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「G1勝利の方程式」

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ダンスパートナー、アグネスデジタル、スペシャルウィークと、数々の名馬を調教してきた白井寿明調教師による競馬論である。立命館大学を卒業後、白井調教師は競馬サークルに飛び込んだのだが、厩務員試験の面接で、「なぜ厩務員になりたいのか?」と聞かれ、「調教師になりたい」と答え、面接官に「ここは調教師の面接会場ではない」と言われた(?)異色の調教師である。

競馬論というよりは調教論というべきかも知れないが、さすが調教師と思わせる数々のノウハウが惜しげもなく公開されている。なによりも特筆すべきは、私たち競馬ファンにも分かりやすいアウトサイダー的な発想で競馬が語られていることである。気がついたら馬が隣にいたというような競馬サークルの人間とは違った感覚で、馬を調教することに向き合っているのが手に取るように分かる。

たとえば、休養明けの馬の仕上がりを見るポイントとして、

「10kg以上減ってたり、10kg以上増えてたりする馬はダメですね。(中略)ここで気をつけて欲しいのは、増減は必ずベスト体重と比較するということです。ベストが450kgだとして、レースを使い徐々に減って436kgで放牧に出した場合、460kgで復帰したらプラス24kgと発表されるわけです。でもベスト体重からはプラス10kg。そういう馬が人気にならずに勝ってしまうことがあります。」

と述べている。馬体重など見ないという調教師もいる中で、まるで馬券オヤジがモニターで馬体重をチェックするような視点で仕上がりを確認している。

そして、調教スタイルもまた、最近主流となりつつある「馬なり調教」とは一線を画している。

「軽い調教をやっていて厳しいレースを勝てるならそれに越したことはないけれども、そういうわけにはいかないのが勝負の世界ですから」
「やはり持ったままの調教で競馬に通用するかというと疑問ですね。我々の場合、厳しいレースに対応するにはハードなトレーニングが必要だと思うからこそ、あれだけの調教を課すわけです。かといって馬の競走生命が短かったかというと、そうではないと思います。」

「馬なり調教」に代表される馬優先主義が浸透しつつある中で、競走馬には強い調教が必要だとここまで言い切れる信念は見事である。もちろん、数々の大きなレースを獲ってきている実績と自信が大きな支えとなっているのだろう。実際に、上に挙げたダンスパートナー、アグネスデジタル、スペシャルウィークたちは、白井調教師によって厳しい調教を課されたからこそ、あれだけのG1タイトルを獲れたにちがいない。

さらに、白井調教師は血統通としても知られ、その実体験に基づいた血統論には説得力がある。特になるほどと思わせられたのは、スペシャルウィークの産駒は馬体が大きく出てしまうので、繁殖牝馬は小さい馬を選ぶべきという意見である。産駒の馬体が大きすぎて、脚元に負担が掛かるため、満足な調教を施せず、素質を引き出してやることができないという。

確かに、スペシャルウィーク産駒で活躍したシーザリオ(450kg台)、インティライミ(470kg台)ともに、コンパクトにまとまった中型の馬体である。それに対して、下級条件をウロウロしているスペシャルウィーク産駒を見ると、500kgを超える馬をよく見かける。また、たとえ大型馬でも、夏場になり絞れると走ることもあるという。字ヅラを見ただけでは分からない、これぞ本物の血統論である。

白井調教師の主観的な要素が強く出ている部分はあるが、全体的には、調教について余すところなく語られた良書である。いい意味でダビスタ的感覚を持ち合わせた異色の調教師に学ぶところは多い。

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なぜ考えるのか

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このわずか2.7倍の単勝を買うために、私はおよそ1週間考え続けた。特にレース前日の土曜日などは、ほとんど1日中をフェブラリーSの予想に費やしてしまったのだ。やっと決断できたのが日曜日の朝で、当ブログへのアップもかなり遅い時間になってしまった。

私が考え続けたのは、もちろんカネヒキリの取捨である。

カネヒキリには、次の2つの不安点があった。
1、能力を発揮できる状態にまで仕上がっているのか
2、スタートで立ち遅れることはないのか

まず1については、レース1週間前までの馬体を見る限り、まだ100%の状態にまでは仕上がってはいなかった。しかし、芝コースで行われた最終追い切りで、ハットトリックを凌ぐ動きを見せ、このひと追いでガラッと状態が上向くことも期待できた。

2については、この東京1600mダートで走った2つのレースで、カネヒキリは共に立ち遅れている。2度あることは3度あるというように、今回のレースでも立ち遅れてしまう可能性は十分にある。とはいえ、カネヒキリは本来スタートの良い馬でもあり、これといって立ち遅れてしまう決定的な理由もない。

つまり、どちらの不安も、実際にレースで走ってみないと分からないのである。

競馬において、ほとんどの要素は実際に走ってみないと分からない。スタートした後に、全ての不安は解消されるか、もしくは見事に的中することになる。しかし、競馬の予想をする以上、スタートをする前に少しでも多くの不安要素を解消していかねばならない。特に今回は、カネヒキリが圧倒的な能力を持っていることがはっきりしている以上、上の2つの不安を解消できるかどうかが馬券の当たり外れに直結してくる。だからこそ、私は他のことを全て投げ打って考え続けた。

しかし、どうしても私には分からなかったのだ。それでも私は、「カネヒキリは完調とまではいかないが、能力を発揮できる状態にまで仕上がっていて、たとえ出遅れたとしても、なんとか差し切ることができるはず」という結論を下した。そして、実際のレースでは、カネヒキリは出遅れることもなく、私の結論を大きく上回る、他馬を寄せ付けない強さで圧勝した。結果的に馬券は当たったものの、決して私の考えが当たったわけではない。

レース後の安堵感の中、「なぜ、毎々レース、当たりもしない先を考えるのだろう?」とふと思った。そのレースを当てるために考えているのだが、実際にそのレースの勝ち負けに直結することはほとんどないという実感があるにもかかわらず。実際に走ってみないと、ほとんどのことは分からないと分かっているはずなのに、それでもなぜいつも考えてしまうのか。

疲労した頭で出した結論は、

「それでも考えないと、いつか負けてしまうから」

である。

つまり、そのレースを当てるために考えていることが、結果として、どこかのレースで役に立つという直感があるからである。今回考えたことが、また次に考える時に、いろいろ考える方法のひとつとして役に立つということはよくある。たとえばカネヒキリについて考えたことが、ディープインパクトについて考える時に、ひとつのノウハウとして生きてくるのである。

考えなくても当たることもあるが、考えなければいつかは負けてしまう。

だからこそ、もし競馬が知的ゲームであるとすれば、考えることを続けた者のみが最終的な勝者になれるのだ。


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自己克服という

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私はビリヤードが好きでかなりの時間とお金を費やしてきたが、どうにもこうにもなかなか上手くならない。なぜ上手くならないかというと、目線と一致するようにキューが振れないからだ。

私たちは両方の目を均等に使って物を見ているように感じているが、実は人間には利き目というものがあって、どちらか一方の目を中心として物を見ているのである。利き目でない方の目は補助的な役割をしていて、利き目とは微妙にずれた目線を持っている。

ビリヤードでは、顔の中心(両目の間)かもしくは利き目の下でキューを振るのが基本であり、そうでないと自分がショットしたいと考えるラインと実際にショットするラインがズレていることになる。野球のバッティングでいうと、ピッチャーの投げた球に対してバットを当てようとする軌道と、実際にバットを振る軌道がズレているということだ。どちらの場合においても、ほんのわずかなズレが成功と失敗を分けることになる。

なぜ目線と一致するようにキューが振れないかというと、それは私の肉体的な構造に原因がある。腕の長さ、関節の柔らかさ、肩の筋肉のつき方など幾多の要素が重なりあって、私にとって自然なフォームは出来上がり、その結果として、たまたまビリヤードという競技においては、私の目線とキューの振りが一致しないのである。野球のバッティングで、向かってくるボールに対して正確な軌道でバットを振れないとすれば、それはまさにヘタクソということなのであって、私もそういった意味においてはビリヤードがヘタクソなのである。生まれ持ったものがビリヤードとはあまり馴染まないというやさしい言い方もできる。

