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Re:Re:Re:スプリンターズSについて

aoyagilogo
本命をサイレントウィットネスに打ちたいと思います。
枠も7枠13番で、テイエムチュラサン、カルストンライトオーの逃げ馬をみながら競馬できますし、東京マイルであれだけ好走した内容から中山の坂も気にしなくていいでしょう。
手探り状態の安田記念よりも、状態は確実にいいと思います。
おそらく1番人気でかなり人気を集めると思いますので、単勝ではなく、この馬を軸に馬連で勝負したいと思います。

相手1番手はやはりデュランダルでしょう。
ただし、前者と比較において、距離適性で分が悪いということでこちらを2番手と評価しました。
もちろん、逆転の余地が全くないわけではありませんが、あまりにも時計の早い決着になったときに追い込み一辺倒のこの馬には、一抹の不安を感じます。
また、前にも述べた通り、この馬は超一流のマイラーですが、超一流のスプリンターではありません。

連穴として、タマモホットプレイをあげておきたいと思います。
タマモホットプレイは昨年のスワンSの勝ち馬です。
前走のセントウルSでは8着に敗れてしまいましが、上がり時計だけ見れば最速でした。
今回前半3ハロン32秒台のハイペース必至ですし、勝つまではどうかと思いますが、もし休み明けであるデュランダルの末脚が不発に終われば、2着に入ってもおかしくないと思います。
馬券的に面白いと思います。

ケープオブグッドホープはサイレントウィットネスに対し、10戦10敗ですが、中山の坂は差し馬であるこの馬にとって逆転材料の1つになりますね。
どんな馬場でもこなしますし、また遠征慣れしているのもいいですね。
上位争いに食い込むはずです。
もしサイレントウィットネス、あるいはデュランダル以外の単勝馬券を買うのであれば、この馬の馬券を推奨します。

その他ではマルカキセキ、シーイズトウショウ、シルキーラグーンあたりも連候補ですが、3頭とも状態面が気になりますね。
特にマルカキセキは使い詰めできていること、シーイストウショウ、シルキーラグーンの両馬は中間疲れがでたと聞いています。
直前まで状態を十分にチェックした上で馬券の対象にする馬をこの3頭から1頭絞りたいと思っていますが、現時点ではスローペースであった前走のセントウルSで中段から3着まで押し上げたマルカキセキに魅力を感じています。
少なくともゴールデンキャストよりもこちらの方が力的には上でしょう。

プレシャスカフェですが、あまり状態が良さそうでありませんね。
それと高松宮杯では1番人気におされましたが、私自身、この馬がそれほど強いと思えません。
軽視で問題ないでしょう。

◎サイレントウィットネス
○デュランダル
▲タマモホットプレイ
△ケープオブグットホープ
△マルカキセキ

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Re:Re:スプリンターズSについて

jiromarulogo
サイレントウィットネスのオーナーのコメントは、私も気になりました。
確かに、安田記念はもう少し積極的に行っても良かったかなとは思います。
しかし、逃げた方が良いということでは決してありません。
特に、今回はスプリントのG1であり、逃げて目標にされるとかなり厳しい展開になるのではないでしょうか。
直線で急坂のある中山コースではなおさらです。
2、3番手でタメて、直線で抜け出すというのが勝ちパターンでしょう。
それが出来る馬なので、あえて逃げにこだわる必要は全くありません。

プレシャスカフェの力は認めますが、どうもリズムが良くありません。
勝てるレースであった高松宮記念を落として以来、顕著に調子を落としています。
リズムが狂っているといった表現が適切かもしれません。
少しずつは良化しているのですが、果たして本来の力を出し切れるでしょうか。
一瞬のいい脚を使う馬なので中山コース向きではありますが、反面、乗り方も難しい馬です。

