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「我が初恋の馬ヒシアマゾン」

好きな馬がいると、世界はキラキラと輝いて見える。私が初めて本当に好きになったのは、ヒシアマゾンという牝馬であった。黒鹿毛の馬体は薄い皮膚で覆われていて、その艶やかな黒さがほんのりとした色気を漂わせる。いざ走り出すと、完歩の大きなダイナミックなフォームで他馬をごぼう抜きにする。スタートがあまり良くないため後ろから行くことが多かったが、3コーナーから4コーナーにかけてスッと上がっていくあのスッという瞬間がたまらなく好きだった。
 
ヒシアマゾンに初めて出会ったのは、平成5年の阪神牝馬ステークス(今の阪神ジュべナイルフィリーズ)。競馬を教えてくれた友人はタックスヘイブンという馬を勧めてくれたのだが、とくに何の根拠もなく、なぜか私はヒシアマゾンを本命にしてレースを見守っていた。最後の直線で他の乙女たちが2完歩で走るところを1完歩で走ってしまったかのような豪快なフットワークで楽勝したのを見て、私の心の中でカランコロン!と鐘が鳴った。

この牝馬は私たちが今まで見たことのないような強い馬になる!ナリタブライアンとナムラコクオーの力の差が分からなかったほど、競馬を始めたばかりの私の一方通行な思い込みによって、私たちの恋はスタートした。友人のタックスヘイブンはハナ差で3着に敗れてしまい、彼はよほど悔しかったらしく、「もう競馬やめようかと思う」と愚痴っていたのを記憶の片隅に憶えている。友人と私の競馬は、ここで大きく二つに道が別れたのかもしれない。

ヒシアマゾンは私の期待どおりに走ってくれた。クリスタルカップでは追い込み列伝に名を連ねる強烈な末脚で快勝し、ニュージーランドトロフィーでは府中のマイル戦で牡馬を胸で受ける横綱相撲で圧勝した。秋になっても、クイーンステークスとローズステークスは回ってくるだけで楽勝し、エリザベス女王杯は大外を回って2400m以上の距離を走ったが辛勝した。

そして、暮れの有馬記念も、最盛期のナリタブライアンには歯が立たなかったものの、古馬との初対戦であったにもかかわらず、2500mという距離で歴戦の古馬を完封した。この牝馬は私たちが今まで見たことのないような強い馬になる!今から思うと、私の期待過剰以外の何ものでもないのだが、その青い想いにヒシアマゾンは必死で応え続けてくれた。
 
1年後、ヒシアマゾン4歳時の有馬記念には彼女と行った。高田馬場から始発の地下鉄に乗って中山競馬場へと向かった。ナリタブライアンを買うと言った彼女に、「ナリタブライアンは体調が戻っていないから、買うなら複勝にしておけ」とうんちくを垂れると、「うん、分かった、複勝にしておく」と彼女は素直に頷いた。前走のジャパンカップで2着したヒシアマゾンが、有馬記念で負けるはずがないと私は思っていたのだ。日本馬最先着したヒシアマゾンが、日本馬同士の有馬記念を勝利することに相当な確信があったのだろう。前日に前売りオッズが4倍もついているのを見て、「クリスマスイブに行われれる有馬記念だから、オッズもダブルアップチャンスなんだ。JRAも粋なことをするな」と本気で思ったほどだ。私は彼女と二人で地下鉄に揺られながら心地よい眠りについた。
 
私は迷うとほぼ必ずと言ってよいほど間違った方を選択してしまう情けない若者であった(今でもそうなのだが)。平成11年のNHKマイルカップでは、お決まりのように2頭で迷った挙句、結局、シンボリインディの単勝を買った。私が最後まで迷いに迷っていたのは、同じ藤沢和雄厩舎のマチカネキンノホシ。こちらの方が人気も素質も上であったので、シンボリインディを選択したことは当時の私としては大英断であった。レースではシンボリインディが直線内から抜け出し、私は久しぶりの勝利に大喜びした。

彼女は私と共に喜びながら、「あーあ、マチカネキンノホシ負けちゃった」と単勝馬券を見せてくれた。「マチカネキンノホシは来ないでしょ。俺も最後まで迷ったんだけどね。」と私は誇らしげに語った。私がシンボリインディに賭けたのと同額が賭けられた馬券に込められた彼女の気持ちに、当時の私は気付くことはなかった。

平成10年の有馬記念では、グラスワンだーと迷ってメジロブライトに賭けてしまった私を慰めるように、彼女は「これで美味しいもの食べに行こう!」とグラスワンダーの単勝馬券を私に手渡してくれた。私をよく知る彼女は、これは後から気付いたことなのだが、私が迷って買わなかったもう一方の馬の馬券を買ってくれていたらしい。

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また私は、すぐに勝負を捨ててしまう、あきらめの早い若者でもあった。彼女から借りたお金で大勝負を賭けたレースの途中で、クルりと振り返って競馬場を後にすることもあった。平成11年の朝日杯3歳ステークス(今の朝日杯フューチュリティステークス)はさすがの彼女にも怒られた。私が賭けた1番人気のレジェンドハンターは4コーナー手前から動いてしまい、敗北を確信した私はレースが直線に向かったところで競馬場をあとにあした。

「なぜ最後まで応援しないの?」
「いくら中山でもあれだけ早く動いてしまえば間違いなく差される」
「そんなの分からない。諦めないで最後まで応援していれば差されなかったかもしれない。諦めたから差された。」
「いや、俺には分かる。あそこから動いて差されなかった馬はいない。負けると分かっているのに応援できるかよ!」
「もしそうだとしても、勝負しているんだったら、最後まで一生懸命応援するべき!」

中山競馬場のオケラ街道で繰り広げられた、この笑ってしまうような会話は今でも私の心に残っている。
 
ファンファーレが寒空に鳴り響き、思ったよりも静かにスタートは切られた。ターフビジョンで見る限り、ヒシアマゾンは少し出遅れたようだ。まあいい。いつもスタートはよくないのだから。先頭を切ったのはマヤノトップガンで、それにタイキブリザードが続く。ヒシアマゾンは後ろから数えて数頭目を走っていた。馬群は1週目の3コーナー、4コーナーを回って、スタンドの前をまさに通過しようとしていた。  

次の瞬間、今でも鮮明に思い出す、人混みをかいくぐるように背伸びをしていた私と、馬群の一番外側を走っていたヒシアマゾンの目がピタリと合った。私の瞳にヒシアマゾンの瞳が映り、ヒシアマゾンの瞳に私の瞳が映った。その時、私は自らの間違いを悟った。あらんかぎりの力を出し尽くした彼女の瞳には、悲しみに似たあきらめが宿り、包み隠すことのない涙がうっすらと浮かんでいた。

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なぜ分からなかったのだろう。いや、なぜ分かろうとしなかったのだろう。出来ることなら、もう一度やりなおしたかった。私は黙って目を逸らし、そのままうつむいた。  

私は言葉を失った。「メリークリスマス!!」という田原成貴流のエンターテイメントも、沈黙の石と化した私にはもはや何も伝えなかった。目の前で起こった現実世界と私とのあいだには、途方もなく深い漆黒色の断絶が広がっていて、なんとかその隔たりを言葉によって埋めようとしてみたが、私の抑圧された心はそれを決して許さない。私の世界から言葉がすっかり消えてしまっていた。自分を揺り動かすために何かを口に出そうとするものの、終に言葉は思い浮かばず、紙のようなものが喉に張り付いたように声すら出ない。私はひたすらに歩いた。華やかなりしクリスマスツリーに目もくれずに歩き続けた。

私たちは言葉によって世界とつながっていると思う。言葉があるから世界は存在するとか、世界ははじめから存在するとか、そういうことではなくて、自分というそれだけで完結してしまいそうな存在を、言葉によって果てしない広がりを持つ世界となんとか結び付けているのではないだろうか。そうして初めて、私たちはこの世界で生きているという実感を得ることができる。言葉を失ってしまえば、私たちはこの世界との関係を保ち続けることができずに、その場に立ち尽くしてしまうだろう。

私たちはただ生きようという意志によって生きているのではない。世界で起こっているただそれだけでは意味のないことがらに、言葉によって意味を与えていくことによって、生きている意味を感じることができるのだ。だからこそ、世界が意味のないものとして突然目の前に現れたとき、私たちはそれを語るべき言葉を失ってしまうのかもしれない。  孤独とは言葉のない世界のことである。もし語るべき言葉がみつかったとしても、語るべき「誰か」がいなくては言葉がないことと同じであり、伝えたいという想いに乗せて本当の言葉を紡ぐことができる「誰か」がいなければ、私たちは世界とひとつになることができない。

