集中連載:「サラブレッドはコースで演技する」第12回

■コーナーを回る競走の原理原則
ここまで、競馬場のコースを構成する「7つの仕掛け」について説明してきたが、最後にコースと密接な関係にある「枠順」についての基本的な考え方を示しておきたい。
コーナーを回る競走の原理原則は、「基本的には内枠が有利である」ということである。走るコースが限定されていない、スタート直後からオープントラックのコースでは、外から切り込まなければならない外枠が不利になるのは当然のことである。
特に地方競馬では内枠有利は定説となっているが、これはスタートしてから1コーナーまでの距離が極端に短いからである。1コーナーまでの距離が短いとそれだけポジション争いは激しくなり、外枠の馬にとっては不利になってしまう。地方競馬ほどでないにしても、内枠と外枠の違いを意識しなければならないことは中央競馬でも同じである。
内枠が有利な理由としては、良い位置を取るためのロスが少ないことと、距離に無駄のない経済コースを通って走ることができるからである。外枠は先行して良いポジションを取るための距離ロスが多く、もし内にコースを取れなかった場合には、レース中、終始外々を回らなければならず、内を通った馬と比較すると、かなりの余分な距離を走ることになってしまう。
■内枠・外枠の不利な点
このように「基本的には内枠が有利」なのだが、場合によっては内枠であることによって不利になってしまうこともある。以下に内枠・外枠が不利になる場合をそれぞれ整理して挙げておきたい。
内枠が不利になる場合
・包まれてしまって能力を発揮できない
・他馬を気にする馬が馬込みで走らなければならない
・他馬の出方を見ることが困難
・外から寄られて不利を受け易い
外枠が不利になる場合
・外々を回らされて距離ロスをしてしまう
・引っ掛かる馬、素直過ぎる馬が前に馬で壁を作ることが出来ずに折り合いを欠いてしまう
・1コーナーまでの進入で無駄な力を費やさなければならない
・スタンド前では観客に近い所を通らなければならない
・内側の仮柵が外された時期に、芝の状態の良い部分(グリーンベルト)を通れない
ここに挙げた不利な点の裏返しが有利な点であり、内枠・外枠それぞれに一長一短があることをお分かりいただけたと思う。つまり、「基本的には内枠が有利である」ことに間違いはないのだが、外枠・内枠共にメリット・デメリットを併せ持ち、まるでコインの裏表のようにレースの綾を織りなしていくのである。
Photo by fake Place
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Comments
競馬場やレースのスタート位置、枠順での有利不利など
いろいろありますね。先日は壁紙ありがとうございました。
DIの凱旋門賞が楽しみです。ブログにはじめてコメントを
残しました。マナー違反等ありましたら、教えてください
Posted by: かずお | August 21, 2006 at 07:39 AM
かずおさん
こちらこそ、はじめまして。
地味な部分ですが、競馬場の設定はレースを大きく左右しますよね。
私もディープインパクトの凱旋門賞が楽しみでなりません。
まずは順調に行っているみたいなので、一安心です。
マナー違反なんて、とんでもない。
これからもお待ちしております。
Posted by: 治郎丸敬之 | August 21, 2006 at 09:26 PM
こんばんは。
たしかに物理的な意味での内枠有利は動かしようがないですね。
JRAも不利な外枠の救済措置として、ゲートをあと入れにしたり、枠連で有利な頭数振り分けをしたりと懸命です。
ただ、ひとつ理解できないのが、仮柵をD→AとかC→Aなどの変則移動することです。ABCDと順序良く移動すれば、内の荒れた芝がカバーされつつ、外側には常に未使用の芝が供給されてゆき、外枠を引いただけで明らかな能力上位の馬が負けてしまうような、興醒め競馬は起こりにくいと思うのですが、何か理由があってやっているのでしょうか?
Posted by: 山川世界 | August 22, 2006 at 01:02 AM
山川世界さん
お久しぶりです。
東京や京都ならば、C,DコースからAコースに変わった場合、全芝コースが良馬場に変わりますが、阪神や中山はコース幅が狭いため、どうしてもグリーンベルトが出来てしまいますよね。
おっしゃるように、ABCの順で使っていければベストなのですが、Aコース(幅員の広いコース)をG1レースに合わせたいという事情や、また芝も生き物なので、発育度合いによって順番通りにはいかないこともあり、まんべんなく使いたいという意図が大きいのではないでしょうか。
競馬はフェアな条件で争うべきなのですが、反面、私たちはフェアではない部分を見極めることもまた大切なのでよね。
また遊びに来て下さい。
Posted by: 治郎丸敬之 | August 22, 2006 at 11:38 PM