アドマイヤマックスは調子が良く映ります。
休み明けながらも乗り込み十分で、馬体もピカピカに輝いています。
この馬はスプリンターなので、1200mの距離はベストです。
あとは右回りの問題だけです。
体が絞れてきているのもプラスに働くのではないでしょうか。
モタれる癖を上手く矯正できれば、勝ち負けになります。
絶好調の武豊騎手の手綱さばきに注目です。

前哨戦であるセントウルS組は能力的に一枚落ちます。
ゴールデンキャスト、マルカキセキでも、このメンバーに入ると掲示板がやっとです。
雨でも降って、時計が掛かれば話は別ですが。
それでも、勝ちきるまでは難しいでしょう。

昨年の覇者カルストンライトオは、当時の唸るようなデキにはありません。
今年は、もしかするとハナを切れない可能性もあります。
また、昨年は道悪に助けられたのも事実で、良馬場であればチャンスは少ないでしょう。

シーズトウショウは平坦馬場巧者で、中山コースでは詰めの甘い走りになります。
能力的にも一枚落ちるので、G1レースでは厳しいでしょう。
安藤勝己騎手がどう乗るかですが、勝ち負けにはならない気がします。

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Re:スプリンターズSについて

aoyagilogo
サイレントウィトネスは17連勝の後、ここ2戦において2着、3着と成績的に落ちています。
しかし、ともにベストではないマイル戦であり、また勝ち馬と同時計で走っていることは、このレースに向け逆に高い評価を与えられるのではないでしょうか。
テイエムチュラサン、カルストンライトオ、あるいはギャラントアローあたりの参戦で前半32秒台は必至ですし、マイルで息を入れる競馬を経験したことは必ずプラスになると思います。
3番手あたりで競馬を進めることがこの馬にとって理想だと思いますが、あとは鞍上がどう乗るか。
安田記念での敗戦後、馬主が「この馬は逃げてスピードで押し切ったほうがいい」というコメントをしています。
これは安田記念時だけの話をしているのか、全般的な話をしているのかわかりませんが、ハナにこだわらり過ぎないことを願います。
今回のレースにおいて、ここだけが気になります。

日本の大将格デュランダルも参戦しますね。
確かに昨年の高松宮杯、スプリンターズSで負けていますが、それぞれ小回り、不良馬場と、末脚を活かすこの馬には必ずしも有利な条件でなかったのは事実です。
この馬について、私は元来、鉄砲駆けするタイプだと思っています。
むしろ私が気になるのは距離です。
この馬のベストはマイルであり、スプリント戦ではありません。
一昨年のスプリンターズSを勝っていますが、そのときの2着は状態の落ち始めていたビリーヴでしたし、今回サイレントウィットネスのような超一流スプリンターと戦ったことがないと思います。
今までのスプリント戦は相手に恵まれていた部分があると思います。
ただし、末脚の切れについては誰もが認める通り現役No.1です。
先述したようにサイレントウィットネスが鼻にこだわり過ぎると、この馬の末脚が炸裂する可能性大です。
個人的にはここで好戦して、マイルCSではなく、天皇賞秋あたりにも参戦してもらいたいと思っています。
いずれにせよ、サイレントウィットネスの最大のライバルであることは間違いありません。

ケープオブグッドホープは堅実な馬ですね。
無事是名馬ではありませんが、順調に安定して使われた結果がG1 2勝に繋がったのだと思います。
しかし、戦績を見てもわかる通り、サイレントウィットネスより明らかに力が一枚下です。

2着争いの穴として、シルキーラグーン、タマモホットプレイ、アイルラヴァゲインあたりが面白そうですが、これらの馬たちについてはまた次回に。

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スプリンターズSについて

jiromarulogo
いやはや、ディープインパクト強かったですねー。
余裕残しというか、ほとんど追わずに勝ってしまいましたね。
まさに、3冠へのカウントダウンが始まりました。