それは自分の心の中にいる「誰か」であってもいい。自分の見たこと、感じたこと、聞いたこと、考えたことを言葉にすることのできる「誰か」は、自分の外にいる必要はないだろう。もっとも、私たちは自分の心の中にいる「誰か」に対して言葉を紡いでいることの方が多いのかもしれない。そういった「誰か」がいなかったり、いなくなってしまったときに、私たちは言葉を失い、世界から放り出されてしまう。言葉のない世界に私たちは意味を感じない。言葉のない世界に私たちはいないのだ。

私はその最後の瞳を決して忘れることができないだろう。
失うことによって、言葉さえも失われてしまうこと。
言葉のない世界を、これからどうやって生きていこう。

*「ガラスの競馬場」がホームページだった時代に書いたエッセイに手直しを加えて、今年(2007年)の優駿のエッセイ賞に応募したものの落選した作品です。かなりクサイと思うのですが、それは今から6年以上前に書いたということでお許しください(笑)。

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素直になろうよ。

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武豊騎手の騎乗に批判が集まったことに対して、私は少しばかり驚かされた。もう少しポップに言えば、「あれっ、ああいう騎乗を期待していたんじゃないの?」という感じであった。見聞きするところによると、ベッラレイアを買っていた多くのファンは、武豊騎手がもっと前の位置で競馬をするという期待を込めていたらしい。だからこそ、ほぼ最後方に近い位置取りからの騎乗に不満を覚えたのだろう。スローな展開で末脚が不発に終わったとなればなおさらである。しかし、結果こそ裏目に出てしまったが、今回の騎乗こそが、武豊が武豊たるゆえんではないのだろうか。

武豊騎手はおよそ届かない位置から届いてきた(届かせてきた)ことで、今までの競馬の常識を覆してきた騎手と言ってもよい。シャダイカグラの桜花賞を筆頭に、ナリタタイシンの皐月賞、ダンスインザダークの菊花賞、スペシャルウィークの天皇賞秋など枚挙に暇がなく、特に大舞台において人気を背負っているからこそ、そのインパクトは大きかった。名騎手でもあった実の父(武邦彦氏)にさえ、「豊は後ろから行き過ぎているのではないかと思うことがある」と小言を言われたこともあったが、現代の競馬においては届くものは届くという信念を彼は貫いてきた。そうした信念をサンデーサイレンス産駒の瞬発力が後押ししたところもある。

当然のことながら、武豊騎手は後ろから行って騎乗馬の末脚を引き出すだけの騎手ではない。スーパークリークやメジロマックイーンのように正攻法の競馬にこだわることもあるかと思えば、サイレンススズカのようにサラブレッドの常識を超えた大逃げを御すこともある。ディープインパクトのように折り合いに危うさを秘めた馬の力を、コンスタントに発揮させ、走らせることも出来る。もしひとつだけ彼の騎乗に流儀があるとすれば、そのレースに勝つためにはどう乗ればいいのかを忠実に実行する(出来る)ということであろう。

今回の秋華賞に臨むにあたって、武豊騎手はベッラレイアの新馬戦からオークスまで全てのレースを見直したに違いない。そして、ローズSに乗った時の感触、追い切りでの手応え、京都2000m内回りで行われる秋華賞の特性などを加味した上で、ギリギリまで脚をタメるだけタメて末脚を爆発させるという作戦を第一にしていたのだろう。ダイワスカーレットに勝つにはこれしかない。さらに、返し馬でベッラレイアがいつも以上に行きたがっていたこともあり、その作戦は必須のものとなった。ほんの僅かでも無駄な動きをしてはダイワスカーレットには勝てない。

ちなみに、道中がスローでもジョッキーが動けない(動かない)という競馬の難しさについて、田原成貴元騎手はこう語る。

スローなレースの流れがわかれば、道中で動けばいいじゃないか。スローで進んで前にポジションを取った馬が有利なのがわかっているなら自分が出て行けばいいじゃないか。私たち騎手はよくそう言われることがある。机上の計算やレースを見ていればなるほどそう言う気持ちも非常によくわかる。

しかし、誰も出て行かない。きっと自分が買った馬券の馬がスローなレースの中の後方に位置している場合など、ファンの人は歯がゆい思いでレースを見ていることと思う。ましてや自分の思った通り強烈な差し脚を発揮しても、前の馬を捕らえ切れずに負けた場合等、「だから出て行けばよかったんだ…馬に乗っていない素人のオレでもそんなことわかる」「あの三流騎手が…」そう思われることだろう。

しかし、はっきり言わせてもらえば、出て行けばよほど能力差がない限り、出て行った馬は負ける。たとえ、前の馬は捕らえ切れたとしてもスローな流れの中でジッと我慢に我慢を重ねた馬の餌食になるはず。馬の能力差がない場合、その確率100%と言っても過言ではないでしょう。

武豊ほどの騎手であれば、道中のペースが緩んでいたことに気付かないはずがない。ベッラレイアも窮屈そうに走っていた。それでも、当初想定していた流れと大幅に違っていたとしても、途中から動くよりも動かない方がマシなのである。途中から動いていたら、4着もあったか疑わしい。勝つために後ろから行くと決めたら、それを最後まで忠実に実行するのが武豊の流儀なのである。そういう意味においては、武豊騎手は最後まで誰よりも勝つことを諦めていなかった。

それにしても、私を含め、私の友人のほとんどがベッラレイアに賭けていたことにも驚かされた。彼らは20年近く馬券を買ってきているいわゆるツウ(通)である。彼らはツウであるからこそ、ダイワスカーレットを逆転する可能性をベッラレイア、いや武豊に見たのかもしれない。しかし、もしその可能性が武豊の考えた可能性と違っていたとすれば、批判されるべきは正攻法で勝つには能力が足りないベッラレイアに賭けた自分の馬券だろう。やはり、競馬は前に行ける馬が有利で、当然のことながら勝つ可能性も高い。そんな当たり前のことも私たちは忘れてしまっていたのかもしれない。分かっていて可能性の低い方に賭けたのであれば、ダイワスカーレットの2.8倍、ベッラレイアが3.8倍という単勝オッズはあまりにも分が悪すぎた。ねえみんな、もう少し素直になろうよ。

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人馬一体

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前日に降り続いた雨がウソのような秋晴れの下、馬場が水分をわずかに含んだ、サラブレッドにとっては最も走りやすい最高の馬場でレースは行われた。前半1000mが59秒6という、G1クラスにしては遅いペースでレースは流れ、中団以降に位置した馬にとっては差し込みにくい展開となった。

勝ったメイショウサムソンは、スタートで勝利の半分を手に入れた。出たなりのスピードで4、5番手を確保し、内々の経済コースを進み、あとは直線に向いて追い出すだけという、とても初コンビとは思えない人馬一体となった楽勝であった。34秒台の脚がコンスタントに使えるメイショウサムソンにとって、馬場が回復したことは大きくプラスに働いた。心配されたインフルエンザの影響も皆無で、馬体重の増減もなかったように、休み明けでもキッチリと仕上がっていた。夏は放牧に出さず、厩舎で仕上げてきた甲斐もあったのだろう。これだけ走るのであれば、ブッツケで凱旋門賞に行っていても良いレースになったのでは、と思うのは私だけだろうか。

武豊騎手の手綱捌きも素晴らしい。難しいことを簡単に見せてしまうのが武豊騎手の凄さだが、スタートのタイミングの良さ、馬の行く気を削がない道中のなだめ方、馬に一切の負担を掛けない最後の直線での追い出しのバランスなど、挙げればキリがないほどの高度な技術を、ごく当たり前にやってのけて見せてしまう。さすが日本一のジョッキーである。

2番人気に推されたアドマイヤムーンは、直線の不利もあり、伸びきれず6着と惨敗した。最終追い切りでもこの馬本来の動きになかったように、肉体的にも精神的にも走る準備が整っていなかった。宝塚記念の後、放牧に出し、馬体を一旦緩めてからの仕上げ直しであり、勝ったメイショウサムソンと比べると調整不足であったことは否めない。春シーズンを最後まで戦い抜いた馬だけに、本調子に戻るまでにはもう少し時間が掛かるかもしれない。

3強の1角を形成していたダイワメジャーは道中の行きっぷりも悪く、直線での不利も重なり、9着と大敗した。昨年あれだけの走りを見せた馬だけに、精神面でのピークをすでに越え始めているのだろう。年齢を重ねてズブくなってきているということもあるのだろうが、ダイワメジャーの真骨頂である前進意欲が全く感じられなかった。この秋は、たとえ好走しても勝ち切れないレースが続くはずである。

