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◆第6位指名◆ハギノポンパドール(父クロフネ)牝

クロフネ French Deputy Deputy Minister
Mitterand
Blue Avenue Classic Go Go
Eliza Blue
ポンパドール ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
パッショナリア2 Beldale Flutter
Djallybrook

今年のノーザンファームの生産馬は、ここ数年の世代に比べると、少し落ちるのではないかという気がする。これはあくまでも個人的な感覚でしかないのだが、最大のライバルである社台ファームに比べ、POGとして魅力的な馬が今年は少ないのではないだろうか。これまでならば、魅力的な馬は意図せずともノーザンファームの生産馬であったが、今年はなぜか社台ファームの生産馬に行き着いてしまうのだ。もしかすると、今年は社台ファームの巻き返しがあるかもしれない。

とはいえ、私はノーザンファームの生産馬が好きである。ノーザンファームの生産馬というよりノーザンファームが、いや、ノーザンファームというより吉田勝己氏が好きなのである。ノーザンファーム生産馬のスケールの大きさは、ノーザンファームのスケールの大きさであるし、ノーザンファームのスケールの大きさは、吉田勝己氏のスケールの大きさであると思う。たとえ不作の年があろうとも、ノーザンファームがディープインパクト級のスケールの大きな馬をこれからも生産し、日本競馬の将来を担っていくことは間違いない。

ノーザンファームの生産馬ということで選んでみたのが、このハギノポンパドールである。馬体や血統からは大物感は感じられないが、得てしてこういうところにダイヤの原石が転がっているのも、ノーザンファームのスケールの大きさである。気性の素直そうな目は、父クロフネの優等生的な部分を受け継いでいるのだろう。走らせてみないと馬体の柔らか味までは分からないが、立ち写真を見る限りは健康そうな体つきをしている。あまり大きな期待をせずに、無事に走ってくれるよう見守りたい。

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集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第13回

Course14

競馬場のコースを構成する「7つの仕掛け」を、もう一度振り返ってみたい。

①回り(右回り、左回り)
サラブレッドは、右回りでも左回りでも、どちらかの手前だけを使って走るわけではなく、基本的にはどちらの手前もバランス良く使って走ることになる。ほとんどの馬にとっては、コースが右回りか左回りかということはそれほど競走成績には影響がない。実際のレースを想定して予想をする上では、左回りか右回りかはほとんど気にする必要はないだろう。

もし明らかに左右どちらかの回りで走らないといったことがあるとすれば、それは利き脚の問題ではなく、コースの幅やコーナーの角度に理由を求めたほうがよい。
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②コースの広さ(幅)
コースの幅が狭くなればなるほど、レースがゴチャつきやすく、紛れが多くなる。逆に、コースの幅が広ければ広いほど、紛れがそれだけ少なくなる。

また、コース幅が狭いことによって、内を通った馬は伸びて、外を回された馬は失速してしまうというような、トラックバイアスが生まれやすいということになる。トラックバイアスが大きければ、それだけ紛れも多くなることはご存知の通りである。
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③大回り、小回り
同じ距離を走るにしても、途中のコーナーで一息つける小回り(スパイラルカーブ)のコースと、そうできない大回り(複合カーブ)のコースでは、要求されるスタミナが違ってくる。さらに、コーナーがきつければきついほど、それだけスピードを落として曲がらなければならず、コーナーのきつい(小回りの)コースではペースが落ち着きやすい。

また、コーナーがきつい(小回りである)ことによって、ペースのアップダウンが激しくなり、展開にも大きな乱れを与えることが多く、小回りのコースでは展開的な紛れが多々生じるという結果につながる。
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④コーナーの数
回らなければならないコーナーの数が多いほど、ペースのアップダウンが激しくなる。基本的には、コーナーの数の多さとレース全体のペースの速さは反比例する。回らねばならないコーナーがあればあるだけ、道中のアップダウンが激しくなり、その分、紛れが生じやすくなるのだ。
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⑤直線の長さ
最後の直線が長いコースほど、紛れが少ないコースであると言える。直線の長いコースでは最終的には力の勝負になる。脚を余して負けたりすることはなく、どの馬も最後まで力を出し切ることができるので、力の足りない馬が実力馬を出し抜くチャンスは限りなく少ない。

