集中連載:「一流の騎手とは」-第13回-
■内を回るか、外を回るか
コーナーリングの差が、そのまま勝敗へとつながってしまうことも多い。コーナーリングの内外が、ゴール前のわずかな差となって現れてくるのだ。もちろん、内を通って馬群をさばくよりも、ゴチャつかない外を回すという選択の方が、馬の個性や他馬との能力差を考慮すると得策なこともある。しかし、内と外を回すという単純な比較であれば、内を回した方が明らかに有利であり、内を回したからこそ勝てたというレースも少なくない。
たとえば、平成16年安田記念で、安藤勝己騎手がツルマルボーイに初のG1タイトルをもたらしたレースがそうである。それまで外を回して追い込んで届かずというレースを繰り返していたツルマルボーイを、テン乗りの安藤勝己騎手が、この安田記念の4コーナーではピッタリ内2頭分のコースを回ったのだ。馬群を割って伸びたツルマルボーイは、追いすがるテレグノシスを退けて、見事に念願の1着でゴールインを果たした。勝浦騎手には申し訳ないが、この1、2着の差は4コーナーでのコーナーリングの差である。内で脚をタメながらピッタリと回ってきた安藤ツルマルボーイに対して、外をブン回してしまった勝浦テレグノシスの距離ロス・スタミナロスは首差以上に大きかったはずである。
また、安藤勝己騎手がスズカマンボに乗った2つのレース【平成16年菊花賞】と【平成17年天皇賞春】を比較しても、内外のコーナーリングの差がどれだけ勝敗に直結しているかが分かる。平成16年度の菊花賞では、スズカマンボは4コーナーで外々を回り(回らされて)、その結果、最後の直線でガス欠を起こしてしまった。その失敗を踏まえて臨んだ平成17年度の天皇賞春では、内々をピッタリと回る芸術的な騎乗で快勝している。もし外々を回っていれば、ゴール前はきわどい接戦になったかもしれないし、もしかするとビッグゴールドに負けていたかもしれない。
ここ数年、外国人ジョッキーや地方競馬出身の騎手の活躍が目立つが、その要因のひとつとして、コーナーリングに対する厳しさの違いが挙げられる。特に4コーナーのコーナーリングの違いは顕著で、外国人ジョッキーや地方出身騎手はとにかく内を希求する。余程のことがない限りは内を狙う、という意識が徹底しているのだ。内を突いたばかりに前が壁になったり、馬群を捌けなかったとしても、それはそれで仕方ないと割り切っているのだろう。勝つためには、とにかく内を回り、内を突く。それは、彼らにとっての勝つための至上命令に等しい。
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