馬が空を
by ruby
天皇賞秋2003-観戦記-
空前絶後のハイペースでレースは流れた。前半1000mが56秒9(スプリント戦並みのハイラップ!)、そして、レコード決着にもかかわらずラスト3ハロンが37秒1もかかるという、極端な前傾ラップであった。
このようなレースを作り出したローエングリンの無謀な逃げは、後藤騎手またはローエングリン陣営の作戦ミスによるものではなかったのか。
他馬の脚をなし崩し的に使わせるようなレースをしようと考えていたのだろうが、これ程のラップを刻んでしまったら一人相撲になってしまうのは明白である。相手が強引に来れば控える、来なければ行くといった柔軟性が欲しかった。馬自身が海外遠征帰りだったこともあり、パドックから入れ込みが見られたことも暴走の原因のひとつなのかもしれないが、抑えようという試みが少しも見られなかったのは残念である。
史上初の天皇賞秋連覇となったシンボリクリスエスは、中間に強い調教を課せられていたにもかかわらず10kgも馬体重を増やしていたように、昨年の良かった頃の調子を完全に取り戻していた。宝塚記念の敗因は、昨年の激走の疲れが残っていたことと、休み明けでG1を勝つだけの調教が出来ていなかったということになるのだろう。心配された18番枠も、レースが極端な縦長の陣型で流れたため外々を回されるロスもなく、逆に2コーナーまでのポジション争いに巻き込まれる危険性を回避することもでき、全く問題がなかった。広々とした東京コースを、大きなストライドで空を飛ぶように思い切り走ることができ、シンボリクリスエスにとってはこれ以上ないパフォーマンスを披露することとなった。この後は昨年の雪辱を晴らすためにジャパンカップに駒を進めるが、道中ゆったりと進むであろうレースの流れにどこまで対応できるか非常に楽しみである。
ツルマルボーイは休み明けにしては仕上がりも良く、自分の競馬に徹し、持てる力を最大限に発揮することができた。ラスト3ハロン33秒1という極限の末脚で追い込んだが、今回は相手が強かった。この馬の力を存分に引き出した横山騎手の好騎乗も光った。G1で2着が続き、勝ちたいという思いは非常に強いだろうが、その気持ちを抑えて、あれだけ離れた最後方を無心に追走できる信念の強さは称賛されるべきである。
テンザンセイザは東京コースが向いていることもあるし、ここにきての自身の充実が結果として表れた。エイシンプレストンはレコード決着での速いレースが最大の敗因だが、力の衰えも隠せない。安藤勝己騎手の手綱に導かれ、カンファーベストは積極的に攻めたが、このメンバーではまだまだ力が足りないという印象を受けた。
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