そして、直線もジワジワとしか伸びない馬にとっては、直線の長いコースの方がレースがしやすい。逆に、瞬発力は素晴らしいものを持っているが、良い脚が長続きしないという馬は直線の短いコースでその能力を存分に発揮できる。
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⑥坂があるか、平坦か
コースにおいて坂の高低差が大きいということは、直線が長いことと同じように、それだけコースが苛酷であることを意味する。そして、坂を駆け上るにはスタミナや精神的な強さだけではなく、物理的な力強さ(パワー)も要求される。腰の甘い馬(腰の力の弱い馬)は坂のあるコースを苦手とする。
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⑦1コーナーまでの距離
ポジション取りの際には、1コーナーまでの距離が大きな問題になってくる。

1コーナーまでの距離が短いコースでは、どうしても前にポジションを取りたいという馬が数頭いた場合、1コーナーまでの間に激しい先行争い(ポジション争い)が繰り広げられることになる。そのため、前半がハイペースになってしまったり、ポジション争いに巻き込まれて接触したりなどの不利を受けてしまう馬もいるだろう。

反対に、1コーナーまでの距離が長いコースでは、各馬比較的にゆっくりとポジション取りができるため、あわてて馬を急かせることなく前半を進めることが出来る。そうすると、前半のペースは自然とスローになる。

このように、1コーナーまでの距離は、どのようにレースが始まるかということをあらかじめ推測するための材料になる。
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(最終回へ続く→)

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◆第5位指名◆キラメクネオン(父アドマイヤコジーン)牡

アドマイヤコジーン Cozzene Caro
Ride the Trails
アドマイヤマカディ ノーザンテースト
ミセスマカディー
キャバレー サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ガラスザイク コインドシルバー
デリラハード

誰も言わないので私が言うが、アドマイヤコジーンは凄い馬である。2歳時にG1(現・朝日杯フューチュリティS)を勝ち、さらに6歳になってからもG1(安田記念)を勝っている。その間、なんと4年もの歳月が流れているのである。しかも、2度の骨折を挟んでのものである。普通、骨折を経験した馬は能力が半減してしまうと言われているだけに、その価値は計り知れない。

2歳時のアドマイヤコジーンは、柔らか味のある馬体から繰り出される鋭い末脚を武器にした馬であったが、6歳時は馬体すら硬くなったものの、最後まであきらめずにスピードを持続させる渋い馬に変身していた。復活というような生易しい表現ではなく、アドマイヤコジーンはまさに生まれ変わったのである。

安田記念を勝った時の観戦記に付けた「長かったよ」というタイトルは、アドマイヤコジーンと後藤騎手のG1勝ちだけではなく、なかなか大ヒットのなかった私の予想にも掛けたものでもある。後藤騎手やアドマイヤコジーンの関係者と一緒に、私も長いトンネルを抜けた感慨を味わったレースであった。そういった意味でも、アドマイヤコジーンは実に思い入れのある馬である。

コインドシルバー→ガラスザイク→キャバレー→キラメクネオンというネーミングも、透明感を増したかと思いきや、あっと言う間に華やかさに行き着いてしまって、小田切氏(馬主)らしい遊びに満ちている。スタミナ豊富な母系を考えると、もしかするとダービーの2400mは適距離かもしれない。キラメクネオンという名の馬がダービーを勝利するイメージがどうしても湧かないが(笑)、そんな私の狭い了見などぜひ打ち破ってほしいものである。

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踏み込みの深さが意味するものは?

Humikomi_1

メルマガ「馬券のヒント」にて、“踏み込みの深さで分かるのは距離適性”という仮説を立てたが、誤解があると困るので、もう少し詳しく補足しておきたい。

まず前提としてあるのは、パドックでよく言われる、「後肢(トモ)の踏み込みがいいから、この馬は調子がいいですね~」という馬の見方である。踏み込みの深い馬=調子の良い馬という等式は、かなり昔から、まるで定説のように信じられてきた。

しかし、私はこの定説に少し疑問がある。なぜなら、パドックでは馬はみな興奮しているので、普段よりも脚は大きく出るものだからだ。踏み込みのときに、いかにも力が入っているように見える馬は、興奮しているだけで、かえって良くないのではないかと思う。G1レースに出てくるような馬を見てもらっても、それほど力強くは映らないのではないだろうか。また、飛節の角度が大きい馬は自然と踏み込みも深くなるので、踏み込みが深い馬がいいとは一概に言い切れない

それよりも、後肢の踏み込みの深さは、距離適性と密接な関係にある

スプリンターは前肢よりも後肢が発達しているので、後肢を深く踏み込み、一完歩一完歩に力を使いながら歩く。これで全力疾走すれば、短距離はなんとかもっても、距離が長くなってしまうとスタミナが続かないということになる。それに対して、ステイヤーの踏み込みは、後肢が深くなくても、リズミカルに踏み出され、返しもスムーズで無理がない歩き方をする。このように、スプリンターとステイヤーでは、踏み込みの深さや力強さが違うのである。

