ダービーを当てるために知っておくべき3つのこと

Derby

■1■乗り替わりは大きなデメリット
「すべての牡馬は生まれた直後から、ダービーを獲るという目標に向かって育てられる」と言っても過言ではない。すべての馴致、育成、調教という点は、ダービーに向かって線でつながっているのである。その線上において、騎手が実戦のレースにおいて競馬を教えていくという役割は大きい。道中を走るリズム、息を入れるタイミングを教え、馬群の中で走ること、馬群を割ることに対する恐怖を取り除くなど、レースをうまく運ぶためのコツを教えていくのは騎手の役割である。

それゆえだろうか、ダービーで乗り替わりがあった馬は、これまでに勝ったことがない。過去20年間で【0・7・5・103】という散々たる結果である。このデータだけを取っても、デビューから競馬を教えてきた騎手が、本番であるダービーで乗り替わることに、どれだけのデメリットがあるかが分かるはずである。

また、連対に絡んだ7頭の内訳は、平成13年のダンツフレーム、平成14年のシンボリクリスエス、平成16年のハーツクライ、平成18年のアドマイヤメイン、平成19年のアサクサキングス、平成22年のローズキングダム、平成27年のサトノラ―ゼンとなる。アドマイヤメインとアサクサキングス、サトノラ―ゼンを除いて、乗り替わり前の騎手が騎乗する馬に、乗り替わられた馬が先着していないということは面白い事実である。

たとえば、平成14年のシンボリクリスエスは武豊騎手から岡部騎手に乗り替わったが、武豊騎手はタニノギムレットでダービーを制した。また、平成16年のハーツクライは安藤勝己騎手から横山典騎手に乗り替わったが、安藤騎手はキングカメハメハでダービーを勝った。このように、ある騎手が乗り替わる前の馬に、乗り替わった後の馬が先着することは少ない。つまり、ダービーを勝つような馬は、どんなことがあってもジョッキーが手放すことはない、もしくは手を離れることはないということである。注)平成13年のダンツフレームの藤田騎手はダービーに騎乗していない。

■2■経験を積んだベテランジョッキー
過去の勝利騎手のほとんどは、経験を積んだベテランジョッキーである。あの武豊騎手でさえ12年もかかったように、ダービーを勝つことは他のG1レースとは比べものにならないほど難しいことなのである。円熟した騎手が活躍している理由として、

1、ダービーという異様な雰囲気の中で、平常心で騎乗できる精神力が求められる
2、ダービーを勝つためには騎手としてのあらゆる経験を生かさなければならない
ということが考えられる。 それ以前に、ダービーを獲れるだけの器の馬を依頼されなければならないし、多数を依頼された場合には、その中からダービーを勝てそうな馬を選択していかなければならない。つまり、ジョッキーとしてのあらゆる技術や経験が求められることになるのである。だからこそ、ダービーというレースは一朝一夕で勝てるはずはなく、騎手にとっても憧れのレースとなり得るのである。

■3■皐月賞からの直行組
ダービーでは皐月賞からの直行組が好走することが多い。直行組以外としては、以下の2つのパターンが考えられる。 1)皐月賞のあとにトライアルレースをはさんだ馬 2)別路線組 最近の傾向として、1)の皐月賞からダービーの間にレースをはさむ馬は少なくなってきている。ほとんどの有力馬がダービーに直行し余力を残している中で、トライアルを使うということは、それだけで十分なディスアドバンテージになるからである。それでも敢えてトライアルを使うとすれば、本番のダービーでは勝負にならないことを見越した上でのことであり、メンバーが落ちるトライアルで賞金を確実に稼ごうという意図が読み取れる。実力的にも足りず、余力も残っていない馬が、本番であるダービーで好走することが難しいことは想像に難くない。

2)の別路線組では、最近ではNHKマイルカップか青葉賞を勝ってきた馬の活躍が目立つ。NHKマイルカップからはキングカメハメハとディープスカイという大物が出ているように、決して相性の悪いレースではない。府中のマイル戦を勝ち切れるスタミナがあれば、2400mもこなせるということである。今後も注目のステップレースとなるには違いないが、中2週というローテーションを考えると、皐月賞からの直行組に軍配が上がるだろう。また、青葉賞からは古いところではエアダブリンが、最近ではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、アドマイヤメイン、フェノーメノが本番でも好走している。同条件を勝ってきた馬なので当然といえば当然なのだが、完成度がやっと追いついてきたという素質馬が多い。しかし、まだダービーの勝ち馬が出ていないのも事実である。

結論としては、1)のパターンは本番のダービーでは勝負にならず、狙うとすれば2)のパターンということになる。ただし、勝ち馬に限って言えば、皐月賞からの直行組を狙うのが定石だろう。

■参考データとして
1、前走G1レース(皐月賞かNHKマイルカップ)以外で負けている馬は×
2、2000m以上未経験の馬は×
3、前2走で連対なしの馬は×

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2人だからこそ


オークス2018―観戦記―
サヤカチャンがレースを引っ張って、前半1200mが71秒8、後半1200mが72秒0というイーブンペースで流れた。とはいっても、2番手以降は1秒以上遅いスローペースであり、前が止まりにくい馬場であったことも含めて、後ろから行った馬では勝負にならないレースであった。勝ち馬の上がりが33秒2、上位に来た馬たちも33秒台の上がりで決着となったように、いつもオークスらしいスローの瞬発力勝負であった。

勝ったアーモンドアイはスタートが良く、クリストフ・ルメール騎手も無理に抑えることをせずに中団から前のポジションで走ることができた。これまでのように後ろから行っていたら、さすがに今回は厳しいレースとなっていただろうが、ポジションが取れたことで、「向こう正面で勝利を確信した」とルメール騎手が感じたのもうなずける、余裕を持った勝利となった。とにかくアーモンドアイは脚が速い馬である。走るのが速いということだ。あのディープインパクトと同様に、もともと速く走るために生まれてきたサラブレッドの中でも突然変異的に脚が速いということである。牡馬を含めても同世代にライバルはいないので、少しでも早く海外に目を向けて、大きな舞台で活躍してもらいたい。