ともあれ、今週から待ちに待ったG1シリーズが始まります。
第一弾はスプリンターズSです。
香港の実力馬2頭が出走してきてくれたので、盛り上がりますね。
香港と日本は距離的に近いので、これからも強い馬の交流が進めば、競馬がもっと面白くなるはずです。

馬の国籍抜きに考えても、サイレントウィットネスは一枚抜けた存在でしょう。
この馬の良さは何と言っても、力まずに走ることができるところです。
スピードでガンガン押すのではなく、8割の力で楽に走るので、無駄なスタミナを消耗することがありません。
だからこそ、1600m戦でも最後まで走りぬくことができるのです。
もちろん、典型的なスプリンター体型ですので、1200mへの距離短縮は大歓迎です。
香港でも実戦に近い調教をこなしているようで、状態は問題ないでしょう。

対する日本馬の大将はデュランダルです。
この馬の柔軟な末脚は歴史に残るもので、スタミナも十分にあるので確実に伸びてきます。
爪の不安も解消されたようで、最終追い切りでもビッシリと追ってくるはずです。
とはいっても、やはり約1年のブランクがあるということは忘れてはいけません。
極端な前残りの展開になり、プラス休み明けが響いた場合には、凡走もあり得ます。
実際に最近の休み明け3戦は、凡走とまではいきませんが、勝ち切れていないのも事実です。

ケープオブグッドホープはムラのある馬という印象があります。
気性的なものなのでしょうが、安定した成績を残すのは難しいタイプです。
そんな気まぐれ馬が、前走で勝っていることが気がかりです。
2連勝できるようには思えませんが・・・
とはいえ、海外で実績を残している実力は評価しなければなりません。
じっくり様子を見たほうがよい1頭です。

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集中連載:「一流の騎手とは」-第12回-

jockey11 by StudioU

■コーナーワーク
コーナーワークは、騎手の技術面で明らかに差が出てしまう部分である。特に4コーナー(最終コーナー)では、各馬がスピードに乗って回るため、いかに馬に負担をかけず、距離をロスすることなく回れるかという技術が必要とされる。さらに、手前を替える必要もあるので、きちんとした手前で走らせることにも留意しなければならない。

日本人ジョッキーは、コーナーワークが課題であるとされる。世界の競馬と比べると、日本の競馬は、道中の馬同士の間隔がまだまだ離れすぎている。楽をして適当な距離をとって走らせているので、コーナーを回る際、外の馬ほど内からの遠心力を受けることにより余計な力を消耗してしまう。

例えば外に振り回された場合、内からの圧力をモロに受ける。遠心力の原理と同じで、2頭目よりは3頭目、3頭目よりは4頭目と圧力が大きくかかってくる。それも単純に数に比例するのではなく、2倍、4倍と圧力がかかる。馬にとってはたまらないほどのスタミナの消耗である。

そうならないためには、各馬の間隔をもっと詰めて、少しでも最短距離を回るようにしなければならない。強引に大外を回して、馬の末脚を失わせてしまう騎乗を見るにつけ、「コーナーワーク」の大切さを思い知ることになる。

なぜきちんとコーナーリングができないかというと、馬を真直ぐに走らすことができないからである。下半身で馬をしっかりと抱え込み、ハミを操作して、左右にブレないように安定して走らせるという基本的な技術が足りないために、コーナーにおいても自分の進ませたいコースに馬を操ることができないのである。馬を真直ぐに走らせることができない騎手は、アクシデントを引き起こしやすく危険であるばかりでなく、自身の馬にとっても大きなロスを強いることになる。

(第13回へ続く→)

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特定商取引法に基づく表記

■販売業者:「ROUNDERS」
■販売責任者:治郎丸敬之
■所在地:神奈川県藤沢市片瀬海岸1-8-22
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■ホームページ:http://www.glassracetrack.com/
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■販売数量:限定販売
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■返品について:メールにてキャンセルの旨、ご連絡ください。郵送済みであれば、手数料+郵送料(500円)を指定の銀行口座へ振込いただくことでキャンセルとみなします。
■取扱商品:雑誌(書籍)、CD・DVD