つまり、踏み込みの深さから分かるのは、調子の良さではなく、短距離適性なのである。もし短距離戦のパドックで踏み込みが深く力強い馬を見つけたら、スプリンターの資質が表れているということで狙ってみても面白いだろう。しかし逆に、もし長距離戦のパドックでそういう馬が歩いていたら、道中で引っ掛かってしまう、もしくは最後の直線でスタミナ切れを引き起こしてしまうのではないかという心配をしたほうがいい。

さらに、補足の補足で、パドックで馬の動きのどこを見るかと問われれば、後肢の踏み込みよりも、前肢の出ではないかと私は思う。パドックで馬の調子を見極めるのは非常に難しいので、私は多くは語れないが、前肢が綺麗に(スムーズに)出ているように見える馬は好走する率が高いと思う。騎手にとっても、後肢よりも前肢の出が気になるという。乗馬経験のある方ならよく分かるのだが、前が窮屈だったり、硬かったりする馬は、乗っていても気持ち悪いものである。

もっとも、前肢の出が綺麗か(スムーズか)どうかということを見極めるのも、また難しいのであるが…。

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追記
私がリスペクトするこちらのブログで、先日のエントリー「インサイダー情報の罠」を紹介していただきました。「インサイダー情報」について、私とはまた別の切り口で大胆に述べられていますので、まだ読まれていない方は必読のエントリーです。「競馬がくれるいろいろな楽しみ」をできるだけ多くの人に伝えていきたいというblandfordさんの願いは、私のそれと同じです。秘密馬券クラブも、もうすぐオープンされるようで、非常に楽しみにしています。

「秘密馬券クラブ」について、まだ知らないという方はこちらから。
→【秘密馬券クラブ】
→【秘密馬券クラブ続報】

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輓馬(ばんば)

Banba 1star

言わずと知れた、映画「雪に願うこと」の原作であるが、これまで私が読んできた競馬関連の小説の中では最高の作品である。私は映画を観る前に原作を読むと決めているのだが、あわただしくしているうちに、いつの間にか映画の劇場公開も終わってしまっていた。そこで、ようやく取れた今年の夏休みで読み始めたのだが、読み始めるや、まさに直線一気の末脚でラストまで読み終えてしまうほど面白かった。

事業に失敗し、借金取りに追われて、主人公(矢崎学)は輓曳(ばんえい)競馬の厩舎に逃げ込んで来るのだが、そこで出会った人々や馬たちとの交流が彼の凍てついた心を溶かし、遠ざけていた兄(東洋雄)との関係をも近づけることになる。この小説全体を貫く、氷点下の世界の“寒さ”と、人間そして馬が生きていることの“温かさ”が、実に見事に描かれている。

私の心に最も植えつけられたのは、物語の最後に、主人公の矢崎が人生に立ち向かう決意をして厩舎を出て行くシーンである。

「輓馬のレースってさ、人生そのものだと思わないか」 「何?」 「第一障害が二十歳、成人式さ。大人になるための試練なんだけど、後から考えると大したことはないよね。二十歳をすぎれば、今度は平坦路だ。突っ走る。夢中で走るよな。」 東洋雄は眉を寄せたまま矢崎をにらみつけていた。 矢崎が淡々と続ける。 「そして第二障害が男の厄年、数え四十二、満で四十一になる年だ。ちょうど今の俺の歳だな。」 「何が言いたいんだ?」 「おれにとって、今度の借金が第二障害だと思うんだよ。逃げるわけにはいかない。ここまで逃げてきたおれがいうのは何だけど、ここで逃げ出したら、一生逃げなきゃならなくなる。」 唐突に第二障害でのけぞったウンリュウの姿が脳裏によみがえった。 その後、ウンリュウはもがき、苦しみながらも障害を乗り越え、最後の平坦路を走り、結局は三着に入った。

輓馬のレースは人生そのものという比喩が、第一障害を越えて、夢中で突っ走っている私にズッシリとのしかかってきた。と同時に、いずれ私を待ち構える、最大の第二障害を絶対に乗り越えてやるという気持ちがムクムクっと湧いてきたのだ。また輓曳(ばんえい)競馬に勇気をもらいに行きたくなった。


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集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第12回

Course13

■コーナーを回る競走の原理原則
ここまで、競馬場のコースを構成する「7つの仕掛け」について説明してきたが、最後にコースと密接な関係にある「枠順」についての基本的な考え方を示しておきたい。

コーナーを回る競走の原理原則は、「基本的には内枠が有利である」ということである。走るコースが限定されていない、スタート直後からオープントラックのコースでは、外から切り込まなければならない外枠が不利になるのは当然のことである。

