どうぞやめてもらいたい

こういうのを箸にも棒にもかからない馬券というのだろう。カワカミプリンセスが降着になろうがなるまいが、どうやっても当たらなかった馬券である。しかし、この馬券も、カワカミプリンセスの単勝と同じ紙クズであることに変わりはない。降着になったカワカミプリンセスの馬券を持っていた人の気持ちは察するに余りあるが、これもまた競馬である。
実は私も同じような気持ちを抱いたことがある。平成14年のNHKマイルカップで、タニノギムレットが再三にわたる不利を受けて3着に敗れたレースなのであるが、今から読み返すと、観戦記にもかなり感情的なことを書いている。「これも競馬か??」というタイトルにも、あのレースの理不尽さに対する私の憤りが表れている。論理を詰めていけば競馬の答えは出る、という考えがまだ残っていたあの頃の私には、「これも競馬か??」としか映らなかったのだろう。
あれから4年が経った今は、「これも競馬だ」と思える。自分がカワカミプリンセスの馬券を持っていなかったからではなく、競馬とは理不尽なものだと学んだからである。競馬は強い馬が勝つのだが、常に強い馬が勝つわけではなく、また負けたことには理由がある場合がほとんどだが、理由がなく負けてしまうこともある。そんな当たり前のことを、4年前の私は分からなかったのである。
今回のカワカミプリンセスの降着事件で、多くの的中馬券が紙クズに変わり、それに伴って様々な意見や感情が飛び交った。仕方なしという論調が大勢だったが、中には「競馬をやめたくなった。こんなことでは、競馬から離れるファンもたくさんいると思う。」という悲観論もあった。
どうぞやめてもらいたいと思う。私は、「これも競馬か??」とは思ったことはあるが、「競馬をやめたい」とは一度たりとも思ったことはない。それは競馬に対する愛情があったからだと思う。どれだけ理不尽な仕打ちをされようが、その理不尽ささえ理解したいと思えた。これっぽっちの理不尽に堪えられないのであれば、これを機会に競馬をやめたほうがいい。
もしあなたがこのまま競馬を続けるとすれば、これからも数え切れないほどの理不尽を味わうことになるだろう。自分の買った馬が馬群に閉じ込められて最後まで出られないことなど日常茶飯事で、恐ろしいほどの大金を突っ込んだ本命馬が、恐ろしいほどの不利を再三にわたって受けることもある。今回のように、勝ったと思わせておいて降着なんてことも、もちろんある。そんな辛い思いを、あなたにだけはさせたくないのだ。
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Comments
こんにちは。
「か??」と「だ」の違いかぁ・・・。
なんだか己が歩んだ競馬道を振り返っちゃうなぁ。
負ける理由には明確なものがないわけで、仮に明確な敗因として突きつけられたなら、競馬が競馬でなくなってしまうわけで。
全ての解釈は個人の持つ競馬観に委ねられ、それをどう解釈していくのかが、競馬が持っている魅力だと思う。だからそれぞれに語れちゃうんですよね>競馬って。
Posted by: 江戸川 | December 13, 2006 at 10:08 PM
まぁ、降着になったから外す馬券もあれば、降着になったお陰で取れた馬券もある訳で。
それが競馬と言えば競馬だと思う訳で。
ただ、他のレースでも他馬に接触しても降着にならないケースがあったりして、その判断基準が難しいのだろうと思う。
とどのつまりは、降着になったら馬券が外れる時は「なぜ、それが降着なのか?」。降着だと馬券が当たる場合は、「なぜ、それが降着にならないのか?」となるのだろうな。
公平な競馬というのは難しいものなのでしょう。
Posted by: はやひで | December 13, 2006 at 11:26 PM
公正なジャッジさえ下されれば、自分の馬券が当たっても、ハズレテも納得できる。今はパトロールフィルムが一般にも公開されているのでさほどでもないのだが、昔は競馬ファンなんて蚊帳の外だった時期があったわけで・・・
昔なんか降着なくていきなり失格でしたからねえ。
一番、納得いかないのは、ジャッジに一貫性がないことか。
まあこれは野球の審判とかと違いパトロールフィルムをみることが出来るのでこれからは納得できるジャッジを下してほしいところです。カワカミは直線で追い出して右に斜行してるのに、内を見ず左ムチを連打してなおも右へ行き、他馬を妨害してるんで降着で仕方ないところ。本田騎手のボーンヘッド。
「競馬をやめたくなった」なんて意見は論外。
こんなことでやめるとか言ってたら俺なんか何十回やめなきゃいかんことか^^;メジロマックィーン、ニシノライデン、ヒシアマゾン・・・等 う~ん、振り返ると結構引っ掛かってる(笑)まあたまに降着で儲かってることもあるんだが。
Posted by: 山之内 | December 14, 2006 at 12:04 AM