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集中連載:「一流の騎手とは」-第11回-

jockey10
Photo Data:(C)Carrot Lunch

■デルタブルースを掴んだ岩田康誠騎手
地方ジョッキーとして初めて中央競馬のG1レースを勝利した岩田康誠騎手は、本番の菊花賞で初めてデルタブルースに跨った。もちろんある程度の事前情報はあったのだろうが、その場で実際に跨ってから分かることの方が圧倒的に多い。パドックで跨り、返し馬から輪乗り、そしてゲートに向かうまでのわずかな時間で、岩田康誠騎手はデルタブルースがどんな馬で、どんな乗り方をするのがベストかを判断したのだ。

スタートして、岩田康誠騎手はデルタブルースを馬群の外を走らせることにした。多少の距離ロスがあろうとも、フットワークの大きなデルタブルースをノビノビと走らせるためには、外を回した方がいいと判断したのだろう。内に潜り込んで経済コースを走っても、デルタブルース本来のフットワークで走れなければ意味がないということである。この判断により、デルタブルースは自身のリズムで3000mを気持ちよく走ることができた。

さらに、ビリッと切れる脚がないという弱点を補うために、岩田康誠騎手はデルタブルースに4コーナーのかなり手前からゴーサインを送った。ロングスパートをかけてもゴールまでタレることはないという感触を、岩田康誠騎手が実際に跨ってみて掴んでいたのだろう。この積極的な仕掛けにより、デルタブルースは速い脚がないという弱みを突かれることなく、バテない強みを生かして、先頭でゴールすることができた。

馬の個性を瞬時に把握して、テン乗りで結果を出さなければならないのは、外国人ジョッキーだけではない。地方から乗りにくるジョッキーも同じく、レース一戦一戦が勝負なのである。岩田康誠騎手もこういった真剣勝負を繰り返し、その結果、地方ジョッキーとして初めての中央競馬のG1レース勝利につながったのである。

【平成16年菊花賞の映像はこちら】

(第12回へ続く→)

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集中連載:「一流の騎手とは」-第10回-

jockey09■馬の個性を把握する
「馬の個性を把握する」ことは、騎手にとって最大の使命であるといっても過言ではない。なぜなら、個性を把握することは、その馬の良いところを存分に発揮させることにつながるからだ。どれだけ走る能力を持った馬でも、騎手の手によってその能力を引き出されることがなければ、ただの凡馬で終わることになるだろう。

個性を把握するとは具体的にどういうことかというと、「どのような競馬(乗り方)をするのがその馬にとってベストかどうか」を見定めることである。たとえば、他馬を少し怖がるようなところがある馬は、馬群になるべく入れないように走らせる。たとえば、走り出すとエキサイトして折り合いがつきづらくなる馬は、ゲートをゆっくり出す。たとえば、あまり切れる脚は使えないがバテない強みを持っている馬は、先行して早めのスパートで押し切る。このように、馬の精神的特徴から肉体的な特徴までを把握することによって、その馬が最も能力を発揮できる競馬(乗り方)を見出してやるのである。

一流の騎手は、返し馬だけで馬の個性を掴むことに優れているとされる。何度か騎乗している馬や、普段から調教で乗っている馬であれば、その馬の個性は頭にインプットされているだろう。しかし、急遽騎乗を依頼されるなど、事前に全くの情報がない状態で騎乗しなければならないもテン乗りの場合であっても、返し馬に入ってから輪乗りまでのわずか数分で、精神的特徴から肉体的特徴まで、その馬の個性を見抜くのである。

(第11回へ続く→)