簡単に勝ったように見えるし、結果として楽に勝ったことは間違いないが、その過程においてはルメール騎手の腕が光っていた。アーモンドアイのような馬は、ひとたびスイッチが入ってしまうと一気にトップスピードに乗って、スタミナを失ってしまう恐れがある。だからこそ、武豊騎手はディープインパクトを後方からソロッと走らせることに徹したのだが、ルメール騎手は中団で抑える腕力と自信があるからこそ、馬を変に抑えることをせず中団を走らせることができた。簡単に見えても、他のジョッキーであれば、引っ掛かって行きすぎてしまったり、抑えすぎて後ろから行く羽目になっていたかもしれない。そう考えると、アーモンドアイも強力なパートナーに支えられていることになり、この2人だからこそ余裕で2冠を獲ることができたということだ。

2着に入ったリリーノーブルも、川田将雅騎手の好騎乗が光った。内枠を引いたら、そこを走らせたいと誰もが思う、スローの内2、3番手のポジションを走らせて、リリーノーブルの力を出し尽くした。最後までアーモンドアイに抵抗したように、リリーノーブル自身も馬体が研ぎ澄まされて、桜花賞からさらに成長している様子が見て取れる。コロンとした馬体であったが、2400mが乗り切れるぐらいに絞れて、筋肉にも少しずつメリハリが出てきている。もっと良くなりそうな馬だけに、夏を越して、秋シーズンにはどんなレースを見せてくれるのか楽しみでならない。

ラッキーライラックは、もうひとつ前の(リリーノーブルが走った)ポジションを取りたかったはずだが、スタートがあまり良くなく、リリーノーブルには前を閉じられ、さらにアーモンドアイには外から蓋をされてしまう形となり、最後の直線に向くまでは思い切った競馬ができなかった。瞬発力勝負ではなく、地脚の強さ勝負に持ち込みたかったはずだが、川田騎手とルメール騎手の方が、石橋脩騎手よりも一枚上であったということだ。さすがに凱旋門賞というレベルではないが、決して悲観する内容ではなく、また秋に向けて成長に期待しつつも馬をつくっていけばよいのではないだろうか。サトノワルキューレは、前走よりも前のポジションで進めたが、馬群の外を回されて脚を失ってしまった。

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空を飛ぶ馬のウィークポイントは?

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桜花賞の最後の直線におけるアーモンドアイの走りを見て、あのディープインパクトの姿が彷彿された競馬ファンも多かったのではないか。私もそのひとりである。ディープインパクトが若葉ステークスや菊花賞、そしてラストランとなった有馬記念などで見せつけた、他馬とは脚色が全く違って、まるで空を飛んでいるように映る走りである。

「たとえば、象が空を飛んでいるといっても、ひとは信じてくれないだろう。しかし、四千二百五十七頭の象が空を飛んでいるといえば、信じてもらえるかもしれない」と作家ガルシア・マルケスは語った。

しかし、武豊騎手はディープインパクトの走りについて「飛びました」とコメントし、たった1頭の馬の走りを見て、競馬ファンはその表現を何の疑いもなく信じたのである。それほどに、ディープインパクトという馬は強かったということだ。

ところが、のちの競走馬総合研究所による菊花賞の映像解析によって、実はディープインパクトは空を飛んでいなかったことが判明した。菊花賞の最後の直線において、四肢すべてが地面から離れていた時間は、ディープインパクトが0.124秒であったのに対し、他馬の平均は0.134秒であったという。ディープインパクトが宙に浮いていた時間は、他馬よりも逆に短かったのである。また、宙に浮いて移動した距離は、ディープインパクトが2.63mであったのに対し、他馬の平均は2.43mであったという。厳密に言うと、ディープインパクトは高く飛んでいたのではなく、遠くに飛んでいたのだ。

考えてみれば当たり前の話で、速く走るためには、高く飛んでも意味がない。むしろ高く飛ぶことはロスにさえなる。距離を稼ぐためには、より低く、より遠くへ飛ばなければならないのである。

それでは、どのようにして低く遠くへ飛んでいたのだろうか。馬のギャロップにおける一完歩の脚の運びを順に並べると、右手前で走った場合、左後ろ肢→右後ろ肢→左前肢→右前肢となる。ディープインパクトに特徴的だったのは、右後ろ肢と左前肢が着地した時点間の距離であった。ディープインパクトは、この距離が2.16mと他馬の平均に比べて10%以上も長かったという。

「ストライドを伸ばして、速度を上げる時に、一番伸びる部分です。大きな馬の方がこの距離が長くなるのが普通ですが、ディープインパクトのような小柄な馬が、ここでこれだけ延びているのは驚きです」とJRA競走馬総合研究所の高橋敏之さんは語った。(「優駿」馬学講座より)

いつかその走りが解析される日が来るだろうが、ディープインパクトと同様に、アーモンドアイも高く飛ぶのではなく、より低く、より遠くへ飛んでいるに違いない。だからこそ、他馬とはまるで脚色が違って見え、空を飛んでいるように映るのである。

ところで、空を飛んでいるように走るアーモンドアイにとって、ウィークポイントはどこにあるのだろうか。ひとつは道悪馬場である。ピッチ走法の馬ほど道悪馬場を苦にしないのに対し、他馬よりも大きなストライドで走ることにより、脚元が滑りやすくなる。しかし、ご存じのように、アーモンドアイは前々走のシンザン記念ですでに道悪馬場を克服している。もしかすると、ストライドは大きくても、高くではなく低く飛んでいるため、それほどバランスを崩すことがないのかもしれない。