しかし、それは私だけに限ったことではないだろう。

私たちは大かれ少なかれ<世界>で求められている形とは違っているのではないだろうか。それを「ズレ」とか「違い」とか「境遇」とか言ってみたりする。生得的なものであろうが、後天的なものであろうが、私たちが<世界>で求められている形と、初めから一致することは少ない。私たちはまずそこから始めなければならないのだ。

<世界>が人間のためにあるのではなく、<世界>があってこそ人間は存在する。<世界>は何者によっても動かされることはない。私たちは常に<世界>未満なのである。私たちに課されていることは、<世界>を変えることではなく、<世界>と私たちのあいだにある大きな溝をひたすら埋めていくことなのである。<世界>は私たちに自己克服を求めるのだ。

スポーツが私たちにとって自己克服であることが多いのは、その<世界>で求められている形に、いかにして自らに固有の肉体を変形もしくは適応させていくかという課題を突き付けてくるからである。そういった意味において、ビリヤードは私にとって自己克服なのである。

jikokokuhuku03海外のビリヤード場で、車椅子に乗りながらプレーする人、杖をつきながらプレーする人を何人も見たことがある。彼らの肉体的特徴は、ビリヤードをプレーする上でマイナスにしかなりえない。テーブルにもたれ掛かるようにしてショットするのだが、下半身が安定しない分、どうしても手打ちになってしまう。土台がない大砲のようなもので、ミリ単位の狙いを要する状況では命取りになりかねない。上半身だけで届く範囲は限定されていて、どうしても手の届かない場所がテーブル上に多く出てきてしまう。そういう時はブリッジという棒を使うのだが、この棒が不安定なのはいうまでもない。さらに、的球がポケットされると、次のショットの位置まで移動しなければならないが、長時間プレーを続けていると、彼らにとってはこの移動が少しずつ疲労として蓄積されていく。

それでも彼らは的球を狙い、手玉を突く。的球がポケットされると、次のショットに向かう。9個のボールを番号順にポケットしていくという法則に、彼らは全身全霊を捧げる。たとえ彼らが<世界>と自らのあいだにある大きな溝にはまってしまい、悔しそうな表情を浮かべていても、私にはそれでも彼らが嬉々としてプレーしているようにしか見えなかった。

ビリヤードは、どれだけ正確に的球をポケットし、手球をコントロールできるかの連続性を競うスポーツである。たとえ<世界>の求めている形と彼らがいくら異なっていても、的球をポケットして手球をコントロールすることができれば、<世界>と彼らのあいだにある溝は埋まることになる。

<世界>に忠実に生きることの難しさには、自己の実現や表現といった甘えが入り込む余地は一切ない。ビリヤードは彼らにとっても自己克服なのである。

そして、私たちは肉体的だけではなく、精神的にも自己克服を迫られることがあるだろう。

私にとって、競馬は精神的な自己克服なのかもしれない。競馬を予想すると、私の心の弱いところをまざまざと目の前に突きつけられ、それを覆い隠そうとしてますます弱さを露呈することになる。自惚ればかりで、意気地がなくて、優柔不断で、保身的で、思想に一貫性のないみじめな自分を私は確認することになる。それでも私は、<世界>と自分自身のあいだにある溝を埋めようとして、高いのか安いのか分からない授業料を払い続けるのだ。

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考えてみれば、世の中は自己克服に満ちている。少なくとも私にとっては、自己克服を迫られることばかりだ。幸せそうな人を見ると嫉妬してしまうし、上司に嫌味を言われると顔がひきつってしまう。目覚まし時計通りに朝起きることもできない。<世界>が求めている形と私との間にある溝はまだまだ深く険しい。

自己実現なんて大それたことはできないし、自己表現なんてこっ恥ずかしい。<世界>と自分とのあいだにある溝を埋めていく、<世界>に離されないよう追いついていく、それだけでも私にとっては苦しく楽しい道程なのである。自己克服の持つそんな響きが、今の私にはしっくりとくるのだ。

*4年前にHPに載せていたエッセイ(?)です。あれから少しは自己克服できたのでしょうか…。

special thanks to StudioU !


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あ、あのPhotostudが!

ひとつ嬉しいお知らせがあります。

「ディープインパクト壁紙企画」で、菊花賞、そして有馬記念とコラボレートしてくれた、
あのPhotostudが、なんとプラザエクウスとGateJにてポスター展を行うことになりました!

JRA主催のオフィシャルな場での展示ということで、これがPhotostudにとってのメジャーデビューとなります。JRA関係者の間でもかなりの評判になっており、これから業界の勢力図を塗り替えてしまうかもしれませんね。

今回はポスター展ということで、選りすぐりの16枚を一挙に展示します。

もちろん、ディープインパクトのポスターもありますよ。

ここで全てを紹介することができませんが、内緒でちょっとだけお見せします。

photostudposter01
あの有馬記念の4コーナーのシーンが思い浮かびます。

photostudposter02
実際の展示場では、1メートル大のサイズなので迫力満点のはずです。


プラザエクウスでは、明日からの開催になります。

場所と期間が限定されていますが、可能な方はぜひ会場まで足をお運びください。

当日、足をお運びいただいた方の中から、抽選でポストカードを100名様にプレゼントします。

私も上京に合わせて、3月5日の日曜日にプラザエクウスに遊びに行くつもりです!

「ガラスの競馬場」としても、Photostudとタッグを組み、今後もオリジナル作品を提供していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

■詳細はこちら
プラザエクウス(東京渋谷) 2月22日(水)~3月13日(月)
GateJ(大阪心斎橋) 3月23日(木)~3月27日(月)


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カネヒキリよ、お前に任せた!

feb06 by StudioU
フェブラリーS2006-観戦記-
前半4ハロンのラップ(45秒3)は、不良馬場で行われた昨年よりも速く、良馬場のダートとは思えない1分34秒9という破格の時計での決着となった。メイショウボーラーとトウショウギアの逃げは明らかにオーバーペースであったが、それによって、スピードはもちろんのこと、豊富なスタミナのある馬でないと生き残れない厳しいレースとなった。

勝ったカネヒキリは、言われていた芝部分でのスタートも問題なく、終始理想的な位置取りでの走りであった。また、大型馬の冬場の休み明けだけに太め残りが心配されたが、プラス2kgというほぼベストの状態であった。ハットトリックらをパートナーに、芝コースで強い最終追い切りをかけたことにより、馬体が絞れ、ガラッと変わったのだろう。

少し急仕上げの感は否めないが、あとはどうやってこの状態をドバイまで維持できるかである。フジキセキ産駒にしては、胴にも十分な伸び(長さ)があり、2000mの距離も問題ない。あとはドバイ特有の土のようなダートが、カネヒキリに合うかどうかである。日本の砂の王者カネヒキリが、幾多の日本の名馬が越えられなかったドバイの壁を打ち破る日が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

シーキングザダイヤは、ハイペースを先行し、最後まで渋太く伸びている。直線でユートピアに噛み付きに行ったのは、この馬自身苦しかったからだろう。精一杯走って、勝ってもおかしくないレースをしているが、今日は明らかに相手が強かった。あれだけ並ぶ間もなく交わされては、力負けを認めざるを得ないだろう。地方競馬に行けば、重いダートに強いアジュディミツオーに頭を抑えられ、中央では圧倒的なスケールを誇るカネヒキリが立ちはだかる。この馬は本当にG1のタイトルに恵まれない。

ユートピアは調教でも素晴らしい動きを見せていたように、状態が抜群に良かった。ここにきて馬群の中でも競馬ができるようになったことも、今回の結果につながっている。そして、何よりも、安藤騎手の好判断が光る。メイショウボーラーと競り合いになりそうになったところで、安藤騎手は躊躇なくユートピアを下げた。行こうと思っていた馬を一旦引くことは、そのまま行かせることよりも勇気の要ることである。人馬共に、いぶし銀の3着である。

ブルーコンコルドは、一瞬アッと思わせる脚を使ったが、最後は止まってしまった。極限のスタミナが要求されるレースにもかかわらず、短距離馬としては最高の走りをしている。馬体も絞れ、状態も最高潮であった。

3番人気に推されたヴァーミリアンにとっては、東京のマイル戦は十分に守備範囲であるが、今回は明らかにペースが速すぎた。ついて行くだけで終わってしまったが、それでも最後まで諦めずに伸びている。これからの成長も考えると、中距離のダート戦線では面白い存在になっていくだろう。

