華、花、首、首
by sahiko
エリザベス女王杯2001-観戦記-
今年のエリザベス女王杯は、前半1000mが58秒5という今までにないハイペースでレースが進められた。上位を占めたのは後方で待機した差し馬で、先行した馬の中では1番人気のテイエムオーシャンが5着に粘っている。どの馬も力を出し切った素晴らしいレースであった。
やはりテイエムオーシャンは調教が軽すぎた。
もっとしっかりと調教をして出走していれば、もう少し粘れたはず。おつりを残すような仕上げで勝てるほど、古馬の頂点を争うG1は甘くはない。今回はコース設定がタフなだけではなく、レース自体も厳しいものとなってしまい、自慢のスピードだけで押し切れるレースにはならなかったということだ。追い切りが軽かった分を差し引いても、差し馬に有利なペースで押し切れるほどの圧倒的な力は感じられなかった。この馬としては精一杯走っているし、仕掛けのタイミングも悪くはない。それだけに期待が大きすぎたことを認めざるを得ないだろう。
トゥザビクトリーの武豊の騎乗は明らかに計画的なものである。スタートしてすぐに手綱を左に引き、馬の顔を外に向けることによって馬の行く気を削ぎ、他馬との間隔を離すことによって追い掛ける気を失わせた。なぜ「勝つためにはそれしかなかった(武豊騎手)」のかというと、トゥザビクトリーは馬の気に任せて先行させると突っ走ってしまい、必ずゴール前で止まるからである。だからといって、先行してだめなら差してみようという単純なことではない。たとえ後方で待機できたとしても、最後で伸びるという保証はどこにもなかったのである。安全に乗るなら、今までどおりの先行策で良かったはず。しかし、勝つために敢えてリスクに挑戦した武豊の図太さに彼の世界的ジョッキーとしての真骨頂をみた。
さらに、トゥザビクトリーがズブくなっていたことも注目されなければならないだろう。馬は抑えようとして抑えられるほど簡単な乗り物ではない。昨年まで、正確にいうとドバイ遠征前までのトゥザビクトリーならば抑えようと思ってもそうはいかなかっただろう。年齢によってズブくなり、ドバイに遠征したことによって精神的にタフになったことが、武豊による勝つための騎乗と偶然に重なったことにより、このG1制覇という結果が生まれたのだ。着差はハナ、ハナ、首、首だが、結果としてはトゥザビクトリーの力を出し切ったことによる必然の勝利である。偶然と必然が交錯する競馬の醍醐味が堪能できたレースだった。
結果2着となってしまったが、ローズバドの横山典弘の騎乗も素晴らしかった。昨年フサイチエアデールで早めに動いて差されたことも頭にあったのだろうが、今回はギリギリまで我慢しての絶好のタイミングでの追い出しであった。仕掛けがあれ以上早くても遅くても2着はなかったはず。並みの騎手ではあれだけ我慢することはできないだろう。ローズバドの弱点をカバーし、持ち味を最大限に出し切った好騎乗で、勝った武豊と同じくらいの称賛に値する。
ティコティコタックは展開が向いたことにより力を発揮できた。トゥザビクトリーとの差はわずかだが、あの差は絶対能力の差であってどこまでいっても縮まることはない。レディパステルもよく頑張っている。調子はあまり良くないのにもかかわらず、惨敗しないのには恐れ入る。この後休養に入らせて順調に回復すれば、来年は相当活躍できるに違いない。その他の馬は上位5頭とは明らかな力差があり、G1では荷が重いのだろう。
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