もうひとつは、スタミナの問題である。全身を大きく使って、低く、遠くへ飛ぶ以上、それだけスタミナを消費してしまうのではないだろうか。他馬よりも速く走ることはできても、長く走ることができるのかという一抹の不安は残っている。今回のオークスは、桜花賞から距離が一気に800mも延びる。重箱の隅を楊枝でほじくるようではあるが、もしアーモンドアイの空を飛ぶような走りによる弱点が表出するとすれば、東京競馬場の2400mで行われる今回の舞台しかないと思える。

せっかくの名牝の走りを堪能したい気持ちは山々だが、今回のオークスばかりはもう1頭の名牝ラッキーライラックの安定感を評価したい。この馬は馬体を見る限り、胸も深く、胴部にも十分な長さがあり、決してマイラーの体型ではない。アーモンドアイのようにフットワークで勝負するタイプではないが、パワーを推進力とラストの切れ味に変えることができる。この中間は、距離が延びることに対応できるように馬がつくり変えられている。ライバルを負かす舞台はここしかない。

Oaks2018wtup

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オークスを当てるために知っておくべき3つのこと

Oaks

■1■オークスを勝つための条件
牝馬クラシックにおける、桜花賞1600m→オークス2400m→秋華賞2000mという距離の伸縮には少なからず問題点があるだろうが、実際のところ、オークスは2400m戦のレースであっても、内容(実質)的には1600m~2000m程度のものになってしまうことが多い。なぜなら、どの馬にとっても2400mは未知の距離となるため、各騎手に前半大事に乗ろうという気持ちが働き、ペースが遅くなるケースが多いからである。道中はゆっくりと行って、ラストの瞬発力勝負というレースになりがちで、そのため、オークスを勝つために条件となるのは、「スローペースに折り合える」、「瞬発力がある」という2点となる。

■2■桜花賞組が有利
また、桜花賞からの直行組の活躍が顕著なのは、桜花賞組の完成度が高いからである。スローペースに折り合うことができれば、たとえマイラーでもオークスの2400mは十分にこなせてしまう。最終的に問われるのは「絶対能力」であり、桜花賞で勝負になるだけのスピード(瞬発力を含む)、スタミナがあれば、それがそのままオークスでも十分通用してしまう。よって、別路線組よりも完成度(現時点での「絶対能力」)がはるかに高い、桜花賞組が有利になるのである。

■3■桜花賞→オークスの連覇が少なかった理由
なぜ桜花賞→オークスという連覇が少なかったかというと、 1、桜花賞馬はスピードが勝っている傾向があった 2、桜花賞で力を出し尽くしている という2点が考えられる。
1については、阪神競馬場が改修される以前の桜花賞を勝つような馬は、全体的なバランスとしてスピードが勝っている傾向が強かったので、「スローペースに折り合える」「瞬発力がある」のどちらかを満たしていないことが多かった。もちろん完成度が高いため好走はするのだが、それだけではオークスを勝ち切ることは難しい。

2については、桜花賞を勝つために力を出し切ってしまった馬が多く、1ヶ月半後のオークスまで体調を維持することができないことが多い。この時期の牝馬の体調は変わりやすいのである。つまり、余力を残して桜花賞を勝つか、余程能力が他馬と比べて抜けているかでないと、桜花賞→オークスという連覇は難しい。
阪神競馬場が大幅に改修されて以降の桜花賞馬の次走を見てみると、

2007年 ダイワスカーレット→ローズS1着
2008年 レジネッタ→オークス3着
2009年 ブエナビスタ→オークス1着
2010年 アパパネ→オークス1着
2011年 マルセリーナ→オークス4着
2012年 ジェンティルドンナ→オークス1着
2013年 アユサン→オークス4着
2014年 ハープスター→オークス2着
2015年 レッツゴードンキ→オークス10着
2016年 ジュエラー→ローズS11着
2017年 レーヌミノル→オークス13着

と少しずつ桜花賞馬とオークスが直結しつつあることが分かる。

阪神競馬場の改修を境として、桜花賞を勝つために求められる条件が一変した。つまり、仕上がりが早く、スピードの勝った馬が有利だったが、今やスローペースにしっかりと折り合えて、瞬発力に秀でていて、クラシックを目の前にしてグンと成長してくる馬が有利になったのだ。しかも、マイル以上の距離を走ることのできるスタミナの裏づけが必要になってくる。これらの条件を満たして桜花賞を勝利した馬は、よほど体調を崩してしまわない限り、距離が延びても同じ適性が問われるオークスで凡走することは考えにくいということになる。

■参考として
1)1600m以上のレースで連対したことのない馬は×
2)たとえ桜花賞であろうとも、前走が着外であった馬は×
3)重賞未経験の馬は×
4)連対率が50%以下の馬は×
5)桜花賞のあとレースを使った馬は×

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惚れ惚れする好騎乗


ヴィクトリアマイル2018―観戦記―
カワキタエンカが予定どおりにハナに立ち、前半マイルが46秒8、後半マイルが45秒5という、G1レースとは思えないほどの超スローペースに持ち込んだ。これだけ流れが遅くなると、どれだけ速い脚を使っても中団から後ろにいた馬では届かない。馬群の外を回された馬も、脚をためられなかった分、伸び負けしてしまう。ラストの瞬発力勝負に強い馬、そして内枠から発走して内ラチ沿いで脚をためられた馬が上位を占める、力と力のぶつかり合いとは程遠い、典型的なスローペースの結末となった。

勝ったジュールポレールは、内枠から発馬して無理なく中団のポジションを進み、最後の直線では持ち前の末脚を思う存分に発揮してみせた。上がり3ハロン33秒3という、まさにディープインパクト産駒らしい切れ味であり、昨年3着の雪辱を晴らしてみせた。とはいえ、馬体だけを見ると昨年から大きく成長した様子はなく、今年はあらゆる要素(特に幸英明騎手の積極性)が偶然に絡み合って先頭でゴールできたということだろう。