アグネスアークは小柄な馬体ながらも、最後の直線で不利を克服し、最後の最後まで良く伸びて2着を確保した。不利がなければもっと際どい勝負になっていたはずで、前走の毎日王冠で外を回しすぎた失敗もあっただけに、吉田隼人騎手にとっては悔やみきれないレースとなっただろう。馬体からは強さを全く感じさせないタイプだが、これだけのレースを見せられては誰しもがその強さを認めざるを得ないだろう。体はギリギリだが、次回マイルCSに回ってくれば面白い存在となる。

あわや2着のカンパニーは、コスモバルクのふらつきを上手く交わし、最後まで力を出し切った。関屋記念の勢いがそのまま弾けたように、この馬自身、休み明けの方が走るタイプなのだろう。福永騎手の東京競馬場を心得た乗り方も、見事と言わざるを得ない。

惜しかったのはポップロック。前走がスローだったせいもあってか、前半から行き脚がつかず、後方から最速の上がりで突っ込んできたが届かなかった。本来は道中をゆったり行って、終いが伸びる馬だけに、距離が延びる次走のジャパンカップは大きな期待が出来るはず。毎日王冠をレコードで勝ったチョウサンは気の悪さを見せたか、終始レースの流れに乗ることができなかった。

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◎ダイワメジャー

Jiromaru

我らがPOG馬である、サムワントゥラブとエイシンチーターが京都の3Rで仲良くツー、フォーフィニッシュ(2着4着)を決めましたね。詰めが甘いのはいかにも私らしいのですが、2頭が揃ってデビューできただけでも嬉しい限りです。これで香港も見えてきたかなぁ。

ルドルフおやじさんの「本格化馬恒常的好走伝説」、しかとお受けしました。本格化した一流馬に大崩れはない、どんな条件でも走り抜いてしまうということですね。まさにその通りだと思います。そして、タマモクロスを見つけてくるとはさすがですね。過去10年より前に歴史を遡ると、実はテイエムオペラオー以外にも宝塚記念→天皇賞秋を連勝した馬が1頭います。それがあの時、7連勝中とまさに本格化していたタマモクロスですね。しかも、宝塚記念から天皇賞秋はブッツケでしたから驚異的です。上がり馬が天まで昇って行った良い例だと思います。

しかし、それはまだ宝塚記念が6月の頭に行われていた時の話でもあります。宝塚記念は平成8年に開催日程が7月の頭に移行し、現在は6月の末で定着していますよね。開催時期が1ヶ月ほど後倒しになったことで、宝塚記念で激走した馬が秋の緒戦に完調で出てくることが難しくなったような気がします。そして、無理をして出てきたばかりに、その後のレースに支障をきたしてしまうというケースが多くなったのではないでしょうか。せっかく「宝塚激走馬秋下降曲線説」と命名していただきましたが、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」とした方が分かり易いかもしれません。

宝塚記念で激走した疲れを秋シーズンまで引きずる馬がいることに私が気付いたのは、おそらくグラスワンダーが毎日王冠を辛勝した時だったと思います。宝塚記念でスペシャルウィークを力でねじ伏せて休養に入り、秋緒戦の毎日王冠を勝つには勝ったのですが、そのレース内容はとてもグラスワンダーらしくないものでした。その後、グラスワンダーは左肩のハ行を起こしてしまい、ジャパンカップを回避しました。疲れが癒えた有馬記念では、再びグラスワンダーらしい走りを見せてくれましたが、毎日王冠時の精彩を欠いた走りは今でも忘れられません。

思い返してみると、マヤノトップガンは秋緒戦である産経オールカマーでアッと驚く凡走をしました。もちろん、春シーズンを天皇賞春で早めに切り上げたサクラローレルとは仕上がりの違いもあったのでしょうが、牝馬2頭にも遅れを取ったことは、単なる休み明けということだけではない、明らかな体調不良が感じられました。その次の天皇賞秋では、一度使ったこともあってか、少し立ち直っていました。私は2000mという距離であったことが、逆にマヤノトップガンには刺激になっての好走だったとも思います。その後の、有馬記念ではまたらしくない凡走をしてしまいました。精神的にも疲れがあって、気力がないような走りに私の目には映りました。

ルドルフおやじさんは、ディープインパクトの凱旋門賞の遠因として、宝塚記念に出走して勝ったことを挙げられていますよね。私もそれはあると思います。そして、これはあまり大きな声では言えないのですが、もしかしたらサイレンススズカが天皇賞秋を最後まで走りきれなかった遠因として、宝塚記念を勝ったにもかかわらず、秋緒戦の毎日王冠でもあれだけの走りをしてしまったことにあるのではと考えてしまうことがあります。橋田調教師に言わせると、サイレンススズカの毎日王冠はかなりの急仕上げだったそうです。エルコンドルパサーやグラスワンダーが出るということで、レースを盛り上げるために、少し無理をして出走させたのですね。そういえば、もうすぐサイレンススズカの10回目の命日ですね。

私も偉そうに書いていますが、競馬がひとつの切り口でスパッとやれるとはこれっぽっちも思っていませんよ。白か黒か分からないグレーの霧の中で、いつも彷徨うのが競馬だと思っています。ひとつの切り口の裏には、全く別の切り口が隠されていることが多いですよね。たとえば今回、「宝塚記念激走馬秋調整困難説」の裏には「本格化馬恒常的好走伝説」がありました。そして、実はこのどちらの説も正しいのだと思います。アドマイヤムーンは、シーズンオフに近い宝塚記念で激走した疲れが完全には回復していないでしょう。それでも本格化した今ならば、圧倒的な能力の高さで他馬を差し切ってしまうかもしれません。私たちが頭で考えるよりも、現実はもっと複雑で豊かなのだと思います。

しかし、そんな不確実な状況でも、白か黒かを選ばなければならないのが競馬です。せっかく挑まれた勝負ですから、私も受けて立ちましょう!宝塚記念で激走したメイショウサムソンとアドマイヤムーンの2頭は思い切って消しますよ。どんな結果が出ても恨みっこなしで。

本命は◎ダイワメジャーに打ちます。宝塚記念での惨敗は、ドバイ遠征→安田記念快勝という疲れ(反動)がガタっと出てしまったもので、6歳馬という年齢を考えても仕方ない結果だったと思います。出張馬房が騒がしかったという外的要因もあったようですね。「宝塚記念激走馬秋調整困難説」から逆に言えば、あそこでほとんど走っていないからこそ、順調に毎日王冠をステップとすることが出来たということです。その毎日王冠は極端なハイペースを前々で追走し、59kgを背負って最後までよく粘り通していました。最終追い切りの時計が遅いことが心配されていますが、ダイナミックな動きを見る限り、全く心配はありません。願ってもみない外枠を引き当てましたので、レースの流れにスムーズに乗っていけるはずですし、渋った馬場で他馬の切れ味が削がれることも、この馬にとって有利です。

もちろん、サラブレッドにも人間にも必ず衰えがあります。サラブレッドの場合、特に精神面から衰えていきます。最後まで頑張り通せなくなってしまうのです。ノド鳴りでほとんど走っていなかった間はあったとしても、この馬は3歳の頃から一戦級で活躍し続けている馬ですので、ピークであった昨年の勢いをどこまで維持し続けることができるのかという心配は当然あると思います。そのピークは半年とも1年とも1年半とも言われます。しかし、ルドルフおやじさん風に言うと、これはとてもデリケートな問題です。馬には個体差がありますので、全ての馬が半年とか1年とか1年半で力が落ちるとは限りません。私が精神的な疲労を心配したその裏には、もしかしたらダイワメジャーは常識の壁を超えていくのではという期待もあるということですね。今年47歳にしてまだまだ勢いを失わない安藤勝己騎手がこの馬に乗るというところも、また面白いところです。


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「本格化馬恒常的好走伝説」ムーンで勝負

Rudolf

お返事ありがとうございます。
宝塚を目一杯走った馬は、秋、不調に陥ることがあるというお話ですね。

馬券を買う立場のおやじでもこういうことがある。春バンバン当てたのに秋はサッパリ。春の快走馬のイメージに引きずられて、秋も同じ馬を買い続けていたのですな。一度の成功体験にのっかかってしまうのがそもそもの失敗の始まりだな。

治郎丸さんが例に挙げたスイープトウショウはずばりこの例に当てはまるんじゃあないかなあ。宝塚で凄い切れを見せた年の秋、後肢が流れるようなパドックの歩様でした。それでもそこそこの成績を残すのだからこの馬は強い。