>論理を詰めていけば競馬の答えは出る、という考え
ドキッとしました(^^;
答えが出る、とは思っていませんが
模範解答を導き出したいという気持ちはまだ持っています。
う~ん、青いですかね(^^;
馬券に意味を持たせたい、というのが自分の軸になっている
思いなのだと思います。
たとえば単純な脚比べでは敵わない馬が出走してきたら
なんとかその馬を閉じ込めたり、順調にレースを
させないようにするのも他の騎手の役割だと考えています。
それが時に行き過ぎてしまうこともあるでしょう。
理不尽な事故につながることも十分に考えられます。
それも含めて「競馬」ですよね。
競馬を止めたくなる、ということはありませんが
情熱に風穴が空く瞬間があるとすれば
極度に思い入れがある馬が怪我などで不本意な引退を
強いられたときでしょうか・・。
身を引き裂かれたような思いで平静でいられなくなったり・・。
Posted by: けん♂ | December 14, 2006 at 12:39 AM
僕もどんな仕打ちを受けようともJRAのせいでやめようとは思ったことはないですね。
当たらなくてやめたくなった事は若かりし頃にありましたけど^^;
何があろうとも、競馬が好きだし、馬が好きだし、
何が起こってもそれを受け入れるのが自己成長にも繋がると思ってます。
Posted by: たまバス | December 14, 2006 at 12:50 AM
ヒシアトラスが病気で安楽死になったりすると、すこしめげました。
オースミレパードがまだ高知が走ってると聞いて元気が出ました。
喜怒哀楽。それも「競馬」。
Posted by: はやひで | December 14, 2006 at 08:30 AM
江戸川さん
己の歩んだ競馬道を振り返っちゃいますか(笑)?
それぞれに競馬観というものがあって、それがまた競馬の世界を創り上げているんですよね。
ただ、その競馬観が崩されることが多いのもまた事実で、崩されてからまた新たに創り上げていくことが大切なのかなと。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:15 PM
はやひでさん
誰にとっても公平・公正な競馬というのは難しいでしょう。
現在の裁決システムに問題があるのは事実としても、完全に明確なラインを引くことは出来ませんよね。
なぜなら、競馬はスポーツですから。
とどのつまりは、降着になったら馬券が外れる時は「なぜ、それが降着なのか?」。降着だと馬券が当たる場合は、「なぜ、それが降着にならないのか?」となるのだろうな。
→本音はそうなのかもしれませんね(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:19 PM
山之内さん
完全に公正・公平なジャッジはあり得ませんが、昔に比べて、だいぶ変わりましたよね。
パトロールフィルムの公開は当然ですが、そんな当然のことが当然ではなかった。
エリザベス女王杯は、本田騎手がちょっと焦ってしまいましたね。
あれだけのベテランでも、一瞬、無我夢中になってしまったのでしょう。
>メジロマックィーン、ニシノライデン、ヒシアマゾン・・・等 う~ん、振り返ると結構引っ掛かってる
→私はひとつも引っかかっていません‥
引っかかるには、まず当てなければならないのですね(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:26 PM
けん♂さん
私も昔は必ずひとつの答えがあると信じていました。
その答えを見つけるために、ひたすら考え続けていました。
でも、最近になって、ちょっと変わりました。
それは、あきらめたということではなく、考え方を変えたということです。
少し昔に、「今信じること」というエントリーでなんとなく書いたような気がします。
>競馬を止めたくなる、ということはありませんが
>情熱に風穴が空く瞬間があるとすれば
>極度に思い入れがある馬が怪我などで不本意な引退を
>強いられたときでしょうか・・。
>身を引き裂かれたような思いで平静でいられなくなった>り・・。
→けんさんらしいですね。
全ての馬に注ぐ愛情は、そのブログからも伝わってきますよ。
いつもありがとうございます。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:32 PM
はやひでさん
素晴らしい詩をありがとうございます。
そのまま、JRAのCMに使えそうですね(笑)。
これだけ、観戦者にも喜怒哀楽が訪れるスポーツも珍しいと思います。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:34 PM
たまバスさん
名前これで合ってますよね?
