集中連載:「一流の騎手とは」-第6回-
by StudioU
■馬とのリズム(折り合い)
次に、馬との「リズム」について。馬との「リズム」は、いかにして馬と上手くコミュニケーションが取れるかということに尽きる。円滑なコミュニケーションをとるためには、騎手と馬との間に、ある程度の緊張関係がなくてはならない。馬を甘やかしすぎてもいけないし、かといって厳しく押さえ付けすぎるのもよくない。
馬の個性によっても、その関係性は異なる。“よーし、よーし”とおだてながら乗った方が良い結果が出る馬、“ファイト!ファイト!”と励ましながら乗った方が良い馬、“言うことを聞け!”と叱りながら厳しく乗った方が良い馬など、馬1頭1頭で円滑なコミュニケーションのとり方は異なるのだ。もちろん、同じ馬でも時と状況が違えば、異なる乗り方が求められる。
また、競馬のレースでよく言われる「折り合い」とは、つまり、騎手と馬との「リズム」のことに他ならない。「折り合い」とはレースの流れに乗ることではなく、騎手と馬との間に絶妙な「リズム」を保つことである。馬が行きたがっているところを無理に押さえ付けてしまったり、行きたがらない馬を無理に行かせてしまったりして、その馬の「リズム」を崩してしまうと、「折り合い」はなかなかつきにくい。
適度な緊張関係の中で、騎手は馬の感情を理解してやり、そして自分の意志も馬に伝えなければならない。このような理想的な関係を保つことができなければ、馬は勝手に暴走してスタミナをなくしたり、騎手が合図を出しても反応しなかったりする。馬を気分良く走らせながら、かつ気を抜かせないようにすることが、いわゆる人馬一体の境地であり、一流騎手は馬との間に心地よい「リズム」をつくるのが非常に上手い。
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