再掲:「インサイダー情報の罠」

Insider_1「インサイダー(競馬関係者)情報が知りたい」という声を耳にすると、つい私は悲しくなってしまう。そういった願望につけこんだ商売が横行していることを嘆いているわけではなく、インサイダー情報を知れば馬券が当たると思い込んでいる競馬ファンが、まだ多くいることに愕然としてしまうのである。

インサイダー情報を頼りに馬券の予想をしていたのは、もはや戦前の話である。現在と比べると限られた情報しか与えられていなかった競馬ファンが、どこからともなく流れてくる風の噂を大きな根拠として、馬券を買わざるを得ない時代が確かにあった。「あの調教師が絶対に勝てると言っている」とか、「あの馬はエビ(屈腱炎)が出ているらしい」等々、聞き捨てならない情報がまことしやかに人口に膾炙したのである。兎にも角にも、予想する上での拠り所が、嘘か本当かわからないはずのインサイダー情報にしかなかったのである。

しかし、戦後、私たち競馬ファンは、自分たちのイマジネーションを用いて馬券を買うことができる、ということを知ることになる。故大川慶次郎氏による「展開」の発見である。「展開」という概念は、今となっては当たり前のように用いられているが、当時は画期的な予想法であった。それぞれの脚質を分析し、実際のレースが行われる前に、仮想上のレースを想定するのである。競馬ファンひとりひとりが、自分の頭の中で、あらゆるイマジネーションを活用して、レースを予想するのである。これが競馬予想の民主化の走りである。

現代において、インサイダー情報などあるはずはない。競馬記者たちは毎日のように取材に来るし、馬体重はレース毎に発表されてしまうし(なんと今後は木曜にも!)、調教タイムも毎回公表されてしまう。何かを隠すことは難しく、そもそも無意味である。もしインサイダー情報というものがあるとすれば、恐ろしくニッチな情報か、もしくは嘘である。そんな時代に、インサイダー情報を元に、馬券を買おうと考える発想はあまりにも古すぎるのである。

とはいえ、やはりインサイダー情報という響きは魅力的で、私もその罠にハマリそうになったことがある。少し昔の話になるが、キングカメハメハのダービー祝勝会に招かれて行った時のことである。宴たけなわの時、私は席を外して、男性用のトイレで用を足していた。すると、若者二人が何やら楽しそうに話しながら一緒に入ってきて、私の隣の便器で、こんな会話をしながら用を足した。

「菊花賞はハーツクライで間違いないですよ。」
「確かにネ。」

帰り際に後姿をチラッと見たところ、おそらくその二人はノーザンファーム、もしくは社台ファームの牧場(育成)スタッフであった。キングカメハメハの祝勝会で、菊花賞はハーツクライで間違いないとは大っぴらには言えないが、トイレの中での会話だけに、かえって私には真実味を帯びて感じられた。しかも、この情報は私から聞き出したわけではなく、たまたま偶然にも私の元に降りてきたのである。この情報を知るものは、私以外にはいない。私はこの時点で、菊花賞はハーツクライで間違いないと確信してしまった。

結論から言うと、ハーツクライは菊花賞で1番人気に推されるも惨敗してしまった。そして、実は私もハーツクライの馬券を買うことはなかった。なぜなら、夏を越しての成長を期待していたにもかかわわず、馬体は相変わらず華奢なままで、ステップレースの神戸新聞杯でも力なく3着に破れていたからだ。

とはいえ、インサイダー情報の誘惑から抜け出すのは、容易なことではなかった。どう考えても、夏を越しての成長がないハーツクライは勝つ確率が低いのだが、「菊花賞はハーツクライで間違いないですよ。」というあの牧場スタッフの情報が邪魔をするのである。今から考えれば、牧場スタッフの主観的意見に過ぎなかったわけだが、当時はほとんど核心的な情報として、私の予想を占拠してしまっていた。せっかくの情報を切って捨てるのはもったいない、という感覚もあったように思う。いずれにせよ、あの時、ふと耳にしてしまった何気ないひと言が、私の菊花賞の予想を最後まで揺り動かしたのである。