特に地方競馬では内枠有利は定説となっているが、これはスタートしてから1コーナーまでの距離が極端に短いからである。1コーナーまでの距離が短いとそれだけポジション争いは激しくなり、外枠の馬にとっては不利になってしまう。地方競馬ほどでないにしても、内枠と外枠の違いを意識しなければならないことは中央競馬でも同じである。

内枠が有利な理由としては、良い位置を取るためのロスが少ないことと、距離に無駄のない経済コースを通って走ることができるからである。外枠は先行して良いポジションを取るための距離ロスが多く、もし内にコースを取れなかった場合には、レース中、終始外々を回らなければならず、内を通った馬と比較すると、かなりの余分な距離を走ることになってしまう。

■内枠・外枠の不利な点 
このように「基本的には内枠が有利」なのだが、場合によっては内枠であることによって不利になってしまうこともある。以下に内枠・外枠が不利になる場合をそれぞれ整理して挙げておきたい。

内枠が不利になる場合  
・包まれてしまって能力を発揮できない  
・他馬を気にする馬が馬込みで走らなければならない  
・他馬の出方を見ることが困難   
・外から寄られて不利を受け易い

外枠が不利になる場合  
・外々を回らされて距離ロスをしてしまう  
・引っ掛かる馬、素直過ぎる馬が前に馬で壁を作ることが出来ずに折り合いを欠いてしまう  
・1コーナーまでの進入で無駄な力を費やさなければならない  
・スタンド前では観客に近い所を通らなければならない  
・内側の仮柵が外された時期に、芝の状態の良い部分(グリーンベルト)を通れない  

ここに挙げた不利な点の裏返しが有利な点であり、内枠・外枠それぞれに一長一短があることをお分かりいただけたと思う。つまり、「基本的には内枠が有利である」ことに間違いはないのだが、外枠・内枠共にメリット・デメリットを併せ持ち、まるでコインの裏表のようにレースの綾を織りなしていくのである。

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(次回へ続く→)

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あなたにとっての名勝負とは?

Meisyoubu

名勝負とは何だろうか?

かつて、田原成貴という騎手が、「平成8年の阪神大賞典でのナリタブライアンとマヤノトップガンのマッチレースは、言われるほど名勝負ではない」と言っていたことを、ふと思い出した。田原氏は、あの阪神大賞典は、「マヤノトップガンがただカウントを取りにゆくようなストレートを投げ、それをブライアンが打ち返しただけのレースである」と主張する。お互いが100%の力を出し合った上で、鎬を削ったレベルの高いレースではないというのだ。

それに対して、今度は武豊騎手が、平成9年のマヤノトップガンがサクラローレルやマーベラスサンデーをまとめて差しきった天皇賞春を、「マヤノトップガンはハマッただけ」と言っているのも面白い。横山典弘サクラローレルと武豊マーベラスサンデーが互いに意識をして早めに仕掛けた中、後方で待機して漁夫の利を得たのが田原成貴マヤノトップガンであったということである。

田原氏の主張も、武豊騎手の意見も、お互いに間違ってはいないだろうし、そういう見方も当然あると思う。そして、騎手である以上、自分の負けたレースを名勝負とは認めたくないということでもあろう。つまり、1つのレースを取っても、観る人の視点や立場が異なれば、名勝負ともなり、凡レースともなるということである。

それでも、名勝負とは、「それぞれの背景をもつ役者が揃ったレースで、その役者たちがあらん限りの力を出し切って死闘を繰り広げたことにより、観客に感動を呼び起こすこと」であると私は思う。

勝負である以上、勝ち負けが存在するわけだが、名勝負に勝ち負けはほとんど関係ない。阪神大賞典のマヤノトップガンは負けはしたが、ナリタブライアンに最後まで食らいついたことにより、壮絶なデットヒートを演出した。一方の天皇賞春では、サクラローレルとマーベラスサンデーが火花の散るような意地の張り合いをしたことにより、マヤノトップガンの奇跡の豪脚を演出した。

そして、名勝負に何よりも大切なことは、どれだけ観客の心を動かしたかどうかということである。たとえばボクシングでも、鮮やかに勝った試合よりも、たとえ負けたとしても、何度倒されても立ち上がった試合の方が観客の心を動かし、名勝負とされることが多い。そういう意味では、平成8年の阪神大賞典も平成9年の天皇賞春も、どちらのレースも名勝負であると私は思う。

あれから10年の年月が経ち、日本馬のレベルは海外に匹敵するほど格段に上がった。しかし、その反面、私たちの心を動かす名勝負が繰り広げられることが少なくなった気がしていた。そんな中、先日のキング・ジョージVI&クイーン・エリザベスDSでハリケーンランとエレクトロキューショニスト、そしてハーツクライの3強が繰り広げたデッドヒートは、まさに名勝負であった。久しぶりに競馬って最高だと思った。

あなたにとっての名勝負はどのレースですか?

