Dance,dance again!
by gradeone
ヴィクトリアマイル2006-観戦記-
心配された雨も止み、ほとんど良馬場に近い稍重馬場でレースは行われた。府中のマイル戦にしては珍しく、前半4ハロンのラップも47秒5という遅さで、道中で後ろに位置しすぎた馬や、外々を回された馬にとっては厳しい展開となった。
そんな中、1番の絶好枠を引き当てたダンスインザムードは、内々をロスなく立ち回り、桜花賞以来2年1ヶ月ぶりの勝利を手に入れた。元々、肉体的には牝馬として最高レベルにある馬であり、精神的なゆとりを取り戻したことが今回の最大の勝因である。忍耐強く精神面のケアを続けた、関係者の方々の見えない努力がようやく実った。昨年秋からの走りを見ると、完全復調なったと考えて良いだろう。
北村騎手は、昨年の天皇賞秋の悔しい経験を生かし、今回は最後の最後のギリギリまで追い出しを我慢していた。まるで藤沢流の調教を見ているようで、ダンスインザムードという馬を知り尽くした最高の騎乗であった。4コーナー出口であれだけ手応えがあると、早目に抜け出したいというのが騎手の心情ではあるが、そこをグッとこらえることが出来たことは、必ずやこれからのレースに対する自信にもつながっていくに違いない。
ただひとつだけ苦言を呈するならば、ゴール前でのひとムチは必要なかったのではないか。ムチを入れるまでもない手応えの差であったし、馬が伸びきったあの時点でムチを入れても、あれ以上に伸びることはないだろう。勝ちが見えて無我夢中で入れてしまったひとムチではあるが、ダンスインザムードが尻尾を振って嫌がっていたように、せっかく前向きになってきた馬の気持ちを逆撫ですることにも繋がりかねない。北村騎手にとっては、最後の100mだけは反省材料が残るレースであった。
エアメサイアはプラス体重もなんのそので、直線でも良く伸びて勝ち馬に迫った。スローペースの外々を回り、なおかつあれだけの脚を使うのだから、この馬にとっては運が向かなかった。枠順に恵まれていれば、かなり際どい勝負になったのではないか。道中ゆったり行けて、ラストの瞬発力勝負というレースには滅法強いことを、再び証明した。
ディアデラノビアは、いつもよりも前に位置して、4コーナーではあわやという手応えであった。エアメサイアと比べるとパワーで見劣りしてしまったが、この馬もラスト3ハロン33秒8の脚でかなり切れている。今回は道中で引っ掛かることもなく、スムーズに折り合い、岩田騎手も納得の騎乗であったのではないか。
1番人気のラインクラフトの敗因をひとつだけ挙げるならば、やはり距離の問題だろう。1200m→1400mというステップレースを使って、G1レースのマイル戦に臨んできた馬にありがちな直線での沈み方であった。今のラインクラフトに刷り込まれているペースで走ると、府中のマイルは長すぎたということになる。同じ馬でも、使ってくるレースの選択によって、走るリズムが変わってくるのだ。また、古馬になって筋肉が付き、しっかりとした馬体になってきたように、マイル以下の距離で良さを発揮できる本質が表れてきたということでもあろう。いずれにせよ、牡馬に混じって走る今後は、短距離での活躍が望まれる。
ヤマニンシュクルは、直線までいい手応えで来たが、弾けなかった。やはり、前走で久しぶりの勝利を挙げた走りの反動が、少なからず出てしまったのだろう。脚元に不安のある馬は、仕上げることも難しいが、激走した後の反動をセーブすることもまた難しい。
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