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夏を自厩舎で過ごすこと

Natuyasumi

3冠を目指すメイショウサムソンは、昨年の3冠馬ディープインパクトと同じく、自厩舎で夏休みを過ごした。ダービー後に北海道に放牧に出すことも出来たが、神戸新聞杯から逆算すると、8月中には厩舎で調整を始めなくてはならず、その時期に気温差の大きい北海道から栗東に戻すことは、リスクが大きいと判断したとのことである。

このように、平成12年度より菊花賞の開催が前倒しになったことにより、春のクラシックで実績を挙げた期待馬たち(特にダービー馬)は、夏休みを厩舎で過ごすか、放牧に出すかという選択を迫られることになった。

夏を自厩舎で過ごすことには、メリットとデメリットがある

メリットとしては、先に述べたように、8月の暑い時期に気温差の大きい北海道から栗東、もしくは美浦に戻すことによって、馬が体調やリズムを崩すリスクを回避できるということが一つ。もう一つ、それ以上に大きなメリットとしては、調教師が自分の手元に常に置いて管理できるということである。調教師の目の届くところに置いておくことによって、安心かつ安全で、そして何よりも仕上げが施しやすいのだ。放牧に出してしまうとほぼ完全に馬体は緩んでしまうが、自厩舎であれば馬体を緩め過ぎることがなく、目標のレースに向かって、再度ネジを巻き戻しやすいということである

特にダービーを勝った馬を放牧に出すことには、非常に危険が伴う。なぜなら、ダービーを勝つためには極限の仕上がりが要求されるため、ダービーで全ての力を使い果たした馬を放牧に出してしまうと、その反動で疲れが噴出し、あっという間に体調はどん底まで落ちてしまうのだ。その状態から、4ヶ月で再び100%に戻すことは至難の業なのである。だからこそ、ダービーを勝ったような能力の高い馬であればあるほど、あらゆる意味において、自分の手元に置いて万全を喫したいと考えるのは当然なのである

反対にデメリットとしては、自厩舎で夏を過ごすと、馬はどうしても精神的にリフレッシュされないということである。肉体的にはある程度は緩められるので楽になるが、ずっと同じ環境にいることによって、馬の気が休まることがないのである。もちろん、馬によって差はあるのだが、涼しい気候の中、のんびりと走り回れる牧場と違い、自厩舎で夏を越すことは馬にとってはあまり喜ばしいことではない。知らず知らずの間に、人間にも分からないところで、精神的なストレスが蓄積されていくのだ

精神的にリフレッシュ出来なかったツケは、将来的にいつか回ってくる。途端に調教やレースで走らなくなることもあるし、また精神は肉体と直結しているため、精神的なストレスの蓄積が馬体の細化や怪我にまでつながってしまうこともある。ディープインパクトが3冠を制覇した直後の有馬記念で、あっと驚く敗退をした最大の原因はこれである。ディープインパクトはその後も自厩舎で調整を続けられたため、古馬になってからは調教で走らなくなってしまった。レース本番で結果が出ているため気付かれないが、ディープインパクトの精神的なストレスは測り知れない。このように、精神的なストレスが蓄積すると、将来的にあらゆるところに悪い影響が出てしまうことになる。

メイショウサムソンを管理する瀬戸口調教師は、これら全てのメリット・デメリットを把握した上で、あえて夏を自厩舎で過ごすという選択をした。それは全て、メイショウサムソンが菊花賞を勝って、3冠を獲るという最大目標のためである菊花賞の後のことや、古馬になってから回ってくるであろう将来的なツケを覚悟した上で、それでも菊花賞を勝つことに全てを賭けてきたのである

案の定、瀬戸口調教師の描いたシナリオどおりに、まずは神戸新聞杯を万全の状態で使うことができた。そして、神戸新聞杯後の仕上げもそれほど難しくはなかったはずである。メイショウサムソンは、最終追い切りでも、春と寸分たがわぬ力強い動きを披露している。他馬が牧場で休養を取っている中、夏休みを自厩舎で心身共に緩めず過ごしてきたことにより、メイショウサムソンが菊の栄冠にまた一歩近づいたことは確かである。皐月賞からダービー、そして菊花賞へと続く一本の栄光の直線の上に、勇者メイショウサムソンは独り立ち続けているのだ。

special photo by M.H

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Tracked on November 06, 2006 at 11:38 AM

Comments

昨年のディープは、
放牧先のアクシデントを考慮してのことかと思います。
インタビューで金子氏が、
なにかあっては絶対にならない、みたいなことを言っていました。
有馬記念のディープは上がり最速で、凡走していないので、
原因についてはなんとも言えないと思います。
サムソンは、とりあえずここでは結果が求められるので、
良かったのかどうかは菊花賞の結果次第ですね。


Posted by: さとし | October 21, 2006 at 06:02 PM

こういう記事を読むとやはりメイショウサムソンかも・・
と思ってしまったりする弱い心(笑)

今回は武豊騎手の大逃げ、という考えにとらわれてしまい
アドマイヤメインに◎を打つことにしたんですが
「決して信じてはならない」
という貴ブログの記事を読み直しながら
レース前にすでに反省しております(^^;

どんなドラマが待っているんでしょうね。
レースが待ち遠しいです(^^)g

Posted by: けん♂ | October 21, 2006 at 09:29 PM

さとしさん

そうですね。

3冠を狙えるような馬であれば、手元に置いておいた方が安全・安心なわけですから。

ディープの有馬記念と凱旋門賞は、明らかに飛んでいない(伸びていない)ので、明らかな原因があると私は思っています。

もちろんひとつではないのですが、私は3冠を制覇した疲労と、厩舎にずっと置いておいた精神的な疲労が重なったのではないかと考えました。

メイショウサムソンはどうでしょうか。

結果が求められるだけに、厳しい戦いですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 21, 2006 at 11:38 PM

けん♂さん

私もこの記事は、メイショウサムソンで仕方ないと思って書いています

それでも、何が起こるか分からないのが競馬ですから。

信じたい。

でも信じてはいけないんですよね。

私もすでに反省モードに入っています(笑)。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 21, 2006 at 11:44 PM

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