☆私が選ぶ名勝負ベスト3☆
①平成9年天皇賞春 マヤノトップガン×サクラローレル×マーベラスサンデー
②平成5年天皇賞春 ライスシャワー×メジロマックイーン
③平成6年マイルCS ノースフライト×サクラバクシンオー

平成9年天皇賞春

Photo by fake Pace

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◆第4位指名◆ダイワチャーム(父フジキセキ)牝

フジキセキ サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ミルレーサー Le Fabuleux
Marston's Mill
エグズマキー Pleasant Colony His Majesty
Sun Colony
Hangin On a Star Vice Regent
Hangin Round 

ダービー馬のペーパーオーナーになりたい、という最初の主旨とはズレてしまうが、この馬にはダートでコツコツと、いや、大きく稼いでもらいたい(笑)。素直そうな目をしているし、雄大かつバランスの取れた馬体は、父を同じくするカネヒキリに思わずその姿を重ねてしまう。

母父プレザントコロニーは、リボー系で初のケンタッキーダービー馬である。芝の中長距離を圧倒的に得意とする種牡馬で、底力抜群、根性抜群、成長力抜群、芝抜群、ダート抜群、スタミナ抜群と6拍子揃っている。ステイヤー血統にありがちな重苦しさはなく、3歳からも活躍できるし、マイル戦の対応力も十分にある。

ダイワチャームの馬体の伸びを見る限り、このプレザントコロニーの良い部分が出ているように思う。父であるフジキセキの産駒は、重たく硬く、胴が詰まり気味に出ることが多く、こういった馬はほとんど走らないし、走ったとしても短距離専門になってしまう。逆説的になってしまうが、フジキセキにいい意味で似ていないので、ダイワチャームには走るフジキセキ産駒の特徴が出ているのだ。あとは、松国流の調教で馬体の伸びやかさが失われないことを祈るだけである。

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神秘的な馬、ナリタブライアン

Naritabrian

ナリタブライアンは、その競争成績からは想像もつかない純粋な目と、幼さを残す表情が印象的な馬であった。飄々として何を考えているか分からなかったが、だからこそ神秘的な馬でもあった。3冠を達成し、有馬記念までブッコ抜いた時の、その黒い弾丸の衝撃は忘れられない。彼こそは、天才のサラブレッドと呼ばれるに相応しい。

◎告知◎
Photostudポスター展Ⅱがプラザエクウス(渋谷)にて開催中です。なんと、このナリタブライアンのポストカードが各日先着100名の来場者にプレゼントされるそうです(8月14日~20日までの期間)。この永久保存版のポストカードをもらわない手はありませんよ!お近くにお住まいの方は、ぜひ今週中にお越しください。

■「Photostudポスター展Ⅱ」の詳細はこちら
http://www.equus.jrao.ne.jp/html/event.html


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インサイダー情報の罠

Insider_1「インサイダー(競馬関係者)情報が知りたい」という声を耳にすると、つい私は悲しくなってしまう。そういった願望につけこんだ商売が横行していることを嘆いているわけではなく、インサイダー情報を知れば馬券が当たると思い込んでいる競馬ファンが、まだ多くいることに愕然としてしまうのである。

インサイダー情報を頼りに馬券の予想をしていたのは、もはや戦前の話である。現在と比べると限られた情報しか与えられていなかった競馬ファンが、どこからともなく流れてくる風の噂を大きな根拠として、馬券を買わざるを得ない時代が確かにあった。「あの調教師が絶対に勝てると言っている」とか、「あの馬はエビ(屈腱炎)が出ているらしい」等々、聞き捨てならない情報がまことしやかに人口に膾炙したのである。兎にも角にも、予想する上での拠り所が、嘘か本当かわからないはずのインサイダー情報にしかなかったのである。

しかし、戦後、私たち競馬ファンは、自分たちのイマジネーションを用いて馬券を買うことができる、ということを知ることになる。故大川慶次郎氏による「展開」の発見である。「展開」という概念は、今となっては当たり前のように用いられているが、当時は画期的な予想法であった。それぞれの脚質を分析し、実際のレースが行われる前に、仮想上のレースを想定するのである。競馬ファンひとりひとりが、自分の頭の中で、あらゆるイマジネーションを活用して、レースを予想するのである。これが競馬予想の民主化の走りである。