他の例はどうか。少し違和感を覚えるものもありましたので、敢えて書かせてもらいます。G1で何度も好戦するというのは超のつく一流馬の証です。ハヤヒデやワンダーは超がつきますね。その他の馬はどうですか。必ずしも超のつく実力馬ではない彼らの敗因を能力に求めるのか、体調に求めるのかは実にデリケートな問題です。トップガンは天皇賞(秋)でバブルガムに半馬身差で退けられています。しかしバブルガムの東京2000Mの適正の高さを考えるとこれは好戦だったといえるのではないでしょうか。トップガンは秋の緒戦、調子は良かった? おやじはドトウには超一流馬のイメージをついにもつことはできませんでした。彼が入着を繰り返した秋の戦いをどう見るかも案外難しいことではないでしょうか。

昨年の春、ディープが目を見張らせるような天皇賞の勝ち方をしました。おやじはあの後宝塚を使ってはほしくなかった。ディープといえども最高のパフォーマンスを見せた後ですからねえ。凱旋門の敗戦の遠因のひとつはここにもあったかなあと思っているんです。

じゃあ、今回の3強と言われる馬をどうみるんだという話ですよね。

Aムーンは今年の2月の京都記念で化けましたね。それまではいかにも切れそうな繊細な馬体をしていました。昔から言われているパドックの格言に、巨体馬は小さく、小さな馬は大きく見せているときが買いだ、というのがありますね。Aムーンは決してちびっ子ではありませんが、このときは裕に500キロ以上はあろうかというくらいに大きく馬体を見せてました。

武騎手がドバイでAムーンに先行策を指示したのは馬が完成したからですね。タフなレースをしても今のムーンならば、とムーンの力に賭けたわけです。ムーンも見事期待にこたえてくれました。そして香港で3着、宝塚で1着。海外であのようなレースが出来るというのはすばらしい強さです。こういうように本格化した一流馬に大崩れはないんだと思っています。タマモクロスがそうだったような気がします。春馬体を減らし続けて宝塚記念を勝って休養に入った彼は、天皇賞(秋)でオグリを叩いています。ただ気になるのはムーンが香港Cを強行軍で使ったことですね。余計な一戦だった可能性は捨て切れません。

サムソンはどうか?この馬の売りはその名の通りの怪力と狂ったような悍性ですね。こういう馬は多少調子が悪くとも、たとえば昨年の菊花賞のように頑張ってくれるもんだと思っています。これは治郎丸さんのお返事にある通りです。サムソンが、「こんなのやってられっかー、てめーらのために生きてんじゃねえんだぞ、おりゃあ帰って酒くらって寝るわ」という気分のときにはパドックできちんと教えてくれるはずです。きっとふてくされているはずです。サムソンてえのはそういう馬ですから、負けるときは4、5着に負けるんじゃなくて惨敗になるんでしょうね。今回、武騎手は番手を外して後ろからDメジャーに迫るかもしれませんよ。先行馬のイメージが定着してますが、1ハロンの切れなら、きさらぎ賞のゴール前で見せたように一流のものをもっています。母系にはフォルティノが入ってますからね。武騎手がどんな作戦をとるか、興味は尽きません。

前回の手紙で少し触れたようにDメジャーに関してはおやじも一抹の不安を抱いています。体調不良明けの激走、パドックを見てもこの馬にしては薄く映りました。一方で妹の秋華賞でのパドックも同様に薄く見えた。ありゃりゃあ、おやじの目は当てにならんがやはり心配ですなあ。しかし前走は本当に強い競馬をしました。クリムゾンサタンに支えられた母系の底力は簡単に萎えるものではありません。6歳の秋を迎えた今ならマイルより2000Mの方が競馬がしやすいかもしれません。昨秋のピークの次にもう1つのピークが聳え立っているかもしれません。なんとも怖いタフな血統です。これは「辞めてやらあ、辞表はここおいとくぞ」と言ったときでも掲示板は確保して、にやっと笑うタイプです。うらやましい!

じゃあ、おまえは何が言いたいのかって話ですよね。

ひとつの切り口でスパッとやるのはあまりにも惜しいレースが今回の天皇賞じゃないか、というお話でした。というわけで、治郎丸さんの「宝塚激走馬秋下降曲線説」に対して「本格化馬恒常的好走伝説」という切り口で◎をムーンにしておいて、久々に治郎丸さんと勝負だ。楽しいねえ。

体調に不安のないのは、待ってました、4番サード長嶋茂雄。チョウサンですね。この馬のローテはいかにこの馬が大切に使われているかを物語っています。毎日王冠を勝ったのは決してフロックでないのは、陣営のコメントの通りです。確かに前走は先行馬には厳しい流れでした。しかしこの馬は後ろで遊んでゴール前のおいしいところだけつまみ食いしたわけではない。レースの流れにのってきちんと追走してました。そもそもDメジャーを差しきるというのは並みの力じゃない。2走前にマイルのレースを使ったことで天才は目覚めたか。それに7代前はラフショッドとは驚きですよ。ラフショッドの娘の名牝ソングには直接つながらないがソングの一族には違いありません。なるほどあのハイペースを差し切るほどの底力だ。人気の高い牝系で何頭か繁殖牝馬が輸入されてきたが、チョウサンの一族からは目ぼしい馬は出てませんよ。待ってました、4番サード長島、というわけだ。こういう牝系からはいつかでるんですよ、長島クラスの大物が。見事にパワーとスピードの調和のとれた馬です。まさに長島茂雄。天覧試合といえば長島のホームランです。

ところが今年は天皇陛下の行幸はない。そこで登場するのが我友カンパニー。何でおやじのおともだちが出てくる。まあいいじゃあないですか、クラフティーワイフのパワーと晩成の血を受け継いでいるんですから。これもパワーとスピードの調和のとれたすばらしい馬なんです。関屋記念の勝ちっぷりは尋常ならざるものです。次に重い印を打つなら今回打っておくのが馬券のセンスというものですが、ナンセンスといわれるかもしれませんね。それでも○です。

シャドウゲイトは有馬記念にでるのなら印を用意しておこうと思える強い馬です。有馬記念まで爪を隠しておいてほしいものですが、今回も×を打っておいて、年末嫁さんに、おやじは天皇賞から印をうってるんだぞ、とさんざん自慢してやりたいと思っています。忘れられた名牝、グローバルダイナの出る母系。いつか必ず大仕事をやってくれるはずです。

また長話になってしまいましたね。まとめます。
ムーンとカンパニーの馬連とワイドで勝負です。

◎アドマイヤムーン「本格化馬恒常的好走伝説」
○カンパニー(遅れてきたおともだち)
△チョウサン(隠れた良血)
△怪力サムソン(狂おしい悍性)
△ダイワメジャー(真紅のスピード、クリムゾンサタン)
×シャドウゲイト(待ってろ、嫁さん?)
重馬場でも晴れでも印は変わりません。晴雨不問が名馬の条件です。

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「プロフェショナル馬券術」ライブを開催します。

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ガラスの競馬場の6周年を記念して、「プロフェッショナル馬券術」ライブを渋谷にて開催します。「ガラスの競馬場」を立ち上げた時から、いつかはやりたいと思い続けていた、競馬における具体的な馬券技術についてのライブです

昨年に行った「21世紀の馬券戦略」ライブが競馬の大枠を捉えた馬券の賭け方、考え方の戦略だとすると、「プロフェッショナル馬券術」ライブは、その名のとおり、より実践的な馬券戦術です。基本的なところから応用編まで、私の知っている限りのことをお話しします。競馬中級者の方から上級者まで、楽しみつつ学んでいただけるような内容にしたいと思っています。

これは何度も申し上げてきていることですが、ライブで私がお話しするのは、決して必勝法ではありません。皆さんもご存知のとおり、競馬に必勝法はありません。こうすれば絶対に当たるということなどないのです。

けれども、ひとつひとつの馬券技術や知識が全く役に立たないかというと、そうではありません。今までに知らなかった技術や知識を得ることで、それだけ決断をする根拠や裏づけが増えるということであり、また当然のことながら、予想をする際の精度や深み、そして楽しみが変わってきます。たとえ基本的なことであっても、意外と知らないで予想をしていることは多いものです。

もう少し具体的に述べると、せっかく素晴らしい予想をしているのに(私など及びもしないような)、知らないばかりに余計な馬まで買ってしまっているということは良くあります。知っていれば斬れた(買わずに済んだ)馬まで残しているために、買い目が天文学的数字にまで広がってしまい、当たってもほとんど勝っていない(儲かっていない)という状況になってしまうのです。

もちろん、知っているだけで勝てるというような馬券もたくさんあります。たとえば、特にローカル競馬においては、ごくわずかなポイントを知っているだけで、あっさりと結果が出てしまうことが多々あります。つまり、勝ち方があるということですね。