馬券が当たらないことは、競馬の一番の理不尽でしょう(笑)
儲からないから競馬をやめるという人がいますが、私にとっては、人間はいずれ死ぬから生きるのをやめる、と言っているように聞こえます。
死を受け入れることで、どう生きていくかが決まってくるのです。
あれっ、競馬の話でしたね。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 06:40 PM
半数がカワカミ絡みの馬券とあって、
万単位で勝負した人が多かったのでしょうね。
もし自分がカワカミの馬券を買っていても、
あれだけの走りをみせてくれたんだから・・
というのと、
やはり納得いかないというのと、半分半分だったと思います。
しかし、今回の武豊騎手の騎乗停止にしても
JRAが、なぜ有馬記念は騎乗できるのか、ということに
公式の見解を示さなかったことで、色々な憶測を呼んでいます。
馬券の売上高にしても、JRAの公式HPで見れないなど、
サービス精神に欠けているような気がします。
凱旋門賞のディープ絡みの馬券も、
失格でも払い戻されているはずで、
よくわからないことが多いのが競馬の世界ですね^^
Posted by: さとし | December 14, 2006 at 08:56 PM
さとしさん
競馬は最終的にはJRAが笑うように出来ているのですから、ファンにはどれだけサービスしてもしたりないですよね。
ディープの薬物問題に関しても、武騎手の件についても、不透明な部分はあるにはあると思います。
それはどこの企業にもあるようなことですが、競馬もここまで来たのですから、ぜひ限りなく透明にして欲しいものです。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 14, 2006 at 09:51 PM
どうもですー
私などは理不尽なこと=ギャンブルではないかとは思いますが(笑)私もカワカミ→パンドラの馬券が紙屑に変わった一人ですがwただ、今回はたまたまG1であったというだけで、こんなことは競馬をやってればしょっちゅうあります。
アンカツや岩田、デムーロやデザーモ…こういったトップクラスの騎手達はギリギリのところで勝負を仕掛けてきますし、今年のJCでもデットーリがディープが出遅れたと見るや1、2コーナーで牽制して武とやりあってましたよね。(武も4コーナーでウィジャボードの進路を塞いでやり返してましたがw)勝負するということは、降着する可能性のある騎乗も多くなるというですし(私はアンカツで降着になった馬券結構ありますので…泣)競馬という競技はファンが思っているほど綺麗な世界ではないと思います。でも、当たっていた馬券が外れたというのはまぁやるせないですよねw
ただ、ルール内で他馬の進路を牽制するというのは技術でもあると私は思っています。それが出来ない騎手はたいていG1クラスでは何も出来ない騎手です。
武豊の件ですが、香港では騎乗停止の開始期間を騎手が選べるそうで、武自身が有馬記念後からの停止を希望したということだそうです。日本では香港での裁定と同じにするのが通例で今回の形になったようです。(けしてズルをしたわけではありませんよw国際ルールですからw)今年はディープインパクト薬物失格やG1での降着、JCDでの外国場参加ゼロなどなど…いろいろと問題が表面化した年になりましたが、マスコミなどの報道にもちょっと…と思うことは多かったです…外国の競馬と日本の競馬は違いますし、地方競馬もまた独特な雰囲気を持っています。今回のディープの件でも「外国は薬物にうるさい」といった報道が多く「日本は甘い」という意見が多いですが、実際には外国のほうが薬物を使って馬を育てているのです。(薬物というよりは、筋肉増強剤やサプリメントのようなものが主流です。日本では漢方薬なども好まれるようです)こうした調教方法は実は現在海外で学んできた日本の若手調教師たちが海外で学んで積極的に行っているのですが、報道ではそういった話は全く聞きませんね…むしろ海外のほうがこうしたことは進んでいて、日本のほうが禁止薬物に対しては厳しいのです。
競馬は時速70㎞で疾走する馬を御しながら1着を目指す競技です。しかも、馬というものは乗り手がしっかりしていなければ
どこに飛んでいくかわからないほど臆病な生き物です。
一瞬で死につながるということは騎手のほうがよく知っているので実は騎手同士の間には暗黙のルールというのが存在するのですが、明確な降着制度を公開する義務はJRAにもあると思います。