現代において、インサイダー情報などあるはずはない。競馬記者たちは毎日のように取材に来るし、馬体重はレース毎に発表されてしまうし、調教タイムも毎回公表されてしまう。何かを隠すことは難しく、そもそも無意味である。もしインサイダー情報というものがあるとすれば、恐ろしくニッチな情報か、もしくは嘘である。そんな時代に、インサイダー情報を元に、馬券を買おうと考える発想はあまりにも古すぎるのである。

とはいえ、やはりインサイダー情報という響きは魅力的で、私もその罠にハマリそうになったことがある。少し昔の話になるが、キングカメハメハのダービー祝勝会に招かれて行った時のことである。宴たけなわの時、私は席を外して、男性用のトイレで用を足していた。すると、若者二人が何やら楽しそうに話しながら一緒に入ってきて、私の隣の便器で、こんな会話をしながら用を足した。

「菊花賞はハーツクライで間違いないですよ。」
「確かにネ。」

帰り際に後姿をチラッと見たところ、おそらくその二人はノーザンファーム、もしくは社台ファームの牧場(育成)スタッフであった。キングカメハメハの祝勝会で、菊花賞はハーツクライで間違いないとは大っぴらには言えないが、トイレの中での会話だけに、かえって私には真実味を帯びて感じられた。しかも、この情報は私から聞き出したわけではなく、たまたま偶然にも私の元に降りてきたのである。この情報を知るものは、私以外にはいない。私はこの時点で、菊花賞はハーツクライで間違いないと確信してしまった。

結論から言うと、ハーツクライは菊花賞で1番人気に推されるも惨敗してしまった。そして、実は私もハーツクライの馬券を買うことはなかった。なぜなら、夏を越しての成長を期待していたにもかかわわず、馬体は相変わらず華奢なままで、ステップレースの神戸新聞杯でも力なく3着に破れていたからだ。

とはいえ、インサイダー情報の誘惑から抜け出すのは、容易なことではなかった。どう考えても、夏を越しての成長がないハーツクライは勝つ確率が低いのだが、「菊花賞はハーツクライで間違いないですよ。」というあの牧場スタッフの情報が邪魔をするのである。今から考えれば、牧場スタッフの主観的意見に過ぎなかったわけだが、当時はほとんど核心的な情報として、私の予想を占拠してしまっていた。せっかくの情報を切って捨てるのはもったいない、という感覚もあったように思う。いずれにせよ、あの時、ふと耳にしてしまった何気ないひと言が、私の菊花賞の予想を最後まで揺り動かしたのである。

もう一度言おう。現代において、インサイダー情報などはない。もしあるとすれば、恐ろしくニッチで主観的な情報か、もしくは嘘である。こんな時代に、インサイダー情報を元に、馬券を買おうと考える発想はあまりにも古すぎるのである。答えは与えられるものではなく、自分の手で見つけ出すものである。答えはいつもあなたの頭の中(インサイド)にある


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集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第11回

Course12

■仕掛け⑦「1コーナーまでの距離」 
スタートから1コーナーまでの距離によって、全体の展開は大きく変わってくる。

まず、スタートして1コーナーに向かうまでの間に、レースにおけるポジション争いが行われる。1コーナーを回り2コーナーにかかるまでには、各馬の位置取りは決まり、レースはひとまず落ち着くため、ポジション取りの際には1コーナーまでの距離が大きな問題になってくるのである

1コーナーまでの距離が短いコースでは、どうしても前にポジションを取りたいという馬が数頭いた場合、1コーナーまでの間に激しい先行争い(ポジション争い)が繰り広げられることになる。そのため、前半がハイペースになってしまったり、ポジション争いに巻き込まれて接触したりなどの不利を受けてしまう馬もいるだろう。反対に、1コーナーまでの距離が長いコースでは、各馬比較的にゆっくりとポジション取りができるため、あわてて馬を急かせることなく前半を進めることが出来る。そうすると、前半のペースは自然とスローになる。

しかし、この考え方には可逆性があって、あまりにも1コーナーまでの距離が長いと、ひとまず息を入れるまでの距離が長いことや、先行馬が気分良く行き過ぎてしまうことによって、意外とハイペースになってしまうこともある。もちろん、展開というものはメンバーや枠順などの他の様々な要素にも影響を受けるため、1コーナーまでの距離だけでペースが決まるということはないが、どのようにレースが始まるかということをあらかじめ推測するための材料にはなるであろう。  

