集中連載:「一流の騎手とは」-第3回-
by sashiko
■ジャパンカップ
ジャパンカップは勝つべくして勝ったというレースだ。評論家の井崎脩五郎氏は、『Gallop 2001 臨時増刊号』にて、「角田騎手がジャパンカップで乗っていたら2馬身半ちぎっていた」と語っている。私も同感であり、たとえペリエ騎手ではない他の騎手が乗っていたとしても勝っていたと思う。ペリエ騎手が追って追ってやっと勝てたようだが、あれだけの接戦になってしまったのは、井崎脩五郎氏の指摘するように、スタートしてから1コーナーまでの直線で無理をして、他馬に挟まれてしまったというペリエ騎手のミスがあったからである。その後、慌てることなく無難に乗りこなしたため、かろうじて勝利できたが、ペリエ騎手にとっては冷や汗ものの勝利だったに違いない。
しかし、ひとつのミスも許されないという状況に立たされて見せた、4コーナーでのコーナーリングや、直線でのテイエムオペラオーを目標にした馬の追い出しにペリエ騎手の本領を見た気がした。
■阪神ジュべナイルF
阪神ジュベナイルFは、ある意味においてラッキーな勝利であった。タムロチェリーはブリンカーを装着していることからも分かるように、他馬を気にするところのある、気性的に難しい馬である。このように気性に問題を抱えている馬は、G1のように厳しいレースでは、弱点を露呈してしまい、本来の力を発揮できないことがほとんどである。特に阪神1600mのコースでは入れ代わり立ち代わりの激しい競馬になることが多く、気性に問題のある馬が好走できる可能性は低い。騎手の操縦いかんによって、ある程度の不利な状況は回避することができるが、最終的には他馬の出方やレースの流れなどの不確定要素に大きく影響されることになる。
ペリエ騎手にとってラッキーだったのは、道中でタムロチェリーの前に馬群のポケットができたことである。先行しようとする馬たちと、差しに徹しようとする馬たちとの間に、他馬に邪魔されず気分よく走ることができるスペースがポッカリと開いたため、道中はこのポケットを利用して進み、あとはタイミングを窺って外に持ち出して追うだけという、タムロチェリーの弱点を出すことのないようにレースが運んだ。もちろん、前半から(スタートから)積極的に攻める騎乗や、直線での馬の脚の伸ばし方など、特筆すべきは多いが、このレースに限っては、タムロチェリーが気性の難しさが出ないような状況になったという幸運が大きかった。
以上、2001年の秋シーズンにペリエ騎手が制した3つのG1について検証してみた。要約すると、マイルチャンピオンシップは、積極的なレースをして流れに乗り、スローペースを見越して早めに動いた。ジャパンカップは、前半でミスをしてしまったが、慌てることなく冷静にそのロスを補った。阪神ジュベナイルFでは、ラッキーを生かして最後には追い比べを制した、ということになる。
個人的には、マイルチャンピオンシップが最も絶妙な騎乗であったと思う。あのレースはペリエ騎手でなかったら良くて2着止まりであっただろう。もちろんジャパンカップと阪神ジュベナイルFも素晴らしい騎乗なのだが、マイルチャンピオンシップこそ、ペリエ騎手の真髄が随所に見られたレースであった。
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