幸騎手は、これ以上を望むことのできないほど、文句なしの騎乗であった。スタートから馬を出して行き、前を進む馬たちをギリギリ捕らえられる射程圏に置く、絶妙のポジションにジュールポレールをはめ込み、最後の直線に向いてからも、ここしかないという絶好のタイミングでゴーサインを出した。本人も感じているだろうが、騎手人生の中でも数えられるほどしか訪れない、誰が見ても完璧な騎乗によって、今のジュールポレールの力を100%引き出した。何度リプレイを見ても、惚れ惚れするほど素晴らしい。

対して、ハナ差で2着に敗れてしまったリスグラシューは、負けるべきポジションを進み、負けるべくして負けたレースであった。外枠から出して行くのは怖いという武豊騎手の気持ちは分かるが、今のリスグラシューのトモの充実ぶりを見ると、もっと攻めのポジショニングをするべきだったろう。結果論でもたらればでもなく、あの位置にいたら勝てないし、あの位置になるのは折り合いを欠くのを怖れて手綱を引くからだ。攻める気持ちがないから、どんどんポジションが悪くなる。他のトップジョッキーが乗っていたら今回は勝っていただろうし、この先、乗り替わりになればその意味は分かるはず。

レッドアヴァンセはあわやというレースを見せたが、最後は切れ負けしてしまった。これは結果論ではあるが、少しだけ先頭に立つのが早かった。それぐらい手応えが良かったということでもあり、さすが府中のマイル戦を得意とするクラレントやレッドヴェイロンの姉妹である。1番人気のアエロリットは、好位をスムーズに走ったが、ラストの瞬発力勝負になってしまったことが裏目に出た。この馬としては、もう少しレースが流れてくれた方が、持ち前の続力が生きて良かったはず。そのあたりは、戸崎圭太騎手がテン乗りであったからでもあり、慎重に乗ってしまったのが悔やまれる。

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トモに実が入って本格化したリスグラシュー:5つ☆

リスグラシュー →馬体を見る
かつての線の細さは薄まり、トモに実が入って、ようやく本格化した。
レースセンスの良さとバネは天性のもので、毛艶も冴えて調子は抜群。
Pad5star

カワキタエンカ →馬体を見る
母父クロフネの血が前面に出てきており、いかにもパワータイプの馬体。
腹回りに余裕がなく、もう少しふっくらしてくると好感が持てる。
Pad4star

デンコウアンジュ →馬体を見る
昨年2着時と同じかそれ以上に良く見せて、年齢を感じさせない。
馬力型のメイショウサムソン産駒らしくなく、全体のシルエットが美しい。
Pad3star

ミスパンテール →馬体を見る
手脚がやや短く、重心が低く映る馬体は、マイルまでの距離を得意とする。
馬体としては安定しているため、あとは気性面の激しさがG1でどう出るか。
Pad3star

レッドアヴァンセ →馬体を見る
やや腰高に映るように、腹回りが細く巻き上がっていて、きっちり仕上がった。
いかにもスピードタイプの切れそうな馬体で、一瞬の脚をどこで使うかが鍵。
Pad3star

レッツゴードンキ →馬体を見る
6歳馬にして、このメンバーに入っても1、2を争う馬体の素晴らしさを誇る。
胸が深くて、前駆が力強く、パワーとスピードという点では卓越している。
Pad45star

アドマイヤリード →馬体を見る
この馬は対照的に、線の細さが目立ち、全体のシルエットには伸びがある。
マイル以上の距離でこそ良さが出るタイプで、ペース次第では連覇も。
Pad3star

レーヌミノル →馬体を見る
2歳時からそれほど大きくは変わっていないが、馬体が少し力強くなった。
これと言って強調する材料はないが、全体としてまとまっている。
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エテルナミノル →馬体を見る
決して馬体が良くないわけではないが、このメンバーに入ると少し物足りない。
それは線の細さであり、また筋肉のメリハリの少なさである。
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ソウルスターリング →馬体を見る
2、3歳時に見せていた輝きがやや失われ、馬体から伝わってくるものが少ない。
それでも一流馬の貫禄のある馬体であることは確かで、どこで一変しても不思議ない。
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アロエリット →馬体を見る
前駆の盛り上がりと力強さはとても牝馬とは思えず、馬場が重ければ重いほどよい。
それに対して、トモの実の入りは物足りず、先行してどこまで粘れるか。
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デアレガーロ →馬体を見る
前駆の筋肉量は豊富で、盛り上がって、かきこみが強そうなパワータイプの馬体。
トモにも十分な筋肉がついており、安定してこの馬の力は出し切れるはず。
Pad3star

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ヴィクトリアマイルを当てるために知っておくべき3つのこと

Victoriamile

■1■短距離馬がもってしまうレースから底力勝負へ
府中のマイル戦といえば、字ズラ以上にスタミナが要求されるレースなのだが、ことヴィクトリアマイルに関していえば、そうとは言い切れない結果が出ている。3頭のフジキセキ産駒が勝利しているように、2009年、2010年のウオッカ、ブエナビスタらは別として、どちらかというとマイル以下を得意とする馬が勝ち切っているレースであった。その理由はレース自体のペースにあった。

