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柔軟という資質

天皇賞2001-観戦記-
 当日の雨によって、滑りやすく重い馬場でレースは行われた。さらに、サイレントハンターが出遅れたことによって、超がつく程のスローペースになってしまった。上がりの3ハロンは35秒9とはいっても、2分2秒0という勝ちタイムと馬場の状態を考えると、まさに最後の直線での瞬発力の勝負になった。重馬場に適性のない馬と瞬発力のない馬は出番がないといったレースであった。

 テイエムオペラオーは、当日の馬体重がマイナス8kgであったように、ほぼ満点に近い仕上がりであった。距離が短いことを意識しすぎた乗り方ではあったが、

 途中からは折り合いもつき、最後の直線でも精一杯伸びている。馬体が合えばもう少し差は縮まったかもしれないが、いずれにしろ負けてはいただろう。最も得意とする重馬場で負けたことは紛れもない事実であり、やはり昨年ほどの状態にはないことは確かである。今回のレースを観る限り、肉体的というよりも精神的に全盛期の状態にはないと感じた。昨年のテイエムオペラオーの快進撃を支えていた、他馬より一歩でも先に出ようという気力が失われつつあるのではないか。

 メイショウドトウは瞬発力勝負になってしまったことが痛かった。自分で逃げる形になってしまったことによって、仕掛けのタイミングが難しくなってしまった。1頭でも前に馬がいれば、その馬を目標に、4コーナーで先頭に立つくらいの積極的な仕掛けをしていたはずだが、今回は自分が目標になってしまったため、結果的には後ろの馬を待ち過ぎてしまった。状態も良かったし、重馬場も陣営が言う程は苦手ではないはず。ただ今回は瞬発力のなさを露呈してしまう形となった。安田騎手のコメントしているように、この馬としては精一杯走っていると思う。

 ステイゴールドは直線で内にもたれてしまい全く追えなかった。この馬は苦しくなると隣の馬に噛み付きに行こうとしたり、まっすぐ走らなかったりする難しい面がある。故野平佑二氏がステイゴールドについて、「道中は馬込みに入れて厳しい競馬をさせたほうがいい」と言っていた意味が今回のレースではっきりと理解できた。なぜ敢えて厳しいレースを課した方がいいかというと、そうすることによって難しい面を出さずに走らせることができるからである。今回の天皇賞に関しては、ペース自体がスローで厳しいものではなかったので、ムラ駆けの面が出てしまった。春先は436kgまであった体がドバイ遠征をはさんで420kg台にまで落ちているように、肉体的にも多少苦しい所があったのかもしれない。

 勝ったアグネスデジタルには最大級の賛辞を送りたい。これだけ極端な条件の変更を乗り越えたのは、この馬の温厚な気性によるところが大きい。レースでもこの馬が最も折り合っていたし、そのことが最後の伸びにつながった。重馬場であったことが勝因と思われるかもしれないが、最後のケタ違いの脚を見る限り、良馬場であっても突き抜けていただろう。どのような条件、どのようなペースでも対応できる資質が今回の勝利を生んだ。

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