「安藤勝己の頭脳」

できればこの本だけは紹介したくなかった、というのが本音である。なぜなら、この「安藤勝己の頭脳」には、競馬の本質が、全く惜しげもなく、至るところに散りばめてあるからだ。おそらく、私たちアウトサイダーだけではなく、騎手、調教師等の競馬関係者が読んだとしても、かなり勉強になるのではないだろうか。もちろん、馬券へのヒントも多く隠されている。
「勝つためには勝つ気で乗らないこと」
全編を通して貫かれている安藤勝己の思想である。
たとえば、安藤勝己騎手と著者の亀谷敬正氏の間で以下のような対話がある(敬称略)。
亀谷 「京都芝1400mでトキオジュリアに乗って1着になりました(1999年10月31日鞍馬特別)よね? あのレースなんか、最初3番手につけていたんですけど、残り600mあたりで安藤さんだけが仕掛けを待っているんですよ、他の馬は仕掛けているのに。ちょうどあの時に、逃げ馬から1秒2離されているんです。ふつう、京都芝1400で勝ちたいなら、あの時点は仕掛けます。」安藤
「ああ、覚えているよ。でも、あのレースも計算していたわけじゃない。トキオジュリアがあの時点で行く気がなかったから、行かせなかっただけ。」亀谷
「でも、あそこで『行く気がなかったから行かせなかった』じゃ、コースのデータからは連対するのが難しいということになっていますが?」安藤
「たしかにレースで勝ちたいなら、あの時点(残り600)で離されるのはイヤだよね。でも、トキオジュリアの場合、あの時点で勝つ気になっても仕方がない。あの時点で『勝とう』と思ったら、今度は逆にゴール前で伸びなくなるような気がしたからね。だから、あそこで『勝とう』とは思わずに、馬のリズムを優先したことで勝てたんだと思う」
亀谷氏の指摘するように、レース展開、コース設定、または馬場状態によって、ここで仕掛けなければならないというポイントは確かにある。しかし、安藤勝己騎手が言うように、それはその馬の走るリズムを崩してまでのことではなく、最優先されるべきは馬の走るリズムなのである。
大前提として、騎手は馬を気持ちよく走らせ、持てる能力を全て発揮させなければならない。そのためには、人間(騎手)が馬を動かすのではなく、馬のリズムに合わせて人間(騎手)が動かなければならない。つまり、そこで人間の『勝ちたい』という意識は邪魔になり、(自らは)何もしないという態度を貫かなければならなくなる。
しかし、分かっていても、実際そのように乗れる騎手は少ない。ペースが遅ければ動いてしまうし、前に行く馬の手ごたえが良く見えれば焦って仕掛けてしまう。ほんのわずかでも、騎手が『勝とう』と思ってしまうと、馬は敏感に反応して動いてしまうのだ。勝つために乗っているのに、『勝とう』という意識を捨て去ることは常人に為せる業ではない。
もしかすると、馬券も同じなのかもしれない。
「勝つためには勝つ気で賭けないこと」
うーん、難しい。
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Comments
ご訪問いただき、ありがとうございます。
始めたばかりで右往左往していて、お恥ずかしい限りです。
自称”競馬家計簿”みたいなものですし。
でもチャンスがあればまた覗いてくださいマセ。
少しずつがんばっていきたいと思ってますので・・・
次回の更新を楽しみにしています。
Posted by: kuroneko | January 28, 2006 at 09:27 AM
コメントありがとうございます。
そうです、マイペースが一番です。
「ヘタレ馬券の記録」
ずっと続けてくださいね!
またお伺いさせていただきます。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 28, 2006 at 03:12 PM
美空ひばりの「柔」じゃないけど
「勝つと思うな 思えば負けよ」ですかね。難しいですね。
騎手も馬券も「どれだけ我慢できるか」ですね。
Posted by: bonobono | January 28, 2006 at 11:52 PM
そうです、それです。
勝ちを意識することが、余計な動き、気持ちのブレを生んでしまうんです。
騎手も馬券も、「どれだけ無心になれるか」です。
あっ、これ精神論じゃありませんよ、技術論です(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 29, 2006 at 12:13 AM
この本は読みましたよ!素晴らしい著書だと思います!今はもう持っていませんが・・・。
Posted by: ヒテ | January 29, 2006 at 12:55 AM
はい、この本は本当に素晴らしいですよ。
著者の亀谷氏の力量も、相当なものじゃないかと思います。
で、なんで、もう持っていないんでしょう??
Posted by: 治郎丸敬之 | January 29, 2006 at 01:02 AM