Photo by M.H


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集中連載:「一流の騎手とは」-第9回-

jockey08

■平成17年桜花賞に見る福永祐一騎手の成長
福永祐一騎手がラインクラフトで制した桜花賞は、「ペース判断」と「仕掛け」が見事にマッチングした芸術的な騎乗であった。もちろんラインクラフトの競走能力や器用さがあってこその勝利ではあるが、福永騎手が僅かでも騎乗ミスや判断ミスをしていれば、猛追してきたシーザリオに交わされていたかもしれない。

レースに臨むにあたっての福永騎手の不安は、やはり大外枠を引いてしまったということであったろう。桜花賞は最初のコーナーまでの距離が短いため、外枠から先行するには無理を強いねばならず、ラインクラフトへの負担はその分大きくなる。もし先行できずに中途半端な位置しか取れなかった場合は、道中は終始馬群の外々を回される羽目になる。それを避けるためには、馬を一旦後方まで下げるしかない。つまり、ラインクラフトの負担を承知の上で無理をして先行するか、レースの主導権を渡す覚悟で後方まで下げるか、という2つの選択肢があった。

最終的に福永騎手は、ラインクラフトの行く気に任せて先行しようというスタンスで騎乗した。スタートを切って、もしラインクラフトが行く気を見せれば、それを利用して先行する。行く気になっている馬を抑えても、スタミナをロスするだけである。どうせロスをするならば、ある程度の負担は承知で、先行して好位をキープした方がよいだろう。まずは馬の走るリズムを優先しようというスタンスである。案の定、ラインクラフトはスタートから行く気満々で、外枠から切れ込むようにして、極めてスムーズに好位を取ることができた。考えうる範囲内の、最小限のロスで抑えることができたのだ。

しかし、そのまま馬の行く気に任せ過ぎると、魔の桜花賞ペースにハマってしまいやすい。少しオーバーペースで流れているという「ペース判断」を福永騎手もしたはずで、その状況の中で、ラインクラフトをなだめながら、少しずつレースの流れに乗せていく必要があった。ハイペースだからといって、必ずしも後方に位置するのが正解ではない。ラインクラフトのリズムを崩さないように、レース全体の流れに乗せていったのである。

「仕掛け」は4コーナー手前であった。デアリングハートの手応えが良く、この馬をどこで捕らえるかと、後ろの馬に差されないという2つの命題を天秤にかけて「仕掛け」を判断しなければならなかったはず。結果的には、少し早めのスパートが功を奏して、デアリングハートを捕らえ、追い込んでくるシーザリオを凌ぎきったところがゴール。ラインクラフトの持てる力をゴール時点で全て出し切った、まさに究極の「仕掛け」であった。

福永騎手は馬のペースを崩すことなくレースの流れに乗ることに長けているが、その真骨頂が存分に発揮されたのがこのレースである。この後、ラインクラフトはNHKマイルも制することになるが、桜花賞に比べると実に危なげのない楽な勝利であった。桜花賞は不利な条件を克服する必要があり、そのためには、馬の力だけではなく騎手の技術がものを言ったのである。

【平成17年桜花賞の映像はこちら】

(第10回へ続く→)

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「MOMENTUM」 ジョシュア・レッドマン

momentum
アドマイヤドンはダートの天才であった。2歳時に芝のG1である朝日杯フューチュリティSを勝っているが、3歳秋を境になんとダート路線へと進路を変更した。それ以降、ダート馬とは似ても似つかない華奢な体ながらも、ダートのG1勝利を6つも積み上げ、ついにはドバイワールドカップにも挑戦した。ベストレースは、【平成16年のフェブラリーS】であろう。まるで調教のように余裕綽々と走り、進化したダート馬の誕生を印象付けた。芝を走ってもG1クラスではあるが、ダートでこの馬の右に出る者はいなかった。

