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なぜ考えるのか

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このわずか2.7倍の単勝を買うために、私はおよそ1週間考え続けた。特にレース前日の土曜日などは、ほとんど1日中をフェブラリーSの予想に費やしてしまったのだ。やっと決断できたのが日曜日の朝で、当ブログへのアップもかなり遅い時間になってしまった。

私が考え続けたのは、もちろんカネヒキリの取捨である。

カネヒキリには、次の2つの不安点があった。
1、能力を発揮できる状態にまで仕上がっているのか
2、スタートで立ち遅れることはないのか

まず1については、レース1週間前までの馬体を見る限り、まだ100%の状態にまでは仕上がってはいなかった。しかし、芝コースで行われた最終追い切りで、ハットトリックを凌ぐ動きを見せ、このひと追いでガラッと状態が上向くことも期待できた。

2については、この東京1600mダートで走った2つのレースで、カネヒキリは共に立ち遅れている。2度あることは3度あるというように、今回のレースでも立ち遅れてしまう可能性は十分にある。とはいえ、カネヒキリは本来スタートの良い馬でもあり、これといって立ち遅れてしまう決定的な理由もない。

つまり、どちらの不安も、実際にレースで走ってみないと分からないのである。

競馬において、ほとんどの要素は実際に走ってみないと分からない。スタートした後に、全ての不安は解消されるか、もしくは見事に的中することになる。しかし、競馬の予想をする以上、スタートをする前に少しでも多くの不安要素を解消していかねばならない。特に今回は、カネヒキリが圧倒的な能力を持っていることがはっきりしている以上、上の2つの不安を解消できるかどうかが馬券の当たり外れに直結してくる。だからこそ、私は他のことを全て投げ打って考え続けた。

しかし、どうしても私には分からなかったのだ。それでも私は、「カネヒキリは完調とまではいかないが、能力を発揮できる状態にまで仕上がっていて、たとえ出遅れたとしても、なんとか差し切ることができるはず」という結論を下した。そして、実際のレースでは、カネヒキリは出遅れることもなく、私の結論を大きく上回る、他馬を寄せ付けない強さで圧勝した。結果的に馬券は当たったものの、決して私の考えが当たったわけではない。

レース後の安堵感の中、「なぜ、毎々レース、当たりもしない先を考えるのだろう?」とふと思った。そのレースを当てるために考えているのだが、実際にそのレースの勝ち負けに直結することはほとんどないという実感があるにもかかわらず。実際に走ってみないと、ほとんどのことは分からないと分かっているはずなのに、それでもなぜいつも考えてしまうのか。

疲労した頭で出した結論は、

「それでも考えないと、いつか負けてしまうから」

である。

つまり、そのレースを当てるために考えていることが、結果として、どこかのレースで役に立つという直感があるからである。今回考えたことが、また次に考える時に、いろいろ考える方法のひとつとして役に立つということはよくある。たとえばカネヒキリについて考えたことが、ディープインパクトについて考える時に、ひとつのノウハウとして生きてくるのである。

考えなくても当たることもあるが、考えなければいつかは負けてしまう。

だからこそ、もし競馬が知的ゲームであるとすれば、考えることを続けた者のみが最終的な勝者になれるのだ。


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Comments

治朗丸さん、こんばんわ。

 競馬を始めたばかりの頃、中山競馬場で知らない中年のおじさんが
「考えて分かるんだったら苦労しないよ」
と大声で言っていたことが、非常に印象に残ったことがありました。
 また、年末の「競馬場の達人」でも寺田濃さんが「あなたにとって競馬とは?」と聞かれ、
「走って見なきゃわからないもの」
と答えられ、”競馬の一つの側面をズバリ言い当てているなー”と感心したものです。

 私もいつも思うのです。他人がやっている競技なのだから、私がどのように予想しようと、全くといっていいほどその結果とは関係ないと。
 でも、私達が競馬と向き合う以上できることってかなり限られていて、そのけっこう重要な部分を占めるのが「考える」ということではないでしょうか。
 それに、競馬について考えたり、悩んだりするのって、それなりに楽しいんですよね。
 考えすぎたり、いろんな知識や経験を得ることが、かえって素直な眼を奪うことがあるということを承知した上で、私もまた、競馬について考えていきたいと思いました。

 最後に、”批判ブログ”について。
様々な意見が出されておりましたが、
一方的だったり、誰かを貶めようとしたり、憂さ晴らし目的だったりするコメントが一つもないのが素晴らしいですね。
このブログを読まれている方の質の高さ、競馬に対しての真面目さを感じることができ、うれしくなりました。

Posted by: たるみ | February 26, 2006 at 11:55 PM

たるみさん

なるほど。

そうです、そうですよね!