アジュディミツオーはスタートの出遅れが致命傷となったが、たとえそれがなくても、この時計で決着してしまうと苦しい。サンライズバッカスにとってはおあつらえ向きの展開になったはずが、全く弾けなかった。コロンとした体型からも、スタミナを要求される厳しいレースが向かなかったか。


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◎カネヒキリ

jiromarulogo
タイキエニグマとは、随分思い切りましたね。
確かに前走はいい脚で追い込んできました。
それでも、根岸S組であれば、私はサンライズバッカスをとります。
JCダートは少し距離が長く、それでも5着に突っ込んできたあたりはさすがです。
根岸Sでは弾けませんでしたが、ひと叩きされて、状態はアップしています。
武蔵野Sで1分35秒台で走った実績も考慮すると、かなり確実に好走することが見込まれます。
あとは、不利な外枠をどうこなすかでしょう。
他力本願な脚質なので、勝ちきるまではイメージできませんが。

他の4歳馬も、かなり勢いのある馬が多いですね。
その中でも、ヴァーミリアンは追い切りで素晴らしい動きを披露しました。
中間で調整不足のあった前走とは打って変わって、動ける体に仕上がっています。
ルメール騎手は、4コーナーでは持ったままで回ってくるイメージを描いているのではないでしょうか。
芝の重賞を勝っているように、スピードの要求されるレースでも心配はありません。
マイルへの距離短縮も問題ないでしょう。
ただし、追ってビュっと伸びる馬ではないので、瞬発力勝負になると分が悪いですね。
武豊とペリエ騎手に目標にされそうなのは、マイナス材料です。

5連勝で臨むタガノゲルニカも強い馬です。
前走は全てが上手く行き過ぎた嫌いがありますが、並みの馬では5連勝できません。
ただ残念ながら、今回は外枠を引いてしまいました。
このメンバーで、無理をして先行し押し切るまでの力は、まだ付いていません。
もし道中抑えて、差す競馬に徹すれば、チャンスはあるかもしれません。

リミットレスビッドは、末脚が不発に終わるかもしれません。
1200m→1400mと少しずつ距離を伸ばして連勝してきたように、マイルの距離には若干不安がある馬です。
気難しいところもあるようで、内枠で砂を被ってしまってモロさを露呈する可能性も考えれれます。
いずれにせよ、魅力のある末脚を持つ馬ですが、マイナス材料の方が多いですね。

シーキングザダイヤに本命を打つかどうか、最後まで迷いました。
前走、前々走と、重いダートで好走していますが、軽いダートの方が合う馬です。
距離もマイルぐらいが、最も力を出し切れる舞台でしょう。
森厩舎の馬らしく、使い込まれて研ぎ澄まされてきています。
理想を言えば、好スタートを切って、スッと下げる乗り方をして欲しいですね。
砂を被らないように先行させていますが、末脚が甘くなってしまいます。
道中で脚をタメて、府中の直線で爆発させることができれば、念願のG1制覇にも手が届くのではないでしょうか。

紙一重の勝負になりそうな予感がしますが、本命は◎カネヒキリに打ちます。
今週の芝コースでの追い切りによって、馬も良い刺激になったでしょうし、馬体も絞れたはずです。
元々スピードもありますし、大きなストライドで走る馬なので、、東京コースも合います。
ただし、中間の気負った雰囲気を見ると、付け入るスキはある気がします。
スタート部分で遅れてしまう可能性も否定できませんよね。
このメンバーで、前半に置かれてしまうロスは致命傷になりかねませんから。
それでも、普通に走れば、全ての馬を飲み込んでしまうだけの力は十分あります。
やはり、そのスケールの大きさは、このメンバーでも一枚上です。
たとえギリギリでも、勝ってドバイへ行ってほしいですね。


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展開次第でタイキエニグマが食い込む

aoyagilogo
ここ数年、本当に外れのオンパレードなので、 今年こそは肩に力を“入れて”、頑張りたいところです。

やはりカネヒキリが1番人気なのでしょうか。
確かに昨年のJCダート馬ですし、その実力は誰もが認めるところです。
しかしながら、抜けた存在ではなく、付け入る隙も多々あります。
特に今回は芝からのスタートによる出遅れの心配や、また治郎丸さんのおっしゃる通り、今期の最大の目標が次走のドバイですから仕上げにも心配があります。

そこでトウショウギアの参戦によるハイペースを見込んで、タイキエニグマの末脚に期待したいと思います。
昨年3月のマーチSで1番人気に支持されたように、元々ダート戦では素質を持っていた馬ですが、夏を超え成長し、その後3連勝、そして前走も最速の上がりで2着と勢いがあります。
確かに敷居が多少高いかも知れませんが、展開次第では十分に上位陣に食い込むだけの力はあります。
単勝ではありません、タイキエニグマの2着狙いです。

馬連の紐としては昨年のJCダート上位陣、そして前走の負けで人気を落としているブルーコンコルドあたりを考えています。
メイショウボーラーやアジュディミツオーなどの前に行く馬はいらないでしょう。
特にメイショウボーラーは昨年の勢いが全くありません。
元々2歳の頃から活躍している馬ですし、まだ5歳とは言え、そろそろ衰えがきているのかも知れません。

タイキエニグマを軸とした馬連で勝負したいと思います。

◎タイキエニグマ
○カネヒキリ
▲サンライズバッカス
△シーキングザダイヤ
△タイムパラドックス
△ブルーコンコルド


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カネヒキリがそれでも勝つことができるかどうか

jiromarulogo
お久しぶりです。
待ちに待った久しぶりのG1ですね。
今年の初戦から当たれば最高ですが、まあ肩の力を抜いて臨みましょう。

さて、今年のメンバーは非常にレベルが高いですね。
もちろん、昨年のJCダートを制したカネヒキリが頭ひとつ抜けているのは確かです。
とはいえ、2ヶ月以上のブランクがありますし、ドバイという目標が先にあるのも事実です。
かつて、アグネスデジタルという馬が、このようなパターンで臨んできたことがありました。
結果はフェブラリーSは勝利したのですが、ドバイでは惨敗してしまいました。
あの時のアグネスデジタルは、フェブラリーSでかなり仕上げていた印象を受けました。
もしカネヒキリの本当の目標がドバイにあるのであれば、ここ(フェブラリーS)でビッシリ仕上げてくることはないでしょう。
休み明けの部分も含めて、多少なりとも余裕残しの仕上げで出走してくるに違いありません。
それでも勝つことが出来るかどうかが、ひとつのポイントでしょう。

ダートG1で2着が6回もあるシーキングザダイヤも、今回はチャンスなのではないでしょうか。
とはいえ、この馬にはどういった条件が合っているのか、イマイチ掴み切れないところがあります。
昨年のフェブラリーSを2着したときは、血統的に時計の速いダートが合うと考えていました。
ところが、暮れの東京大賞典や川崎記念でも2着に好走しました。
つまりは、ダート戦ならば、どんな条件だろうと頂点に立てるだけの力を付けてきているということでしょう。
ひとつだけ不安があるとすれば、昨年秋からコンスタントに使って来ている疲労が出ないかということです。
特にここ3戦は、いずれも厳しいレースでしたから。

アジュディミツオーは、2戦連続でG1レースを制して勢いに乗っています。
内田博幸騎手を擁して、万全の体勢で臨んできます。
この馬はまさにパワータイプで、力の要るダートで本領を発揮するタイプです。
距離も、パワーで押し切れる2000mぐらいが合っているのではないでしょうか。
ところが、今回はスピードが必要とされる馬場ですし、マイル戦では一瞬の切れがなくては勝ち切れません。
ここ2戦とは条件が一変するので、今の勢いをもってしても、どこまで上位に食い込めるでしょうか。


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フェブラリーS2005-プレイバックG1トーク-

jiromarulogo
つい最近、有馬記念が終わったと思ったら、もうG1だね。
まあ、G1とは言っても、ダートのG1がポツンなので、いまいち盛り上がりに欠けますが。
ただし、今年はメイショウボーラーという新星の登場で、ソコソコ楽しめそうです。

まずは、そのメイショウボーラーから。
この馬の取捨が、今年のフェブラリーSのカギであることは間違いない。
結論から言うと、「好走間違いなしだが、誰かに差されるのではないか」と考えています。

