「POGの極」


「サンデーサイレンス産駒なきいま、POGの勝敗は馬体で決まる」という切り口は面白いが、果たして実際にそうかと言うと疑問である。立派な馬体をしていた馬が1ヶ月後にはガレてしまうこともあるし、形の崩れていた馬がデビューに向けてアッとおどろくバランスを取り戻すことだってある。完成された馬の体の良し悪しを判断するだけでも難しいのに、この時期のまだ完成されていない、最も変化が起こりやすい2歳馬の馬体だけを見て、その将来性を見抜くのは至難の業である。
この本の半分は名前の出せない生産者による馬見論であるが、正直なところ、あまり見るべき所はない。飛節、球節やトモの造りを詳細に解説してはいるが、ありきたりのことであるし、こういった各論は競馬ファンをかえって混乱させてしまう恐れがあると思う。実際に読んでもらえば分かるが、飛節の角度や力強さ、球節の柔らかさやトモの筋肉の質など、誰が見てもその違いは見分けられないだろう。この解説を読む限り、おそらくこの名前の知られていない生産者も、はっきりとした判断基準を持ち合わせていないに違いない。
さて本題だが、私がこの本を紹介したのは、第3章以降に柴田英次氏が語る内容に深い含蓄を感じ、おそらくはPOGに臨むにあたってのヒントが満載されていると考えたからだ。
まずは、「兄弟馬の写真があれば手間を惜しまず見比べる」というのは、まさに正論である。ラフィアンの岡田総帥が成功した理由として、「この馬の兄弟がどんな形に出て、どんな成績だったのか」、「牝系にどういった特徴があるのか」に精通していることを氏は挙げている。さらに、金子オーナーがカネヒキリの兄弟を持っていたからこそ、カネヒキリが走ると判断できたのかもしれないとも述べている。私としても、ディープインパクトが傑作となる可能性をデビュー前に見抜くことができるとすれば、兄弟との比較でしかあり得なかったと思う。
そして、種牡馬別に攻略のポイントを挙げているが、その物言いはインサイダーにしてはストレートで、極めて核心を突いている。フジキセキがサンデーサイレンスと全然似ていないという意見には諸手を挙げて賛成するし、走らないフジキセキ産駒の特徴として「重たい」を挙げており、さすが分かってらっしゃると相槌を打ちたい。はっきりとは言っていないが、アグネスタキオン産駒はあまり走らないということは、私もそう思うし、スペシャルウィークがサンデーの第一後継者になるだろうことにも同意見である。最後に、ノーザンファームの強さについても触れているが、つまり、その馬がどこで生産されたかもPOGを攻略する上で大切な要素になるということである。
ここでは挙げ切れないほどの数々ヒントは、まさに現場で馬を見てきた経験者ならではで、したり顔の、実は何も分かっていないマスコミ関係者が書いたPOG本とは一線を画している。ちなみに、柴田英次氏のおすすめ新種牡馬はマンハッタンカフェで、クロフネ級の成功の可能性もあるそうである。POGファンだけではなく、馬券ファンにとっても学びのある一冊である。
追記:このエントリーに関して、【キルトクールブログ】のひろく~んさんから厳しいご指摘をいただきました。彼の指摘は99.9%正しく、この本で宣伝されているHPについても、ほとんどぼったくり状態です。POGで馬体診断してお金取れるわけないでしょう!背後のHPまで調べることなく、この本を少し軽率に薦めすぎたかなぁと反省しております。いずれにせよ、POGそのものがビッグマーケットになってきたことを痛感しました。ひろく~んさん、ありがとう。
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Tracked on June 17, 2006 at 12:56 AM

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Comments
コピペで失礼いたします。
わちきの方に書いたコメント返しですがこちらにもお返事した方がいいと思い同じ文面をコピペさせていただきます。
治郎丸敬之さん。始めまして。m( _"_ )m
よろしくお願いいたします。
>すいません。「POGの極」褒めちゃいました…
あ、いえいえ、もちろん善い悪いは主観的な部分もありますので、褒めるのは全然かまわないとは思うのですが、、、
ちょっとPOG本としてのありかたはどーなの?
って思っていたところにあのHPですから、ちょいとPOGの極にはムカムカしていたところなんです。
そいでいつも「ガラスの競馬場」さんは拝見させていただいておりまして、競馬関係者に近いところにいらっしゃるみたい。
それであの褒め方だとすると、、、え~?関係者なのかな~???
なんて思ってしまった次第です。。。
>実は何も分かっていないマスコミ関係者が書いたPOG本とは一線を画している。
さらにこの一文は多分青本or赤本?を差していると考えると、POGで役に立つのはどっちよ!
っと考えるとやはりちょっと問題提起してみたかったのです。。。
さらに言えば、柴田氏の書いてあることも、漠然としすぎていて、なんらPOGの参考にならない気がしていました。
例えば攻略ポイントとして書かれていた
「父に似ていない産駒の方が成功する傾向あり」
とかに、じゃぁ具体的にはどの馬なのよ。
っていうイライラ感もありました。
んで、このHPを見ると、どう考えてもわざと具体的にどの馬かを指摘しないように書いているとしか思えない。
いつも鋭い視点で書いている治郎丸敬之さんの記事としてはとても違和感を覚えるものでした。。。
そこでちょっと突っかかっていった次第であります。
不快になられたとしたら申し訳ありません。
Posted by: ひろく~ん。。。 | June 18, 2006 at 01:30 AM
ひろく~ん。。。さん
ありがとうございます。
本当にこういったコメント嬉しいです。
>柴田氏の書いてあることも、漠然としすぎていて、なんらPOGの参考にならない気がしていました。
おっしゃる通り、柴田氏の書いていることは漠然としていて、具体的にPOGの参考にはならないと思います。
あくまでもヒントとしてですが、競馬の本質からはズレていないと感じました。
これを言ってしまっては元も子もないかも知れませんが、どの馬が走るとか走らないとかは、それだけ難しい問題だということでもあります。
ただHPの内容は確認していないので、もしかするとこの柴田氏も怪しい業界の方なのかもしれません。
前半部分で名前の出せない生産者にダメだししたので、柴田氏は持ち上げすぎた嫌いはありますね。
>さらにこの一文は多分青本or赤本?を差していると考えると、POGで役に立つのはどっちよ!っと考えるとやはりちょっと問題提起してみたかったのです。。。
もちろん、POGはゲームなので、攻略性がないと役に立たないですが、赤本や青本に代表されるPOG攻略本が、ある意味競馬を食い物にしつつあるのかなぁと思い、ちょっとチクリと書いてみただけです。
ひろく~ん。。。さんが違和感を持ってくれた感覚、私の記事を読んでくれているからだなぁと、素直に嬉しかったです。
貴ブログでご指摘されている、境勝太郎先生の件ですが、私もそう思いますよ(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | June 18, 2006 at 02:21 AM