逃げてはいけない

朝日杯フューチュリティSにおけるオースミダイドウの唯一にして最大の敗因は、決して逃げてはいけないレースで逃げてしまったことである。朝日杯フューチュリティSはなぜ逃げてはいけないかというと、例年、ハイペースでレースが流れるため、終いの3ハロンが36秒も掛かってしまうほど、一本調子の先行馬(特に逃げ馬)にとっては厳しい展開になってしまうからだ。急坂が待ち構えていることも含めて、最後の直線まで脚を温存しておかなければ勝てないレースなのである。
そんな中、1番人気を背負って逃げるということは、まさに自殺行為と言ってもよいだろう。他馬の格好の目標にされてしまうのは明らかで、案の定、手応えの良かったローレルゲレイロはオースミダイドウを目標に仕掛けてきた。ドリームジャーニーの勝ちっぷりは鮮やかであったが、その末脚は、逃げたオースミダイドウに演出されたと言っても過言ではない。
なぜペリエ騎手はオースミダイドウを逃がしてしまったのだろうか?
おそらく、オースミダイドウはパドックでも入れ込んでいたし、返し馬でも行きたがる素振りを見せていたため、馬の気持ちに任せて行かせた方が良い結果が出る、とペリエ騎手は判断したのだろう。もともとペリエ騎手は、馬の気持ちに沿って、積極的に前に位置することに徹する騎乗で結果を出してきたジョッキーである。そのシンプルな思考が今回のレースに限っては裏目に出てしまった、と好意的に解釈すればこうなる。
しかし、そうではなかったのではないかと私は思う。馬が行きたがるから行かせるという思考は、ほとんどの意味においては正解なのだが、そうではないレースもある。今回のレースで、馬が行きたがったから行かせたのであれば、その思考は余りにも短絡的すぎる。朝日杯フューチュリティS特有の流れだけではなく、ここを目標にデイリー杯では抑える競馬を教え込んできた陣営の文脈すら、完全に無視してしまっているからである。もちろん、逃げなくても負けていたかもしれないが、たとえ引っ張ってでも抑えるべきだったのではないか。また、ゲートからゆっくり出すという工夫も出来たはずである。
ペリエ騎手は、日本に来て最も成長した騎手である。初来日の時から、日本語でコミュニケーションを取ろうと努め、ヨーロッパと全ての面で違う日本の競馬になんとか適応しようと、考えに考え抜いてこれまでやってきた。そのことが、彼の騎乗に大きな影響を及ぼし、技術の幅を広げ、超一流の騎手へと成長させたに違いない。そんなペリエ騎手が、レースの傾向も理解していなかったばかりか、オースミダイドウの文脈さえも無視したような騎乗をしてしまった。はっきり言って、何も考えていない騎乗である。もしかすると、ペリエ騎手は考えることからも逃げてしまったのではないだろうか。
かつての緻密で大胆な騎乗をまた見たいと思うペリエファンは、私だけではないだろう。
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Tracked on February 06, 2007 at 12:33 PM

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Comments
オースミダイドウは自在性のある馬ですが、
武豊騎手があえてデイリー杯で馬群に入れてみたり、
末脚を伸ばす競馬をさせてみるなどクラシックを見据えた
騎乗を試したのに、ここで逃げてしまったのは苦労、工夫を
台無しにしてしまうものであったと私も思いました。
直前の調教でも明らかに末脚を伸ばす乗り方をされており、
陣営にとっても納得できない騎乗だったことだろうと思います。
デビュー時の先行策の騎乗データしか見ていなかったのか、
外枠の不利を感じて前に出ざるをえなかったのか、
なんにしろ、ワンポイントリリーフとしては
思慮に欠ける感じは否めませんね。
「この馬で勝つためにはどうしたらいいのか?」と
懸命に考え抜いて有馬記念でハーツクライを先行策に
導いたルメール騎手の騎乗などと比較すると
明らかに研究不足・・・というより熱意に欠ける印象です。
一流騎手の騎乗から感じる勝利への貪欲さ、
ペリエ騎手にも是非取り戻してもらいたいものです。
Posted by: けん♂ | February 04, 2007 at 11:42 PM
私は少し違った解釈をしています。
ペリエがこの馬の主戦騎手であるならば、恐らくは負けても手綱を引っ張ったりしたと思います。今回は武豊からのテン乗りという事もあり、「結果が全て」と考えるのが妥当。
と、なればゲートをポンと出てしまって押さえ込んだら負けるという状態であれば行ってしまうのも正解かと思います。
最近ペリエ騎手の騎乗馬もあまり良い馬が一時期より集まらなくなりましたので、ちょっと焦ってる面もあるかも知れませんね。
ペリエ騎手はどちらかと言うと緻密な騎乗では無く「豪腕」の部類なので、少し年齢的な衰えもあるのか?と疑っている昨今です。
Posted by: はやひで | February 05, 2007 at 08:36 AM
けん♂さん
ペリエ騎手ほどの超一流騎手に対して失礼だとは思ったのですが、どうにもオースミダイドウの騎乗は解せませんでした。