大きな理由としては以下の2点。
1、他馬の目標にされる
2、マイル以上のスタミナが要求される
1、前走の圧勝ぶりから、断然の1番人気に推されるのは間違いない。そうなると、レースに行って、他馬の目標にされることは避けられない。前走の根岸Sは楽なペースで逃げられたけど、今回は4コーナー手前から有力馬が一斉にメイショウボーラー目掛けて仕掛けてくるはず。

2、東京競馬場のマイル戦は、実際にはマイル以上のスタミナを要求される。メイショウボーラーもスタミナがない馬ではないが、過去のマイル戦を見ても、距離が伸びて良さが出る馬ではない。ゴール板前で、末脚のしっかりした馬に逆転される可能性は大きい。
ここではマイナス材料を挙げましたが、もちろん現在の勢いは侮れません。
母父がストームキャットであるように、パワー勝負で、スピードの持続を競う競馬は得意中の得意です。
レースを使いながらも馬体重が確実に増えて、パワーアップも著しいです。

翳り(かげり)の見えてきたアドマイヤドンでは、捕まえきれないのではないでしょうか。
JCダート馬のタイムパラドックスも、JCダートはハマった印象もあり、再度あのようなレースができるかどうか疑問です。
好走と凡走を繰り返しているように、元々乗り難しい馬なので、武豊騎手の手綱さばきに注目です。

aoyagilogo
今年のフェブラリーSは展開面も人気面もメイショウボーラー中心ですね。
前走のレースを拝見していませんが、馬柱を見る限り、けちのつけようのない内容でしょう。
また、この馬は過去のレースを見てもわかる通り、ためも利きますし、またスタミナもそんなにない馬ではありません。
確かにマイル以上の距離がいいとは思えませんが、前走より距離が1ハロン延びた分、ゴール前で止まるということは
ないでしょう。
距離が延びたら延びたなりの競馬ができると思います。

ただ、私も、これは直感になりますが、ゴール前差されてしまうような気がします。
G1では前走とペース、道中の流れも変わってきますし。

ではそのときにどの馬にチャンスがあるのか…
私は逆転の目があるとすれば、アドマイヤドン、タイムパラドックス、ヒシアトラスの3頭だと思います。

アドマイヤドンは誰もが認める実力馬です。
しかしながら、昨年の秋ぐらいから陰りを見せ始めているのも確かですね。
おっしゃる通り、今この馬にメイショウボーラーをゴール前で捕らえるほどの気力があるとは思えませんね。
底力に期待といったところでしょうか。

一方、同厩のタイムパラドックスは昨年の夏あたりから力をつけてきました。
昨年のJCダートは距離もコースも乗り方も最高でしたが、今回は距離面に不安がありますね。
しかながら、過去のフェブラリーSが示す通り、展開が速くなる分、チャンスもあると思います。

ヒシアトラスはここ2戦の内容から一皮むけたのではないでしょうか。
勝ちきれなかった馬が現在2連勝しています。
勢いでいえば、この馬が一番かも知れません。
スピード面に疑問を持っていますが、スタミナ勝負になればメイショウボーラーを逆転できる可能性を持った1頭だと思います。

jiromarulogo
私も今回のフェブラリーSに関しては、ほぼ青柳さんと同じ見解です。
つまり、メイショウボーラーをヒシアトラスが差し切るのではないかということです。

ヒシアトラスは現在2連勝中の成績が示すように、一皮むけてきました。
砂を被っても、嫌気をささずに我慢できるようになったことが大きいですね。
前走の平安Sでも、抜け出す時に一瞬嫌がるそぶりを見せていましたが、最後までしっかりと伸びていました。
ジョッキーがしっかりと御して、直線も気を抜かせることなくキッチリと追ってくれば勝つチャンスはあります。
血統的にもティンバーカントリー×アリダーですので、スピード勝負になっても問題ないでしょう。
母親も芝で活躍した馬ですし。
最終追い切りを見ても、最後の1ハロンで仕掛けられると、飛ぶように伸びていました。
まさに絶好調です。

斤量を考えると、4歳馬は余程の力がないと勝てないでしょう。
ほんの2ヶ月前まで古馬と2kg差あったのに、いっきに同斤量ですから。
カフェオリンボス
シーキングザダイヤ
トップオブワールド
パーソナルラッシュ
以上の有力4歳馬たちも、良くて掲示板ではないでしょうか。

aoyagilogo
本命を素直にメイショウボーラーに打ちたいと思います。
唯一心配だったのが、内枠で出遅れて砂を被ったときだったのですが、枠も14番と外側なのでその心配もありません。
ペース次第で距離を克服できることも皐月賞で示していますし、前走から1ハロン延びても問題はないでしょう。
相手探しのレースだと見ます。

その相手ですが、タイムパラドックス、ヒシアトラス、ピットファイター、ユートピアの4頭をあげたいと思います。

タイムパラドックスとヒシアトラスは前回触れた通りですが、ピットファイターは前走を度外視すると、なかなかの戦績を残しています。
特に東京1600mダートは2戦2勝で適正も十分です。
あとは力関係だけですが、前走の大敗で人気が落ちるとなると、面白い存在です。

ユートピアは週末の荒れ模様でダートが軽くならないという条件で抑えたいと思っています。
決して強いと思いませんが、メイショウボーラー以外に強力な逃げ/先行馬もいませんので、2着に残ることもあるでしょう。

問題のアドマイヤドンははっきり言ってわかりません。昨年の秋はドバイ遠征の疲れが残っていたのかも知れませんが、少なくとも気力が落ちているのは確かでしょう。
走る気を出してくれれば当然勝ち負けですが、馬券的妙味もありませんので今回は軽視したいと思います。

メイショウボーラーを軸とした馬連で勝負したいと思います。
◎メイショウボーラー
○タイムパラドックス
▲ヒシアトラス
△ピットファイター
△ユートピア

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土曜日からの雨で、明日も不良、もしくは重馬場でのレースになりそうです。
ダートも雨の量によって、馬場状態が大きく変化します。
多少の雨であれば足抜きの良い走りやすい馬場。
大雨だと非常に走りにくい、田んぼのような泥んこ馬場。
後者の馬場だと、馬によってかなり巧拙が別れます。

そういった馬場による不確定要素も踏まえて、本命は◎ピットファイターを考えています。
前走の平安Sの敗因は、明らかに長期休養明けを激走(武蔵野S)した反動です。
外々を回ったこともありますが、それよりも状態に問題があったはずです。
今回は調教もキッチリとこなせていますし、再び走れる状態で出走してきます。
青柳さんのご指摘のとおり、東京ダート1600mは重賞を含む3戦3勝です。
足抜きのよい馬場になるのも、スピードが豊かなこの馬にとってはプラスになるでしょう。
鞍上のバルジュー騎手に追われて、一世一代の走りを見せてもらいたいものです。
ヒシアトラスは、スピードが問われる馬場で、一枚評価を下げました。
ただし、走法からは、こういった馬場を苦にしないタイプです。
蛯名騎手が馬に嫌気を差させないように回って来られれば、終いは外を回って伸びてくるはずです。
3番人気に推されているユートピアは、逃げることになるのでしょうか。
たとえ逃げられたとしても、メイショウボーラーにマークされる展開は厳しいはず。
さらに一本調子な馬なので、東京競馬場は合わないのではないでしょうか


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フェブラリーS
pbfeb05
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この年は、前日から雨が降って、かなり脚抜きの良い馬場でのレースとなりました。東京のダート1600mは基本的には差し馬有利ですが、雨が降ってしまうと前が止まらない馬場に一変します。勝ったメイショウボーラーは、前が止まらない馬場の恩恵を大きく受けたと考えています。通常の馬場であれば、間違いなく坂上で捕まっていたでしょう。

また、メイショウボーラーの母父と、そして2着に入ったシーキングザダイヤの父がストームキャットというアメリカンな血統であったことも興味深いですね。雨が降って脚抜きの良いダート競馬になったことで、ダートでのスピードの持続力を競う、いかにもアメリカ競馬向きの血統馬が台頭したレースでした。それにしても、なんでビットファイターに◎打ったんでしょう…。


