チョットやソットじゃ
by M.H
天皇賞秋2006-観戦記-
果敢に逃げたインティライミを目標に、安藤勝己ダイワメジャーがレースの主導権を握り、平均よりも少し早目のラップで道中は流れた。ほぼレース前より想定されていた通りの展開となったため、各馬ともに自分のポジションでレースを進め、力を発揮することが出来たレースとなった。
勝ったダイワメジャーにとっては、まさに計算どおりのレースであった。全体の時計が1分58秒8で、レースの上がりが35秒6という、後続の瞬発力を封じつつ、自身の地脚の強さを生かしきるには最高の流れと上がりに持ち込むことができた。しかし、それ以上に、安定して最後まで走り抜くことが出来るようになったダイワメジャーの精神面での成長が大きい。東京競馬場のように、直線が長く、坂があるコースで、これだけ力強い末脚を繰り出すことが出来るのであれば、チョットやソットのことでは他馬に先着を許すことはないだろう。
前走の毎日王冠で、トップスピードに乗った直線でダンスインザムードを差し返す離れ業を演じたが、本気で走ったダイワメジャーに安藤勝己騎手自身も相当な能力を感じていたに違いない。また、ムチを使わずに手綱だけで追った方が、この馬にとって最適であることも掴んでいたのだろう。後続から差を詰められても、慌てず騒がず、ダイワメジャーをファイトさせ続けることだけを心掛けた、安藤勝己騎手のベテランらしい落ち着いた騎乗であった。
2着に差し込んだスウィフトカレントは、横山典弘騎手の立ち回りの巧さが光った。最後は底力の差を見せ付けられた形となったが、内々を立ち回り、4コーナーでもギリギリまで仕掛けを遅らせて、この馬の能力を最大限に出し切っている。横山典弘騎手は2着というイメージが定着してしまった感があるが、実際は上手く乗っての2着と下手に乗っての2着の両方がある。先週の菊花賞は後者であるが、今週のスウィフトカレントは前者である。
アドマイヤムーンは最後の直線で行き場を失くしてしまったのが残念だが、古馬の一戦級の中でよく走っている。ワンパンチ足りない感はあるが、最後まで伸びてきているように、直線で真っ直ぐ走ることが出来るようになればG1のタイトルにも手が届くかもしれない。
1番人気のスウィープトウショウは、本来の伸びを全く見せず惨敗してしまった。差して来られる展開でこれだけ伸びを欠いたのは、明らかに体調が万全でなかったからである。心配されていた返し馬はスムーズに出来ていたが、やはり休み明けの前走であれだけの走りをしてしまった反動が出てしまった。能力は高いが、精神的に難しいところのある馬だけに、次走に向けて、どこまで立て直していくことができるだろうか。
同じく人気になった牝馬のダンスインザムードは、追い出されるやズルズルと後退してしまった。スタミナと底力が問われる流れになってしまったことにより、牡馬との差が出てしまった。また、前走の毎日王冠で、ダイワメジャーにぶつけられて、さらに差し返された精神的な影響も少なからずあったのかもしれない。そう思わされるほど、外からダイワメジャーに馬体を併せようとした途端、外に逃げ、走る気を失ってしまっていた。


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