ジョシュア・レッドマンが、ハーバード大学を首席で卒業し、イエール大学での法律修士課程を経て、弁護士の資格を持っていることは有名な話である。「学業エリートをフレコミにして売れたサックス奏者か」「大人しく弁護士やってりゃいいのに」等、一側面だけからの批評(批判)など、彼は軽々と超えていく。勉強も出来るし、弁護士にもなれるが、サックスはそれ以上に巧い。その道にのみ秀でていることが、必ずしも天才の条件にはならないのだ。ジョシュア・レッドマンはサックスで<世界>を見て、サックスで<世界>を理解する、サックスの天才である。

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コンピューターは競馬を超えるのか

computer021997年に、チェスの世界王者であるカスパロフ氏が、スーパーコンピューター「ディープブルー」との対戦に敗れてしまったのは有名な話である。「ディープブルー」は、1秒間に2億通りの指し手を読み、局面ごとに平均14手先までの変化を検索して決めることができる。カスパロフ氏は対局を終えたあと、「新しい知性を感じた」と感想を語ったそうである。誕生から約半世紀を経て、コンピューターが人智を超えた瞬間であった。

また、日本古来のゲームである将棋においても、凄まじい勢いでソフトの開発が進んでいる。現在のコンピューターのレベルはアマチュアの4段程度とされているが、2010年には、将棋の第一人者である羽生善治とコンピューターの真剣勝負が実現するとされる。チェスや将棋に限らず、オセロや囲碁など、人間の歴史が作り上げてきた全てのゲームにおいて、コンピューターが人間の知性を脅かす時代がついにやってきた。

もちろん、競馬においても、たくさんの予想ソフトや予想支援ソフトが開発されている。果たして、競馬の予想というゲームにおいても、コンピューターが人間を超える日がすぐそこまで来ているのだろうか。競馬新聞の馬柱欄を、人間の予想ではなく○○○というソフトの予想が占める日が。もしかすると、百発百中のソフトが開発され、競馬がギャンブルとして成立しなくなるなんてこともあり得るのだろうか。

私の結論から言うと、競馬の予想において、コンピューターが人間を超えることは難しく、百発百中のソフトが開発されることは未来永劫にない。なぜなら、競馬の予想は無限を扱うからである。

チェスも将棋も、限られたマス目の中で限られた駒(石)を動かすクローズド(閉鎖系)なゲームである。限りなく無限に近い変化を持つ将棋でさえも、煎じ詰めれば有限のゲームである。それに対し、競馬はオープン(開放系)なゲームであり、血統、馬の能力、展開、コース設定、馬場、枠順、騎手などの数々の要素が複雑に絡み合う。そこから生まれる変化は無限であり、どれだけコンピューターの計算能力が進歩しようとも扱いきれないのだ。

computer01

かつて、興味本位で予想ソフトを試してみたことがあったが、二度とは使う気にならなかった。うまく表現できないが、予想がトンチンカンなのである。人間性がにじみ出る的外れな予想ではなく、非常に機械的に的外れな予想なのである。あるプログラミングに沿ってポンと弾き出した、もの凄く短絡的な予想には、競馬という世界に対するリスペクトは全く感じられなかった。

誤解されると困るが、私は決して予想ソフトを批判しているわけではない。優秀な開発者が、ある要素だけに限定して作成すれば、そこそこのモノができる可能性は否定しない。たとえば、血統に焦点を絞って分析をして、「このレース条件に強い血統の馬」を弾き出すことはできる。また、全体の走破時計や道中のラップを用いて、各馬の「スピード指数」のような数字を示すこともできる。

しかし、それらは競馬の全体から見るとごくごく一部分に過ぎない。ある一部分が分かったからといって、全体の予想が当たることはない。予想が当たったように見えても、それは偶然に結果が予想に当たっただけである。勘違いをしていると、もう次のレースではカスリもしない予想をすることになる。

コンピューターが進化すればするほど、競馬予想の本質が明らかになるだろう。近い将来、コンピューターは人間と同じ、もしくはそれ以上の思考能力や感情を持つことになる。そうして、全ての面で人間を超越したコンピューターでさえも、競馬の予想を当てることはできない。