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集中連載:「一流の騎手とは」-最終回-

jockey17 by StudioU

■『頭のよさ』と『意志の強さ』
このように武豊騎手の武豊騎手たるゆえんを並べてみたが、それでも武豊騎手を形づくっているものを表現することが出来ていない気がする。いくら技術や精神の一部を抜き出して、解析してみたところで、それは武豊という騎手の全体を説明することには遥かに及ばない。霧を手で掴むように、その本質は私たちのもとからスルリと逃げ去ってしまうのである。

それでも敢えて、ここまで述べてきたことをまとめて、一流の騎手としての条件を私なりの視点で切り取ってみると、『頭のよさ』と『意志の強さ』ということになるだろうか。

ここでいう『頭のよさ』とは、もちろん勉強ができるかどうかということではなく、「考える」という作業を通じてどれだけ自分の能力、素質を高めていけるかどうかということである。そのためには、自分が直接的に意識できる<世界>と、人を見たり人から聞いたりすることによって間接的に意識させられる<世界>とを継続的にすり合わせていかなければならない。

『意志の強さ』とは、「~したい」という強い気持ちであり、そういった強い意志、信念に支えられているからこそ、外的要素に影響されることなく、自分の信じた道を進むことができる。そして、そのことによって、正しい選択、判断をすることが可能になるのではないだろうか。

『頭のよさ』と『意志の強さ』のどちらかを欠いてしまえば、騎手として本当の成功を得ることは難しいだろう。頭がよいだけの騎手はいくらでもいるし、意志の強い騎手においてもそうである。騎手として同じ舞台に立っている以上、それぞれの持てる能力や素質は、元々それほど違いはないと考えてよい。

それでも、競争をしていく上で優劣が生まれてしまうとすれば、それはここでいう『頭のよさ』と『意志の強さ』に依るのではないか。このことは逆に言うと、『頭のよさ』と『意志の強さ』さえ備えていれば、すでに一流への道は開かれているということになるだろう。

頭のよさと意志の強さ。一流騎手を一流騎手たらしめているものは案外シンプルな要素なのかもしれない。オリビエ・ペリエ騎手や武豊騎手の活躍を見て改めてそう感じる。

(終わり)

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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フェブラリーS2004-プレイバックG1トーク-

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フェブラリーSはスピードだけではなくスタミナも兼備していないと勝ちきれないレースです。
感覚的には2100mのJCダートと同じと考えてもいいでしょう。
東京競馬場はごまかしの利かないコースなので、実力が正直に反映される真っ向勝負のレースになるはずです。
今年のフェブラリーSのメンバーを見渡してみると、アドマイヤドンの実績・実力が他馬と比べて一枚も二枚も上です。
スピード、スタミナ共に申し分ありません。
昨年のJCでフリートストリートダンサーにまさかの敗戦を喫したのは、アドマイヤドン自身の体調が万全ではなかったからです。
馬体重の推移が示すように、明らかにJBCクラシックでピークを迎えてしまったようです。
しかし、状態が下降線を辿っている中でも、ハナ差の接戦にまで持ち込んだのはこの馬の底力です。
昨年の夏を越して体が戻ったことにより、安定して力を出せるようになりました。
JCダート後、短い休養をはさみましたが、うまく体を戻すことができていれば、フェブラリーS→ドバイWCという夢が膨らみます。
あとは、この馬が力を出し切れるだけの状態にあるかどうかだけ見極めればいいでしょう。
東京競馬場はこの時期のダートでもさほど重くなりませんし、この馬にとってはたとえ雨が降っても問題ありません。
最終判断は調教の動きを見てからにしますが、ダントツの本命候補です。

2着候補としては、同厩舎のタイムパラドックスを挙げます。
この馬も昨年夏の休養をはさんで、体質強化のため安定して走れるようになりました。
距離短縮が不安視されていますが、東京の1600mであれば十分にこの馬の良さは出し切れるでしょう。
ただし、アドマイヤドンと比べてしまうと、かなりの厚い壁を感じます。
アドマイヤドンに勝つことは正直難しいでしょう。

そうなると、それ以下の面々では勝負にならないかもしれません。
サイレントディールやユートピアなども力のある馬ですが、いかんせんメンタル面が弱すぎます。
自分の型の競馬が出来ないとモロさを露呈してしまうようでは、まだまだG1には手が届かないでしょう。

それ以外では、ストロングブラッドが面白いかもしれません。
芝の重賞を勝っている馬ですが、本質的にはダートが合うようです。
勝ちきるだけの迫力は感じませんが、内枠を引いて、ジッと末脚をタメることができれば連下に突入できるかもしれません。

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フェブラリーSはアドマイヤドンの独壇場でしょう。
川崎のエスプリシーズ、あるいは マイネルセレクトが参戦すれば、まだ盛り上がったのでしょうが…
2着探しの 競馬だと思います。
アドマイヤドンの論評は治朗丸さんに任せるとして、2着候補についてコメントしたいと思います。

その2着候補として、まずは森厩舎の2騎、シャドウスケイプとノボトゥルーをあげたいと思います。
シャドウスケイプはステップレースとして重要な根岸Sを見事な末脚で勝利しました。
東京コースで良績を残していますし、3年前覇者ノボトゥルーのように、勢いに乗ってそのままフェブラリーステークスも!なんてことも十分にありえます。
アドマイヤドンを負かせるとしたら、現在勢いに乗っているこの馬以外いないでしょう。
その可能性は相当低いと思いますが、2着候補筆頭です。

ノボトゥルーはすでに8歳(昔の9歳)ですが、このメンバーであれば、まだまだ十分に闘えそうです。
前走でも全盛期を彷彿させるような末脚を見せてくれましたし、 なんといっても東京コースがこの馬にとってはベストの競馬場です。
2着としては面白い存在です。
ただ、JCダートでも最低人気だったのに、鞍上のせいでしょうか、人気になり過ぎです…
8歳馬がここまで人気になると、逆に考えてしまいますね。

サイレントディールとユートピアが2番人気、3番人気になると思いますが、 この2頭に馬券的妙味を感じませんね。
両頭ともJCダートで大敗しましたが、 確かに今回の距離で再度期待していい馬とは思いますが。

上記2頭であれば、イーグルカフェの方が面白いでしょう。
なんと言っても一昨年の JCダート勝ち馬ですし、昨年の当レースでも3着だった馬です。
ただ、芝であれば 東京コースがベストなのでしょうが、中山1800mのダートで良績を残しているように、 もしかしたら、ダートは中山の質の方が合っているのかも知れません。

スターリングローズも2着圏内でしょう。
一時期の勢いは落ちているようですが、 底力に関してはアドマイヤドン以外とは差がありません。
1600mのダート戦が少なく、 最近は1400mばかり使っているため距離面で不安もありますが、掛かる馬ではないので問題ないでしょう。
もともと1800mでも良績を残していますし。 馬券的妙味からも抑えたい馬です。

いずれにせよ、2着探しのレースでしょう。
ただその選定が非常に難しいですね。

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アドマイヤドンの最終追い切りを見ましたが、動き自体は疑問符がつきますね。
良く言えば実戦でないことが分かっている、悪く言えば真面目に走っていない。
そんな印象を受けました。
ただし、このレースを目標にじっくりと乗り込んでいますし、ビッシリと仕上げようという陣営の気持ちも伝わってきます。

アドマイヤドンについてもう少し話すと、この馬は本当にダート馬らしくないダート馬ですね。
前走のJCダートで惜敗したフリートストリートダンサーなんかと比べると、体の幅が半分くらいの薄さです。
一般的にゴッつくて力のありそうなダート馬の体形には程遠く、非常に珍しいタイプのダート馬です、

前置きが長くなりましたが、今回は◎アドマイヤドンの単勝で勝負します。
余計な力は使わない馬なのでゴール前ハラハラすることになるかもしれませんが、実力が他の馬とは違い過ぎます。
安藤勝己騎手も今回という今回は負けられないでしょう。

aoyagilogo
アドマイヤドンを軸として勝負したいと思います。
その相手1番手としては シャドウスケイプをあげます。
前哨戦の勝者ですが、1600m以上に実績がないことから、この馬に対する評価は賛否両論でしょう。
しかしながら、 抑えて競馬をする馬ですし、逆に東京コースを得意としているということを強調したいですね。
鞍上も追える江田照ですし、根岸Sの再現、あるいは3年前のノボトゥルーの再現を期待したいと思います。
それ以外には実績上位かつ本来は左回り巧者のイーグルカフェ、シャドウスケイプ以上に東京巧者のノボトゥルー、そして状態面で良化必至のスターリングローズを指名します。
特にスターリングローズはこのメンバーであれば、アドマイヤドン以外とは差がなく、馬券的にもお勧めしたい1頭ですね。

