オトコになった
by M,H
安田記念2005-観戦記-
十中八九逃げるだろうと思われていたサイレントウィットネスが控えたことによって、道中はこのメンバーにしてはスローに流れた。直線に入ってからヨーイドンの競馬で、位置取りが後ろすぎた馬、瞬発力に欠ける馬にとっては、厳しい展開となった。
勝ったアサクサデンエンは好スタートを決めると、中団馬群のポケットをスムーズに追走し、4コーナーでは抜群の手応えで先行集団を射程権に入れていた。直線で進路を一瞬カットされ、追い出しがワンテンポ遅れたことにより、外から一気に来られそうになったが、そこから怯むことなく差し返して勝利をもぎ取った。馬の充実と騎手の気迫が伝わってくるような見事なレースであった。
アサクサデンエンの最大の勝因は、腰の甘さが解消してきたことによりスタートで立ち遅れなくなったことである。以前から息の長い末脚は際立っていたが、充実した今は、ある程度の位置に無理なく付け、そこから更に伸びることができる。今回のレースでも、直線で進路をカットされる誤算がなければ、もっと楽に勝てたに違いない。
藤田騎手も平成14年の宝塚記念(ダンツフレーム)以来のG1勝利になるが、これまで巡り合わせが悪かっただけのこと。風貌からは想像がつかない堅実な騎乗をする騎手であるが、今回も馬のリズムを崩すことなく、実に綺麗に確実に乗っていた。
アサクサデンエンと同じくらいスムーズに流れに乗っていたのが、池添騎手が騎乗するスウィープトウショウである。スローの瞬発力勝負に強い面をいかんなく発揮したが、ラスト100mでスタミナ切れを起こしてしまった。結果論ではあるが、もうワンテンポ仕掛けを我慢できていれば、ゴール前はもっと際どかっただろう。とはいっても、牡馬を相手に大健闘である。
3着に粘ったサイレントウィットネスは、さすが香港のスターホースである。敗因を距離が長かったとする向きもあるが、そうではないだろう。なぜなら、ゴール前でもサイレントウィットネスはバテていないからだ。敢えて敗因を挙げるとすれば、上位2頭の瞬発力に屈したということになる。しかし、府中の長い直線に加え、後続にマークされる展開を考えると、本当に良く走っている。今回は陣営が距離を気にしすぎて、馬を抑えすぎたことが悔やまれる。
同じく香港馬のブリッシュラックも、不向きな展開に諦めることなく、良く追い込んできている。日本の馬場やペースに戸惑ったのか、馬も騎手もレースの流れに乗りきれていなかった。輸送等の不利な条件を加味して考えると、香港の一流馬は日本のG1レースでも即通用してしまうだけのレベルにあることが分かる。
最終的な1番人気に支持されたテレグノシスは、末脚が不発に終わった。こういったスローな展開が合わなかったことも確かだが、6歳という年齢からも最盛期ほどの勢いが感じられない。
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