12.6-11.2-11.6-12.1-12.2-11.4-11.3-11.6(47.5-46.5)S
1:34.0 ダンスインザムード
12.3-10.8-11.7-11.8-11.6-11.2-11.2-11.9(46.6-45.9)M
1:32.5 コイウタ
12.4-11.3-12.0-12.2-12.1-11.2-11.0-11.5(47.9-45.8)S
1.33.7 エイジアンウインズ
12.2-10.8-11.7-12.0-11.9-11.2-10.8-11.8(46.7-45.7)S
1:32.4 ウオッカ
12.2-10.6-11.0-11.7-12.0-11.6-11.3-12.0(45.5-46.9)H
1:32.4 ブエナビスタ
12.0-10.6-10.9-11.1-11.3-11.6-12.0-12.4(44.6-47.3)H
1:31.9 アパパネ
12.2-10.9-11.3-12.0-11.8-11.5-11.2-11.5(46.4-46.0)M
1.32.4 ホエールキャプチャ
12.4-10.8-11.4-11.7-11.9-11.4-11.2-11.6(46.3-46.1)M
1:32.4 ヴィルシーナ
12.4-10.7-11.6-11.5-11.8-11.4-11.2-11.7(46.2-46.1)M
1:32.3 ヴィルシーナ
12.1-11.0-11.2-11.2-11.4-11.2-11.6-12.2(45.5-46.4)M
1:31.9 ストレイトガール
12.3 - 10.4 - 11.1 - 11.9 - 11.5 - 11.4 - 11.3 - 11.6(45.7-45.8)M
1.31.5 ストレイトガール
12.6 - 11.2 - 11.8 - 12.3 - 12.2 - 11.1 - 10.8 - 11.9(47.9-46.0)S
1.33.9 アドマイヤリード

ヴィクトリアマイルが新設されてから最初の4年間は、ほとんどのレースは前半が遅くて、後半が速いという、G1レースのマイル戦では珍しい後傾ラップであることが分かる。道中で引っ掛かることや東京競馬場の長い最後のストレッチを心配して、牝馬同士であることを含め、あまりガンガンやり合うような競馬にならなかったからである。マイル以下に適性があるような短距離馬でも、なんとかもってしまうというレースになりやすかったが、ここ数年は状況に変化が見られる。

2010年からは道中のペースが上がり、スローの瞬発力勝負になるレースが見られなくなった。そのことによって、ブエナビスタに始まり、アパパネ、ホエールキャプチャ、ヴィルシーナと、マイル戦以上のレースで好勝負を繰り広げてきた名牝たちによる、単なるスピードだけではなく、スタミナも問われる底力勝負となっている。

■2■近走で牡馬を相手に好勝負出来ていた馬
過去のほとんどの勝ち馬に共通する条件は、「近走で牡馬を相手に勝ち負けできていた」ということである。第1回の勝ち馬ダンスインザムードは、天皇賞秋3着、マイルCS4着、マイラーズC2着と、牡馬を相手に近走で互角に走っていた。第2回の勝ち馬コイウタも前走はダービー卿チャレンジで2着に入っていた。さらに言えば、ダンスインザムードの2着したエアメサイアも、前々走の中山記念で牡馬の3着と好走していた。ウオッカやブエナビスタ、アパパネは言わずもがなである。牝馬同士のG1レースであるがゆえ、牡馬と好勝負出来ているということの意味は大きい。

■2■内枠を引いた先行馬
スローペースになりやすい以上、やはり前に行ける馬にとって有利なレースになりやすい。さらに、スローペースでは馬群が縦長にならず、道中が団子状態で進むことになるので、馬群の外を回されないで済む内枠を引いた馬がレースをしやすい。もうひとつ付け加えるとすると、最後の直線に向いてのヨーイドンの勝負になりやすいので、瞬発力に長けた馬に向いたレースとなる。つまり、先行できて瞬発力勝負に強い馬が内枠を引いたら、たとえ人気薄であっても警戒した方がよいだろう。

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巻き込まれることなく


NHKマイルC2018―観戦記―
内枠を利してテトラドラクマが先頭に立ち、それをファストアプローチやダノンスマッシュらが追いかける。どの騎手も前が止まらない馬場を意識してとにかく前に行かなければ勝負にならないと、前のめりにレースは進んだ。その割には、前半マイルが46秒3、後半が46秒5というイーブンペース。ペースが速くないからこそ各馬脚が残っていた分、ごちゃついたレースとなった。勝ち馬はそのようなごちゃつきに巻き込まれることなく、後ろから行って、自身の切れ味を引き出してみせた。

ケイアイノーテックは、レースの流れに応じたポジション取りが見事にはまった。応じた、またははまったというよりも、スタートしてから馬が動いて行かなかったことで、藤岡祐介騎手も腹をくくって最後の直線に賭けることができたということだろう。まだ競走馬としての身体つきも完成していない馬だけに、末脚に賭けたことも吉と出た。内の押し合いへし合いを横目に、大外を駆け抜けてみせた。今回はたまたまハマっての勝利であるが、素質は極めて高く、この先、馬が成長して良くなっていけば、さらなる活躍が期待できる。

藤岡祐介騎手は、15年目にして初のG1勝利となった。元々乗れる騎手であり、これまでも惜しいチャンスは幾度となくあったが、今回は全てが良い形でかみ合った。第3コーナーでは「先生(調教師)に怒られる」と思っていたというぐらいだから、本人としては上手く乗った感はないだろうが、そういうこと全てをひっくるめて、G1レースを勝つときはそんなものだろう。これまで地道に努力をしてきたからこそ、何らかの拍子に、幸運が転がり込んだのである。それにしても今年、藤岡騎手は乗れていて、レースの流れや有利なポジションを掴むのが早く、良い馬も回ってきている。この流れに乗って行ければ、トップジョッキーの仲間入りができる実力はある。

ギベオンは勝ったかに思った瞬間、外から来られてしまったが、最後まで力を尽くして走っている。デムーロ騎手もこの馬のスピード能力を生かした競馬をし、最後の直線でも追い出しをギリギリまで待って、手は尽くした。それでも勝ち馬の切れ味に屈してしまったのだから、今回はあきらめるしかないだろう。この後は日本ダービーに向かうはずで、距離は延びて良いが、さすがに現時点での完成度では勝負にならないはず。