1コーナーまでの距離についてもう1つ頭に入れておくべきなのは、1コーナーまでの距離が短いコースにおける、枠順による有利不利の問題である。フルゲートなどの場合、1コーナーまでの距離が短いと、外枠に入った馬は、内枠に入った馬と比べて、1コーナーまでのポジション取りのためにどうしても余計な力を使わざるを得なくなってしまう。

特に先行したい馬にとっては、1コーナーまでの距離が短いコースで外枠を引いてしまうと、多少無理をしてでも行かないと、最後まで自分の競馬ができないまま終わってしまうことになりかねない。このことからも、1コーナーまでの距離が短いコースにおいては、「枠順」の有利不利(内枠と外枠の差)という要素が極めて重要になってくるのだ

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(次回へ続く→)

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◆第3位指名◆エルソルダード(父スペシャルウィーク)牡

スペシャルウィーク サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
キャンペンガール マルゼンスキー
レデイーシラオキ
ポピーデイ トニービン Kampala
Severn Bridge
カルポピー Be My Guest
Panetona

ディープインパクトが登場するまでは、誰が何と言おうと、サンデーサイレンス産駒の中でスペシャルウィークは最強馬だと思っていた。馬体のトータルバランスが素晴らしく、成長力もあり、絶対能力は極めて高く、欠点という欠点が見あたらなかった。乳母に育てられたというエピソードも、個人的には好きだった。今となっては、ディープインパクトに最強馬の座は譲ってしまったが、それでもナンバー2であることは間違いないと思う。

スペシャルウィークのレースで最も印象に残っているのは、やはり武豊騎手に初のダービー制覇をもたらした、あの日本ダービーだろう。皐月賞でのまさかの敗退にリベンジするかのように、府中の直線ラスト300m時点で力強く抜け出してきた時、既に私は拳を高く挙げて、大きくガッツポーズをしていた記憶がある。武豊騎手が直線でムチを落としたことに気付かないくらい、観客もみな興奮し、熱狂していた。

ライバルに恵まれたのも、スペシャルウィークの幸運だろう。グラスワンダー、セイウンスカイ、エルコンドルパサー、キングヘイローと、個性的なライバルが揃いも揃っていた。奇しくもこれらの馬たちが一堂に会することはなかったが、互いに死闘を繰り広げたのはご存知のとおりである。個人的には、古馬になってからのスペシャルウィークとエルコンドルパサーで、府中の2400mで一騎打ちをしてほしかった。どちらが勝つだろうかと想像しても、どちらにも負ける要素が考えられない。それくらい、レベルの高いレースを見せてくれることは間違いない。

スペシャルウィークの産駒は、調教師であった白井調教師の言うとおり、大柄に出てしまうと走らない傾向がある。産駒の馬体が大きすぎて、脚元に負担が掛かるため、満足な調教を施せず、素質を引き出してやることができないという。このエルソルダードは、スペシャルウィーク×トニービンらしく、体高が高く、薄手の馬体を誇っている。これから体に幅が出て、あまり大きくなりすぎるようだと心配だが、今のところ、その素質を発揮できる可能性は十分にある。ダービー馬はダービー馬からという格言を、見事に体現してほしいものだ。

Pog02

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集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第10回

Course11

■仕掛け⑥「坂、平坦」
次に、坂のあるコースと、そうでないコースの違いに話を移そう。ここでは、4コーナーを回って最後の直線において高低差が1メートル以上あるコースを、坂のあるコースと定義する。そうすると、京都競馬場は、3コーナーに向かうまでに急勾配な坂があるが、直線はほぼ平坦であるため平坦コースということになる。

コースにおいて坂の高低差が大きいということは、直線が長いことと同じように、それだけコースが苛酷であることを意味する。同じ1600mという距離を走るのでも、坂を登ったり下ったりするコースと、真っ平らでそのままのコースでは要求されるタフさが違う。スタミナが豊富であると同時に、精神的にも強くなくてはならないだろう。  

さらに、坂を駆け上るにはスタミナや精神的な強さだけではなく、物理的な力強さ(パワー)も要求される。車で坂道を登ることを考えてもらえれば分かりやすいが、車で坂道を登る時に、私たちは必ずアクセルを力強く踏み込むはずである。それと同じように、馬も坂を登るときにはグッと全身に力を入れて走らなければならない。さらに厳密に言うと、後脚に力を入れて登らなくてはならない。坂を上るには腰から後の筋肉が発達していなければならないのである。よって、腰の甘い馬(腰の力の弱い馬)は坂のあるコースを苦手とする

