勝己の凄み

日経新春杯を勝った安藤勝己騎手に、凄みを感じたのは私だけだろうか。ジョッキーとしての最高峰にいる者のみが放つ、ある種の凄み。普通に乗っては勝ち目のなさそうなトウカイワイルドを、まるで別馬が走っているかのように、その手綱で蘇らせてしまったのだ。
12.5 - 11.2 - 11.0 - 13.0 - 12.8 - 13.0 - 13.8 - 12.8 - 11.7 - 11.7 - 11.6 - 12.3
これがレースのラップタイムである。京都の2400mは、スタートしてから1コーナーまでの距離が597mと長いため、今回のレースのように逃げ・先行馬が気分良く行き過ぎてしまうと、前半の3ハロンまで速いラップが刻まれることがある。その反動で、1コーナーから2コーナーにかけてペースが落ち、引き続き向こう正面もゆったりとしたペースでレースは進んだ。レースが動き出したのは3コーナー過ぎのラスト4ハロンからで(少し速かったか)、ラスト200mはどの馬も失速している(トウカイワイルド以外)。まさに、コーナーを基準にペースが変わる典型的なラップ構成である。
このようなラップで流れるレースを、どのように乗るかを説明するのは簡単である。テンの速いところではゆっくりと行き、道中でペースがガクンと落ちた時に無理なく前との差を縮め、ラストで再び各馬のペースが上がり始めた時には手綱を抑えてゆっくりと仕掛ける。つまり、全体の流れが速くなったら遅く行き、遅くなったら速く行くのである。
「全体の流れが速いときには遅く行き、遅いときには速く行く」
誰もが分かっていても出来ない乗り方である。今回の日経新春杯でも、こんな当たり前の乗り方が出来ていたのは安藤勝己騎手だけであった。とはいっても、安藤勝己騎手が何か特別なマジックを使った訳ではない。もしひとつだけマジックがあるとすれば、安藤勝己騎手はトウカイワイルドの走るリズムを崩さないことだけを心掛けて乗っていたということである。スタートからゴールまで、トウカイワイルドのリズムで走らせた結果、全体の流れが速いときには遅く行き、遅いときには速く行くという乗り方になっただけなのである。そして、気が付くとゴールでは先頭に立っていただけなのである。これが安藤勝己の凄みだ。
日経新春杯のレースをもう一度
→http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2007/08/200701080511h.asx
Special photo by Ichiro Usuda
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Comments
安藤騎手は非常に失礼な言い方かも知れませんが、上手くなりました。
何がって、騎乗フォームと追い出してからのバランス、安定感です。
武兄弟の騎乗フォームはすごく綺麗ですね。幸四郎は背が高すぎるのが出世の妨げになってるのかも?
最近では岩田騎手も昔と騎乗フォームが変わってきましたね。
小牧騎手だけは、全然変わらず。。。しかも届かず3~4着がやけに多い気がします。勝手な意見でした。
Posted by: はやひで | January 16, 2007 at 12:25 AM
うーん、そうですよね。
最後団子になったとき、内からスルスル来る馬を見て
「アンカツか」
とつぶやいていました。
実際ペース分析をしてもらって合点がいった感じです。
ちょっと嫌だったんですよね。
メイショウ・フジと外枠のなか、いい枠だったので。
有馬記念以後、騎手で考えた方がいいと思い始めてます。
全部が全部というわけではないのは当然ですが、
勝負が出来る騎手って少ないはずですから。
Posted by: jirobacks | January 16, 2007 at 12:29 AM
僕も回顧で書いたんですけど、このレースはほんとアンカツが凄かったですよね。
武豊ばりの京都の上手さを身につけたのかもしれませんね^^
今年は武豊にどこまで迫れるか楽しませてくれそうです^^
Posted by: たまバス | January 16, 2007 at 01:09 AM
はやひでさん
安藤勝己騎手は昔から上手かったのですが、中央の水に完全に合ってきましたね。
あとどれくらい乗ってくれるか分かりませんが、岡部騎手のように、出来るだけ現役でいてほしいと思います。
小牧騎手はリズムに乗れませんね。
地方から来た騎手が、皆上手いわけではないですよね。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 17, 2007 at 09:01 PM
jirobacksさん
おっしゃるとおり、内枠を上手く生かした乗り方ですよね。
地方競馬で揉まれてきた騎手は、好枠を引いたチャンスは逃しませんから。
