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スプリント界の低迷と阪神カップを占う

先週の香港スプリントの結果(シーズトウショウ10着、メイショウボーラー競走中止)に象徴されるように、日本のスプリント界の低迷は誰の目にも明らかである。海外のレースで結果を出せないのはもちろん、ここ2年はサイレントウィットネス、テイクオーバーターゲットという外国勢にスプリンターズSのタイトルすら持って帰られてしまった。そして、おそらく、この状況はこれからも続くはずである。

これは日本の馬にスピードがないということでは決してなく、ただ単純に、香港やオーストラリアに比べ、日本のスプリント界の層が薄いということである。香港やオーストラリアの一流と呼ばれるスプリンターたちは、苛酷なサバイバルレースを勝ち残ってきたエリート中のエリートスプリンターなのである。

さらに、スプリンターズSの開催時期の変更によって、スプリンターとマイラーの分極化が進んでしまった影響は大きい。スプリンターズSは1990年にG1レースに昇格し、それ以降、師走のスプリント王決定戦として定着していたが、2000年から秋の中山開催へと時期が変更された。2000年までの日程だと、スワンS→マイルCS→スプリンターズSという短距離馬の王道があったが、スプリンターSを秋口に持ってきたことによって、マイルCSを目指す一流のマイラーたちがこのレースに出走しなくなってしまったのである。

その結果、スプリントの専門家がスプリンターズSで好成績を挙げることができるようになった反面、一流マイラーが参戦してこないことによる出走馬のレベルの低下は免れ得ない。過去のレースを見ても、ダイイチルビー、ニシノフラワー、タイキシャトルらの馬は、この開催日程では出走していなかったのではないだろうか。つまり、かつては短距離としてひと括りにされていた路線が、二極化してしまったことにより、もとより層が薄かったスプリント路線の地盤が沈下してしまったのである。

そのような状況にテコ入れをすべく(かどうか分からないが)、阪神カップ(GⅡ、阪神1400m内回り)が新設された。まさに、開催時期が変更される前にスプリンターズSが行われていた日程である。この日程であれば、マイルCSに出走した、スタミナと底力に富んだマイラーも出走できることになる。今さらスプリンターズSの開催時期を戻す訳にもいかないのだろうが、阪神カップがこの時期に行われるのであれば、スワンS→マイルCS→阪神カップという短距離馬の王道が出来上がるのかもしれない。

最後の直線に急坂が待ち構えるコースでは、たとえスプリント戦とはいえ、一介のスピード馬では勝ち切ることは出来ない。スタミナと底力に支えられた短距離馬でなければ、ゴール直前でふるい落とされてしまうからだ。かつてのスプリンターズSがそうであったように、阪神カップもマイラーが台頭する舞台になるはずであるたとえこれから海外の一流スプリンターが押し寄せようとも、マイルCSで好走した馬が順調に出走してくれば、高い牙城として立ちはだかることが出来るのではないだろうか


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Comments

一番大きな問題はスプリンターズSの開催時期なのでは
ないでしょうか?
夏の間の休養を経ていきなりGⅠというのは
陣営にとっても厳しい話だし調整も難しく、
全体的なレースレベルも高いものになるはずがないと思います。
今年も休み明け初戦がスプリンターズS、という馬が
出馬していましたし・・。

素人考えなのですが・・
マイルにはマイルの王道路線、
スプリンターにはスプリンターの王道路線、
というように充実したレース設定がなされれば
生産者側でも目標設定がしやすく、より純度の高い
しのぎ合いが見られるようになるのではないでしょうか。

競走馬の絶対能力はある程度決まっているわけで
それを支えるのは血統の力だと思います。
その路線に純化した配合を繰り返すことにより
より強い馬が生まれてくる・・・のではないかと。

春の天皇賞が長過ぎると武豊騎手が訴えていましたが
同様に中距離路線の馬にとって春のローテーションは
難しいものがある感じ。サクラメガワンダーが安田記念を
目標にする・・という陣営の言葉の裏側にも違和感が
ありありと感じられました。
日本の競走馬のレベルアップにはJRAに託される部分が
大きいですね(^^;
長々と失礼いたしました・・。

Posted by: けん♂ | December 17, 2006 at 02:11 AM

コメントありがとうございます。

「強い奴は強い」的な発言をさせて頂いたものの、
明確な差がないと強い馬が勝つとは言い切れないのが私の現状です。
実際今回の阪神Cの枠順を見た時には頭が痛くなりました。