また、牝馬は総じて牡馬よりも力が弱いので、坂のあるコースよりも平坦コースの方がより実力を発揮できることになる。牝馬は夏に強いという定説は、牝馬の方が牡馬よりも暑さに強いというよりも、夏競馬になり、直線に坂のないローカル競馬場に開催が移って、非力な牝馬が平坦コースで力を発揮するという意味に解釈するべきである

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(次回へ続く→)

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決して信じてはならない

Donotbelieve

「競馬の世界において、“絶対”という言葉は禁句である」、とメルマガ「馬券のヒント」で私は述べた。“絶対”に勝てると調教師が宣言した馬が負け、“絶対”に当たると豪語した馬券が外れたりするのを、私は幾度となく見てきているからだ。競馬という絶対がない世界で、“絶対”という言葉が発せられること自体、何かがおかしい。その思考の過程において大きな錯覚をしているからこそ、“絶対”という極めて主観的な言葉が発せられるのである。

これは「コントロール幻想」と呼ばれるものであるが、コントロールできない領域において、あたかも自分は世界をコントロールできているような錯覚に襲われることである。初心者はその世界についていくだけで精一杯であるし、上級者は世界を大局的に見られるので、どれだけ個人にとって正解に近いと思われるものであっても、本当の答えは神のみぞ知るということを理解している。だからこそ、「コントロール幻想」は、その世界が少しずつ分かり始めてきた中級者こそが取り憑かれる。

そして、それとは別に、“信じる”という言葉も、競馬予想の世界では禁句ではないかと、最近になって思い始めた。

私たちが“信じる”という言葉を使うときの心境を思い浮かべてほしい。何かを“信じる”とき、私たちはそのこと・もの・人に対する明らかな証拠や根拠を持ち合わせていない。明らかな証拠や根拠に支えられていないからこそ、自らの衝動に身を任せ、その対象を信じようと決意する。つまり、“信じる”ということは、自ら知らないことを信じようと決意することなのである。それゆえ、“信じる”とは、もはや信じていないことである

卑近なたとえになるが、たとえば自分の大切な人が浮気をしているかも知れないとする。そういう状況において、浮気をしていないという明確な証拠や根拠を持ち合わせていないとすると、私たちはこう言うだろう。「私は“信じる”」、もしくは、「私は“信じている”」と。しかし、この時点で、私たちは疑っている。つまり、“信じる”とは希望的観測に過ぎず、もはや信じていないことなのである。

詭弁のようになってしまったが、何が言いたいかというと、私たちが予想をする上で“信じる”という言葉が出てきた時点で、その予想を疑ってかかった方がいいということである。「○○が勝つと信じて賭ける」とか、「○○騎手を信じて賭ける」とか、もしかすると私もどこかで使っていたかもしれない。そして、おそらくその予想は外れていたに違いない。“信じる”という言葉が発せられるということは、その予想の過程のどこかがおかしく、馬や騎手を信じていないだけでなく、自分の予想すらも信じていない、ということである。競馬を予想する上で、私たちは決して信じてはならないのだ

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集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第9回

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■仕掛け⑤「直線の長さ」
直線の長さは、実力を発揮することが出来るコースかどうかを判断する物差しのひとつになる。最後の直線が長いコースほど、紛れが少ないコースであると言える。レースにおける勝負所である、最後の直線が長いということは、すなわち、ごまかしが利かないコースであるということを意味する。直線が短いコースでは、道中の位置取り、コーナーワーク、仕掛けるポイント等によって馬の能力の低さをカバーすることが可能であるが、直線の長いコースでは最終的には力の勝負になってしまうのである脚を余して負けたりすることはなく、どの馬も最後まで力を出し切ることができるので、力の足りない馬が実力馬を出し抜くチャンスは限りなく少ない

また、馬の特性も大きく関わってくるだろう。例えば、勝負所で騎手のゴーサインの合図に瞬時に反応することが出来ず、直線もジワジワとしか伸びない馬にとっては、直線の長いコースの方がレースがしやすい。逆に、瞬発力は素晴らしいものを持っているが、良い脚が長続きしないという馬は直線の短いコースでその能力を存分に発揮できる。このように、直線の長さよって、馬の特性が生きてくるかどうかも判断することも可能である。  

馬の脚質においては、直線が長い方が差し馬にとって有利で、短いと先行馬にとって有利であるという考え方もあるが、必ずしもそうとは言えない。一見、直線が長いほうが差し馬にとっては有利に働きそうだが、逆に、直線が長いことを意識して騎手が余裕を持ちすぎるため、スローペースになり、先行馬にとって有利になってしまうこともある。その逆もまた然りである。よって、直線の長さと馬の脚質の関係については、予想をする上ではあまり意識する必要はないだろう。


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(次回へ続く→)

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