その他人気どころについてですが、サイレントディールは1枠1番を引いてしまったのが不運ですね。
揉まれ弱そうですし、先行せざるを得ないでしょう。
またユートピアに ついては古馬G1のように厳しい展開で通用するのかどうか疑問です。
人気にもなりますし、配当を考えると、馬券を購入したいとは思いませんね。
ブルーコンコルドに とっては1600mは明らかに長いでしょう。

アドマイヤドンを軸に4頭への馬連または馬単で勝負したいと思います。
サイレントディール、ユートピアが来たら、あきらめます。

◎アドマイヤドン
○シャドウスケイプ
▲ノボトゥルー
△スターリングローズ
△イーグルカフェ


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フェブラリーS2004
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この年は、アドマイヤドンの力が抜けていて、馬券的には面白味はありませんでした。実際のレースでも、目一杯に走る他馬を横目に、まるで調教のような(手を抜いた)走りで楽勝してしまいました。この頃からアドマイヤドンは手抜きを覚えてきたのですが、その余裕さゆえに、強さは底知れなく感じました。個人的には、アドマイヤドンのベストパフォーマンスだと思っています。

この年で1番人気の3連勝になりますが、特にこのレースを見ると、やはり東京の1600mダートはゴマカシの利かないコースということを再認識します。力のない馬が乗り方ひとつで勝ってしまうということは、まずないと言ってもいいでしょう。それから、ペリエ騎手の活躍も目に付きますね。翌年も好騎乗で2着に食い込むのですが、無欲で好位を攻めているのが好結果に結びついているのではないでしょうか。直線が長いとはいえ、やはり先行馬有利のコースですからね。


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フェブラリーS2003-プレイバックG1トーク-

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2003年度、待ちに待ったG1レースが始まりました。
春のG1戦線への叩き台として、このレースはぜひ当てておきたいところです。

今年のフェブラリーステークスは中山競馬場の1800mで行われるということ で、展開が結果を大きく左右することになるでしょう。
基本的に先行馬有利のコースですが、行きたい馬が揃っていますし、かえって先行馬にとって厳しい流れになるかもしれません。

JCダートの頃には2kgあった古馬との斤量差も1kgになっていることもポイントとなるでしょう。
明け4歳馬の成長力と、古馬との斤量差がどういった結果となって出てくるでし ょうか?
私としては、明け4歳馬と古馬が五分の条件で戦えるようになったと考えています。
つまり、どちらにも勝つチャンスがあるということです。

中心となるのは、やはりゴールドアリュールですね。
JCダートの時は、前走で体が減ってしまったことの反動があったと思います。
503kg→491kg→508kg→506kgと体重は戻しましたし、今回はJCダー トのような負け方はしないはずです。
抑えても競馬ができますし、無謀な先行争いには巻き込まれることもないでしょう。

ただし、手前の替え方がぎこちなかったりと、多少不器用な面があるようです。
そのことが、逃げれない(自分の走りができない)今回のレースでは不安点となります。
果たして、2、3番手から自分の走りをして直線で抜けだせるでしょうか。

アドマイヤドンは今回は消します。
最大の理由は、陣営から「負けるはずがない」というコメントが出たからです。
私の知る限りでは、「負けるはずがない」と強気な発言をして勝った馬は皆無です。
もちろんそれだけではなく、ゴールドアリュールト比べて、アドマイヤドンは成 長力に乏しいと考えています。
JCダートで、完全な勝ちパターンを後ろから差された負け方を見て、その後の成長度、1kgの斤量差を考慮すると、勝つのは難しいかなと思っています。

イーグルカフェの有馬記念における惨敗は、JCダートでの激走の反動が原因です。
今回は目標をここに定めているので、力は出し切れるはずです。
ただし、乗り難しい馬であることは事実で、果たしてデムーロがデットーリのように、運もなにもかも味方につけたような騎乗ができるでしょうか。
私は実力的にはゴールドアリュールの方が上だと考えているので、今回は本命にすることはありません。

エイシンプレストンはダートがどうでしょうか。
あまり速い時計が出るレース向きではありませんが、かといってダートが向いて いるかどうかというと、ちょっと・・・。
脚質的にも中山ダート1800mは苦しいかもしれません。
実績があるのである程度人気にはなるでしょうが、私はあまり魅力は感じません。

注目しておきたいのは、ディーエスサンダーです。
まだ1600万クラスを勝ったばかりですが、ダートが得意なタヤスツヨシの産駒ですし、母父がマルゼンスキーであるのも気になります。
このクラスになると、前走のようにマクッて勝つのは難しいので、どの程度前に 行けるかがポイントになってきます。
もしかしたら力が足りないかもしれませんが、いずれにせよ現時点では未知の魅力がある馬です。

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府中が改修中のため今年度は中山開催ですが、メンバーも含めて、 基本的には昨年度のJCダートと同じ構成ですね。
違いと言えば、 エイシンプレストンが参加してきたという点でしょうか。
ただ、JCダート当時と比較して、各馬の状態や明け4歳馬と古馬との力差、あるいは展開面は大きく変わってきそうです。

まず展開面について。
今回、逃げたい、あるいは先行したいと考えて いる馬は、スマートボーイ、カネツフルーヴ、レギュラーメンバーあたりでしょう。
特に前2頭は、近走でも逃げて結果を出しているので、是が非でも 逃げたいところです。
昨年のJCダートにも上記3頭が参戦していましたが、 スマートボーイは出遅れて、カネツ、レギュラーともにある程度抑える競馬をし、 意外とペースが落ち着きました。
スマートボーイについては出遅れ癖があるので、なんとも言えませんが、普通であればハイペースになるはずです。
そうなると、いくら中山ダートが先行馬向きとは言え、差し/追い込みに有利に働きます。

有力どころではゴールドアリュールにとって厳しいレースになるように 思われがちです。
しかし、私は逆にゴールドアリュールにとっては競馬がし易くなると考えます。
この馬は単なる逃げ/先行馬ではありません。
スピードの違い、あるいは砂を被るのを嫌がって先行しているのだと思います。
いきなり馬混みで競馬をすると、 砂を被って嫌がる可能性もありますが、ハイペースであれば縦長の展開で砂を被らず好位で競馬が進められるはずです。
鞍上も鞍上ですので、JCダートと同じ轍を踏まない と思いますし、私もこの馬を1番に期待しています。

逆転があるとすれば、やはりアドマイヤドンだと思っています。
1週前追い切りのちぐはぐさと、JCダートから間隔が開いているため、ゴールドアリュールを上としましたが、この馬にはどんな競馬にも対応できる能力があります。
JCダートはゴールドアリュールを意識しすぎた気もしますが、逆にあのレースでこの馬の能力を改めて感じました。
問題はご指摘の通り、この一族の成長力ですね。
母親しかり、兄しかり、どちらかというと早熟タイプではあるのは間違いありません。

それ以外ではビワシンセイキとノボトゥルーが面白いでしょう。
ビワシンセイキは前走で負けた分、人気が落ち、馬券的妙味はありますし、ノボトゥルーについては一昨年のチャンピオンです。
府中での開催であれば、 自身を持って本命にするところなのですが。
ただ、ペリエと肌が合うと 思いますし、近走を見ても力の陰りは見られません。
右回りでもたれる癖をペリエがどう克服するのか見ものです。

ディエスサンダーについては中山ダートを得意としていますし、私も面白い存在だと思いますが、G1では前走のようなまくり気味の競馬で通用するとは思いません。

あとはエイシンプレストンの取捨が難しいですね。
調教駆けする馬とはいえ、 ダートに適性があるのかどうか。
一昨年の根岸Sは参考外ですし、芝でアドマイヤドンあたりと比較すれば1着の可能性もありますし、大敗の可能性もありますね。
この馬については予想屋個々の考え方により変わってくると思います。
私?
無印にしたいところですが、根拠がなく未だ取捨に迷っています。