もう一度言おう。現代において、インサイダー情報などはない。もしあるとすれば、恐ろしくニッチで主観的な情報か、もしくは嘘である。こんな時代に、インサイダー情報を元に、馬券を買おうと考える発想はあまりにも古すぎるのである。答えは与えられるものではなく、自分の手で見つけ出すものである。答えはいつもあなたの頭の中(インサイド)にある


Photo by fake Place

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「第5回ホースフォトグラフ展」

私の大好きな写真家、星野道夫さんのこんな詩がある。

子供の頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。
いつか大人になり、
さまざまな人生の岐路に立った時、
人の言葉ではなく、
いつか見た風景に励まされたり
勇気を与えられたりすることが
きっとあるような気がする。

星野道夫さんは生涯にわたってアラスカを冒険し、アラスカの四季を撮り続けた。特に私は冬のオーロラの写真に心を奪われる。そこには神々しいばかりの美しさがあり、自然に対する畏怖を感じざるを得ない。星野さんの写真を前にすると、私の時間は止まる。素晴らしい写真にはそれだけの力がある。

競馬を始めて、初めて府中競馬場に行った時の、あの広い空は今でも忘れられない。その時の風景は、私の競馬の原体験として身体感覚で覚えている。それ以来、登山家が山に登るように、サーファーが海に行くように、私は府中競馬場へと向かった。雨が降っても、風が吹いても、暑い日も寒い日も、人生がどんな状況になっていようとも、私の居場所は競馬場にあったし、これからもそうだろう。

競馬が好きだから競馬の写真が好きなのではなく、競馬の写真そのものが私は好きだ。もし競馬を知らなかったとしても、おそらく私は競馬の写真が好きになっていただろう。競馬の風景を切り取った写真には、星野道夫さんの写真と同じく、非日常性と遥かなる自然が詰まっている。だからこそ、素晴らしい競馬の写真は心を打つ。励まされたり勇気を与えられたりすることも、きっとあるような気がする。

「第5回ホースフォトグラフ展」が、7月19日(土)~10月5日(日)まで、府中競馬場内の競馬博物館で開催される。川井博さん、関真澄さんといった大御所らと共に、あのPhotostudのメンバーである住吉里樹、薄田一郎が作品を公開する。今回は競馬博物館での展示ということで、開催期間も長いので、ひとりでも多くの皆さまに足を運んでもらいたいと思う。

Kibou 「希望」 撮影:川井 博

Thechair 「ザ・チェアー障害」 撮影:関 真澄

Matsuridagogh Deepimpact 
左「Matsurida Gogh 1.13」 右「Deep Impact 4.03r」
撮影・制作:Photostud

◆「第5回ホースフォトグラフ展」の詳細はこちら
Photostudによる手作りのチラシ(PDF)

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アイビスサマーダッシュを当てるために知っておくべき3つのこと

Aibisu

■1■牝馬の活躍が目立つ
牡馬・せん馬  【2・3・4・52】 連対率8%
牝馬       【5・4・3・25】 連対率24%

過去7回行われたレース中、牡馬が勝ったのはわずかに2回。しかも、その2回は、あのスプリンターズSを制し、直線1000mコースのスペシャリストであったカルストンライトオによるもの。つまり、それ以外の牡馬は、このレースで牝馬に勝ったことがない。連対率を見ても圧倒的な差が生じている。理由としては、平坦コースで牝馬特有の切れ味を生かせるということ、揉まれないということ、さらにもうひとつ付け加えると牝馬は気を抜かずにガムシャラに走るからだろう。

