by sashiko
ペリエ騎手が勝った3つのG1を、ひとつずつ検証してみたい。
■マイルチャンピオンシップ
まずは、マイルチャンピオンシップから。騎乗馬であったゼンノエルシドは、秋の緒戦となる京王杯オータムHをレコードで圧勝したものの、続くスプリンターズSでは前走の反動からか、「4コーナーで弾けることがなく(横山典騎手)」惨敗してしまい、このマイルチャンピオンシップがG1への再挑戦であった。
ゼンノエルシドはもともとスタートのいい馬であったが、このレースでは他馬より1歩かそれ以上速いスタートを切り、この時点で、すでにペリエ騎手の先制攻撃が始まった。
これだけいいスタートを切れれば、あとは他馬の出方によって馬を下げてもいいし、そのまま流れに乗ってもよい。この時はあまり飛ばしていく馬がいなかったので、出たなりの2番手で逃げるクリスザブレイブのすぐ後ろにつけた。
そのまま3コーナーを回り、4コーナーまで持ってくる。ここまでの動きは至って自然で、全くと言っていいほど馬に負担をかけていない。馬としても、ほとんど無理をすることなく、いつのまにか4コーナーまで走って来てしまったという感覚だろう。まさに馬なりで4コーナーまでレースを進めてしまったのだ。
さらに、仕掛けのタイミングも絶妙であった。4コーナーまで馬に負担をかけることなく持ってきたこと、レースの流れが非常に遅いこと、そしてゼンノエルシドは一瞬の切れというよりも長くいい脚を使える馬であることを計算に入れた上で、4コーナーを出る時点(4コーナーを回り終える時点)まで追い出しを待つことなく、4コーナーを回りながらすでに馬にゴーサインを出した。いくら自分の馬に手応えが残っているとはいえ、もう少し仕掛けを待ち、他馬が来てから追い出した方が得策かと考えがちであるが、ペリエ騎手は迷うことなくどの馬よりも先に追い出したのだ。
このことは、たとえあの時点から(4コーナーを回りながら)追い出しても、ゴールまで持たせることができるという自信によるところが大きいだろう。「馬が追える」という絶対的な自信が、ペリエ騎手の積極的な騎乗を支えていた。
マイルチャンピオンシップにおいて、ゼンノエルシドは自身の持っている能力の100%に近い力を出し切っている。「出し切った」というよりも、「出し切らされた」と言った方が適切かもしれない。騎手として大切なことではあるが、馬の持っている能力を100%出し切るということは非常に難しいことであるし、ほとんどの騎手はそれができない。騎手の優劣は、どれだけ馬の持っている能力を出すことができるかで決まると言っても過言ではない。
結果論で言わせてもらえば、この後の香港マイルでは圧勝しているように、2着に来たエイシンプレストンの力がこのメンバーの中では一枚上であった。ゴチャついてしまい、思うようなコース取りができず、スローペースで脚を余していた。もし福永騎手が完璧な騎乗をしていたなら、ゼンノエルシドの勝利はなかったであろう。
マイルチャンピオンシップにおいて、ゼンノエルシドの体調は万全ではなかったと私は考えている。しかし、本調子にない馬でも、騎手が騎乗馬の能力を100%出し切る完璧な騎乗をして、もし相手の有力馬がミスをしてくれれば、勝利が転がり込んでくるチャンスが生まれることをペリエは証明した。
(第3回へ続く→)
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