同様に愛知杯のアドマイヤキッスにも懸念はありました。
まあ愛知杯は、この馬と他馬の違いがあると思いますが。
先程JRAのレースビデオ見ましたが、
スタート後のキッスのコース取りは凄いですね。

Posted by: jirobacks | December 17, 2006 at 03:27 AM

おはようございます。

最近はちょっと忙しくて、土日しか書き込めません。

確かに最近は短距離路線は外国馬が短距離レースに出走してくると凄く人気になりますね。
今年の外国馬が出走した短距離とマイルのレース(G1)ではやっとマイルCSでダイワメジャーが勝っただけです。
今回もコートマスターピースが人気になるのも、治郎丸さんの書かれている文を読むと頷ける気がします。
自分の予想は、マイルCSも賭けたコートマスターピースが本命です。
対抗にコスモシンドラー、単穴でアサクサデンエン、
連穴にはシンボリグラン、プリサイスマシーン、タマモホットプレイで行きます。
フェアリーSはクーヴェルチュール本命で勝負です。

Posted by: keigo | December 17, 2006 at 08:29 AM

こんにちは。

スプリンターとマイラーとは、共にスペシャリストの戦域としてやはり別物であってほしいと考えます。

勿論、日程等の問題もあると思われますが、何よりこれにはサラブレッドの生来に関わってる部分があるからです。

今年の競馬で言うなら、ラインクラフトとオレハマッテルゼに象徴されております。

この2頭ですが、春に高松宮記念(1200m)を使い1,2着したわけですが、このレースを使ったことで馬に「短期的距離適正」たる走りのリズムが形成されてしまったのです。(勿論、持論ですが)

これは人的な力が加わらずに、ゲートをポンと出たときに馬がどんな走りのリズム(主に速度)になっているか?ということです。

この2頭の次走は、共に1400m戦を使いラインクラフトは3番手からの競馬、そしてオレハマッテルゼは逃げて快勝しております。

しかしながら大目標であった次走のマイル戦では大きく崩れております。これは1200mや1400mに対応出来ても、走りのリズムが大きく異なるマイル戦では通用しないという表れでもあります。(勿論、力関係もありますが)

これは記憶に新しいとこでG1戦を1つの例としましたが、この「短期的距離適正」というのは、各条件戦において随所にその素顔を除かせ、サラブレッド達をむしばんでいる1つの大きな敗因にもつながっております。

「スピード」と呼べる範囲は1200~1400mで、その先にある「底力」というものが問われるのがマイル戦なのでしょう。

なので、スプリントとマイルは別物でいいと思うのです。

あまり見たくないんですよ>ラインクラフトやオレハマッテルゼのような負け方が。但し、この「短期的距離適正」は主に先行脚質の馬に当てはまる考え方で、後ろから行くデュランダルらには当てはまらなかったことからも、その正当性・価値はそれなりにはあると思われます。

是非一度、治郎丸さんにもその検証をお願いしたいものです。
すみません、長文につき失礼しました。

Posted by: 江戸川 | December 17, 2006 at 10:52 AM

香港は2400以上には全く力を入れないかわりに
スプリントに力を入れていますね。

日本(JRA)は芝中長距離のG1を中心に番組が組まれているので、
スプリントのレベルが落ちるのは当然といえば当然ですね。

中長距離をディープが引っ張ってきたように、
一頭強いのがいれば活性化するので
強い馬が出てくるのが期待されますね。

Posted by: さとし | December 17, 2006 at 02:47 PM

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Posted by: 小遣い注目度ランキング | December 17, 2006 at 04:41 PM

けん♂さん

その通りだと思います。

日本馬のレベルアップは、JRAのさじ加減ひとつといった部分もあるわけです。

ただ、世界規模で見れば、サマースプリントシリーズの流れもあり、スプリント路線もかなり充実しています。

強いスプリンターであれば、テイクオーバーターゲットのように、世界を股に掛けて活躍できるはずですよね。

問題は国内の話で、マイラーとスプリンターが二極化してしまったため、ただでさえ層が薄い短距離界の地盤が沈下してしまったと考えています。

現状として、弱点であるスプリンターズSを、外国の一流馬に攻められると厳しいですよね。

夏という開催時期も問題ですが、マイルCSの前にスプリンターズSがあっても、一流のマイラーは出走したくないはずです。

後ろなら、出走しますけど。

唯一の例外はデュランダルですね。

また、天皇賞春の距離も一考の余地はあります。

日本という島国で、1200mから3200mまでのスペシャリストを養成するということは、なかなか出来ることではありませんよね。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 17, 2006 at 05:48 PM