■2■ダート短距離血統の馬に注目
過去の連対馬を見ると、カリスタグローリー、サクラバクシンオー、Capote、スターオブコジーン、ウォーニングなど、ダートの短距離に強い血統の馬が並んでいる。このことからも、一気にアクセルを全開にしてトップギアに入ることのできる、後輪駆動のパワータイプが強いことが分かる。芝のスピードよりも、ダッシュするためのパワーが必要ということである。

■3■外枠有利というよりも
新潟直線1000mは外枠有利と言われるが、本当にそうだろうか。開催が進んで馬場の内側が傷んでくれば、外が走りやすいトラックバイアスが生まれることは確かだが、開幕週であれば馬場の内外は気にすることはない。それよりも、馬は埒(らち)を頼った方が走りやすいということである。直線だけの競馬は馬群が大きくバラけることが多く、他馬との間隔が開きすぎると、馬はフラフラして走りにくい。だからこそ、早めに埒(らち)を味方につけて突っ走った馬が有利ということになる。そういった意味では、手応えの良い馬が集まってくる外枠の方がレースはしやすい。

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集中連載:「調教のすべて」第14回

次に、全体時計についてはどうだろうか。全体時計の速さは、その調教自体のレベルの高さや厳しさを表すのだろうか?全体時計が速い追い切りを行ってきた馬は、体調も万全で、仕上がりも良好だと判断してよいのだろうか?

美浦の調教横綱と呼ばれていたダイワメジャー(父サンデーサイレンス母スカーレットブーケ)を例にとって考察してみたい。ダイワメジャーの現役最後の年(2007年)、秋シーズンのレース結果及びそのレースに臨むにあたっての最終追い切りの全体時計は以下のとおりである。

毎日王冠
2007/10/03(水) 南W 良 助手 64.0-49.9-36.2-11.9 3 G強

天皇賞秋
2007/10/24(水) 南W 良 助手 66.7-50.8-37.2-11.9 2 強め

マイルCS
2007/11/14(水) 南W 良 助手 61.6-48.8-36.5-12.4 2 仕掛

有馬記念
2007/12/19(水) 南W 良 助手 62.6-49.4-36.3-12.5 2 馬也

休み明けの毎日王冠は、あくまでも叩き台として、ゆったりと仕上げてきた様子が窺われる。最終追い切りもゴール前で強めに追っただけで全体時計(5ハロン)が64秒0という、全体的には8分通りの余裕を持たせた仕上がりであった。レースではハイペースに巻き込まれる形で3着に敗れてしまったが、それでも最後まで渋太く伸びており、次走天皇賞秋の連覇に期待を抱かせる内容であった。

しかし、休み明けをひと叩きした天皇賞秋では、ガラッと変わってくるのかと思いきや、最終追い切りも全体時計(5ハロン)が66秒7という軽めの調整に終始した。おそらくこの時点で、この秋シーズンは4戦することを決めていたのかもしれない。天皇賞秋ではなく、次走のマイルチャンピオンシップをピークに持って来て、余力が残っていれば有馬記念を走って引退というシナリオだったのであろう。また、毎日王冠から200mの距離延長ということを考えて、ダイワメジャーの精神面にゆとりを持たせるために、ビッシリと仕上げなかったという意味もあったに違いない。ご存知のとおり、レースでは最後の直線の勝負どころで致命的な不利を受けてまともに走られなかったが、結果としては9着と惨敗してしまった。

続くマイルチャンピオンシップは、ダイワメジャーにとって適距離であり、負けられない一戦であった。最終追い切りではビシッと追われ、全体時計(5ハロン)が61秒6という猛時計。まさに横綱という迫力満点の追い切りであった。レースでは、前年の走りをトレースするようなレース振りで、スーパーホーネットやスズカフェニックスの追撃を受けて立つ形で快勝した。これでダイワメジャーはマイルCS連覇、そして安田記念を挟んでマイルG1を3連覇となり、あのニホンピロウイナー、タイキシャトルと肩を並べることになった。

