ラストダンスは私に
by gradeone
宝塚記念2004-観戦記-
心配された雨も降ることなく、絶好の馬場コンディションでレースは行われた。前半はローエングリンがレースを引っ張り、3コーナー過ぎからはそれを引き継ぐようにしてタップダンスシチーが先頭に踊り出た。終始息が入らず、淀みのないラップが刻まれたため、実力の差が歴然としてしまう厳しいレースであった。
勝ったタップダンスシチーは、ローエングリンが途中からペースを落としたため、3コーナーからこの馬にとって自然な形で先頭に立つことになった。
4コーナーでは馬に気を抜かせないために肩ムチが入り、ヒヤっとさせられたが、直線に向いてラチにつけるともうひと伸びして他馬を突き放した。佐藤哲三騎手も完全にこの馬の強さを信頼しており、この馬の地脚の強さを生かし、他馬の脚をなし崩し的に使わせる理想の乗り方であった。
タップダンスシチーが秀でているのは、実戦に行っての気の強さである。絶対に他馬に抜かれたくないという気持ちの強さが、この馬をスターダムの地位にまで押し上げたと言っても過言ではないだろう。ハイペースで進んでもへこたれない心肺機能の強さや精神面における成長はもちろん、この馬の負けん気の強さとそれを生かした佐藤哲三騎手の積極的な騎乗が全て合致して初めて、タップダンスシチーの走りが展開できるのである。元から素質の片鱗は見せていたが、幾多の試行錯誤があり、晩年にしてやっと完成形に達したという、最近では珍しくなったいわば叩き上げタイプの馬である。
シルクフェイマスは4コーナーからタップダンスシチーに一騎討ちを挑んだが、直線では逆に突き放されてしまった。道中は内ラチ沿いをゆったりと進みながら脚をタメることができ、状態もここに向けてピークに仕上がったいた。この馬の最大の長所は、道中で無駄な動きを一切しないことである。そして、何と言っても、四位騎手との相性の良さは見逃せない。スタートから1コーナーまでの、まるでこの人馬だけの時空が止まってしまったかのような動作を見ると、鞍がハマるとはこのことかと唸らされる。今回は相手が強かったが、今後順調に行けばG1のタイトルに手が届く日も遠くはないと感じた。
逆にゼンノロブロイは、ハイペースに付いて行くのがやっとといった感じの2着で見せ場すらなかった。前走の天皇賞春で仕上がり過ぎていた反動があったのかもしれないが、直線では苦しがって内にモタれて伸び切れなかった。母父がマイニングという影響か、G1クラスのレースではどうしても勝ち切れない。
ハイペースを利したのがリンカーンで、道中も掛かることなく追走していた。しかし、展開に恵まれたにもかかわらず3着を確保するのに精一杯で、1、2着馬との力の差は歴然としていた。この馬にとっては、これくらいの距離の方が掛からずに済むが、持ち前のスタミナを生かすには距離不足である。今後、折り合い面での進境を見せれば、長距離戦での活躍は期待できる。
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