距離戦におけるカギとなるレースだけに、勢いと成長力のある明け4歳馬が出走してきたら注目すべきである。

■2■スタミナ豊富な馬を狙え
京都2200m(外回り)は、スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。しかし、高低差は4.3mと、丘をひとつ越えていかなければならないため、スタミナが問われるレースになる。

このコースで結果を出している種牡馬を見ていくと、ダンスインザダーク、ホワイトマズル、スペシャルウィーク、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゼンノロブロイ、そしてディープインパクトなど、2400mを越える距離を得意とするステイヤー型の血統である馬がほとんどである。

■3■前走G1レース組に注目
香港ヴァーズ、香港CなどのG1レースも含め、過去10年で7頭が前走G1レースを経て、京都記念を勝利している。前走が昨年末の有馬記念である馬は、一旦少し緩めてから再度仕上げ直すのには最適のローテーションなのであろう。もし前走G1レース(有馬記念)組が出走してこないのであれば、日経新春杯を叩いて、ここが最高潮の仕上がりにある馬を狙うべきである。


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共同通信杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyoudoutuusinhai

■1■先行馬有利
東京1800mコースは、ポケットから発走して157mで本線に合流する。第1コーナーまでの距離が極端に短いため、無謀なポジション争いはなく、各馬が出たままの平均ペースに流れることが多い。これが「府中の千八、展開いらず」と言われるゆえんである。とはいえ、このレベルで平均よりも遅めに流れると、前に行った馬は簡単には止まらない。力のある馬であれば差して来られるが、先行馬にとって有利なレースである。

■2■瞬発力ではなく持続力&パワー
上記のように、平均ペースで前に行った馬が粘り込むというレースになりやすい以上、ヨーイドンで瞬発力ではなく、スピードの持続力の勝負になる。ビュっと伸びるのではなく、ジワジワと良い脚をどれだけ長く続けることが出来るかが問われるレースと言ってもよいだろう。先週の東京新聞杯に比べ、サンデーサイレンス系の馬の活躍が目立たないのはそれゆえである。また、時期的に芝はやや重い状態なので、パワーに欠ける馬にとっては苦しいレースになる。スピードの持続力とパワーを兼備した馬を狙いたい。

■3■前走は1800m以上
過去10年の勝ち馬のステップレースを見ると、1600m戦からが2頭に対し、1800m以上のレースからは8頭と圧倒的に多い。ごまかしの利かない府中の1800m戦だけに、前走でマイル戦を走っていたようなマイラーではなく、長めの距離を使われてきたスタミナに支えられた馬が活躍するということだ。具体的に言うと、朝日杯フューチュリティS組ではなく、東スポ杯もしくはラジオNIKKEI杯2歳Sから臨んでくる馬を上に見たい。

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早い時期の重賞は、早生まれの馬を狙え

Cover

私は3月が誕生日のいわゆる早生まれ。1年を区切りとして見ると早生まれだが、学年という区切りで見ると遅生まれになる。前年の4月に生まれた子どもたちと、およそ1年近い成長期間の差があるにもかかわらず、同じ学年ということになる。今の私の年齢にもなればほとんど差はなくなるが、まだ小さい頃の成長過程における1年の差というものは意外に大きい。

だからということではないかもしれないが、私は小さい頃から何をやっても人並み以上にできたことはなかった。幼稚園の駆けっこでは、他の子どもたちが懸命にゴールを目指している中、ほとんど歩いて完走していた。両親いわく、なぜ競争するのかの意味さえ分かっていなかったそうだ。クラスで背の順に並ぶと、先頭から2、3番目が定位置であった。物心つくのも遅く、小学4年生より前の記憶がほとんどない。勉強もそれほどできた方ではなかったと思う。つまり、肉体的にも精神的にも、同世代の子どもたちとは周回遅れと言ってよいほどの完成度の差があったということだ。遅生まれの何が問題かというと、私たちの人間社会は学年で区切られるため、1年もの成長期間の差がある子どもたちが同じ土俵で競争し、評価されるということである。

