ロジックを超えた
by gradeone
NHKマイルカップ2006-観戦記-
上滑りのする高速馬場で、終わってみれば1分33秒2という速いタイムでの決着となった。やはり、この時期の府中の馬場は、これしきの雨では悪化しない。前に行きたい馬が揃っていたこともあり、全体的にペースが速く、差し馬にとって有利なレースとなった。
枠順を生かし、終始内々の経済コースを回ったロジックが、最後の最後でファイングレインを競り落として、父アグネスタキオンに初のG1タイトルをもたらした。とはいえ、この馬のアグネスタキオン産駒らしからぬおっとりとした気性と、スパッとは切れないがジワジワ伸びる末脚は、母父のサクラユタカオー譲りと思われる。コースや枠順、そして展開にも恵まれたことは確かだが、この馬自身も体が絞れて究極といえる状態にまで仕上がっていた。今回のNHKマイルカップを終えて、橋口調教師と武豊騎手という仕事人コンビの恐ろしさを改めて感じた。
仕事人といえば、横山典弘騎手の好騎乗も光る。引っ張るでもなく、押すでもない、何ともたとえ難い手綱捌きで、流れに乗りつつも、ファングレインのリズムを存分に生かす、非の打ち所のないレースであった。最後は勝ち馬の勢いに屈してしまったが、この馬も最後まで本当に渋太く伸びている。フジキセキ産駒らしからぬ底力は、母ミルグレインを遡ったミルリーフの血を濃く受けているのかもしれない。この馬も馬体を黒光りさせ、最高の状態に仕上がっていた。
キンシャサノキセキは、フサイチリシャールを目標にレースを進め、外から交わした時の脚は勝ったと思わせるだけの勢いがあった。フサイチリシャールが伸びなかったことが大きな誤算で、1頭になってフワッとしてしまった。標的を間違えた安藤勝己騎手としては、悔いの残る騎乗だろう。
フサイチリシャールの敗因は、おそらく精神的なところに求めるべきである。あの手応えで直線を向いて失速してしまうということは、肉体的な限界が来たのではなく、馬自身が走ることを自らやめてしまっているということだ。体型や距離の問題以前の、最後にひと伸びふた伸びする気力の問題である。もう少しスケールの大きな馬であったが、結果的に言うと、朝日杯フューチュリティSを勝つためにビッシリと仕上げて、しかも勝ってしまったことのツケが、ここに来て回ってきているのではないか。
マイネルスケルツィは、前走で仕上がっていた反動からか、追い出してから全く反応しなかった。上滑りの馬場を苦にするとは思えず、時計もほとんど前走と変わらない。この馬のように筋肉質のタイプは、急激に体調が下降線を辿ってしまうことがある。あまり将来性を期待できる馬体ではなく、今後はマイル以下かダート戦に照準を定めるのが妥当であろう。

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