最後まで立っていたからこそ
by ruby
朝日杯フューチュリティS2002-観戦記-
武豊騎手がサイレントディールの気に逆らうことなく行かせ、ペリエ騎手のマイネルモルゲンがそれをマークする形でレースは進められた。ペリエ騎手の武豊マークはよく見られるが、今回のレースではその策が裏目に出てしまった。この2頭が作り出したペースは、前半1000mが56秒9という超ハイペースで、上位に来た馬は前走で1800mを使ってきたスタミナ豊富な馬ばかりという結果になった。
そんな中でも、3番手を追走して勝ったエイシンチャンプは、スピードとスタミナを高いレベルで兼備していることを証明してみせた。
福永騎手はスタートから積極的に先行して、瞬発力に欠けるこの馬の弱点をカバーしようと考えていたのだろう。予想以上のハイペースになってしまったが、それでも粘り込めたのは、レースを使い込まれることによって体調が安定し、良さが出て来たことに理由は求められる。パドックから落ち着き払い、騎手の指示通りに動ける気性面での素直さもあり、完成度は高い。そういった意味で今が旬という感がしなくもないが、今回のレースに関しては、グラスワンダーのレコードを塗り替えたように、素晴らしく強く、評価に値する内容である。
福永騎手も前週で大役を果たしたこともあってか、全体を通して余裕のある騎乗であった。4コーナーでは、マイネルモルゲンがバテて、サイレントディールとの間にスペースができることを見越して突っ込んでいけたし、最後の直線でも、後ろから来る馬の脚色を窺いつつ手綱とムチを使い分けて馬を真直ぐに走らせていた。これだけの冷静な騎乗が安定してできるようになれば、リーディングジョッキーの座も夢ではない。
スタートで出遅れたことが響いて2着に敗れたサクラプレジデントだが、今回は休み明けであったこともあり、馬自身のテンションが高く、気負っていた。直前の追い切りが軽かったこともあり、レースに臨むという気持ちの準備ができていなかったのだろう。ある意味、必然的な出遅れと言ってもよく、田中勝春騎手にとっては不運であった。スタートのロスをカバーしようと道中で動き過ぎて(押したり引っ張ったりと)、余計にロスを重ねてしまっていたように、落ち着きのない騎乗が目立ってしまった。それでも内からあわや差し切るかと思わせたように、サクラプレジデントの能力の高さは疑いようがなく、来年の活躍を期待したい。個人的には、今回のレースは勝たなくて結果的に正解だったと感じている。
テイエムリキサンはスタートで挟まれて最後方まで下がってしまったが、そこからの池添騎手の冷静な手綱さばきと、ハイペースで前がバテたことにより、3着まで突っ込んできた。実に惜しいレースであった。ワンダフルデイズはスタート直後のハイペースに巻き込まれることなく、絶好の位置でレースを進めていたが、直線で伸びを欠いたように、スタミナ面での物足りなさが露呈してしまった。やはりこのレースは1600m以上をこなせるスタミナがないと苦しく、その傾向はこれからも続いていくであろう。
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