偶然の上に載る栄光

13.2 - 11.9 - 11.8 - 11.6 - 11.8 - 11.6 - 11.8 - 13.0 - 12.9 - 12.4 - 13.0 - 12.5 - 11.8 - 11.2 - 11.3 - 12.3
長距離レースによくあるパターンの、前半が速くなって、中盤が急激に緩み、ラストがまた速くなるというラップ構成である(これだけ前半に速いラップが続くのも珍しいが)。このラップ構成だけを見ると、アイポッパーの前半の位置取りは実は悪くない。前が止まらない馬場を考えると、少しでも前に位置しておきたいのは山々だが、これだけ速い前半であれば、立ち遅れて後方を進んだことは決して致命的ではなかったのだ。
むしろ致命的だったのは、向こう正面でガクンとペースが落ちた中盤(1400m~2400m)で、先団との差を詰めておけなかったことである。安藤騎手は、(結果的に)ここでひとつだけ判断ミスをしている。アイポッパーを外に出さなかったのである。外に出すロスを避けるという選択肢を選んだ結果、差を縮めなければならない場面で、不運なことに、左右の馬に前をカットされてしまったのだ。結果論で言うと、一旦馬を外に出してから、先団との差を詰めておくべきであった。
→天皇賞春のパトロール映像はこちら(左から8頭目の馬がアイポッパーです)
私は決して安藤勝己騎手の騎乗を批判しているわけではない。そうではなく、最高の騎手である安藤騎手でさえ、わずかな判断ミスで勝利を逃してしまうことがあるということである。もちろん、外に出せていたら勝っていたとまでは思わないが、もう少し勝利に近いところまで手が届いたのではないだろうか。
一旦外に出して差を詰めるか、そのままの進路で差を詰めるか、2つにひとつの選択である。安藤騎手だけではなく、騎手にとって、レースとはこういった選択・判断の連続であり、それぞれの騎手の選択・判断が複雑に絡み合ってレースを形成する。これぞ競馬のレースの未来を正確に予測するのが困難な理由のひとつである。
そもそも、アイポッパーが出遅れたのは、トウカイトリックがなかなかゲートに入らずに、ゲート内で待たされて、馬が神経質になってしまったからだという。たったそれだけのことで、1番人気の馬が出遅れ、レースの展開は大きく変わり、結果も大きく変わる。
アイポッパーが向こう正面で差を詰められなかったことや、トウカイトリックがゲートに入らなかったことは、今回の天皇賞春に限ってたまたま起こったアクシデントではなく、競馬のレースではごく日常的に起こっている出来事なのである。競馬のレースとはそれほど曖昧なもので、常に移り変わる。レースは生き物なのである。
そういったあらゆる偶然(accident)の上に、メイショウサムソンの栄光は載っている。
私たちの馬券もまた同じ。
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Comments
競馬は難しいですね。
アクシデントが起こる確率が1%だとしても
スタートからゴールまでの瞬間、瞬間に様々なアクシデントの要素があるわけで
99%×99%×99%×99%×・・・・×99%=?%
ゴール地点ではどれだけの差異になっているやら・・・
予想というものがいかに砂上の楼閣に過ぎないか、ということが
良くわかります。
それでも「全ては偶然だから」と適当な馬券を買うわけにはいかず、
なるだけ確率の高い選択を模索するわけで・・。
そこに至るまでの複雑極まりない要素を考えに考えて
「これだ!」と思った馬券は、ほんの小さなアクシデントにより
ものの数分で紙屑になる、と。(涙)
まったく予想外のアクシデントだったのか、
それとも自分の想定に甘さがあったための判断ミスなのか、
自問自答しながらまた次のレースに挑むわけで・・
そんな心の葛藤が悔しいけど楽しいのが競馬だと思います(^^)
人事を尽くして天命を待つ。
人事を尽くし切れなかったレースには後悔が残りますが
それもまた自分の糧になってくれていると思いたいものです。
Posted by: けん♂ | June 06, 2007 at 03:04 AM
けん♂さん
こんばんは。
競馬は難しいですね。
もちろん、だからと言って、未来を予想する行為自体が無駄だとは私も思いませんよ。
ただ、それがいかに砂上の楼閣に過ぎないかということを認識するのと、そうでないのとでは、競馬の奥行きが違ってくると思っています。
たとえ馬券が当たった時でも、ほとんどが偶然であることが多いですよね。
私も過去の馬券を思い出すたびに、なんと自分はラッキーで勝ってきたのだろうと痛感しますから(笑)
Posted by: 治郎丸敬之 | June 06, 2007 at 07:48 PM