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集中連載:「一流の騎手とは」-第15回-

jockey14 by M.H

同じ手応えの馬を同時に追い出せば、必ずや追う技術のある騎手の馬が勝つ。今や伝説的な騎乗とされている、L・デットーリ騎手による平成8年と平成14年、【平成17年】のジャパンカップでのライディングは、馬を追う技術に依るところが大きい。たとえハナ差といえども、決して後ろの馬に抜かせない勝負強さは、デットーリ騎手の追う技術の確かさを証明している。

もちろん、馬が追えるからという理由だけで、これら3つのレースを制することが出来たわけではない。スタート、道中の位置取り、コーナリング等、全てにおいてがパーフェクトライディングである。デットーリ騎手自身も、決して馬が追えるだけの騎手ではなく、これまで述べてきた技術のあらゆる面においての平均点が飛び抜けて高い騎手である。

それでも、これらのレースを制した決め手となったのは、デットーリ騎手の馬を追う技術と言ってよいだろう。馬を遊ばせることなく、最後の最後まで力を振り絞らせることができるからこそ、2400mの距離を走ってハナ差という決着を制することができる。わずかでも気を抜かせたり、あきらめさせたりしてしまえば、アッという間に後続の馬に抜き去られてしまうだろう。

まず、ハミを通した手綱さばきであるが、デットーリ騎手はかなりしっかりとハミをかけるタイプである。道中もしっかりとハミを掛けながら追走させ、直線に向いてからは、さらにキッチリと掛けたハミを通して、馬の伸縮運動を補助しながら末脚を伸ばしてやる。肘を支点にして、かなり強い力で追っているのが分かる。

そして、ステッキも場面に応じた使い方をしている。直線入り口でゴーサインの意味のステッキ、馬の走りの伸縮に合わせて一発ずつ入れるステッキ(ステッキは馬が縮んで伸びようとする瞬間に入れる)、さらにゴール前でもうひと踏ん張りさせるためのステッキの連打。デットーリ騎手は、ステッキを用いて騎手の意志を馬に伝えるのが上手い。

また、下半身はピッタリと鞍に張り付き、全くブレていない。これは馬を追う動作だけに限ったことではないが、デットーリ騎手の“鞍ハマリ”は抜群に良いのだろう。馬は人間が背に跨った感覚で、その人となりを察知するとされるが、彼がその背に跨っただけでも馬は走る気になるのだろう。だからこそ、馬を動かすことができ、これまで他の騎手では先行できなかったズブい馬でも、デットーリ騎手が乗るとあっさりと前に行けることは多い。

この“鞍ハマリ”は極めて感覚的な部分で、なぜデットーリ騎手が乗ると馬が走る気になるのかははっきりとは分からない。とにかく、ある騎手が乗っても全く動かなかった馬が、別の騎手が乗ると走り出すという“鞍ハマリ”というものが騎手の世界では存在する。技術的な部分では説明できない、馬と人間との感覚的な部分での相性というものだろうか。

私の感覚で言うと、この馬と騎手との“鞍ハマリ”は、組織でいうところの上司と部下の関係に当たるのではないだろうか。ある上司の下では全く働かなかった部下が、上司が変わって猛烈に働くようになったとか、あの上司のためなら滅私してでも奉公したいとか、そういう感覚ではないかと思う。たとえは卑近になってしまったが、つまり、デットーリ騎手にかかると、どんな馬でも彼のために最後まで全力を尽くしてしまうのだ。

(第16回へ続く→)

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競馬とはそもそもなんなんでしょう。 馬はそもそも他馬と走り出したら、自らの本能(敵から逃れる)ために全力で走るものだ。 それを騎手が操る。 だから馬7:騎手3という言葉 [Read More]

Tracked on February 03, 2006 at 02:51 AM

Comments

デットーリ騎手の騎乗技術とパフォーマンス。特に彼のファンでなくても惹きつけられるものがありますよね。彼に限らず、海外には本当に一流だと感じさせる騎手がたくさんいます。

武豊騎手が「海外では沢山の競馬場があり、新人騎手と一流ジョッキーが同じレースに騎乗するケースは少ない」とどこかで言っていましたが、腕を磨くことへのハングリーさが日本の環境とは違うのかもしれませんね。

Posted by: nozoweb | February 02, 2006 at 11:55 PM

私もそう思います。

実戦を通して培った騎乗技術に、圧倒的な差があります。

そして、何よりも、腕を磨くことへのハングリーさが違います。

外国人ジョッキーが皆一流ということではありませんが、たまに同じ人間には見えない時がありますね。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 03, 2006 at 12:14 AM

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Posted by: kurofune | February 03, 2006 at 01:01 AM

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