jirobacksさん

阪神カップは残念でしたね。

オレハマッテルゼは枠順が極端でしたね。

シンボリグランは直線で気の悪さを出していました。

終わってみると、フサイチリシャールの力が一枚抜けていましたね。

私はこの馬は全く読んでいなかったので完敗でした(涙)。

アドマイヤキッスは大胆なコース取りでしたね。

あのまま大外を回してしまっては、ロスが大きいですから、武騎手の好判断・好プレーでした。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 17, 2006 at 05:55 PM

keigoさん

ご無沙汰です。

お忙しいのですね。

土日だけでも、気が向いた時に書き込んでくれればいいですよ。

楽しみにしておりますので。

阪神カップはフサイチリシャールの力が抜けていましたね。

まあ、結局、上位を占めた馬はマイラーとしての底力を持った馬ばかりでしたね。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 17, 2006 at 05:57 PM

江戸川さん

>このレースを使ったことで馬に「短期的距離適正」たる走り>のリズムが形成されてしまったのです。

これは持論ではなく、正論だと思っています。

様々なパターンがありますが、ラインクラフトはマイラーとしての底力を持っていた馬ですので、マイラーのローテーションを組んでいけばマイラーとして育ったはずです。

対して、オレハマッテルゼはマイル戦では通用する底力はないので、スプリント戦に目標を定めたローテーションを組むのが正解です。

ひとつ、これは私の持論かもしれませんが、たとえば1400m戦でマイラーとスプリンターが戦えば、マイラーが勝ちます。

さらに、今の日本の現状だと、強いマイラーがスプリント戦に出走すれば、マイラーが上位を占めるでしょう。

それぐらい日本のスプリンターには底力がありません。

だからこそ、今、日本の短距離界を二極化することには賛否両論があってしかるべきなのかなと。

もちろん、世界規模で考えれば、当たり前の分極化なのですが。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 17, 2006 at 06:05 PM

さとしさん

そうですね。

どこに力を入れるかということは大切です。

世界に比べれば、日本の馬産はまだまだ小規模なので、すべての領域でスペシャリストを望むのは難しいかなと思います。

だからこそ、せめて短距離路線だけは分極化せずに、強いマイラーにスプリントG1を守ってもらいたいのです。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 17, 2006 at 06:07 PM

まぁ、色々と意見はあるとは思いますが、一言言わせてください。
関西の人間としては、「春の天皇賞は要らんから、オークスとか、JCを関西にくれ!」と。。。

本当に春はおもしろく無いんですよ。関西のG1は。
宝塚記念も夏前位になって回避馬が続出する事も多かったし。天皇賞春は距離が長すぎる。楽しめるのは桜花賞位だな。

天皇賞春も京都の2400とかでやれば良いのに・・・。

Posted by: はやひで | December 17, 2006 at 11:11 PM

初めて書き込ませて頂きます。
このサイトは以前からよく拝見しており、様々な角度からの深い考察を読むにつけて大変感心させられております。

マイラーとスプリンターのスペシャライズ化についていろいろな意見があるようですが、私としてはマイルとスプリントの交流はもっと活発にして欲しいと思っています。(マイルとスプリントに関わらず、マイルと中距離の間に関しても。)
他距離からの参入は活性化につながると思います。
06高松宮の上2頭はそれまで1200では走った事のない2頭でした。
03MCSは1200のデュランダルと中距離のファインモーションで決まりました。
やや古い話ですがエルコンドルパサーやグラスワンダーはマイル路線からクラシックディスタンスのレースに参戦して結果を残しました。
他距離からの参入によってレベルが上昇する、ということはあるはずです。
一度その距離を使ってしまうと元に戻せない、という考えもあるかもしれませんが、基本的には馬の絶対能力(非常に曖昧な言葉ですが)が重要であるという認識です。元に戻せないのは単に「長い距離の方がレベルが高い」という一面もあると思うのです。もちろんペースにとまどう、などの要因が見過ごせないのも言うまでもありませんが。

それとは別にもう一つ、相互交流をしてほしいと思う理由があります。
それは単純に楽しみという観点から。
毎度毎度同じ顔ぶれではあまり面白くありません。
別の路線からあっと驚く馬が参戦する、というのは心躍ると思います。これはロマン派的な考え。
そして馬券派としてはもっと面白い(悩ましい)ことだと思います。
(最近はどこの競馬場も時計が速くなったり、直線が長くなったりと、似たような傾向のレースばかりが増え、馬券派としては面白くないことこの上ないと思うのですが…。)

以上、相互交流をはかってほしいと思う者からの戯れ言です。
長文失礼しました。

Posted by: naot | December 18, 2006 at 03:37 PM

はやひでさん

その気持ちよく分かります。

私も昔は関東に住んでいて、よく東京競馬場に行っていたのですが、本当に関東のG1って面白いんですよ!