スタートから出して行っているところを見ると、どんなレースでも出来るだけ前に行けばよしと考えているように映ります。
有馬記念のポップロックなどは、そういった前傾姿勢が功を奏したのですが。
>直前の調教でも明らかに末脚を伸ばす乗り方をされており、
>陣営にとっても納得できない騎乗だったことだろうと思います。
→そうですよね。
これまでの文脈を踏まえていれば、少なくともああいう形の逃げにはならなかったのではないかと思います。
まあ、終わったことなのですが、自分の馬券の敗因を突き詰めていくと、このレースはペリエ騎手の騎乗に行き着いてしまいました。
もちろん、外れたのをペリエ騎手のせいにしているわけではありませんが(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 05, 2007 at 10:50 PM
はやひでさん
なるほど。
結果が全てという手綱だったのですね。
確かに、これまでそうして勝ってきているレースがたくさんありますからね。
主戦ではないから、文脈を踏まない騎乗をしたとは思いつきませんでした。
ただ、朝日杯に限って言えば、ペリエ騎手は武豊騎手を追いかけて暴走したこともありますし、同じように逃げて1番人気のメイショウボーラーで負けたこともあります。
メイショウボーラーは行かせた方が良かったとは思いますが、オースミダイドウはどうでしょうか?
同じ轍を何度も踏んでいる気がします。
はやひでさんのおっしゃるように、焦っている部分もあるのかもしませんね。
私もペリエ騎手は追える騎手だと思っています。
でも、欧州では彼は追えない騎手とされています。
それぐらい他の騎手が追えるのか分かりませんが、ちょっと不思議な気がしますね。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 05, 2007 at 11:02 PM
こんばんわ。
僕は、グレイトジャーニーのペリエ騎手の騎乗を生で見て
上手く乗ってるなぁ。と思いました。
あのレースは、ペリエ騎手じゃなかったら
グレイトジャーニーは掲示板もなかったのではないでしょうか?
ただ、最近確かにペリエ騎手の活躍が減ってきてる気はしています。
私は、個人的にペリエ騎手が好きなので
今後も応援していきたいと思っています!
Posted by: UPUP | February 06, 2007 at 02:30 AM
ペリエ騎手が来日した頃は、私の好きなバンブービブロスを後方から一気で勝たせてくれたし、人気の無い馬でも持ってきてくれましたね。
しかし、最近は少し力が落ちてきている様に思えます。前々に付ける様になったのもその為かも知れませんね。
後、ペリエ騎手が主戦騎手だったら、やっぱり後々を考えて抑えたのでは無いかと思うんですが・・・。まぁ、ただ私も前には行かないだろうと思って、馬券の対象に入れていたので。おいおい~・・・ってな感じでしたが。。。
ペリエ騎手は「好きだった」騎手になっちゃいましたね。
そう言えば、常石騎手が凄く好きだったのですが。復帰は無理なんでしょうかねぇ・・。(関係無い話しになりましたが)
Posted by: はやひで | February 06, 2007 at 08:28 AM
UPUPさん
ペリエ騎手は一流の中の一流の騎手ですよね。
もちろん、エージェントの問題などあるのでしょうが、かつてペリエマジックと言われていた頃のギラギラ感がなくなってしまっているような気がします。
それがそのまま現れたのが、このレースではなかったでしょうか。
ペリエ騎手のことなので、そのうちまた勢いを取り戻してくれると思います。
応援したいですね。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 07, 2007 at 12:27 AM
はやひでさん
ありがとうございます。
このエントリーは問題提起のつもりなので、こういう解釈もあると言ってもらって嬉しかったですよ。
はやひでさんのおっしゃる通り、ワンポイントだからこそ逃げたという解釈も鋭いと思います。
私も前には行かないと思っていましたけどね(笑)
常石騎手にはまたレースに乗ってほしいと思います。
彼の少年のような顔はうらやましくて好きだったな。
すいません、バンブービブロス知りませんでした。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 07, 2007 at 12:31 AM
毎度です。
バンブービブロス・・・まぁ知ってる人の方が少ないかと・・・。
準オープンを勝ってそのまま地方に行っちゃいましたから。
故障した訳でもオープンで一回も走ってないのに・・残念だった記憶があります。ちなみに主戦騎手は土肥騎手でした。
騎手までマイナー?(笑)
Posted by: はやひで | February 07, 2007 at 08:27 AM
はやひでさん
調べたんですが、バンブーアトラスの仔なんですね。
バンブービブロスと土肥騎手を好きな、そんなはやひでさんが私は好きですよ(笑)。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 09, 2007 at 12:49 AM