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稀有

takamatumiya03.jpg by echizen
高松宮記念2003-観戦記-
 中京開催8日目にもかかわらず、内外の差もなく、極端に時計が速かったり掛かったりすることのないベストコンディションの馬場でレースは行われた。圧倒的な1番人気を背負ったショウナンカンプを全馬がマークするような展開で、前半の3ハロンが32秒9というハイペースとなった。レースの見どころは4コーナーで、突き放したくても馬が前に進まないショウナンカンプとは対照的に、ハイペースをビリーヴが引っ張ったままという抜群の手応えで回って来た所である。2頭の手応えの差は明らかで、この時点で既に勝負は決していた。

 圧倒的な勝利を収めたビリーヴは、昨年のスプリンターズステークスをギリギリの状態で勝ち、その勢いで臨んだ香港遠征では惨敗を喫することになった。その影響か、前走のシルクロードステークスでは見せ場なしの走りで、ビリーヴは燃え尽きてしまったのでは、と私を含む誰もが感じていたはずである。牝馬、特にスプリンターには、息の長い活躍を望むのは難しく、一旦走らなくなってしまうと復活することは希有である。そんな常識的な思想を、ビリーヴというサンデーサイレンス産駒の牝馬は見事に打ち砕いてくれた。歴史的な牝馬かつ名スプリンターである、あのフラワーパークと並び劣らぬ最高級の能力を有していることを証明した。

 安藤勝己騎手はJRAに移籍後あっという間にG1を獲ってしまったが、彼の技術を持ってすれば、この勝利はただの第一歩に過ぎないだろう。週に2回しか競馬のない中央競馬の騎手たちの中に入れば、安藤勝己という騎手が、ペリエ騎手やデット-リ騎手のようなインパクトを私たちに与えてくれるだろうことは想像に難くない。今回のレースでは、内枠を利しながら馬を動かし、最後まで持たせるという、地味ではあるが簡単には真似できない技術を披露してくれた。中京競馬場1200m小回りという設定は、安藤勝己騎手の中央G1初勝利にまさにふさわしい舞台であった。

 ただのペースメーカーに終始してしまったショウナンカンプは、前走と比べると状態が下降線を辿っており、本来の走りではなかった。香港遠征により減った馬体重を戻し切らないまま、前走を勝ってしまった反動が出たと考えるべきであろう。あくまで今から思えばではあるが、最終追い切りも昨年の高松宮記念を勝った時のような迫力のある動きではなかった。

 サニングデールは持てる力を100%発揮できたという印象である。大外枠という不利があったが、福永騎手は実に見事な騎乗をして、最小限のロスで抑えることに成功していた。しかし、この馬からはG1レースを勝だけのパンチ力は感じられず、勝ったビリーヴと比較すると、こちらの方が牝馬であるような錯覚を受ける。レースで巧く立ち回れるという長所を持っているが、勝ち馬との力差は明らかであった。

 3着のリキアイタイカンはよく走っているが、脚質的にもこの結果が精一杯であろう。アメリカから参戦した2頭は、道中はついて行くのにやっとという感じで共に撃沈した。日本馬がアメリカのダート競馬に適応することが難しいと同じように、米国馬が日本特有のスピード競馬に対応するのはそう簡単なことではないということである。

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