私は特に上のクラス(G1のような)のレースほど、騎手の技量が大きい位置を占めていると思います。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 17, 2007 at 09:11 PM
たまバスさん
アンカツは本当に凄い…
今では飄々として乗っていますが、凄い技術を持っている騎手ですよね。
「競馬パーク」いいですねー。
ひとりでも多くの方がファンになってくれるといいですね。
応援してます。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 17, 2007 at 09:28 PM
どうもです~
安藤騎手はいかにも地方競馬出身という乗り方をする騎手さん
ですが、なかなか彼のような騎乗をすることは難しいと思います。
御神本騎手なんかは典型例だと思いますが、外から差して来る姿は
あまりお目にかかりません。
それにしてもアドマイヤフジの乗り方は解せませんでした。
今年瀬戸内、伊藤雄と関西の大御所調教師が引退されますが、
私はこの事で関西騎手の力関係もだいぶ変わると思ってます。
(いろいろ事件とかもありましたしね…)
アドマイヤの馬主さんはすでに岩田騎手に依頼を多くするように
なっておりますし。福永騎手もあの乗り方では今年からは
かなり厳しいんじゃないかなと思ってたり…(--
Posted by: しゃち | January 19, 2007 at 10:10 PM
しゃちさん
確かに、安藤騎手のように乗るのは難しいでしょうね。
私の中では彼が最高の騎手ですから(デットーリは除くw)。
少しでも長く乗り続けて欲しいですし、またその騎乗を目に焼き付けておきたいですね。
福永騎手の騎乗は無難に映りましたが、しゃちさん的にはマズカッタですか?
Posted by: 治郎丸敬之 | January 19, 2007 at 10:25 PM
治郎丸さん
即レスすみません(笑)
ブログ更新中にたまたま拝見いたしましたので…
ちょっと感情的なコメントかもしれませんが(!)
かなりの能力をもっていたにもかかわらず彼がイマイチに
させてしまった馬(キングへイロー、ピースオブワールドなど)
を見てきているので、ちょっと厳しいかもですがもうちょっと
馬の力に頼らず、馬に楽をさせてあげれる様な
騎乗を覚えてほしいものです…
安藤騎手の乗り方と比べるのは確かに厳しいとは
思いますが…(--
デットーリは特別ですよね(^^
なにせ、イギリスで一日のレース全勝した騎手さんですから(><
安藤騎手は年齢のせいもあるかもしれませんが、
条件戦などでは凡走することも稀にありますが
大レースでの集中力は凄いものがありますよね。
昨年や今年の重賞レースを見ていると思います。
マヤノトップガンやフラワーパークの頃の田原騎手を
思い出しました。
Posted by: しゃち | January 19, 2007 at 11:24 PM
遅くなりました。
日系新春杯は騎手のレベルが反映されたようなレースでしたね。
安藤騎手は最内でギリギリまで追い出しを我慢して、
前が開けたところで一気に抜け出してきました。
トウカイエリートの赤木騎手は、惜しかったというか、
内を開けなければ(内にこだわっていれば)
先着していたと思います。
自分が狙ったオースミグラスワンの四位騎手は外を回しすぎましたね。ちょっとロスが多かったように見えました。
今回は安藤さんにやられてしまったレースでした。
Posted by: keigo | January 20, 2007 at 10:50 AM
しゃちさん
レス遅くなってすいません(笑)
なるほど、キングヘイローやピースオブワールドですね。
彼も若くて未熟だったのでしょうが、しゃちさんから見れば、まだまだ未熟ということですね。
私も福永騎手はまだ一流とは言えないと思います。
かなり成長して、もう少しのところまで来ていると思いますが。
若手の中では、努力して、勉強しているのではないかなと想像します。
安藤騎手とマヤノトップガンやフラワーパークの頃の田原騎手を合わせたのは、面白い発想ですね。
そう言われれば、そんな気がします。
鬼気迫るものを感じる時がありますから。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 21, 2007 at 12:49 AM
keigoさん
こちらこそ遅くなりました。
Keigoさんのオースミグラスワンは、おっしゃる通り、ロスのある競馬でした。
四位騎手は、ああいう大跳びの馬は外を回らせて伸び伸び走らせることが多いのですが、諸刃の剣だと思います。
安藤騎手のように、経済コースを取りながら、馬のフットワークを殺さない騎乗が出来るのは、まだまだ先のことでしょうね。
Posted by: 治郎丸敬之 | January 21, 2007 at 12:51 AM