至上の愛
by ruby
秋華賞2003-観戦記-
メジロラモーヌに次ぐ、17年ぶりの3冠牝馬が誕生した。他馬とは完成度が違うのはもちろんのこと、圧倒的な運動能力と高い精神性がなければ、この3つの難関を全てクリアすることは難しい。
スティルインラブの最大の武器はスタミナに裏付けされた息の長い末脚と、レースに行って騎手の意のままに動くことのできる落ち着いた気性である。実は私は、紅梅ステークスにおけるレース振りとその体形を見て、スティルインラブをスピードの勝っている馬であると考えていた。能力を発揮できるのは桜花賞までだろうと判断し、オークスでは勝ち切るまではいかないだろうと評価を下げた。しかし、よく考えると、桜花賞での早めの仕掛けからのロングスパートは、この馬の持つ豊富なスタミナを証明していたのであった。オークス、そして今回の秋華賞と、どこまでも伸びて行きそうな末脚をコンスタントに披露できるのは、スタミナの絶対値の高さゆえであり、他馬が最後の直線で太刀打ちできなくなるのも当然である。
その桁違いの肉体能力を支えているのが、レースに行っても動じることのない精神力の強さである。休み明けのローズステークスだけは走れる体ができておらず、苦しがって引っ掛かってしまったが、それ以外のレースではスッと好位につけられ、無駄な動きを一切せず、騎手のゴーサインが出ると、それに応え最後まで走り切ることができる。普段からおっとりしている馬だそうだが、実戦でもバタバタすることのないスティルインラブにどれだけ幸騎手も助けられたことだろうか。とにかく、サンデーサイレンスが輩出した牝馬における最高傑作であることは間違いがなく、今後は世界レベルでの挑戦を切に希望する。
アドマイヤグルーヴはあと一歩のところまで追い上げたが、最後には最強牝馬の前に力尽きた。夏を越して精神的にも成長し、スタートだけではなく、レース振りも安定感が出てきていた。最終追い切りでもう少しキッチリと追うことができていれば、最後の直線でもう少し伸びたかもしれないが、とりあえず現時点での全てを出し切ることができたというのが正直な実感だろう。欲を言えば、走るフォームが高いのが気になる。人間で言うと肩に力が入り過ぎているような走りになっている。あまり使い込まずに成長を促していけば、将来的にはスティルインラブを脅かす存在になることもあるだろう。
3着に入ったヤマカツリリーは力のあるところを証明した。桜花賞4着、オークス4着、そして秋華賞3着という結果から分かるように、その絶対能力は非常に高い。ただひとつだけ、G1レースを勝ち切るのに必要なだけの瞬発力に欠けているということである。
ピースオブワールドは雰囲気がよく、復調の気配を感じさせた。馬体がまだ完調に戻り切れていないため最後まで伸び切れなかったが、2000mという距離には問題はなく、復調なれば今後も大いなる活躍が見込めるだろう。
オースミハルカはゲート入りを嫌ったが、そのこと自体には問題はなかった。思い切ったレースをさせてもらえなかったが、最後まで力を出し切れての結果である。レンドフェリーチェは道中引っ掛かる面も見せてしまい、4コーナーではすでに一杯になっていた。外を回すのではなく、内に進路を取って欲しかったが、いずれにせよこのクラスでは能力的に勝ち切るのは難しいだろう。
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