To believe or not to believe
by sashiko
スプリンターズS2002-観戦記-
新潟競馬場ではじめて行われたスプリンターズステークスは、実力馬3頭によるデットヒートの末、1番人気のビリーヴが接戦を制し、4連勝でG1の冠を手に入れた。前半33秒7、後半34秒0という数字だけ見ればイーブンペースだが、G1レースとしては非常に遅いペースであったため、スプリント戦としては珍しい直線でヨーイどんという瞬発力勝負の競馬となった。そのことが3頭の中で最も有利に働いたのがビリーヴであり、着差以上に危なげない勝利であった。
春までは条件戦で惜敗を繰り返していたサンデーサイレンス×ダンジグという芸術品のようなスプリンターの素質が開花したのは、主に精神面での成長によるものが大きいが、岩田康騎手が最後まで気を抜かせずに走ることを覚えさせたことも忘れてはならないだろう。瞬発力勝負になったことが良かったと先に書いたが、アドマイヤコジーン、ショウナンカンプとは仕上がり状態でも明らかに差があった。前走を目一杯で勝った反動を心配していたが、張り詰めた状態を維持できていたようである。逆に、春のG1戦線を走り抜いてきた馬たちにとっては、この時期のG1に向けて万全の仕上がりで望むことは至難の業であり、余程実力が抜けていないと夏の上がり馬の勢いを止めることは困難であることがはっきりした。
後藤騎手の乗るアドマイヤコジーンは、ショウナンカンプをマークする形で早めに動き、ジワジワと伸びたが、ビリーヴの切れ味の前に屈してしまった。仕上がりも悪くはなく、馬も走る気になっていたが、やはりスプリント戦のG1では持ち味を十分に生かすことはできず、これが精一杯の結果だろう。次走はマイルチャンピオンシップになるだろうが、休み明けでいきなり忙しいラップを体に刻み込まれてしまった影響は今後どのように出るだろうか。休み明けを叩いて、得意のマイルで磐石、とはいかないのではないだろうか。
ショウナンカンプは、直前の調教でも唸りを上げていた春の高松宮記念の出来には一歩及んでいなかったようだ。折り合ってマイペースで逃げてはいたが、スピードに乗り切れておらず、後続の脚をなし崩し的に使わせるような豪快な逃げではなかった。ムキになって逃げるのではなく、折り合うことができる馬だが、このような逃げでは角を矯めて牛を殺すことになる。もちろん騎手が悪いわけではなくて、今回の敗因は馬が完調になかったことに尽きる。
3歳馬として注目されていたサニングデールとサーガノヴェルは全く勝負にならなかった。サニングデールは馬体が増えていたが、重め残りが敗因というよりも、単にこのレベルの競走では力が足りないということなのだろう。サーガノヴェルはすでに競走馬としての闘争心を失っているように見える。だからこそ、苦しくなってからの我慢が利かないのである。同じことはトロットスターにも言え、「終わった」という表現は好きではないが、競走馬としてのピークを過ぎている感は拭い去れないだろう。そうは言っても、春秋連覇をした名スプリンターであることには間違いがなく、全盛期のあの獲物を捕らえるかのごとき末脚は忘れることができない。
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