レッドヴェイロンは岩田康誠騎手が良さを引き出しての3着。クラレントの下であり、血統的にも府中のマイル戦は得意とするはずで、地脚の強さを生かし切った。それでも、最後の直線で内に切れ込んだことにより、将棋倒しのように内の馬たちが窮屈なレースを強いられたことは否めない。騎乗馬の力を引き出すことと同じように、真っ直ぐ馬を走らせることは大切である。

ミスターメロディはあと一歩のところまで粘ったが、最後は僚馬のギベオンに突き放された。前が勝った馬で、どちらかというとダート向きのパワータイプだが、ここまで走らせてくるのはさすが藤原英昭調教師である。パクスアメリカーナはやや鈍重なところがあり、今回はギアチェンジが上手く行かず、競り負けてしまった。カツジは勝ち馬と同じような競馬ができていれば突き抜けたかもしれないが、今回は前を追いかけてしまったことで脚を失ってしまった。

1番人気のタワーオブロンドンは、終始前が壁になり、一瞬だけ前が開いた隙をついた瞬間に外から一気に来られてしまうという最悪のタイミングであった。逃げ馬の内に1頭分のスペースがあったのだから、そこを突けなくもなかったが、そうしなかったのは手応えがそこまでなかったからか。全く力を出していないことは確かで、陣営にとっても競馬ファンにとっても消化不良の走りであった。


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走るフォームを教え込んで強い馬をつくる

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4月に上梓した単行本「馬体は語る—最高に走るサラブレッドの見つけ方」を読んだと、新規開業の厩舎で働く厩務員から連絡をいただいた。その方は、「ROUNDERS」のファンでもあり、手紙でのやり取りを経て、今回の単行本の発売を機に初めてお話をすることができた。その会話の中で、「vol.1で書かれていた走るフォームはとても参考になりました。実は、新しい厩舎では走るフォームに力を入れているのですよ」と言われ、嬉しく思うと共に胸が熱くなった。7年前に調教について書いたことが、競馬ファンだけではなくホースマンたちにも届き、時代を経ても現場に生かしてもらえていたのだ。

なぜ私が調教について語るとき、走るフォームについて語ったのかというと、現在の調教の潮流自体が走るフォームにあると感じていたからである。強い馬づくりを掲げ、ここ数十年で目覚ましい進化を遂げてきた日本競馬の調教技術の最先端は、走るフォームにあると言っても過言ではない。どのような調教をするかだけではなく、どのようなフォームで調教をするか、が強い馬を作る上での大きなテーマとなってきていたのだ。

そこで角居勝彦調教師と藤原英昭調教師という2人の調教師を私は取り上げていた。両厩舎には走るフォームに関する考え方が通底していたからである。馬は鍛えれば強くなるわけではなく、人間に出来るのは、持っている能力を出せる状態にしてあげることだけ。だからこそ、調教で速いところをビュンビュンやるのではなく、軽いキャンターで、馬の息を整え、きれいなフォームで走らせることを徹底する。きれいな姿勢で走ると、良い筋肉がつく。そもそも、両厩舎では、壊れる心配のない常足の時に、頭の位置やハミの取り方、後脚の踏み込み方など、歩くフォームにも時間を掛けて教え込んでいるのだ。

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本日、「それ乗り競馬予想TV」に出演します!

Sorenorikeibatv

本日、「それ乗り競馬予想TV」にピンで出演することになりました!今回は単行本「馬体は語る」も出版しましたので、馬体だけを見た予想を披露したいと思います。先週はレインボーラインを5つ☆に評価して的中することができましたが、今週のNHKマイルCはどうなるでしょうか。当ブログを読んでくださっている方は私の本命はお分かりかでしょうが、「それ乗り競馬予想TV」では実際の立ち写真を使って、馬体の解説をしていければと考えています。ぜひご覧ください。22時~22時30分の生放送です!

☆「それ乗り競馬予想TV」公式HPはこちら


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胴部が伸びたタワーオブロンドン:5つ☆

カツジ →馬体を見る
胴部が詰まっているように映ったが、ここにきて少しずつ長さが出ている。
筋肉のメリハリという点ではあと一歩だが、マイルの距離はギリギリこなせる。
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ケイアイノーテック →馬体を見る
こちらはまだ子供っぽさを残している体型であり、成長の余地を含んでいる。
いかにもバネがありそうな馬体で、筋肉が柔らかく、弾力性がある。
Pad3star

ルーカス →馬体を見る
レースを使われるごとに馬体は成長を遂げているように、今回も良化している。
兄と比べてしまうとまだ幼さは残っているが、現時点でも勝負にはなる。
Pad3star

フロンティア →馬体を見る
ひと叩きされて、馬体を見る限りでは、筋肉のメリハリもついて仕上がっている。
手足が短く、重心が低く映る馬体は短距離馬のそれで、府中のマイル戦は長いか。
Pad3star

ダノンスマッシュ →馬体を見る
前駆が勝っている馬体で、ロードカナロア産駒にしては全体のバランスが悪い。
もうひと絞りできると良くなりそうだが、現時点では腹回りに緩さが残る。
Pad3star

ミスターメロディ →馬体を見る
アメリカ血統の馬だけに、この時期にして馬体は完成品の様相を見せている。
筋肉のメリハリもあって、前後にしっかりと実が入って力強さが前面に出ている。
Pad4star

パクスアメリカーナ →馬体を見る
姉ホエールキャプチャと似て、母父サンデーサイレンスが出ている馬体。
力強さがありつつも、手脚の伸びもあって、芝の切れ味勝負にも対応できる。
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ギベオン →馬体を見る
さすが高値で取引されたディープインパクト産駒らしく、全体のバランスが素晴らしい。
顔つきを見ると気性の激しさがありそうで、スムーズに走らせることができれば。
Pad45star

