一完歩を10cm長く走らせる
サラブレッドのスピードは、「一完歩の長さ(ストライド)×頻度(ピッチ)」で決まる。もちろん、疲労してバタバタになった馬は脚が伸びないように、同じ馬でも状況によって一完歩の長さは変わるが、走る頻度(ピッチ)が同じであれば、当然、一完歩(ストライド)を長く走った馬の方が先にゴール出来る。
一完歩の長さ(ストライド)は馬の持って生まれた肉体的特徴によるところが大きいのだが、数センチ位の長さであれば、実は騎手の技量によって補うことが出来るのだ。ゴール前1ハロンの完歩数は平均27完歩であり、もし一完歩が10cm長くなったとすると、27完歩×10cm=270cmで2.7m。つまり、ゴール前1ハロンだけで、なんと1馬身の差が生じることになる。このことからも、一完歩を少しでも長く走らせることが、一流騎手の仕事だといっても過言ではないだろう。
日本のジョッキーでは、やはり武豊騎手が、この一完歩を少しでも長く走らせる技術に長けている。たとえば、ロジックを勝利に導いた今年のNHKマイルCのラスト1ハロンには、武豊騎手の馬を伸ばす技術が凝縮されているといってよい。あれだけの接戦の中で、ほとんど鞭を使うことなく、馬の走るリズムに合わせて、ストライドを少しでも長く走らせることに集中している。そのストライドのわずかな差が、ゴール前のクビの差に結果的につながっているのである。もし他の騎手であったら、負けていても不思議ではなかったレースである。
日本では馬を「追う」というが、海外では「押す(PUSH)」という。馬を「追う」とは、ムチでビシバシ馬を叩くことではなく、手綱を通して馬を「押す」ことである。もう少し具体的に描写すると、馬が着地する時に、もう何センチか先につかせることによって、一完歩を長く走らせるのである。そのためには、馬の走りのリズムに合わせて手綱を引きつけ、タイミング良く解き放つことによって、馬体を最大限に収縮させなければならない。馬のリズムを崩さないように、少しずつ重心を下げて、ストライドを長く伸ばして走らせるのである。武豊騎手は追えないという筋違いの評価があるが、全くの誤解である。あえて言うならば、武豊騎手は「押せる」騎手なのである。
ちょっと余談
このCMシリーズはJRAの最高傑作だと思う。全力で追っていないため、馬を「押す(PUSH)」感覚は伝わってこないと思うが、武豊騎手の長身を馬の背に折畳んだ美しいフォームや、華麗な鞭捌きを堪能して欲しい。小田和正の歌声も最高!
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62981/11908096
Listed below are links to weblogs that reference 一完歩を10cm長く走らせる:
» 9/16の結果 [はちまんの競馬と囲碁]
私の本命ダイタクアルビンは、中山の急坂が堪えたみたいですね(爆)ペースも抑え過 [Read More]
Tracked on September 16, 2006 at 04:53 PM
» ローズSの予想 [はちまんの競馬と囲碁]
本命は、予定通りニシノフジムスメ。血統的に一番手(中京2000mに合う)で、実 [Read More]
Tracked on September 16, 2006 at 06:04 PM
» セントライト記念の予想 [はちまんの競馬と囲碁]
本命は、予定通りトウショウシロッコ。血統的に二番手(中山2200mに合う)で、 [Read More]
Tracked on September 16, 2006 at 08:10 PM
» Propecia. [Propecia.]
Propecia. [Read More]
Tracked on May 26, 2007 at 10:49 PM

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
オフコースの頃から小田和正さんが大好きなんで
特に心に響きますね(^^)g
動きを見ているだけで「美しさ」を感じてしまいました。
キングジョージのデットーリ騎手ももの凄い勢いで
クビを「押して」たのが印象に残っています。
馬はクビを上下させながら走るわけですから
その動きが馬の走るスピードに直結するということは
運動力学的にも当然のことなんだと思います。
一流騎手の動きはまさに理にかなっている、と。
Posted by: けん♂ | September 15, 2006 at 10:06 PM
こんばんは。
このCMは素晴らしいですね。
確か豊様が1色の勝負服の方が映えると言って変えたとか。
静かな歌声にスローモーションでも
サラブレッドとジョッキーの一体化した動きが力強く伝わってくるのが不思議です。
フレームの位置全くぶれずに撮影されているその技術もおどろき。
「 私を楽しむ(それが競馬)。 」
今一度胸に残しておこうと思います。
Posted by: あらた | September 15, 2006 at 10:42 PM
決して「サラブレッドはコースで演技する」が地味だったからコメントしなかったわけではありませんが(笑)、お久しぶりです。
このCM私も大好きでした。見るたびに心が洗われるような、新鮮な気持ちになったのを思い出します。
武騎手のフォーム美しいですね。これだけのスピードでこんなにもぶれないのだから改めて感心してしまいますね。
Posted by: nozoweb | September 16, 2006 at 09:47 AM
けん♂さん
オフコースの時代からですか?
小田和正さんは声の表情が豊かで、詞が心に染みますよね。
馬が追えるということは、決して力づくではなく、馬のリズムに合わせて引いて押すことなんですよね。
武豊騎手はどんな状況でも、フォームが崩れず、安定して馬を美しく追うことが出来る騎手です。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 16, 2006 at 10:01 PM
あらたさん
JRAの昔のCMは、出色の出来のものがありますね。
>確か豊様が1色の勝負服の方が映えると言って変えたとか。
→そうなんですか。よく憶えていらっしゃいますね。
このCMの他に、YouTubeにはメイキング等もありますので、まだご覧になっていなければぜひ!
お互いに競馬を楽しみましょう!
Posted by: 治郎丸敬之 | September 16, 2006 at 10:04 PM
nozowebさん
ご無沙汰です。
「サラブレッドはコースで演技する」は地味で失礼しました(笑)。
このCMを見て、改めて武豊騎手のプロフェッショナルさを知らされました。
やはり一流は動きが美しい。
そういえば、ウィークエンドの05のトップは凄いですね。
nozowebさんらしいです。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 16, 2006 at 10:07 PM
お久しぶりにコメントします、 治郎丸さん、和人です。
”アタマあわせの術”も、豊は上手いですよね。
あのCM、僕も大好きなんですよ。くだらないCMの多いJRAも、あれだけは最高だったと思います。
実はあのコマーシャル、ビデオに録画しちゃいました。
Posted by: 和人 | September 16, 2006 at 10:11 PM
和人さん
本当にお久しぶりです。
コメントいただいたのは、初めてですかね?
ブログも始めたんですねー!
やはりブログは見やすいです。
もしかすると、女性の好みも似てるかも(笑)。
ぜひまた遊びに来てくださいね。
Posted by: 治郎丸敬之 | September 16, 2006 at 10:47 PM