今のところは以下4頭が本命候補になります。
ゴールドアリュール
アドマイヤドン
ノボトゥルー
ビワシンセイキ

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展開を予測するのは非常に難しいよね。
コースとしては先行馬有利だけど、メンバーを見渡すとハイペースになりそうだし、かといってハイペースだから前が止まるとは限らない。
あまり展開予測に固執するのは危険かもしれないね。

力関係を考えると、ゴールドアリュールとアドマイヤドンの2頭は、ダービーでも上位に来たように、他の馬と比較すると1枚以上力が抜けていることは事実でしょう。
ただし、今回のフェブラリーステークスはダ-ト戦だし、しかも時計の掛かるダートです。
例年通りの、芝並みのタイムの出る東京競馬場で行われたらこの2頭で堅いといえるかもしれないけど、中山で行われる今年はどうでしょうか。
2頭以外の馬にも十分に勝つチャンスはあるでしょう。

それでも本命は単勝◎ゴールドアリュールにします。
先週の追い切りでは重さを見せていましたが、あのひと追いで変わってくるはずです。
もともと追い切りは抜群に動く馬なので、仕上げは難しくなさそうです。
JCダート同様に、アドマイヤドンなどの有力馬に執拗にマークされることは避けられません が、あの頃とは状態が違うので逆に4コーナーでは突き放してくれるはずです。

レギュラーメンバーも面白い存在です。
なんと言っても、脚部不安で休養をしていた馬が、2週連続でこれだけの調教ができるという点を強調したいです。
時計が速いということではなく、強い調教ができるという点です。
リフレッシュなったようで、冬場のこの時期にもかかわらず素晴らしい毛艶です。
年齢を重ねて折り合いがつくように成長していれば、3、4番手から抜け出すイメージも湧いてきます。

ビワシンセイキは東京大賞典がピークの出来にあった気がします。
状態落ちというか、追い切りの動きを見ても、完調にはないでしょう。

ノボトゥルーも、一昨年のこのレースを勝った頃の力はもうありません。
ペリエ騎手がどこまで持って来るかですが、良くて掲示板くらいではないでしょうか。

カネツフルーヴやスマートボーイのように、自分の型に持ち込めないとダメという馬は、信用 ができませんし、今回の展開では苦しいでしょう。

リージェントブラフは近走で堅実に走っていますが、川崎記念を勝って臨んだ昨年程の勢いは 感じられません。

ディーエスサンダーはマクる競馬ができるとは思っていませんが、力がどの程度通用するのか 疑問です。
未知の魅力があり、面白い存在だとは思いますが、今回は特に強調材料もないので見送りたいと思います。

aoyagilogo
ご指摘の通り、東京と中山のダートの質は全く違いますね。
さらに今シーズンは拍車をかけて、時計のかかる馬場のようです。
日曜は雨という予報も出ていますので、馬場状態もかなり微妙です。
雨が降って脚抜きが良くなると、スピード上位のゴールドアリュール、 アドマイヤドンがさらに有利なると思います。
エイシンプレストンあたりも、ある程度雨が降って脚抜きが良くなってくれた方が望ましいのは 間違いありません。

さて本命ですが、私もゴールドアリュールで考えています。
能力的には やはりアドマイヤドンとこの馬が抜けていると思いますが、順調度および成長力から、ゴールドアリュールを上として考えました。

アドマイヤドンですが、 先週の調教がちぐはぐで、さらに今週の調教も軽めだったので、もしかしたら 重め残りかも知れません。
当日の馬体重と状態は要チェックです。
また、JCダートから間隔が開いているのもゴールドアリュールと比較してマイナス材料ですかね。

3番手以降としては、前回のメール同様、ノボトゥルー、ビワシンセイキを 考えています。
ノボトゥルーは年齢的にも一昨年の勢いがないのは確かですが、 上記2頭以外の比較であれば、全く見劣りするところはありません。

ビワシンセイキについても使い詰めですが、状態は平行線と言ったところでしょうか?
ピークにないのは確かですけど。

リージェントブラフについても近走、好成績を残していますが、勝ち切れていないところを見れば、あっても2着といったところでしょうか。
ただ、今の中山の馬場は この馬向きだと思います。

レギュラーメンバーは私の中ではカネツフルーヴと同じタイプですね。
どちらかと 言うと、追って味のある馬ではないでしょう。
いずれにせよ、上位2頭で決まる可能性が高いと思っていますが、単勝、馬連で勝負するかはこれから考えたいと思います。

#JCダート時と結論が一緒になってしまいましたが。
私の予想です。
◎ゴールドアリュール
○アドマイヤドン
△ノボトゥルー
△ビワシンセイキ


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フェブラリーS2003
pbfeb03
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東京競馬場の改修工事のため、この年は中山1800mで行われた。「上がり不問」と言われるコースだけあって、レースの上がりが38秒4で、追い込みの利かない先行馬にとって圧倒的に有利な設定であった。また、この年は明け4歳馬と5歳以上との斤量差が1kgあり(以降は同斤量)、まさに明け4歳の先行馬ゴールドアリュールに勝ってくださいというレースであった。

迷うことなく◎ゴールドアリュールを本命にしたが、同じ明け4歳馬のアドマイヤドン(2番人気)を消したのには理由があった。その理由とは、松田博調教師が「絶対勝てる」発言をしていたからだ。なぜなら、私が競馬を始めて以来、「絶対」という発言が飛び出た馬が勝った試しがないからだ。ものすごく非論理的な理由に思われるだろうが、この法則(?)は正しいと思う。絶対がない競馬の世界で、「絶対」という言葉を聞いただけで疑ってかかった方がいい。絶対がない世界で、「絶対」と言っている時点で、どこかおかしいのだ。


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集中連載:「一流の騎手とは」-第17回-

jockey16 by M.H

■勝ちたいという強い気持ち
そして、何よりも武豊という騎手を最も深い部分で支えているのは、「勝ちたい」という強い気持ちなのではないだろうか。一見クールに見える武豊騎手ではあるが、百四十億の脳細胞、六十兆の全身の細胞のすべてが競馬に勝つことに徹していて、その信念の強さと目的意識は他の騎手の比ではない。

同期である蛯名正義騎手は、武豊騎手の凄いところとして、「大レースでも条件戦と同じように落ち着いて乗れるところ」を挙げているが、なぜ武豊騎手がプレッシャーに押し潰されてしまうことがないかというと、「勝ちたい」という明確な意識から生まれる集中状態に入ることができるからではないか。勝つためには、馬をいかに速くゴールさせるかに集中しなければならず、それ以外の外的要素、たとえばプレッシャーなどは入り込む余地はない。つまり、プロセスに没頭することによって、極限の集中状態に自分を落とし込むことに成功しているのである。

勝つためには時として無謀と見える騎乗をしなければならないこともあるだろう。無難な乗り方をすれば掲示板に載ることは確実な馬でも、ギリギリまで追い出しを我慢してみたり、思い切って仕掛けていったりすることによって勝機が拡がることがあるからだ。そうした場合、武豊騎手は迷わず「勝ちに最も近い騎乗」を選択する。大レースにおいてもこのような騎乗ができるのは、こうすれば勝てるという強い信念と自信があるからこそではないか。

ナリタタイシンを駆って出走した平成5年のダービーはその好例である。皐月賞を後方一気の差し脚で勝利したナリタタイシンであるが、4コーナーを10番手以内で回らなければ勝てないといったダービーポジションがまことしやかに囁かれていた時代でもあり、皐月賞と同じ乗り方をしたら届かないと専門家たちは口々にしていた。そんな中で武豊騎手はナリタタイシンを先頭から20馬身以上はあろうかという最後方を進ませたのである。これではレースにならないのではという心配をよそに、直線ではグイグイと伸びて、ウイニングチケット、ビワハヤヒデに遅れはしたが3着を確保した。

もちろん勝つことができなかったので武豊騎手にとっては悔しいレースであったにちがいないが、あれだけの大舞台で、自分のベストとする乗り方を貫いたことに私は驚嘆した。今考えても、2400mという距離が少し長いナリタタイシンにとって、持ち味の末脚の切れを生かすにはあの乗り方がベストであったと思う。負けはしたが、ナリタタイシンの100%の能力を出し切った好騎乗であった。

(最終回へ続く→)

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集中連載:「一流の騎手とは」-第16回-

jockey15■技術を超えた何か
前回までは、一流の騎手に備わっているべき技術について述べてきたのだが、それらはあくまでも技術であって、ただそれだけで一流の騎手であるということにはならない。たとえ技術にだけ秀でていたとしても、それは他の騎手より少しだけ多く勝てるということしか意味しないだろう。