多少の変更はあるかもしれませんが、当日お話させていただく予定の内容を以下に挙げておきます。

◎サイレンススズカはディープインパクトより強かった!?(ラップ理論の本質)
◎ローカル競馬は●●と■■と▲▲で狙え(バイアスのある競馬場での賭け方)
◎持続型、瞬発力型なんてない!?(馬の本質の見極め方)
◎血統からではない、距離適性と重馬場適性の見分け方
◎各馬の力関係を把握するために何を見るべきか?
◎逃げ馬が逃げ切る4つのパターン
◎斤量の有利不利ついての考え方
◎激走と反動は常に繰り返されている(競走馬のバイオリズム)
◎休み明け、休み明け2走目の狙い方
◎レース距離と経験の関係
◎穴馬を見つけるために、出走表でまず先に見るポイントは?
◎これからの時代に必要になってくる海外遠征馬の取捨について
◎馬体重の見方、考え方について
などなど

過去のレース映像やデータなどを用いて、具体的に分かりやすく説明します昔のレースやエピソードなども交えてお話していきますので、馬券技術うんぬんだけではなく、参加しただけで面白い内容にしていきたいと思っています

Finger競馬についてもっと深い話が聞きたい(したい)
Finger馬券にプラスになるヒントが知りたい
Finger自分の予想力をアップさせるきっかけが欲しい

という方はぜひ参加してみてください。

また、「プロフェッショナル馬券術」ライブは約3時間を予定しております。もし時間が余ればですが、混戦模様のジャパンカップのG1予想検討会も行いたいと思います。これはあくまでもオマケですが、このライブでお話した馬券技術を使って、実際に予想が出来たらと思います。

★「プロフェッショナル馬券術」ライブの開催日時、場所、参加費等★
■日時: 平成19年11月24日(土) 18:20~21:50
*18:20には集合の上、ご着席ください(18:10より受付を開始いたします)。
*ジャパンカップのG1予想検討会は21:10~を予定しております。
■場所: 渋谷 東宝ビル別館
→アクセス詳細はこちらから 
■参加費: 3500円(税込み)
■定員: 20名 *大変申し訳ございませんが、申し込みを締め切らせて頂きました。

参加費につきましては、安くて心配と思われるかも知れませんが、前回の「21世紀の馬券戦略ライブ」と同じく、皆様に来ていただきやすいようにという思いを込めました。
そして、定員は先着20名様に限定させていただきます
もっと多くの方々にお越しいただきたいのですが、運営の都合上、少数限定とさせていただきますことをご了承ください。早めに定員が一杯になることが予想されますので、ご参加希望の方は今すぐお申し込みください

お申し込みはこちらから
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★お申し込み方法★
Step1 メールフォームにてお申し込み
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です(個人情報を第三者に開示をすることは決してありません)。
Step2 参加費のお振込み
*追って指定の銀行口座をメールにてお伝え致しますので、5日以内に参加費のお振込みを完了させてください。
Step3 お振込みの確認後、チケットが届く
*チケットをご自宅に届けて欲しくない方がいらっしゃいましたら、メールフォームの備考欄にその旨ご記入くだされば、こちらで柔軟に対応させていただきます。
Step4 当日、チケットをご持参の上、セミナー会場へ直接お越しください。

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キャンセルについて
どうしてもご参加いただけなくなった際は、メールにてキャンセルの旨、ご連絡ください。
キャンセルの場合の振込済参加費の返金について
セミナー開催10日前まで:50%返金
セミナー開催5日前まで:25%返金
セミナー開催5日前以降:返金不可
※振込手数料(500円)を差引いた金額をご指定の銀行口座へ振込にて返金致します。

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メイショウサムソンは良馬場でこそ

Jiromaru

先日の手紙の続きになります。

ダイワメジャーの不安点は、これはよく挙げられていることですが、精神的な疲労です。サラブレッドの精神的なピークが続くのは、およそ1シーズン、長くて2シーズンだと私は思っています。G1レースのような激しいレースを連戦すると、サラブレッドは肉体的にだけではなく精神的にも消耗します。サラブレッドが走らなくなってしまう原因は、肉体的なものよりも、精神的なものが大きいですね。いわゆる“燃え尽き”ということです。燃え尽きてしまった馬の特徴として、ゴール前での踏ん張りが利かなくなります。レースで最も苦しい最後の叩き合いでは、他馬に抜かれまいとする気持ちが何よりも大切になります。燃え尽きて、気持ちが萎えてしまっている馬は、あっさりと負けてしまいます。肉体的には走られるので好走はするのですが、最後の詰めのところで、体ひとつふたつ前に出ることが出来なくなるからです。

昨年の秋シーズンのダイワメジャーには鬼気迫る強さがありました。ルドルフおやじさんと同じ意見で、もしジャパンカップに出走していたらディープインパクトを最後まで苦しめたはずだと思っています。距離が長かった有馬記念でも3着と走っていますし、まさにこの馬にとってのピークのシーズンでした。そして、今年の春も立派な走りを見せてくれましたね。ドバイではアドマイヤムーンに負けてしまいましたが、3着の成績は立派だと思いますし、安田記念は楽勝でした。長い目で見ると、3歳の皐月賞をも勝っているのですから、本当に素晴らしい馬です。けれども、生涯最高の出来であった昨年以上の走りが、また出来るかというと疑問です。精神的な燃え尽きが、最後の最後でダイワメジャーの脚色を鈍らせるような気がします。

3強の中では、これといった不安点がないのがメイショウサムソンです。この夏は、凱旋門賞への挑戦プランもあって、放牧に出されず厩舎で過ごしました。宝塚記念の疲れも癒えて、さほど馬体を緩めることなく調教を続けてきました。馬インフルエンザに罹ったとはいえ、幸いにしてほとんど調教を休ませていませんし、調整の狂いという点では全くといってよいほど心配はないでしょう。この秋は3戦(天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念)する以上、今年の春シーズンのことを考えても4戦はしたくないはずで、この天皇賞秋から始動するのが妥当だと思います。気持ちで走る馬なので、休み明けもほとんど問題ないですし、むしろゆったりと余裕を持って調整してこられたのではないでしょうか。

ひとつだけこの馬の不安点を挙げるとすれば、道悪になることです。この週末は雨が降る可能性があるとされていますので、もし道悪になった場合、この馬にとっては厳しいレースとなるでしょう。これは結構誤解されていることですが、メイショウサムソンは決して道悪が得意な馬ではありません。力の要る荒れ馬場は得意ですが、どちらかというと道悪は苦手な部類に入るのではないでしょうか。

私も意外に思ったので覚えているのですが、確かきさらぎ賞の時、石橋騎手が「こういう馬場は苦手なので、良いところを選んで走らせた」と語っていました。能力の高い馬なので、多少の渋った馬場ならばこなしてしまいますが、道悪までなってしまうとどうでしょうか。宝塚記念は、早く動いたこともありますが、道悪だったことも大きな敗因だったと思います。メイショウサムソン陣営としては、是非とも良馬場でやりたいはずです。事前に予想をするだけに、当日の馬場を把握することはなかなか困難ですが、雨が降って道悪になるようであればメイショウサムソンも苦しいのではないでしょうか。