Tyoukyou19 by echizen

マイルチャンピオンシップの余勢を駆って出走した、引退レース有馬記念の最終追い切りでは、全体時計(5ハロン)62秒6を出した。前走のマイルチャンピオンシップには及ばないが、なかなかの好時計である。上り目こそないものの平行線という、勝ち負けになるだけの体調にあったのだろう。レースでは、デムーロ騎手の好騎乗にも助けられつつ、2500mという距離を克服して3着と好走した。これで引退するのが惜しいと思わせるだけの、ダイワメジャーらしい迫力満点の走りを披露した。

以上のように、ダイワメジャーの現役最後の年(2007年)、秋シーズンだけを取ってみれば、いかにも最終追い切りの全体時計の速い・遅いがレースでの結果に直結しているように見える。最終追い切りの全体時計が速い時はレースでも好走して、最終追い切りの全体時計が遅ければレースでは凡走してしまう。ダイワメジャーの体調の良さが、最終追い切りの全体時計に反映されているということである。

しかし、実は、最終追い切りの全体時計がレースでの結果に直結しなかったケースもまた多い。

(次回へ続く→)

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ご要望に応えて再掲「武豊論」:日本一“押せる”ジョッキー

Ikkannpo by M.H

サラブレッドのスピードは、「一完歩の長さ(ストライド)×頻度(ピッチ)」で決まる。もちろん、疲労してバタバタになった馬は脚が伸びないように、同じ馬でも状況によって一完歩の長さは変わるが、走る頻度(ピッチ)が同じであれば、当然、一完歩(ストライド)を長く走った馬の方が先にゴール出来る。

一完歩の長さ(ストライド)は馬の持って生まれた肉体的特徴によるところが大きいのだが、数センチ位の長さであれば、実は騎手の技量によって補うことが出来るのだ。ゴール前1ハロンの完歩数は平均27完歩であり、もし一完歩が10cm長くなったとすると、27完歩×10cm=270cmで2.7m。つまり、ゴール前1ハロンだけで、なんと1馬身の差が生じることになる。このことからも、一完歩を少しでも長く走らせることが、一流騎手の仕事だといっても過言ではないだろう

日本のジョッキーでは、やはり武豊騎手が、この一完歩を少しでも長く走らせる技術に長けている。たとえば、ロジックを勝利に導いた2006年のNHKマイルCのラスト1ハロンには、武豊騎手の馬を伸ばす技術が凝縮されているといってよい。あれだけの接戦の中で、ほとんど鞭を使うことなく、馬の走るリズムに合わせて、ストライドを少しでも長く走らせることに集中している。そのストライドのわずかな差が、ゴール前のクビの差に結果的につながっているのである。もし他の騎手であったら、負けていても不思議ではなかったレースである。

日本では馬を“追う”というが、海外では“押す(PUSH)”という。馬を“追う”とは、ムチでビシバシ馬を叩くことではなく、手綱を通して馬を“押す”ことである。もう少し具体的に描写すると、馬が着地する時に、もう何センチか先につかせることによって、一完歩を長く走らせるのである。そのためには、馬の走りのリズムに合わせて手綱を引きつけ、タイミング良く解き放つことによって、馬体を最大限に収縮させなければならない。馬のリズムを崩さないように、少しずつ重心を下げて、ストライドを長く伸ばして走らせるのである。武豊騎手は追えないという筋違いの評価があるが、全くの誤解である。あえて言うならば、武豊騎手は“押せる”騎手なのである。


ちょっと余談
このCMシリーズはJRAの最高傑作だと思う。全力で追っていないため、馬を「押す(PUSH)」感覚は伝わってこないと思うが、武豊騎手の長身を馬の背に折畳んだ美しいフォームや、華麗な鞭捌きを堪能して欲しい。小田和正の歌声も最高!