テトラドラクマ →馬体を見る
間隔が開いたからか、馬体を見る限りにおいては余裕が残っていて仕上がり途上。
いかにもルーラシップ産駒らしい力強さはあり、牡馬に混じっても力は出せる。
Pad3star

タワーオブロンドン →馬体を見る
朝日杯フューチュリティS時に比べて、馬体がきっちり仕上がって胴部が伸びた。
この馬体ならば府中のマイル戦にも十分対応できそうで、さすが藤澤厩舎といったところ。
Pad5star

プリモシーン →馬体を見る
前駆に比べてトモが高く映るように、腹回りが巻き上がっていて細さがある。
毛艶は良く、皮膚にも薄さがあって、馬体から素質は感じさせるが完成度は低い。
Pad3star

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NHKマイルCを当てるために知っておくべき2つのこと

Nhkmilec

■1■マイル以上のスタミナと完成度の高さが求められる
過去22年の優勝馬の前走距離と着順を見てみたい。

タイキフォーチュン→ 毎日杯(2000m)1着 
シーキングザパール→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
エルコンドルパサー→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
シンボリインディ→ マーガレットS(1600m)1着
イーグルカフェ→ ニュージーランドトロフィー(1600m)7着
クロフネ→ 毎日杯(2000m)1着
テレグノシス→ スプリングS(1800m)2着
ウインクリューガー→ 毎日杯(2000m)8着
キングカメハメハ→ 毎日杯(2000m)1着
ラインクラフト→ 桜花賞(1600m)1着
ロジック→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
ピンクカメオ→桜花賞(1600m)14着
ディープスカイ→毎日杯(1800m)1着
ジョーカプチーノ→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
ダノンシャンティ→毎日杯(1800m)1着
グランプリボス→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
カレンブラックヒル→ニュージーランドトロフィー(1600m)1着
マイネルホウオウ→ニュージーランドトロフィー(1600m)7着
ミッキーアイル→アーリントンC(1600m)1着
クラリティスカイ→皐月賞(2000m)5着
メジャーエンブレム→桜花賞(1600m)4着
アエロリット→桜花賞(1600m)5着

シーキングザパールとエルコンドルパサー以外の馬は、前走で1600m以上のレースをステップにしている。そして、半数の馬は前走でも勝っているということが分かる。

最初に、ほとんどの勝ち馬が前走で1600m以上のレースをステップにしているのは、東京競馬場のマイル戦では、スピードだけではなくスタミナがないと勝ち切ることはできないからである。特にNHKマイルカップはハイペースになることが多く、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。

つまり、マイル戦がギリギリといったスピードタイプの馬ではなく、中距離を走り切ることのできるスタミナを兼ね備えていなくては、NHKマイルカップを制することは出来ない。例外的存在であるシーキングザパールにしてもエルコンドルパサーにしても、1600m以上の距離をこなせる十分なスタミナを兼備していた。このレースに出走してくる以上、どの馬も豊富なスピードを有しているのは当然と言えば当然で、最後に勝敗を分けるのはスタミナの有無なのである。

ほとんどの勝ち馬が前走でも勝っているのは、この時点での完成度の高さが勝ち馬に求められるからである。ポロポロと取りこぼしていたり、アッサリと負けてしまっていたりする馬では勝負にならない。G1レースである皐月賞、桜花賞組は別として、前走をキッチリと勝って臨んで来られないようでは、非常に高いレベルの要求されるこのレースでの好走は厳しい。

■2■ニュージーランドT組で展開が向かなかった馬が狙い
中山のマイル戦に条件変更されて以来、ニュージーランドトロフィーでの着順が、そのまま本番へと結びつかなくなっている。中山のマイル戦と府中のマイル戦ではあまりにも条件が違いすぎて、ニュージーランドトロフィーでの成績をそのまま信用することができないということである。これまでのパターンから述べると、イーグルカフェ、ロジック、マイネルホウオウのようにコース適性の差で追い込み切れず負けてしまった馬、またジョーカプチーノのように前潰れのハイペースに巻き込まれた馬など、極端な展開が向かなかった馬に限っては、本番で巻き返せる可能性があると考えてよい。

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沈黙するしかない


天皇賞春2018―観戦記―
ヤマカツライデンが果敢に逃げ、ガンコは行きたがるも控えて、前半1000mが60秒1、中盤1200mが75秒5、後半1000mが60秒6という、特に中盤が緩むペースとなった。昨年とはレースの性質が全く異なり、全体時計も4秒近く違う、長距離戦らしいといえば長距離戦らしい流れ。スピードの持続力が問われた昨年と違い、豊富なスタミアとタフさを有する馬たちが上位に来た、ステイヤーのためのレースであった。早めに先頭に立ってレースをつくった2着馬も、最後までバテなかった3着馬も、そしてゴールまで死力を尽くして伸び切った勝ち馬も、それぞれに力を出し切った素晴らしい争いとなった。

勝ったレインボーラインは、スタートから後方に控え、コースを選びながら走っていた。道中は内ラチ沿いを進み、勝負所では外にも内にも行けるポジションを確保しつつ、最後の直線では各馬の間隙を縫う形で内から強襲した。昨年までは馬体に実が入り切っておらず、G1クラスのメンバーに入ってしまうとあと一歩足りないレースが続いていたが、ここに来て馬体が充実して、気持ちにも落ち着きが出てきたことが最大の勝因である。完成されるまでに時間がかかるのはステイヤーの特徴であり、一度完成されると、その強さを長きにわたって持続できるのも同じである。