競馬の世界にも同じことが当てはまる。基礎能力というものがあるため、早く生まれたらそれで良いということではないが、もし同じ能力を持って生まれたとしたら、早く生まれた方が圧倒的に有利ということである。その分、成長も早く、早くから馴致や育成に入れて、早くからデビューすることができる。勝って賞金を稼いでおくことで、その後のローテーションで無理をすることなく、馬の成長を促しながら調整を進めることもできる。だからこそ、早生まれの馬はクラシック戦線に乗りやすく、遅生まれの馬は若駒の頃はよほど能力が高くないと厳しい戦いを強いられる。

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きさらぎ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kisaragi

■1■1800m以上のスタミナと持続力
ひとつだけラップ構成から垣間見えるレースの特徴がある。勝ち馬や全体のタイムはほとんど関係ないので、過去10年のラップと前後半4ハロンのタイムだけを時系列に並べてみたい(一番下が昨年度のラップ)。

12.8-11.3-12.3-12.9-12.4-12.1-11.3-11.4-12.3(49.3-47.1) 後傾ラップ
12.8-11.0-12.3-12.5-12.2-12.1-12.1-11.8-12.0(48.6-48.0) 平均ラップ
13.0-11.5-11.9-12.7-12.6-12.2-11.8-11.1-12.1(49.1-47.2) 後傾ラップ
12.8-11.1-11.4-12.3-12.8-12.4-12.0-11.7-12.1(47.6-48.2) 平均ラップ
12.4-11.3-11.6-12.4-12.5-12.0-11.3-11.8-12.3(47.7-47.4) 平均ラップ
13.1-11.5-11.9-12.5-12.7-11.6-11.3-11.3-11.1(49.0-45.3) 後傾ラップ
12.8-11.6-12.2-13.0-12.6-12.2-11.7-10.9-11.9(49.6-46.7) 後傾ラップ
13.0-11.5-11.3-11.6-12.5-12.2-11.9-11.6-12.0(47.4-47.7) 平均ラップ
13.0-11.6-11.7-12.6-12.7-12.1-11.7-11.6-11.6(48.9-47.0) 後傾ラップ
12.9-10.8-11.8-12.0-12.3-12.2-11.7-11.9-11.3(47.5-47.1) 平均ラップ

前後半のラップの差が1秒以上ない場合を平均ラップとして考えると、過去10年中で5レースが後傾ラップとなる。それ以外の年のレースは平均ラップで流れていて、スローペースになりやすい近年の傾向を考えると、中距離としてはかなり珍しい部類のレースに入る。

なぜこのような平均的な流れになるかというと、京都1800m(外回り)というコースの形態に理由がある。京都1800mは、向う正面を延長したポケットの最深部からスタートするため、スタートから最初のコーナーまでの距離がなんと912mという長さになる。つまりレース全体距離の半分が最初の直線に費やされるということだ。

これだけ直線が長いと、どうしても逃げ・先行馬が息を入れずに気分良く行ってしまうため、前半部分が速くなりやすい。しかし、その代わりに後半が遅くなるかというとそうでもなく、3コーナーを回ってからゴールまでは下り一辺倒になるので、後半も同じように速い上がりでの勝負となる。つまり、全体的に淀みのないラップが刻まれ続ける、厳しいレースになるということだ。

よって、このレースを勝ち切るためにまず問われるのは、1800m以上のスタミナである。過去の勝ち馬から菊花賞馬が2頭、ダービー馬が1頭出ていることは、あながち偶然でもないだろう。そして、もうひとつ問われるのは、速いラップを長く刻み続けることの出来る持続力である。マイル戦でスピードを生かす競馬を得意とする馬や、一瞬の差し脚で勝負する馬は狙いを下げた方が賢明である。