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ダイワメジャーとチョウサンどちらも文句なし。

アグネスアーク →馬体を見る
まだまだ体つきや表情が幼く、未完成の馬体。
G1レースで勝ち負けするには、馬体的には物足りない。
Pad3star

アドマイヤムーン →馬体を見る
宝塚記念時に比べると、明らかに雰囲気が物足りない。
毛艶もあまり良く映らないように、決して完調ではない。
Pad3star

コスモバルク →馬体を見る
馬体の雰囲気は、特にいつもと変わらない。
逆に言うと、力落ちは感じない。
Pad3star

シルクネクサス →馬体を見る
夏を使い込んだことにより、少し線が細くなってきている。
毛艶も悪く映り、体調は下降線を辿っている。
Pad2star

ダイワメジャー →馬体を見る
いつもよく見せる馬だが、今回も非の打ち所がない。
とても6歳馬とは思えないバランスの良さ。
Pad5star

チョウサン →馬体を見る
前肢後肢にしっかりと筋肉が付き、馬体の伸びも申し分ない。
毛艶も良く、前走レコード駆けの反動は微塵も感じられない。
Pad5star

デルタブルース →馬体を見る
かつての力強さが影を潜め、凡庸な馬体に映る。
メルボルンカップ以降、自身のピークが過ぎた感も。
Pad3star

ポップロック →馬体を見る
この馬に関しては、昨年の有馬記念時の馬体が最高であった。
現時点では、もうひと絞り出来るが、雰囲気は悪くない。
Pad4star

マツリダゴッホ →馬体を見る
馬体のバランスの良さは相変わらずだが、前走時に比べ、表情が優れない。
Pad4star

メイショウサムソン →馬体を見る
コロンとした体型的なものだが、この馬が良く見えた時はない。
毛艶も悪く、トータルでの評価が非常に難しい。
Pad3star

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3強はかなりアヤシイ

Jiromaru

菊花賞は残念な結果になってしまいましたね。ロックドゥカンブの力を買っていた私は、悔しくて悔しくて久しぶりにふて寝をしてしまいましたよ。

競馬を始めた頃は、馬券が外れると悔しくてよくふて寝をしたものです。馬券を当てたいという見栄ばかりで、なかなか当たらない現実とのギャップにいらだっていたのかもしれません。今から思い返しても恥ずかしいのですが、当たったら当たったで○戦○勝!とか回収率○○%!とか言いふらして、自慢ばかりしていました。自分の都合の良いところだけを取り出していただけなんですけどね。その頃は1点予想で外してばかりいた井崎修五郎先生をバカにしていましたが、今となっては先生の偉大さがよく分かります。自分の負けを認めることができるか、外れてもガッハッハと笑い飛ばせるかどうか、そして自己批判できるかどうかを、競馬は私たちに問うているのですね。反省。

シンボリルドルフは負けられない馬だったのですね。私はまだ小学生ぐらいでしたので、ルドルフの凄さを生で観たことはありませんが、その当時の競馬ファンの熱気とパニックがお手紙からも伝わってきました。期待を一身に背負って走った天皇賞秋でギャロップダイナにまさかの敗北、「あっと驚くギャロップダイナ!」ですよね。東京競馬場はもちろんのこと、大阪球場横の場外も、静寂に包まれたのですか。あのレースの後、ルドルフは馬房に戻り、瞳から涙を流したといいます。よほど悔しかったのでしょう。私たちだけではなく、サラブレッドも負けたら悔しいのですよね。

私にとっても、シンボリルドルフはえも言われぬ魅力を持った馬であることは確かです。それは何よりも、私が尊敬してやまない故野平祐二調教師が管理されていた馬ということ。そして、父パーソロン、母の父スピードシンボリという血統。最後にトウカイテイオーの父であるということが理由だと思います。

パーソロンはシンボリルドルフの父として有名ですが、今は亡きシンボリ牧場の故和田共弘オーナーの名を不動のものにした名種牡馬でもあります。実はパーソロンが故和田共弘オーナーによって日本に輸入された当初は、短距離血統と決め付けられて、あまり注目される存在ではありませんでした。しかし、産駒のメジロアサマが天皇賞を制したのをきっかけとして、カネヒムロから4年連続でオークス馬を輩出し、サクラショウリでダービーをも制覇しました。故和田共弘オーナーのパーソロンに対する思い入れはもうハンパではなく、麻雀をする時でさえ“パーソロンルール”というのがあったそうです。どんな形であれ八索(パーソー)で上がれば、一翻高くなるパーソ・ロンということですね。

ルドルフの母スイートルナの父スピードシンボリは、“祐ちゃん”こと故野平祐二調教師が最も愛した運命の馬です。野平調教師がジョッキーだった時、アメリカ、イギリス、フランスを共に戦って回った、海外に挑んだパイオニアの1頭でもあります。今の日本競馬があるのも、こういう人や馬がいたからこそだと私は思っています。スピードシンボリは、線が細く、迫力のない、どこから見ても強さを感じさせない馬でしたが、とにかく我慢の馬だったそうです。直線に向いてもうダメかと思わせたところから、もうひと踏ん張りふた踏ん張りをするのです。

気性の激しいシンボリルドルフがあれだけの名馬になれたのは、このスピードシンボリの精神力の強さが遺伝したからだと私は密かに思っています。また、彼らがヨーロッパ遠征から貨物機に乗って一緒に帰った話は有名ですよね。故野平祐二調教師は、「結局騎手としては牡馬三冠を勝てなかったけど、スピードシンボリに乗れたことだけでも幸せだよ」という素敵な言葉を残しています。

Sinborirudolf

シンボリルドルフは馬体重の増減が大きかった馬ですが、天皇賞春を-12kgの馬体重で圧勝した反動で、宝塚記念は出走を取り消しました。この取り消しを巡って、故和田共弘オーナーと故野平祐二調教師の間に確執が生まれました。見た目には問題ないルドルフを故和田共弘オーナーはどうしても宝塚記念に出走させようとしましたが、ルドルフの体調に明らかな異常が発生し、休養を必要としていることを見抜いた故野平祐二調教師は、断固として首を縦に振りませんでした。その後の天皇賞秋の負け方を見ても、私は故野平祐二調教師の考えが正しかったと考えているのですが、どうでしょうか。

さて、今年の天皇賞秋には負けられない十字架を背負った馬はいませんね。でも、負けたくない馬はたくさん揃いました。ダーレーに40億円で買い取られたアドマイヤムーンは、さすがに休み明けとはいえ、引退して種牡馬入りするまでの残された戦いは負けたくないはずです。凱旋門賞への挑戦の道を不運にも絶たれたメイショウサムソンも、日本国内のレースでは負けたくないはずです。妹のダイワスカーレットが2冠馬となり、自身の天皇賞秋連覇もかかるダイワメジャーも負けたくないはずです。そして、この負けたくない馬たちの背に跨る3人のジョッキーも、互いのプライドにかけて負けたくないはずです。負けたくない馬や人がたくさんいるレースは本当に面白いですね。

しかし、今回の天皇賞秋に限っては、この3強はかなりアヤシイと私は思っています。

というのも、まずアドマイヤムーンについては、今回のレースに果たして万全の体調で臨めるのかという不安があります。「天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと」でも触れていますが、宝塚記念を制した馬が同一年に天皇賞秋も勝つことは至難の業です。理由としては、求められる資質が異なるということと、宝塚記念でピークを迎えた馬がわずか4ヶ月で再び完調に戻すのは難しいということです。唯一、宝塚記念→天皇賞秋を連勝したのはテイエムオペラオーですが、私は天皇賞秋で雨が降って馬場が重くなったことに助けられたと思っています。

アドマイヤムーンは札幌記念や宝塚記念を勝っているように、どちらかというとパワーが勝っていて、多少なりとも重い馬場を得意とするタイプです。おそらくドバイもそういう馬場だったのでしょう。だからといって、軽くて瞬発力の生きる馬場が全くダメだとは私も思いません。母父はサンデーですし、これぐらいのレベルに達してしまったエンドスイープ産駒はどんな馬場でも切れ味を発揮します。ということで、この馬に資質うんぬんを言うのは失礼な気がします。

私が不安に思うのは、アドマイヤムーンの体調の方です。春シーズンをドバイ→香港と連戦していた関係で、宝塚記念にどのような体調で出走してくるのか分からない部分がありましたが、あの勝ち方を見る限りは、ピークの出来で宝塚記念に出走してきたことは間違いないでしょう。100%の仕上がりで、持てる力を最後の1滴まで使い果たした勝ち方でした。おそらく、レース後には、肉体的にも精神的にもかなりの疲れが出たことでしょう。

私の覚えている限りで、かつてビワハヤヒデ、マヤノトップガン、グラスワンダー、メイショウドトウ、ヒシミラクル、タップダンスシチー、スイープトウショウという数々の名馬たちが、宝塚記念で力を出し尽くして、秋シーズンを不調に過ごしました。しかも恐ろしいのは、これらの馬たちは調教では普段と変わりない動きを見せていたことです。超一流馬は体調が悪くても調教は動いてしまうので、見た目では好不調の判断が難しいのですよね。いざ走ってみたら凡走してしまったということです。果たしてアドマイヤムーンはどこまで回復して出走してくるのでしょうか。

長くなりましたので、メイショウサムソンとダイワメジャーの不安点については、次の手紙に書かせてください。

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誕生

Kikka07 by echizen
菊花賞2007-観戦記-
大方の予想どおり、横山典弘ホクトスルタンがハナを切り、60秒7→63秒6→60秒8という「速緩速」の巧妙なペースを作り出した。京都3000mのレースにおいて、前半1000mを60秒台前後のペースでまとめると、後ろから来る馬は差せない展開となる。そのため、道中の位置取りが勝敗を大きく左右したレースとなった。