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プロキオンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Prokions

■1■1番人気が圧倒的に強い
初夏の阪神開催に移った2000年以降、過去8年間で1番人気は【6・2・0・0】と連対率100%という圧倒的強さを誇る。これはが実績馬に有利な別定戦であることが最大の理由である。だからといって1番人気を買えばよいというのは早計で、実績馬がそれほど重い斤量を背負わされないため、力のある馬が順当に勝つというのが本当の意味である。

■2■先行・差し馬向きのレース
12.0-10.3-11.1-12.1-12.3-12.5-12.7(33.4-37.5)H
12.3-10.5-11.5-12.0-11.8-11.6-12.6(34.3-36.0)H
12.2-10.6-11.1-11.7-11.9-12.1-12.3(33.9-36.3)H
12.0-11.0-11.5-11.7-11.6-12.0-12.2(34.5-35.8)H
12.3-10.1-11.0-11.9-12.1-12.4-12.9(33.4-37.4)H

過去5年、例外なくハイペースに流れていて、前に行く馬にとってはかなり厳しいレースとなる。それでも先行馬が活躍しているのは、阪神1400mダートコース(内回り)の最後の直線が352mと短いからである。後ろから行く馬向きの展開になるにもかかわらず、意外と直線が短くて差し切れないという現象が起こるのだ。逃げ馬にとっては苦しいレースだが、かといって追い込み馬も届かないという、先行・差し馬向きのレースとなる。

■3■外枠が有利
阪神1400mダートコースはスタート地点が芝となっていて、外枠から走る馬の方が芝を走る距離が長い。そのため、外枠に入った馬(特に先行馬)は、内枠に入った馬に比べ、スピードに乗りやすいという利点が生じる。先行・差し馬向きのレースと前述したが、特に外枠に入った先行馬には要注意である。

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七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tanabata

サマー2000シリーズの第1戦目。七夕の夜には、天の川の両側にある彦星と織姫星が年に一度会うはずなのだが、七夕賞で牡馬と牝馬のワンツーは過去10年で一度もない。というよりも、牝馬の出走すらほとんどなく、牡馬同士のガチンコ勝負が繰り広げられるハンデ戦となる。

■1■上がり時計不問
12.2-11.7-12.0-12.2-12.2-12.2-11.8-11.8-11.9-12.7(60.3-60.4)M 上がり3F36.4
12.8-11.4-12.1-12.5-12.6-12.3-11.6-11.6-12.2-12.6(61.4-60.3)S 上がり3F36.4
12.5-11.2-11.6-11.4-11.9-12.0-12.5-12.5-12.3-12.5(58.6-61.8)H 上がり3F37.3
12.4-11.5-11.8-11.6-11.7-11.7-11.8-12.0-12.1-12.7(59.0-60.3)H 上がり3F36.8
12.3-11.1-12.1-12.2-12.1-11.9-12.0-12.0-12.1-12.5(59.8-60.5)M 上がり3F36.6

過去10年で、全体の上がり3ハロンが36秒を切ったのはたったの一度。勝ち馬に限っても、35秒後半の上がりを切ったのはわずかに1頭のみ。馬場の劣化と、息の入らないペースによって、上がり時計が不問になる。軽い瞬発力ではなく、その対極にある、パワーとスピードの持続力が求められるレースである。もちろん、こういう上がり時計不問のレースでは前に行った馬が有利になる。

ただ、福島競馬場の2000mは、スタンド前直線を延長したポケットからのスタートで、1コーナーまでの距離は505mもあり、スタート直後に下り坂になるため、テンはかなり速く、逃げ馬には厳しい展開となる。その代わりと言うか、枠の内外による有利不利はほとんどない。

■2■マイラーでもステイヤーでも厳しい
直線の短い小回りコースということもあって、スタート直後からガンガン飛ばしていく速い流れになりやすく、最後は底力の勝負になり、豊富なスタミナが要求される。そのため、純粋なマイラーにとっては厳しいレースとなる。かといって、ステイヤーに向くかというとそうでもなく、ステイヤーは道中の速く厳しい流れに戸惑ってしまうことになる。どちらかに偏っていない、中距離馬を狙い打つべきである。