■2■前走は500万下組もしくは未勝利戦の素質馬を狙え
過去の優勝馬だけではなく、連対馬からもG1ウィナーを輩出しているように、クラシックへ向けての試金石となる一戦。勝ち馬の前走だけを見ると、過去12年でダートG1からが1頭(レインボーペガサス)、G3レースからが3頭(アサクサキングス、リーチザクラウン、タマモベストプレイ)、オープンからが2頭(アグネスゴールド、京都2歳S)と、それ以外の6頭は全て500万下レースもしくは未勝利戦を勝った後の連勝となっている。つまり、ここに狙いを定めて出走してくる、2歳時に無理をしなかった素質馬を狙うべき。

■3■キャリア2~4戦の馬
過去10年間の勝ち馬のうち、8頭までがキャリア2~4戦のゾーンであった。上述のように「2歳時に無理をしなかった素質馬」という観点からは、キャリアが5戦以上の馬は外れるだろう。かといって、さすがにキャリア1戦の馬では勝ち切るのは厳しい(2013年のリグヴェーダのように)。つまり、キャリアが少なすぎても多すぎても、このレースを勝つための資質という点からは遠ざかっていくということである。

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東京新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Tokyosinbunhai

■1■瞬発力のある差し馬
東京競馬場が改修され、最後の直線が僅かに長くなって以来、前半がスローになり、直線に向いたラスト3ハロンでの瞬発力勝負になるケースが多くなった。不良馬場だった2009年と重馬場であった2014年を除く、過去10年間の勝ち馬および2着馬の上がり3ハロンのタイムは以下のとおり。

2006年
フジサイレンス 33秒9
オレハマッテルゼ 34秒5
2007年
スズカフェニックス 33秒3
エアシェイディ 33秒3
2008年
ローレルゲレイロ 34秒9
リキッドノーツ 33秒4
2010年
レッドスパーダ 33秒5
トライアンフマーチ 33秒4
2011年
スマイルジャック 33秒9
キングストリート 33秒8
2012年
ガルボ 33秒6
コスモセンサー 34秒2
2013年
クラレント 33秒0
ダイワマッジョーレ 32秒7
2014年
ホエールキャプチャ 34秒3
エキストラエンド 34秒6
2015年
ヴァンセンヌ 34秒6
アルフレード 34秒3
2016年
スマートレイヤー 33秒5
エキストラエンド 33秒5

開幕週のため時計が速いということもあるが、それにしても速い上がり時計が求められるレースであることが分かる。道中が極端にスローに流れると、逃げ・先行馬にとっても有利になるのだが、それ以上に瞬発力が身上の差し馬にとっては絶好の舞台になる。対照的に、極限の瞬発力を有さない(速い上がりに対応できない)先行馬にとっては力の出せないレースになりやすい。

■2■スプリンター寄りの馬でももってしまう
東京競馬場のマイル戦は1600m以上のスタミナが必要とされるコースと言われているが、東京新聞杯のように道中がスローに流れるケースにおいては、レースの趣向は全く別物となる。これは例えばヴィクトリアマイルにも当てはまるのだが、道中のペースが極端にスローに落ちると、1600m以上のスタミナを保持していないスプリンター寄りの馬でも何とか最後までもってしまうのだ。

2007年の勝ち馬スズカフェニックスは、(のちに高松宮記念を勝ったように)本質的にはスプリンターだが、道中のペースが緩かったからこそ府中のマイル戦でも勝ち切ることが出来た。同じ舞台の安田記念でも人気になったが、道中のペースが厳しい府中のマイル戦ではスタミナ不足を露呈して、勝ち切ることはできなかった。つまり東京新聞杯では、従来の府中マイル戦のイメージを捨てて、上がり勝負に強いスピード馬を狙ってみるのも一計だろう。

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬
ヨーイドンの上がり勝負になる以上、瞬発力勝負に長けたサンデーサイレンス産駒もしくはその直系の産駒に注目しないわけにはいかない。過去6年で8頭の馬が連対していて、3着馬や母父サンデーサイレンスにも手を広げると、さらにサンデーサイレンスの血を引く馬たちがいかにこのレースに強いことが分かる。