競馬の予想の本質とは、「わからないことをわかる」ということである。人間にもコンピューターにも分からない神の領域がある、ということを分からなければならない。競馬の奥行きや深さは測り知れないのだ。

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集中連載:「一流の騎手とは」-第8回-

jockey07 by M.H

■ペース判断
「ペース判断」とは、“レース全体の流れに対して自分の馬がどのくらいのペースで走っているか”を把握することである。「武豊騎手は体内時計を持っている」という言い方をよくされるが、単純に自分の馬がどれくらいの時計で走っているかどうかであれば、たとえ見習い騎手でもほぼ正確に分かるだろう。調教などで、「ハロン15ー15くらいで行って、上がりを38秒くらいで」という指示どおりに乗ってくることなど騎手にとっては朝飯前なのである。

では、なぜ武豊騎手が「ペース判断」に優れていると言われるかというと、レース全体の流れに対する自分の馬のペースを正確に把握することができるからだ。少し言い方を変えれば、“自分の馬のリズムを崩すことなくレースの流れに乗っていくことが上手い”のである。

それぞれの馬にそれぞれの走るリズムがあり、そのリズムを壊してまでレースの流れに合わせようとしても逆効果になってしまう。レースの流れが速いからといって後ろから行けばいいというものではないし、遅いからといって前に位置すればいいというものではない。あくまで馬とのリズムを大切にした上で、速いペースなら後ろに、遅いペースなら前に位置できればよいのである。自分の馬のペースだけではなくレース全体のペースを正確に、そして瞬時に把握することができなくてはならない。

■仕掛け
「仕掛け」とは勝負どころを見極めて動き出すタイミングである。「仕掛け」が早すぎてもゴール前でバッタリと止まってしまうし、遅すぎても脚を余して不完全燃焼のままレースを終えてしまうことになる。ほんのひと呼吸、ふた呼吸の仕掛けのタイミングの違いが、ゴール前の1完歩、2完歩の差となって勝負を左右することになる。ゴールした時点で、馬に全く余力が残っていないという「仕掛け」が理想である。

基本的には「仕掛け」をギリギリまで我慢した方が馬は伸びるのであるが、馬によってはタメてもあまり伸びない馬もいるので、やはり「仕掛け」のタイミングはその「馬の個性」によっても違ってくる。さらにレースのペースによって早く「仕掛け」ざるを得なかったり、道中で馬群から出られずに「仕掛け」が遅れたりすることもあるだろう。勝つためにはどのタイミングで「仕掛ける」のがベストかという判断を正確にできて、なおかつそれを実行できなければならない。

(第9回へ続く→)

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集中連載:「一流の騎手とは」-第7回-

■武豊とサイレンススズカの「リズム」
スローペースに持ち込まないと逃げ馬は勝負にならない、という競馬の常識を見事に覆したのは、武豊騎手とサイレンスズカのコンビである。今や伝説となっている平成10年の金鯱賞は、スローに落としてスタミナを温存するよりも、その馬との間に心地よい「リズム」をつくる方が良い結果につながることを証明したレースである。このレースで武豊騎手は、道中のラップやレースの流れなどは関係なく、サイレンススズカを自分の「リズム」で気分良く走らせることだけに集中している。

サイレンススズカは天性のスピードを持ってはいたが、騎手がどれだけ制止しようとも、ゲートが開くや無我夢中でガムシャラに走る馬であった。そんなサイレンススズカに対して、武豊騎手は馬の走る「リズム」を優先するという態度を貫いた。サイレンススズカの能力に全幅の信頼を置いているからこそ成せる業であって、並の騎手であれば、どこかでペースを落とそうとしてサイレンススズカの「リズム」を崩してしまっただろう。