■4■ハンデがハンデにならない!?
斤量         成績       連対率
49kg以下     【0・0・0・6】    0%
49.5kg~51kg 【0・0・1・11】   0%
51.5kg~53kg 【1・2・3・26】  10%
53.5kg~55kg 【1・3・2・36】  10%
55.5kg~57kg 【6・2・3・17】  29%
57.5kg~59kg 【1・2・1・4】   38%

ハンデ戦にもかかわらず、ハンデが重くなるにしたがって連対率が上がる傾向がある。そして、勝ち馬は55.5kg~57kgのゾーンに集中している。

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世代の強さ(弱さ)はあるのか?

Wttennosyo08

競馬界でよく使われる「この世代は強いから(弱いから)」という世代間の力差を表す概念に、私は昔から違和感を持っていた。そこで、かつてルドルフおやじさんと手紙のやりとりをさせてもらった際、思い切って私の素直な疑問を投げかけてみたことがあった。2006年のエリザベス女王杯のことである。

治郎丸
「便宜的に世代をひと括りにすることもありますが、基本的に世代間での力差という概念には疑問があります。サラブレッドにはワインのような豊作の年という考え方は当てはまらないのではないでしょうか?やはり、馬1頭1頭の実力が全てであって、この世代が強いからこの馬も強いという捉え方は、どうもシックリきません。今年の4歳世代は、シーザリオは別格にして、確かにラインクラフト、エアメサイアあたりまではトップクラスの実力を持っていたと思います。ディアデラノビアもそれに次ぐ馬ですが、G1クラスだとワンパンチ足りないかなという印象です。」

ルドルフおやじさん
「3歳世代のおかげで、エリザベス女王杯のレベルが高くなったと思います。世代の強さというのはやはりありますね。農作物にも豊作年というのがあるでしょ?それだけの話です。人間にだってあるはずですよ。サラブレッドを特別な動物と見てはいけませんね。総じて強いというのは、何かあるはずです。総じて弱い世代の中にも、強烈に強い1頭はいます。カブラヤオーのように。」

このようなやりとりが行われた後、私は当時5歳馬であったスイープトウショウに本命◎を打ち、ルドルフおやじさんは◎カワカミプリンセス○ディアデラノビア▲スイープトウショウ△アサヒライジング×フサイチパンドラと印を打った。ご存知のとおり、結果は3歳馬カワカミプリンセスが先頭でゴールを駆け抜けたものの降着となり、2着に入った同じく3歳馬のフサイチパンドラが繰り上がりで優勝、私が本命を打った5歳馬スイープトウショウはクビ差の2着に終わった。

もしカワカミプリンセスの降着がなければ、3歳馬のワンツーで終わっていたわけで、ルドルフおやじさんの言う通り、総じて強い世代というものが存在することになる。しかし、強い世代であったはずの4歳馬ディアデラノビアが4着に敗れてしまった以上、この世代が強いからこの馬も強いではなく、馬1頭1頭の実力が全て、という私の考え方も正しいことになる。結局のところ、世代の強さはあるようでなく、ないようであるといった具合に、はっきりと結論が出ず仕舞いで2006年のエリザベス女王杯を私は終えた。

ところが、およそ1年半の年月を経た今年の天皇賞春にて、私は世代間の力差という概念の存在を目の当たりにすることになったのだ。私はアサクサキングスの敗因を、「前半1000mが思いのほか遅く流れてしまったことにより、上がりの速い競馬になってしまい、スタミナ勝負に持ち込めなかったため」と観戦記に書いたが、今振り返ってみると、それだけではなかった。アサクサキングスの最大の敗因は、今年の4歳馬と古馬の間にある厳然とした力差にあった。「スパートをかけた際も、さすがにサムソンはとりついてくるのが早かった。(上位2頭には)古馬一戦級の貫禄がありました」という四位騎手のレース後のコメントが、そのことを如実に物語っている。