そして、上記のスプリンター寄りの馬でももってしまうという傾向を考慮すると、サンデーサイレンス系の中でもフジキセキ産駒や最近でいうとダイワメジャー産駒は、このレースにフィットするのではないか。ではないかと書いておきながら、実は2006年にフジサイレンスが11番人気で勝ってしまっていて残念だが、サンデーサイレンス直仔がいなくなる以上、サンデーサイレンス系の中でも切れとスピード寄りのフジキセキ産駒やダイワメジャー産駒が忘れた頃にやって来ることを覚えておきたい。

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戸崎圭太騎手とクリストフ・ルメール騎手のリーディング争いを見て

Tosakikeita

2016年のリーディングジョッキーは戸崎圭太騎手であった。これで2014年からの3年連続となる。騎手になるために生まれてきたような天才型のジョッキーであり、もともとダート競馬よりも芝向きのスタイル(あえて言うならばハイブリッド型)であったため、中央競馬で頭角を現すのも時間の問題であった。美浦を所属としたことも上手く機能している。それにしても、と思う。それにしても、3年連続で全国リーディングを獲ってしまうとは、驚き以外のなにものでもない。特に今年は、クリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手がほぼフル参戦しての争いであり、前年を大きく上回る187勝を挙げてのものだけに、文句をつけようがない完勝であった。

戸崎圭太騎手の騎乗をひと言でいうと、道中はソツがなく、勝負所からが多彩ということか。ミルコ・デムーロ騎手や川田将雅騎手、岩田康誠騎手のように、積極的にレースのベストポジションを狙って馬を出してゆくタイプではなく、スタートしてから勝負所に至るまではひたすら静に徹している。余計なことをせず、その馬のリズムで走らせて負担を最小限に抑えて回ってくる。自分が馬券を買っている馬であれば、ときとして不甲斐なさや物足りなさを覚えることもあるが、客観的に見れば、騎乗馬の力を100%引き出すことに長けているということだ。

特筆すべきは、勝負所からの馬の追い方である。馬のタイプや馬場状態、同じレースであっても騎乗馬の余力や他馬との手応えの違いなどに応じて、馬を追うスタイルを変幻自在に変えている。たとえば、中央競馬の競馬学校で習うような正統派スタイルで追ってくることもあれば、馬の動きに合わせて自分の重心を動かして激しく追う、いわゆるブランコ乗りと呼ばれる追い方をすることもある。どちらが良いということではなく、それらを組み合わせて、馬が最も力を発揮できるように走らせるのである。このあたりの柔軟性を持つことは案外難しい。

たとえば、昨年のG1オークスにおける騎乗を例にとってみると、最後の直線ではチェッキーノをヨーロピアンスタイルで激しく追っていた。結果的には惜しい2着ではあったが、距離が少し長いと思われていたチェッキーノの脚を最後までグッと伸ばしたのは見事であった。限界まで力を出し切らされたチェッキーノはその後、ターフに戻ってくることなく引退してしまったが、裏を返せば、それだけ戸崎騎手はビッシリと追うことができるということである。対して、ヴィクトリアマイルにおいては、ストレイトガールのスピードを殺すことのないよう、スタートからゴールまでピタリと馬の背に張り付くようなアメリカンスタイルで騎乗していた。馬のタイプや余力によってスタイルを使い分けることができるのだ。

別に戸崎圭太騎手の素晴らしさを語るために、この記事を書いたわけではない。そんなことは競馬ファンならば百も承知だろう。私が言いたかったのは、地方競馬出身の戸崎圭太騎手とフランスからやってきたルメール騎手の2人がリーディングを争ったという事実を見て、誰がどう考えても、もうそろそろ日本の騎手免許制度や競馬学校のあり方を見直す時期が来ているのではないかということである。守るべきものがあることも分かる。しかし、一部の者たちにしかチャンスが与えられず、そうして生まれた限られたパイを培養して守ってゆく時代ではない。いきなり全てを変えるということではなく、変化を恐れることなく少しずつ変化し、誰にでもどこからでも頂点を目指せるシステムを完成させるべきではないだろうか。

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ガラスの競馬場:「騎手になるために生まれてきた」

Photo by 三浦晃一

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