岩田康誠騎手は久しぶりのG1勝利となった。このクラスの騎手が、歯車がかみ合わなくなると、3年も勝てなくなるのだから競馬は恐ろしい。今回は岩田騎手らしいファイティングスピリット溢れる勝利であり、馬群を縫うような騎乗を乱暴という人もいるかもしれないが、レインボーラインをその腕で勝たせたのは間違いない。道中のコース取りも見事であったし、動くに動けないポジションから最後に内に切り替えた咄嗟の判断も素晴らしかった。一瞬たりとも迷いがあれば、どこかで詰まって抜け出してこられなかったはず。

ゴール後にレインボーラインに跛行が確認されたのは、急激な進路変更によるものかもしれないし、小さな身体で58kgを背負って3200mという距離を走ったことによるものかもしれない。勝てば官軍ではなく、無事に厩舎に戻れなかったことを悔やむ気持ちは岩田騎手も陣営もファンも同じである。だからもう外からとやかく言う必要はない。黙ってレインボーラインの回復を願い、再びターフで走る姿を見られることを祈ればいいのだ。哲学者ヴィドゲンシュタインが言っていたように、分からないことについては、私たちは沈黙するしかないのだ。

シュヴァルグランはヒュー・ボウマン騎手に導かれて、これまでにないほど積極的な走りを見せてくれた。勝ち馬とは年齢による勢いの差だけであった。道中はこの馬のリズムで走れていたし、脚を余すこともなく、持てる力を100%出し切った。馬を信頼して乗るということはこういうこと。この騎乗を見て、これまでシュヴァルグランに騎乗してきた日本人騎手はどう感じただろうか。

クリンチャーは勝負所で少しごちゃつく場面があったが、ヒルまずに最後まで伸びて、ステイヤーとしての強さを証明してみせた。代打騎乗となった三浦皇成騎手は、惜しくもチャンスを生かすことができなかった。勝ちたいという気持ちが強いのは伝わってくるが、それが前面に出てしまっている。自分が主ではなく、肩の力を抜いて馬を主にすることができれば、そのうち念願のG1勝利に手が届くはず。関係者は三浦騎手の腕を評価しているのだから。

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天皇賞・春では長距離適性と多様性のある馬を狙え

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天皇賞・春を3200mのレースとして行う意味はあるのか。世界的にスピードが重視されている流れの中、3000mを超える距離のG1レースを勝つことに価値はあるのかという問いがある。私はあると考えているし、天皇賞・春を勝つ馬こそが、真の名馬であるという想いがある。

私が競馬を始めたのは、オグリキャップがラストランの有馬記念で奇跡の復活を遂げて引退した年であり、そのあたりの時期から競馬をたしなんできた競馬ファンは、私の気持ちを少しは分かっていただけるのではないか。メジロマックイーン、サクラローレル、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオーなど、その時代の名馬たちは必ずと言ってよいほど、天皇賞・春でその強さを見せつけてくれた。ごまかしの利かない舞台で、力と力をぶつけ合い、死力を尽くすからこそ名馬たちはより輝くのである。

時代は移り変わった。かつての名馬像にあまりに固執してしまうと、その想いが偏見に変わることも十分に承知しているつもりだ。現場のリアルな風を感じながら指揮を執る角居勝彦調教師は、著書の中でこう語っている。

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馬体に芯が入って完成レインボーライン:5つ☆

レインボーライン →馬体を見る
線の細さが目立っていたが、ここにきて馬体に芯が入って完成されてきた。
いかにもステイヤーらしい体型であり、3200mは願ってもない舞台となる。
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サトノクロニクル →馬体を見る
手脚が比較的短いため、重心が低く映るが、これも走るハーツクライ産駒の特徴。
毛艶が良く、前後のバランスも取れていて、この馬の力は十全に発揮できる。
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トーセンバジル →馬体を見る
鍛え上げられた前駆が異常に盛り上がっているが、中距離馬らしい体型に見える。
藤原英昭厩舎らしく、きっちりと仕上がってきたが、距離がどう出るか。
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シュヴァルグラン →馬体を見る
昨年あたりから馬体に力強さが出てきて、古馬らしい風格が出てきた。
とはいえ、ステイヤーとしては昔よりも今の筋肉量が多いことが気がかり。
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カレンミロティック →馬体を見る
ステイヤーとして走り続け、とても10歳馬とは思えない力強さを誇る。
それでも、長距離を走る以上、もう少し腹回りも絞れてくると良い。
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チェスナットコート →馬体を見る
こちらはきっちりと絞り込まれており、距離が延びる本番ではプラスが見込める。
幼さが残っている表情ではあるが、肉体的にはステイヤーそのものである。
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クリンチャー →馬体を見る
目立った長所も少ないが、短所もほとんどない、可もなく不可もない馬体。
それこそが長距離走者に求められる肉体であり、今回は最も力を発揮できる舞台。
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ミッキーロケット →馬体を見る
前述のステイヤーらしい馬体をしている馬たちに比べると、こちらは中距離か。
腹回りにも余裕があり、前駆には筋肉がつきすぎて、3200mの距離は長いか。
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スマートレイヤー →馬体を見る
白くなったが、牝馬が8歳になって天皇賞春に挑戦してくること自体が素晴らしい。
馬体にも長さがあって、体型的には決して距離が長くて悪いことはないだろう。
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アルバート →馬体を見る
絶好調時はもう少しシルエットが美しかったが、さすがに衰えを見せている。
とはいえ、前後にしっかりと実が入り、この馬なりには悪くない仕上がり。
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ソールインパクト →馬体を見る
細めの馬体は、母系の影響を受けているはずで、距離が延びて良さが出そう。
表情から見ても素直そうで、余計なところが削がれている馬体もステイヤーらしい。
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ガンコ →馬体を見る
スラリとした立ち姿で立てており、黒光りする毛艶の良さからも絶好調を思わせる。
やや尾の長さが短いのが気がかりだが、そこ以外のパーツは一流馬のそれ。
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