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シービスケット

seabiscuit 1star

「シービスケット」は原作も読み、その後に映画も観た。どちらが良かったかというと、圧倒的に原作である。当たり前のことだが、シービスケットを取り巻く登場人物たちの劇的で波乱万丈な人生は、2時間という映画の枠には収まりきらない。

シービスケットを筆頭に、片目が不自由な赤毛の騎手レッド、西部の自動車王ハワード、寡黙な調教師スミス、そして、個人的に好きだった“アイスマン”ウルフ、それぞれがそれぞれの人生を、泥臭いながらも徹底的に生きている。そんな徹底した泥臭さが、世界恐慌に苦しむアメリカ人の共感を呼んだというべき、実在のストーリーである。

とは言っても、私の場合、ほとんどこの物語に心を動かされることはなかった。500ページを超えるこの原作を読んだにもかかわらず、実のところ、ある一小節のサラブレッドに対する記述しか印象に残っていない。というよりも、その一小節があまりにも素晴らしかったため、原作の印象が薄れてしまったと言うべきか。

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サラブレッドは、神が創りたもうたもっとも素晴らしいエンジンのひとつだ。

六百六十キロにもおよぶ体重で、時速六十キロ以上のスピードを維持することができる。

もっとも敏捷な成年男子の能力をはるかに上回る反射神経を備え、一完歩で八・五メートルもの距離を進み、無駄のない動きでコーナーを回る。

馬体は重量感と軽やかさのパラドックスで、矢のようにやすやすと空を切ることができ、頭はたったひとつの命令にしか反応しない――走れ。

無比の勇気でスピードを追い求め、敗北や疲労をものともせず、時には骨と腱の構造的な限界をも超えて走り続ける。

飛翔中のサラブレッドは、自然界における、形態と目的のもっとも完璧な融合だ。
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これほどまでにサラブレッドの素晴らしさを表現した言葉を、私はかつて知らない。何度読み返しても、美しい描写である。この美しき詩を前にして、クドクドとした説明は不要だ。さあ、もう一度。

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Tracked on September 16, 2005 at 09:21 AM

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