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最高の出来にあれば、不利や悪条件は克服してしまう

前走の金鯱賞で、同一重賞3連覇という偉業を成し遂げたタップダンスシチーが、今年の宝塚記念では、史上初のサマーグランプリ連覇に挑む。

タップダンスシチーが制したもうひとつのG1は、平成15年のジャパンカップである。このレースは上がりが37秒4も掛かる不良に近い重馬場で行われた。なんと9馬身もの差をつけての圧勝劇であったが、陣営も認めるように、実はタップダンスシチーはこういった馬場を苦手とするのだ。

タップダンスシチーのような跳びの大きな馬は、よほど爪の形が良くない限り、下が滑る馬場では本来の走りが出来ずに能力を削がれてしまう。ジャパンカップ以外の重馬場での成績を見ると、500万下のレースで4着、目黒記念で5着と凡走している。もちろん本格化する前のレースなので単純比較はできないが、本質的に重馬場を苦手とすることは間違いない。

では、なぜジャパンカップを圧勝できたかというと、馬が最高の状態にあったからだ。ジャパンカップでのタップダンスシチーは、生涯最高の状態で、まさに唸るような出来栄えを誇っていた。肉体的にも精神的にもピークに仕上がった馬は、多少の不利や悪条件は跳ね返してしまう。

この話になると、ナリタトップロードという馬のことを思い出す。ナリタトップロードも、フットワークの綺麗な大跳びの馬で、重馬場を苦手とした。晩年は、暮れの中山競馬場の荒れた馬場でさえ本来の走りができないという、徹底した道悪嫌いであった。

そんなナリタトップロードが、稍重(ほとんど重)馬場で唯一好走したのが平成11年の弥生賞である。4コーナー手前からマクリ気味に上がって行き、最後の直線でもノメることなく、他馬を突き放した。まさに道悪巧者のごときレース振りで、苦手の重馬場を克服してしまったのだ。

好走の原因は、ナリタトップロード自身の出来のよさにあった。長きに渡って競走生活を続けた馬ではあるが、おそらくこの弥生賞が生涯最高の状態であったのではないだろうか。落ち着きがある中にも、ほとばしる気合が漲っていて、肉体的にも精神的にもピークに仕上がっていた。このように100%、いや120%の状態に仕上がっている馬は、多少の不利や悪条件に関係なく、最高のパフォーマンスをしてしまうのだ。

タップダンスシチーにおけるジャパンカップ、ナリタトップロードにおける弥生賞と、そのレースだけを切り取ってしまうと、この2頭は道悪巧者に見られてしまうが、本質的には道悪を大の苦手とする馬たちなのである。タップダンスシチーが再び生涯最高のデキに仕上がっていれば話は別として、もし道悪になってしまった際には、道中でノメり、最後の直線で追い出すとバランスを崩すという最悪の結果も考えうる。とは言っても、宝塚記念は梅雨の季節に行われるにもかかわらず、意外と良馬場で行われることが多いのだが。

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