それでは、技術以外の部分で、一流の騎手とそうでない騎手を隔てるものは何なのだろうか。ハナ差、首差で鎬を削る厳しい勝負の世界で、ほんの一握りの騎手だけが長年に渡って勝ちを重ね、幾多の大レースを制することができるのはなぜなのだろうか。きっとそこには技術を超えた部分においての何かがあるに違いない。

■「考えて乗る」
武豊騎手が日本を代表する一流騎手であることは、疑う余地がないだろう。彼は天才型のジョッキーとして知られているが、武豊騎手ほど「考えて乗る」騎手はいないのではないか。

兄弟子であった河内騎手は、まだ見習いの頃の武豊騎手を、「自分で考えて自分で消化するタイプの子」であると評し、「“自分ならこう乗る”とシュミレーションしながら、ずっと僕を見ているのは感じていた」と語っている。そして、武豊騎手は今の若手に対して、「レースや調教でもっと考えることがあると思うんだけど」という苦言を呈している(Number Plus 10月号)。

このように、武豊騎手は決して閃きや勘でレースをしているのではなくて、普段の調教からレースに臨むにあたるまで、常に「考える」ことを通じ、最上のものを選択しながら騎乗しているのである。

ここでの「考える」とはどういうことかというと、「自分が直接的に意識できる<世界>と、人を見たり人から聞いたりすることによって間接的に意識させられる<世界>とを比較した上で、いいとこ取りをする」ことである。

たとえば安全な運転のできる良いドライバーは、運転している自分の視点だけではなく、バックミラー、サイドミラーなどを通して得た情報を用いて、自分の車を真上から見たような視点によって周りの車との位置関係を把握している、というイメージが分かりやすいだろうか。そうすることによって、どれくらいのスピードで走るのが適切か、どの辺りからブレーキを踏むべきかを正確に割り出し、はたまた突然のアクシデントにも多少の余裕を持って対処することができるのである。

つまり「考える」とは、内的な視点と外的な視点とのあいだを行き来することによって、相互における異和を認識し、良い部分は残し、悪い部分は矯正するというすり合わせの作業のことなのである。

自分が直接に意識できる<世界>が大きければ大きいほど、その世界における素質は高い。さらに、高い素質を洗練させていくためには、人を見たり人から聞いたりすることによって間接的に意識させられる外的な<世界>と向き合わなければならない。

武豊騎手は人一倍研究熱心であることは騎手養成校時代から有名であったそうで、自由時間にはいつも過去のレースのビデオを観ていたというエピソードも残っている。栗東トレーニングセンターに在厩しているほとんどの馬についてのデータが頭に入っているので、歩く競馬四季報とも冗談で呼ばれているそうだ。その世界をもっと深く知りたい、知ることによって自分の<世界>をも拡げたいという欲求を持つ武豊騎手が、さらなる高みを目指して世界に挑戦するのはごく当然のことである。

このような競馬に対する姿勢だけでなく、公の場で見せるスマートな立ち振舞いを見るにつけ、武豊騎手の非凡さを感じざるを得ない。記者会見、勝利騎手インタビューでの的確かつユーモアに溢れた丁寧な受け答え。自分を誇示するのではなく、過剰ではない程度のファンサービス。騎手としての自分は何をするべきかという認識をしっかりと持ち、人間としてのバランス感覚が優れていることが窺い知れる。勝負師としてだけでなく、一人間としても、「考える」という作業を通じて、内的な自分と外的な自分とのすり合わせが見事になされているのである。

Photo by StudioU

(第17回へ続く→)

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集中連載:「一流の騎手とは」-第15回-

jockey14 by M.H

同じ手応えの馬を同時に追い出せば、必ずや追う技術のある騎手の馬が勝つ。今や伝説的な騎乗とされている、L・デットーリ騎手による平成8年と平成14年、【平成17年】のジャパンカップでのライディングは、馬を追う技術に依るところが大きい。たとえハナ差といえども、決して後ろの馬に抜かせない勝負強さは、デットーリ騎手の追う技術の確かさを証明している。

もちろん、馬が追えるからという理由だけで、これら3つのレースを制することが出来たわけではない。スタート、道中の位置取り、コーナリング等、全てにおいてがパーフェクトライディングである。デットーリ騎手自身も、決して馬が追えるだけの騎手ではなく、これまで述べてきた技術のあらゆる面においての平均点が飛び抜けて高い騎手である。

それでも、これらのレースを制した決め手となったのは、デットーリ騎手の馬を追う技術と言ってよいだろう。馬を遊ばせることなく、最後の最後まで力を振り絞らせることができるからこそ、2400mの距離を走ってハナ差という決着を制することができる。わずかでも気を抜かせたり、あきらめさせたりしてしまえば、アッという間に後続の馬に抜き去られてしまうだろう。

まず、ハミを通した手綱さばきであるが、デットーリ騎手はかなりしっかりとハミをかけるタイプである。道中もしっかりとハミを掛けながら追走させ、直線に向いてからは、さらにキッチリと掛けたハミを通して、馬の伸縮運動を補助しながら末脚を伸ばしてやる。肘を支点にして、かなり強い力で追っているのが分かる。

そして、ステッキも場面に応じた使い方をしている。直線入り口でゴーサインの意味のステッキ、馬の走りの伸縮に合わせて一発ずつ入れるステッキ(ステッキは馬が縮んで伸びようとする瞬間に入れる)、さらにゴール前でもうひと踏ん張りさせるためのステッキの連打。デットーリ騎手は、ステッキを用いて騎手の意志を馬に伝えるのが上手い。

また、下半身はピッタリと鞍に張り付き、全くブレていない。これは馬を追う動作だけに限ったことではないが、デットーリ騎手の“鞍ハマリ”は抜群に良いのだろう。馬は人間が背に跨った感覚で、その人となりを察知するとされるが、彼がその背に跨っただけでも馬は走る気になるのだろう。だからこそ、馬を動かすことができ、これまで他の騎手では先行できなかったズブい馬でも、デットーリ騎手が乗るとあっさりと前に行けることは多い。

この“鞍ハマリ”は極めて感覚的な部分で、なぜデットーリ騎手が乗ると馬が走る気になるのかははっきりとは分からない。とにかく、ある騎手が乗っても全く動かなかった馬が、別の騎手が乗ると走り出すという“鞍ハマリ”というものが騎手の世界では存在する。技術的な部分では説明できない、馬と人間との感覚的な部分での相性というものだろうか。

私の感覚で言うと、この馬と騎手との“鞍ハマリ”は、組織でいうところの上司と部下の関係に当たるのではないだろうか。ある上司の下では全く働かなかった部下が、上司が変わって猛烈に働くようになったとか、あの上司のためなら滅私してでも奉公したいとか、そういう感覚ではないかと思う。たとえは卑近になってしまったが、つまり、デットーリ騎手にかかると、どんな馬でも彼のために最後まで全力を尽くしてしまうのだ。

(第16回へ続く→)

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たくさんの方に励まされました

先日、「ランキングについて」というエントリーを書いたのですが、予想外の共感の声をいただきました。私と同様に、ランキングに支配されたブログのあり方に疑問を抱いていた人がいたことを、素直に嬉しく思います。

【Brotherhood of YOU and KUREHA】のくれはさんには、私の感情的な意見をきれいにまとめていただきましたし、【ウィークエンドの05】のnowebさん、DAlphaさん、【ヘタレ馬券の記録】のkuronekoさん、ジロウさん、【white-horseって、whiskey?】のoktriverさん他、たくさんの方に励まされました。

ブログの更新って、結構孤独な作業ですよね?自分のために始めたHPが、いつの間にか他の人のためになり、さらにランキングのためになっている状況で煮詰まっていたのかもしれません。そんな中、自分の気持ちを思い切って吐き出してみたエントリーに反応があり、やっぱり見てくれている人は見てくれていると感じることができ、本当に嬉しかったんです。

【平日はスーパー営業マン、週末はウイニングホースプレイヤー】のヒテさんがおっしゃるように、私もこのブログを通じて多くの方ともっとコミュニケートしていきたいと感じました。

これからも「ガラスの競馬場」はパワーアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

そして、ありがとうございました!


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