天皇賞秋で悲劇的な最期を迎えてしまうのだが、武豊騎手とサイレンススズカが培ったコミュニケーションの結晶が【平成10年の毎日王冠】である。このレースでサイレンススズカは59kgを背負いながらも、のちにジャパンカップを勝ち、フランスの凱旋門賞でも2着したエルコンドルパサーや、有馬記念や宝塚記念を制しワンダーホースと呼ばれたグラスワンダーらを歯牙にもかけなかった。人馬一体の境地とは、まさにこの1分44秒のことである。

(第8回へ続く→)

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集中連載:「一流の騎手とは」-第6回-

jockey06 by StudioU
■馬とのリズム(折り合い)
次に、馬との「リズム」について。馬との「リズム」は、いかにして馬と上手くコミュニケーションが取れるかということに尽きる。円滑なコミュニケーションをとるためには、騎手と馬との間に、ある程度の緊張関係がなくてはならない。馬を甘やかしすぎてもいけないし、かといって厳しく押さえ付けすぎるのもよくない。

馬の個性によっても、その関係性は異なる。“よーし、よーし”とおだてながら乗った方が良い結果が出る馬、“ファイト!ファイト!”と励ましながら乗った方が良い馬、“言うことを聞け!”と叱りながら厳しく乗った方が良い馬など、馬1頭1頭で円滑なコミュニケーションのとり方は異なるのだ。もちろん、同じ馬でも時と状況が違えば、異なる乗り方が求められる。

また、競馬のレースでよく言われる「折り合い」とは、つまり、騎手と馬との「リズム」のことに他ならない。「折り合い」とはレースの流れに乗ることではなく、騎手と馬との間に絶妙な「リズム」を保つことである。馬が行きたがっているところを無理に押さえ付けてしまったり、行きたがらない馬を無理に行かせてしまったりして、その馬の「リズム」を崩してしまうと、「折り合い」はなかなかつきにくい。

適度な緊張関係の中で、騎手は馬の感情を理解してやり、そして自分の意志も馬に伝えなければならない。このような理想的な関係を保つことができなければ、馬は勝手に暴走してスタミナをなくしたり、騎手が合図を出しても反応しなかったりする。馬を気分良く走らせながら、かつ気を抜かせないようにすることが、いわゆる人馬一体の境地であり、一流騎手は馬との間に心地よい「リズム」をつくるのが非常に上手い。

(第7回へ続く→)

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「至上の愛」 ジョン・コルトレーン

alovesupreme

ジョン・コルトレーンほど短期間で大成長を遂げたプレイヤーはいないとされる。マイルス・デイビスやセロニアス・モンクといった巨匠たちに揉まれながらも、独自の斬新な演奏を極め、築き上げていった。晩年の音楽は難解すぎて理解されなかったが、それでもコルトレーンが最高のサックス奏者のひとりであることは、万人の認めるところである。残念ながら、40歳の若さにして惜しまれながらこの世を去った。

こうした背景を知るにつけ、どうしてもエルコンドルパサーという馬がダブって見える。サイレンススズカに胸を借り、グラスワンダーやスペシャルウィークと競い合いながらも、一気に世界の頂点に上り詰めようとしたエルコンドルパサー。凱旋門賞2着という、世界に最も近づいた馬。毎日王冠を勝ってからの歩みは、斬新であり、かつ求道的ですらあった。海外に渡ってさらに強くなった、不世出の名馬である。この馬も、わずか3年間の種牡馬生活を送っただけで他界してしまった。

ジョン・コルトレーンの傑作「至上の愛」を聴くと、そのイントロの凄まじさに衝撃を受ける。ゲートが開くよりも先に飛び出たのではないかと思わせる、抜群のスタートダッシュ。そして、中盤から後半に差し掛かっても、その勢いはとどまるところを知らない。まさに「テンよし、中よし、終いよし」と3拍子が揃った究極のアルバムである。このアルバムを聴きながらエルコンドルパサーのジャパンカップを観るのもよし、ジャパンカップを観ながらコルトレーンを聴くのもよし。

【平成10年ジャパンカップの映像はこちら】

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