私たちに出来ることは「考える」ことで、それが苦しくも楽しくもあるんですよね。

もしかすると、これが競馬の最大の魅力なのかも知れません。

たるみさんに気付かせてもらいました。

批判ブログの件でも、読者の方々から多くを気付かせてもらいました。

失うものもあった反面、私にとっては得るものも多かったと思っています。

たるみさんに初めてコメントもらったのは、確か昨年のNHKマイルCの時でしたよね。

ブログに移行したばかりの時に、「おかげさまでラインクラフト当たりました!」っていう言葉をかけてもらって嬉しかったことを覚えています。

また遊びにきてください!

Posted by: 治郎丸敬之 | February 27, 2006 at 01:32 AM

ども。
治朗丸さんは里中李生という方をご存知ですか?
http://www.satonaka.jp/job/index.html
里中氏は単複スタイルで、本には馬券の狙い時や彼の競馬、印のつけかたに対する姿勢等、勝負師であり紳士であるための馬券術が多くつづられています。
初めて読んだときは共感するところがほとんでした。
ただひとつ、彼のフェミニスト?な部分は置いておいて。(爆)

私は勝ち馬を当てるのが競馬だと思っています。
いろいろ考えた上でのカネヒキリの単勝馬券お見事でした。
出遅れることもなく、また超Hペースになったため力のある馬しかこれず
直線は安心して見ていられたのではないでしょうか?
次回も期待してまっす!

Posted by: あらた | February 27, 2006 at 05:39 PM

治朗丸さん、こんばんは☆

んー今週と来週は忙しいので週末にチョコっと更新することしかできないのが現状です・・・。本格的に更新しまくれるのは来年の11月頃ですね。治朗丸さんに負けないくらいに魅力的なエッセイなどを書きたいものです(笑)

たしかにバランスオブゲームの5馬身差逃げ切りはビックリしましたねー!自分はダイワメジャーの弾けなさにもビックリしましたが・・・。それでもバランスオブゲームは色々と買い材料があったのでしっかりと馬券はとれました☆このことについてもしっかりブログで回顧してみたいと思います☆

カネヒキリの勇断、すごかったです!自分にはあれはする勇気がありませんでした・・・。ブログの回顧にも書いたのですが、Hペースで前が残るとは想像もしていませんでした・・・。ユートピアさえいなければ。。。後の祭りですね(笑)

Posted by: TAKU | February 27, 2006 at 06:57 PM

あらたさん

里中李生さんのことは、知っていますよ。

かなり前ですが、「競馬 勝てる天才、負ける凡才」という本を読んだことがあります。

彼は相当に苦労して、単複というスタイルを手に入れたんだろうなぁと思いました。

それ以降、競馬だけに留まらず、色々な本を出版されてますね(笑)。

「鬼になれる器、なれない器」を本屋で立ち読みしたことがありますが、結構面白かったですよ。

彼は文筆家ですね。

フェブラリーSは、あらたさんのおっしゃるように、ハイペースで力の勝負になったこともカネヒキリにとって幸いしましたね。

直線では、安心して見ていられたというよりも、あれだけ考えたのがアホらしくなるくらいの圧勝でした…

あらたさんも、中山記念の的中おめでとうございます!

ブログを拝見しましたよ。

また遊びに行きます。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 27, 2006 at 09:09 PM

11月から本格的に更新ですか。

TAKUさんのブログは、ひとつひとつの記事に時間を掛けられているのが分かります。

エッセイを楽しみにしていますが、マイペースで更新してくださいね。

そうです、バランスオブゲームは買い材料がたくさんありましたね。

「平日はスーパー営業マン、週末はウイニン…」のヒテさんも書いてましたが、前走でダートを使われて馬が刺激を受けたことと、雨が降って後ろの馬に辛い展開になったこと等が重なっての5馬身差でしょう。

来週の予想も楽しみにしております!


Posted by: 治郎丸敬之 | February 27, 2006 at 09:17 PM

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