さらに、今年の宝塚記念に至っては、過去10年間で4歳馬が8勝というレースの傾向にもかかわらず、勝ったのは6歳馬のエイシンデピュティで、2着は5歳馬のメイショウサムソンであった。4歳馬で最先着したのはアサクサキングスの5着、故障を発生してしまったロックドゥカンブの12着は度外視したとしても、3番人気に推されたアルナスラインはなんと10着。7歳馬であるエアシェイディやカンパニーにも先着を許すという情けなさである。雨が降って道悪になったことを考慮に入れても、あまりにも今年の4歳牡馬世代は弱すぎる。

世代の強さ(弱さ)というものは確かにある。

これが今の私の結論である。もちろん、強い世代に属する全ての馬が強いのではなく、弱い世代に属する全ての馬が弱いのということではない。世代間の力差とはつまり、これまで戦ってきたレベルの問題である。特に3歳馬と古馬、4歳馬と5歳以上の馬の間には、戦ってきたメンバーによるレベルの違いが生じるため、世代間の力差があって当然なのである世代間の力差とは、タイムやラップだけでは分からない、レースの密度の濃さや厳しさを大局的に把握するためのツールのひとつと考えてよいだろう。

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今年は馬体だけでPOG馬を選ぶ!

Pog08

今年のPOGはテンションがガタ落ちだった。なぜかと言うと、意気込んで応募しようとしていた「優駿」の『ゆうしゅんPOGノート選手権』の応募期限を間違ってしまったのである。4頭に絞り込むところまでは早々に済ませていたにもかかわらず、ノンビリと構えていたところ、ハガキを出しそびれてしまった。優勝者にはあのPhotostudがデザインしたオリジナルパネルがもらえたのに、嗚呼。たくさんの方々に参加を勧めておきながら、本当に情けない話だ。

そんなことで、今年のPOGは不参加にしようと考えていたが、丸1年間を棒に振るのも惜しい気がして、せっかくなので昨年に引き続き「Gallop POG」に参加することにした。「Gallop POG」は父親の違う産駒を6頭(牡馬3頭、牝馬3頭)選んで応募するのだが、「優駿」で4頭に絞り込む前がちょうど6頭だったので、幸いなことにそのまま応募すればよいことになった。再び気持ちを立て直して、今年も香港競馬ツアーを目指して頑張りたい。

さて、私はPOGをやり始めて今年で3年目になるが、これまでの反省を生かして、今年はPOG馬の選び方をガラッと変えてみた。というのも、1年目はフサイチオフトラ(父ブラックホーク)、2年目はポルトフィーノ(父クロフネ)ぐらいしか活躍馬を指名することが出来ていないからだ。ポルトフィーノに至っては、新馬戦、ではなくメイクデビューのレース振りを見てから後出しという体たらくだ。その他の馬たちはデビューすらも定かではない。

これまでの2年間は、基本的には思い入れのある血統や現役時代に応援していた馬の仔をピックアップしていた。たとえばブラックホーク産駒であったり、スペシャルウィーク産駒であったり、シンコウラブリイの仔であったりと。本当のところは、今年はキングカメハメハの産駒を選びたかった。個人的にも色々な思い出が詰まった馬だし、もしあのまま順調に走っていれば、ディープインパクトと互角の勝負をしたと今でも信じている。種牡馬としても、サンデーサイレンスの肌馬にドンピシャで、軽さとパワー、瞬発力と持続力が融合されれば、恐ろしいほどの強さを持った馬が誕生しても不思議ではないだろう。そのように、心を奪われた馬たちの産駒たちが、再びターフで活躍することに想いを馳せるのは、競馬最大の楽しみであり喜びのひとつである。POGであればなおさらだ。しかし、それではPOGでは勝てないのだ。

今年は馬体だけでPOG馬を選ぶ!