勝ったアサクサキングスは、道中の流れに乗り、4コーナーでの先頭に立つ勢いでの完勝であった。ダービー2着馬が、最大のトライアルレースで2着してきたのだから、結果的には順当勝ちと言ってよいだろう。厳しい展開となった前走に比べ、本番ではこの馬の脚質がバッチリと嵌ったとも言える。

それにしても、四位騎手のこの馬に対する鞍ハマリは素晴らしい。スタートしてから4コーナーまで、馬との呼吸がピタリと合い、上下左右のブレもなく、微塵のロスもなかった。前半が速いペースを読みきって、4コーナー手前から早めに動いたのもファインプレーであった。そして、勝利ジョッキーインタビューでの受け答えも大きく変わったなと思った。私のような者が言うのもおこがましいが、人間的に大きく成長した。元々、技術的には抜けている存在だけに、安心して見ていられるジョッキーがまたひとり誕生した。

惜しくも勝利を逃したアルナスラインであったが、この馬の変わり身には驚かされた。早め早めに動いたのは和田騎手の好判断であったが、前走で古馬に混じってヨーイドンの瞬発力勝負のレースをした馬が、今度は上がり3ハロンが36秒2も掛かる持久戦でも好走したのだから、その価値は極めて高い。瞬発力に長けた馬が多いアドマイヤベガ産駒だが、馬格、クラシックに強い母系からは、こういうガチンコ勝負でこその馬なのかもしれない。

4連勝で1番人気に推されたロックドゥカンブにとっては、道中の位置取りが厳しかった。あのペースでロックドゥカンブの位置からでは、ディープインパクトぐらいの末脚を持っていないと届かない。さらにバテてきた馬に進路を塞がれ、4コーナーで開くはずの内もなかなか開かず、柴山騎手やロックドゥカンブ陣営にとってはまさに悪夢のような3分間だったに違いない。馬体が併わさって伸びる馬だけに、直線でポッカリと開いた空間に放り出されてしまったこともダメ押しとなった。ただ、いくらアンラッキーだったとはいえ、あそこから差し切るだけの強さがロックドゥカンブにはまだ付き切っていなかったことも事実である。

エイシンダードマンは菊花賞に強いダンスインザダークの血が騒いだか。4コーナー手前から一気に動いて、ドリームジャーニーと馬体を併わせながら良く伸びている。ドリームジャーニーも、あの位置からの競馬をせざるを得ない馬だけに、この距離、展開ではこれが精一杯の結果である。

絶妙なペースを作りだしたホクトスルタンは力を出し切っての6着。今後の長距離路線では、横山典弘騎手とのコンビには注目したい。先行有利な展開にもかかわらず大きく崩れたヴィクトリーとサンツェッペリンは、距離もしくは精神面に明らかな敗因があったということだろう。

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アドマイヤムーンは王道を歩めるか

Rudolf

負けられない戦いがここにある、おっぱっぴーである。

最近テレビのスポーツ中継を観戦していて一番鼻につくのがこの言葉なんですな。ついこの前まで、試合を楽しんでくださいと選手にお願いしてたのにね。そして背水の陣をしいた割にはコロコロ負ける、ざんねえーえんである。どんな素敵な言葉でもマスメディアにのったとたん消費され尽くされてしまう、おっぱっぴー。

天皇賞(秋)といえばシンボリルドルフを思い出します。負けたことのない奇跡的に強い馬は確かに何頭かいますが、彼は、ただ一頭の負けられない馬じゃなかったかなと思っているんです。

天皇賞(秋)が2000Mに短縮されて2回目にシンボリは登場します。この年の春、天皇賞をマイナス馬体で圧勝したシンボリは体調を崩して宝塚記念をパスしています。半年振りの天皇賞、今なら治郎丸理論の餌食となるところであったが、幸いにしてこの時、治郎丸氏はこの世に生を受けていませんでしたね。(未確認)

シンボリほど大外枠を引き当てた馬も他にいないだろう。当時は単枠指定といって、競馬会が人気を予想して人気馬を予めシードしていました。シードされた馬は8分の1で大外を引く不運にさらされます。この時も案の定といおうか、またもといおうかシンボリは大外を引き当てた。単勝1.4倍。

ご存知のように以前の東京2000Mの大外はスタートしてすぐにカーブの待ち受ける、人気馬の鬼門でした。鞍上の名手は絶妙なスタートをきり鬼門を通過する。シンボリが種牡馬として大成しなかったのは気位の高さと気性の激しさを仔に伝えたせいだと聞きます。それまでのレースでは素直に名手の指示に従ってきたルドルフでしたが、鬼門を通過し終えるころから名手の手をはなれ、2、3番人気の馬たちとやり合おうとする。ニシノライデンやウィンザーノット、それからスズマッハもいたか。

この頃の競馬界は一種異様なパニックに陥っていたのではないかと思います。それはジャパンカップで海外にレースを開放したからなんです。なんとか己の身を守りたいのだがその方法がわからない。自信もない。こういうとき己のプライドだけは肥え太り、虚勢をはる。第1回JCでは日の丸特攻隊と称して短距離馬のサクラシンゲキが無謀な大逃げをうったが他の日本馬とともに完敗。肥満気味のプライドはすぐに傷つきます。

その3年後、今まで見たこともないような立派な馬体の三冠馬が登場して、シンボリならばとヒステリックにJC制覇を期待しました。ああもちろんおやじもその一人でした。カツラギエースが快挙を成し遂げてはいたのですが。

かくしてシンボリは負けられない馬とあい奉られた。JCを制覇するまでは日本馬には負けられないのです。テンポイントに寄せられる期待とは明らかに異なる期待がシンボリに寄せられていました。

4角過ぎ、名手の手をはなれたシンボリは早々と人気薄の逃げ馬に襲い掛かる。今はない大阪球場横の場外におやじはいたのだが、日本一うるさい場所だと思っていたその場外は鎮まりかえっている。おやじだって東京の直線の長いことは心得ていました。

それでもシンボリの怒りは収まらない。もう何秒も独走を続けている、これはまるで必ず破綻の訪れる悪夢じゃないか。沈黙が喚声に変わる、ゴールが目の前に迫りひょっとするとこれで悪夢から開放されるのだと思えた刹那、ギャロップの鋭い影が馬群の最後方から伸びてきて、破綻の待ち構える悪夢は永遠に続くこととなりました。多くの人の、決して良くはない夢の中でシンボリは今も東京の直線を独走しているのではないでしょうか、ゴール前で湧き上がった悲鳴に包まれながら。

JCで凱旋門賞馬、モンジュを心から応援する方のいらっしゃる今から思えば、滑稽な話に思えるかもしれませんが、JC黎明期の雰囲気ってこんな感じだったかなあと思い出しています。まさにニッポン、ニッポンの雰囲気のなかをシンボリは走っていたような気がします。負けられない馬を必要とする時代は危い時代です。もしシンボリがいなければどうなっていたか、途方もない無秩序が続いていたにちがいありません。しかし負けられない馬はシンボリルドルフ1頭でもうたくさんなのです。

第135回天皇賞、ここには負けられない戦いはありません。なんと幸福なレースでしょうか。我々は人馬の全力を尽くす様を想像し、勝ち馬のことを考え、そしてレースを堪能すればよいのです。

テーマは「アドマイヤムーンは王道を歩めるか」につきるでしょう、と決め込みました。
武騎手がムーンに乗るならば微塵も逡巡せずに先行馬群を(競輪用語でいう)大名マークしてゴール前で突き放す競馬をするはずです。

挑戦者は怪力サムソン、前走宝塚ではムーン以上の強いレースをしていますね。なんて言ったら釈迦に説法ですな。真紅のスピード、Dメジャーの毎日王冠はどうみまた。おやじは途轍もなく強いレースをしたもんだという印象をもっています。問題は体調を崩した休養明けの激走が今回どう影響するかですね。最近のおやじは治郎丸さんの教えをよく守る優等生だ。

おやじはカンパニーにも注目しています。大外一気の前走は近年のレースのなかでもインパクトの強いレースだったのではないでしょうか。休養明けの一戦でしたがその後また2ヶ月間隔をあけられて反動はないのではないかと思います。

最後は4番サード、チョウサン。待ってました。7代前がラフショッドとは驚きですね。そこからソング、スペシャル、フェアリーブリッジと続くこの血統の本流にチョウサンはいないのですが、フロックだと高をくくっているとまた痛い目に遭う。G1馬は3頭、しかしG1レベルの馬は5頭いるとおやじは見ています。あら?他にもいますか。