特に府中で行われるG1は見ごたえ十分のレースばかり。

私個人としては、春の天皇賞も好きなのですが、今の長距離戦は純粋なステイヤーはほとんど活躍できないですもんね。

メジロマックイーンとかが活躍していた時代は、京都の天皇賞春には行きたくて仕方がありませんでした。

来年は初めて桜花賞観に行きたいと思っています。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 18, 2006 at 09:22 PM

naotさん

こちらこそはじめまして。

相互交流については、私もほとんど同意見です。

>一度その距離を使ってしまうと元に戻せない、という考えも>あるかもしれませんが、基本的には馬の絶対能力(非常に曖>昧な言葉ですが)が重要であるという認識です。元に戻せな>いのは単に「長い距離の方がレベルが高い」という一面もあ>ると思うのです。
→凄く本質を突いていて、naotさんが競馬に相当通じていらっしゃるのが、この意見からだけでも分かります。

これは私の考えですが、今年の高松宮記念を勝ったオレハマッテルゼは本質的にスプリンターです。マイル戦では底力不足です。

そして、2着のラインクラフトはマイラーです。とはいえ、牡馬のマイラー一戦級に入ると底力不足です。こういう馬はスプリント戦の方が結果を出しやすいはずです。ただ一旦スプリントのリズムが体に染み付くと、一流のマイラーと戦う時に苦しい思いをします。

いずれにせよ、おっしゃるように、底力のあるマイラーは、距離の壁をやすやすと超えていきますよね。

スプリント戦に出そうが、中距離戦に出そうが、結果を出して、その路線を活性化させます。

また馬券的にも面白いですよね。

私は分極化には疑問があるだけです。

スプリント路線とマイラー路線を完全に分けてしまうほど、まだ日本の短距離界の層は厚くないですから。

オセアニア産の短距離馬の層の厚さは凄いですよー。

こちらこそ長くなってしまいました。

これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 18, 2006 at 09:36 PM

そうですか?関東のG1はおもしろいでしょうね~。
秋のマイルCSとかはおもしろいんですが。。。
桜花賞も阪神コースが変わって、阪神JFの様に4コーナまで団子状態で、そこからの瞬発力勝負みたいになるとおもしろく無いですねぇ・・・。現に今の阪神外回りは前の馬が残ってますから。。。
益々おもしろく無くなってる様な・・・そんな気がするのは私だけ?

Posted by: はやひで | December 19, 2006 at 08:28 AM

はやひでさん

関東のG1は面白いですよ~(笑)

従来の阪神のマイル戦は、紛れが多かったですが、ある意味、牝馬のG1戦としては面白かったという面もあります。

コースが新しくなって、ノンベンダラリとしたレースを、阪神JFでも桜花賞でも見せられてしまうのは勘弁ですよね。

私はどちらかの距離設定を少し変えてもいいかなと思います。

桜花賞を阪神の1800mにするとか。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 19, 2006 at 10:00 PM

なるほど。。阪神1800mかぁ。。それもありですね。
フィリーズレビュー(でしたっけ)が、多分内回りの1400mでしょうから、1600m外回りの本番の参考にならなくなるでしょうし、馬券的に難しくなるのかな?

関東G1。いつかは見に行きたいデス!
(出張帰りに中山、東京は土曜日のレースに行ったことはあるんですがね・・)

Posted by: はやひで | December 20, 2006 at 12:56 AM

はやひでさん

あくまでもたとえばですが。

もしかすると、阪神のマイル戦も桜花賞の頃までには変わっているかもしれません。

今は新設ということもあって、騎手も手探りで乗っていますから。

基本的には、どの馬もが力を出し切れるフェアなコースだと思います。

私も久しぶりに関東のG1レース観に行きたいなー。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 20, 2006 at 08:52 PM

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