こう決めてからは、ただひたすらに「優駿」に掲載されている立ち写真を見続けた。(結果的に)「Gallop POG」に応募するのに、「優駿」を穴が開くほど眺めたというのも変な話だが仕方ない。1頭1頭の馬体を見ながら、まるでG1レースの「ガラスのパドック」でやるように、各馬を5段階評価していった。5つ☆が付いた精鋭たちのみをPOG馬として指名するつもりだ。もちろん、2歳馬の馬体など刻々と変化していってしまうことは百も承知だが、それでも、現時点での馬体からでも素質の原石を見つけることは出来ると信じて。


関連エントリ
けいけん豊富な毎日:POG指名馬確定!
ガラスの競馬場:◆第1位指名◆フサイチオフトラ(父ブラックホーク)牡

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ラジオNIKKE賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Radionikkei

■1■G1帰りの馬は消し
かつては「残念ダービー」と言われていたほど、ダービーに出走できなかった馬や、出走しても好走できなかった馬が好走したレースだが、過去10年では、前走がG1レース(ダービー、NHKマイルC、オークスなど)であった馬の成績は【1・1・3・20】と奮わない。前走が500万下であった馬の成績【4・6・1・30】と比べると、その差は明らかである。

それもそのはずで、前走がG1レースであった馬は、そのレースに向けて100%の仕上げで臨んでいるからである。目に見える見えないにかかわらず、ほとんどの馬の体調は、良くて前走から平行線、悪ければ下降線を辿って出走してくる。たとえG1レースに出走したような力のある馬でも、走られる状態になければ好走は望めない。

■2■1800m以上のスタミナ
この時期の福島競馬場は、芝が傷んで力を要する馬場になっている。野芝が成長を始めるものの、1回開催から期間が短いため、馬場の傷みは回復することなく進行していくからである。特に3~4コーナーにかけて内側の芝はかなり傷んでおり、各馬が馬場の良い外々を回すため、必然的に1800m以上の距離を走ることになる。

過去6年間のラップ
12.5-10.7-11.3-11.9-11.8-12.5-12.3-12.6-12.7(46.4-50.1)H
12.8-11.8-12.2-12.6-12.2-11.7-11.9-11.5-11.7(49.4-46.8)S
12.6-11.1-11.6-11.6-11.7-11.7-11.9-12.4-12.5(46.9-48.5)H
12.3-10.9-11.3-12.0-12.0-11.7-12.0-12.4-12.6(46.5-48.7)H
12.5-11.2-11.8-12.6-12.4-12.1-12.5-12.1-13.3(48.1-50.0)H
12.6-11.5-11.3-12.2-12.4-12.3-11.6-11.6-12.2(47.6-47.7)M

また、過去6年間のレースラップ(上記)を見てみると、ヴィータローザが勝った5年前のレースは例外として、ほとんどのレースが前傾ラップとなっている。各ジョッキーが直線の短さを意識し、好位を確保するために、前半からかなり厳しいペースでレースが流れていることが分かる。

つまり、以上の2点から、小回りの1800mというコース設定ではあるが、実は字ヅラ(1800m)以上のスタミナが必要とされるのである。

■3■長くいい脚を使える馬
福島競馬場の最後の直線は297mと短い。そのため、直線に向いてからの追い出すのでは遅く、各馬のスパートは3~4コーナーにかけて既に始まっている。コーナーを回りながらの仕掛けとなるため、一瞬の切れ味は生かしにくく、どちらかというとジワジワと伸びるタイプの馬にとって有利となる。もちろん、福島競馬場で実績のある馬は求められている適性に近いということだろう。

また、菊花賞を勝ったダンスインザダークの産駒や、将来の菊花賞2、3着馬が活躍していることからも、ラジオNIKKEI賞と菊花賞の間には深い連動性があることが分かる。求められている適性(長くいい脚を使える)が似ているということである。つまり、ラジオNIKKEI賞で好走した馬は菊花賞でも好走の確率は高く、逆に菊花賞で好走しそうな(血統の)馬がいれば、ラジオNIKKEI賞でも狙ってみても面白いということだ。

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