が、こうした事情を知ることも競馬をする人には必要なのかもしれません…こうしたことに嫌気がさす様であればおっしゃるとおり、競馬は辞めて頂いたほうがいいのかもしれませんね…
余談ですが、武騎手がサイレンススズカの件について思っていたということが印象的でした。「一番近くで骨が折れる音を聞いたのは俺や!地獄からせり上がってくるような音や!自分の半身と思っていた存在が一瞬にしていなくなったんや!どないせいっちゅうねん!」競馬を続けるということは「それでも馬を愛している」と言えるかどうかだ、彼の分も自分は前に進まなければならない。と…
長々と長文失礼致しました…
Posted by: しゃち | December 14, 2006 at 10:30 PM
カワカミプリンセスの単勝馬券を買っていたものの一人です・・・・・・orz
レース直後は「競馬なんてやめてやる!!」と思ったものですが、
翌週にはしっかりマイルCSの予想をしてしまい、
今では何事も無かったかのように馬券を買い続けていますので、
おそらく一生競馬をやめることはないと思います(笑)
ああいう理不尽な結果も含めて楽しむのが競馬なんだと、
今では強く思います。
Posted by: sousuke | December 14, 2006 at 11:54 PM
カワカミプリンセスより、安勝が昔1レース目(だったと思う)で他馬を引き離して1着ゴール直前で、馬がラチにぶつかって安勝が飛んでいった時は、目の前が真っ暗になりましたね。完全に的中したと思いましたから・・・。
カワカミの本田騎手はレースVTRで見ても判る様に3~4コーナでの手応えが、パンドラより悪いんですよね。
これで焦ったんだと思いますね。
実際に、あんなけ手応えが悪かったのに直線であれだけ弾けるというあの馬は一体どれだけのポテンシャルを秘めているのだろうか???
Posted by: はやひで | December 15, 2006 at 12:20 PM
しゃちさん
丁寧なコメントありがとうございます。
私の言いたいことはそこですね。
競馬はスポーツですが、こと馬券はギャンブルであり、極めて理不尽なものなのですよね。
そんな理不尽な世界で勝負しているということを、全ての競馬ファンは理解しなければなりません。
また、JRAもマスコミも、もう少しプロらしい情報提供や報道をしてほしいですよね。
中には素晴らしい方々もいらっしゃいますが、まだまだ雇われ集団にすぎないのではと思います(これはオフレコw)。
ただ、降着制度に関しては、明確なラインは示し難い気はします。
ルールはルールになってしまうと、また弊害が起こるはずです。
岡部騎手がアドバイザー契約をしたように、裁決委員にもプロを入れて、ルールを基に人間が最後には決定するのがベストかと思っています。
>武騎手がサイレンススズカの件について思っていたというこ>とが印象的でした。「一番近くで骨が折れる音を聞いたのは>俺や!地獄からせり上がってくるような音や!自分の半身と>思っていた存在が一瞬にしていなくなったんや!どないせい>っちゅうねん!」競馬を続けるということは「それでも馬を>愛している」と言えるかどうかだ、彼の分も自分は前に進ま>なければならない。と…
→武豊騎手の素直な競馬愛が表れていますね。グッときました。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 15, 2006 at 09:12 PM
sousukeさん
おっしゃる気持ちよく分かりますよ(笑)。
理不尽なことを含めて競馬で、その理不尽こそ競馬とも言えますよね。
キングヘイロー産駒のおっかけやっていらっしゃるんですね。
ルドルフおやじさんと、気が合いそうだなぁ。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 15, 2006 at 09:16 PM
はやひでさん
それって、マヤノグレイシーの事件のことですかね。
私も、昔、サクラエイコウオーという馬の新馬戦で、抜群の手応えのエイコウオーが4コーナーを回りきれずに、一瞬にしてテレビの画面から消えて行った時は、何が起こったのかレースが終わるまで分からなかったですよ(笑)
カワカミプリンセスは、追って追って伸びる馬ですが、エリザベスでは本田騎手が馬を信じてあげられなかったのでしょうね。
でも、おっしゃる通り、あの馬のポテンシャルは着差以上のものがありますよね。
Posted by: 治郎丸敬之 | December 15, 2006 at 09:21 PM