間違いなく天皇賞の名に相応しいすばらしいレースが繰り広げられるはずです。

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◎ロックドゥカンブ

Jiromaru

ロックドゥカンブは江夏豊級ですか。江夏豊と言えば、1971年オールスターでの9連続三振や日本シリーズで9回裏、無死満塁のピンチにスクイズを見抜いた江夏の21球が有名ですよね。実は私が物心ついた頃、江夏豊はもう晩年で、日ハムで抑えの切り札として活躍していました。ですから、その凄さを生では観ていないのですよね。

私にとっての怪物ピッチャーといえば江川卓です。江川卓もオールスターゲームで8連続三振まで達成したのですが、最後の最後に近鉄の大石大二郎選手に当てられてしまったのですよ。あの時、野球少年だった私は、テレビの前で正座しながらドキドキして観ていた記憶があります。松坂や上原がスゴイとは言っても、まだまだ江夏豊や江川卓級の凄みはないなぁ。

あっ、ここは「ガラスの野球場」ではありませんでしたね。競馬、そう、菊花賞の話をしましょう。

Roc_2ロック・ドゥ・カンブとはフランスのワインの銘柄が由来だそうですね。蒸留酒によって失われた希望を取り戻すのは、醸造酒のなせる業かもしれませんと読者の方が教えてくれました。それから、私のワイン好きの友人も、なぜか急に思い立って恵比寿までロック・ドゥ・カンブを買いに行ったそうです。中身は飲んじゃうけど、エチケット(ラベル)はプレゼントしてあげると言ってくれました。

だからということではありませんが、本命は◎ロックドゥカンブに打ちます。ラジオNIKKEI賞の勝ち方を見た時に、もし菊花賞に出てくれば勝てるのではないかと思いました。なぜなら、ラジオNIKKEI賞というのは、福島競馬場の小回りコースで行われるため、全体的に緩みのない厳しいラップが刻まれやすいレースだからです。また、その時期の福島は馬場がかなり傷んでいるため、どの馬も馬場の外々を回るレースになります。外々を回りながら厳しいラップを刻むのですから、実際には1800m以上のスタミナを要求されるレースになりますよね。そういえば、昨年の覇者ソングオブウインドもラジオNIKKEI賞2着と好走していましたね。ロックドゥカンブは、そのラジオNIKKEI賞を持ったままで4コーナーで先頭に立ち、楽々と押し切ってしまいました。スタミナ面での心配はないでしょう。

そして、ロックドゥカンブの現時点での馬体の緩さも、距離延長に関してはメリットとして働くはずです。というのも、馬体が緩いからこそ、距離がこなせるというところもあるからです。若駒の頃には距離をこなせた馬が、古馬になってから次第に距離適性が縮まってしまうのは、馬体が締まって硬くなってくるからです。重厚になってくる分、サスペンションが失われるというイメージでしょうか。ロックドゥカンブも将来的には2000~2400mあたりを最も得意とする馬になるでしょう。ただ、現時点での3000mの距離は、ゆったりと走られる分、かえって合っているかもしれませんね。

不安材料を敢えて挙げるとすれば、やはり一度も負けていないということでしょうか。どれだけ強い馬でも連勝を伸ばしていくことは非常に難しいからです。5連勝となるとなおさらです。連勝が難しい理由は2つあって、ひとつは相手が強くなるから、もうひとつは好調を維持しなければならないから。この2つを同時にクリアしていくことが難しいのですね。今回のロックドゥカンブについては、まず他馬との力関係に関しては実際のところ走ってみないと分かりませんが、これまでのレース振りを見る限り十分に通用すると思います。そして、体調に関しては、前走の休み明けから、叩いて良くなることはあっても、悪くなることはありません。こう考えると、まだ連勝を伸ばすことは十分に可能だと思います。もちろん競馬に絶対はありませんが、菊花賞は通過点のひとつにしてもらいたいものです。

あっさりと本命が決まったと思われるかもしれませんが、本当のところは最後まで悩みましたよ。それは神戸新聞杯で3着したヴィクトリーの巻き返しが怖かったからです。本来、菊花賞は神戸新聞杯とつながりの強いレースですし、今年から距離が2400mに延長されて、なおさらその結びつきは深まるはずです。神戸新聞杯のラップ構成を見ても、菊花賞のそれと同じタイプのものでした。ということは、神戸新聞杯で上位に来た馬は素直に評価していいということですね。その上位組の中でも、最も本番に向けて巻き返してきそうなのがヴィクトリーです。

夏を挟んで馬体には大きな成長が感じられますし、兄に菊花賞2着のリンカーンがいる血統からも、3000mの距離に不安はありません。道中で我慢することに徹した神戸新聞杯でしたが、本番に向けてレース内容も良く、岩田ジョッキーも手応えを感じているはずです。唯一の不安材料といえば、やはりまだ激しさを残した気性と大外枠でしょう。上手く前に馬を置いて、ペースが急激に緩む中盤を我慢しきれるかどうか。地力のある馬だけに、岩田騎手が上手く乗れば、この馬が最も脅威ですね。

展開面でのカギは、横山典弘騎手のホクトスルタンが握っています。横山典弘騎手が過去10年、この菊花賞で連対を外したことがないのは周知の事実ですが、それはこのレースの勝ち方を知っているからです。京都競馬場の3000mは、1986年~96年の間で一度も逃げ切りがなかったコースです。それぐらい逃げ馬にとっては苦しいコースなのですが、1997年の万葉Sで南井元ジョッキーがビッグシンボルで逃げ切るや、1998年に横山典弘騎手のセイウンスカイが菊花賞を逃げ切りました。逃げ切りが難しいとされている京都競馬場の3000mを逃げ切るには、ちょっとしたコツがあることを彼らは発見したのです。

そのコツとは、前半の1000mを60秒前後の速いペースで行った場合、上がり3ハロンが35秒前後になるため、意外や逃げ、先行馬に有利になるということです。それまで逃げ、先行馬に乗った騎手は、とにかく前半をスローで乗り切ろうと躍起になっていたのですが、発想の転換で、前半に速いラップを刻んでいくことによってスタミナを奪い、後続の末脚を封じることが出来ることが分かったのです。横山典弘騎手はこの逃げ切りを体現してきたジョッキーだけに、ホクトスルタンの脚質と豊富なスタミナを考慮すると、今回はまず間違いなく前半は速めのラップを刻もうとしてくるはずです。速く行く馬がいなければ自ら逃げるでしょうし、速いペースで行ってくれる馬がいれば好位に控えるはずです。展開というのはゲートが開いてみないと本当に分からないものですが、体内時計の正確な横山典弘騎手が前に行けるホクトスルタンに乗っているだけに、差し馬にとっては厳しいペースになるのではないでしょうか。当然のことながら、メジロマックイーン産駒のホクトスルタンにも有利な流れになるはずです。

ということは、前に行くサンツェッペリンにとっても有利な流れになるはずです。この馬の表面的な血統は短いところ向きですが、過去に遡ればステイヤーの血が脈々と流れています。ジワジワと伸びるタイプであることや、休み明けは走らないこと(ステイヤーの特徴)を見ると、一変する可能性を大いに秘めている馬だと思います。走っても走っても人気にならない馬ですので、妙味もありますね。

*この手紙の続きは、メールマガジンの方で配信させていただきます。
配信希望の方は、本日の12時までに、右サイドバー上のボックスからご登録ください。

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エラマナムーがかかっているというのがなんともいい。

Rudolf

お手紙ありがとうございました。見事に菊花賞の歴史をまとめあげましたねえ。ダービー馬はダービー馬から、というのは競馬のスローガンですね。ダービー馬からダービー馬が生まれるはずだ。生まれるべきだ、生まれてほしいといった意味ですが、血の更新を輸入馬に委ねる日本ではなかなか実現しない。しかし、菊花賞馬は菊花賞馬から、というのはありなんですね。菊花賞血統というのもありなんですね。

このおやじが勝手に掘り起こしたテーマは「ウオッカによって奪われた希望を取り戻せるか」でした。半端な勝ち方ではだめなんですよ。また勇気が湧き上がってくるような、感動を覚える勝ち方が是非ほしいところです。

去年の菊花賞はおやじの菊花賞のなかでベストレースでした。3冠馬誕生の瞬間は4度拝見しましたが去年のレースがベストです。Aメインの乾坤一擲の逃げを渾身の力を振り絞って捕らえようとするDパスポートとMサムソン、激しかった!勝ち馬のウィンドを含めてこのレースで力を出し切ったものはMサムソン以外すべて故障している。死力を尽くすとはこのこと。

こんなレースを期待できるのはどの馬か。
中学生エースが甲子園球児に挑むようなもんですが、おやじの希望はロックドゥカンブに託します。他の馬では希望を取り戻せるようなレースは期待できないと思っているんです。甲子園球児が中学生エースを相手にしているようなもんですから50%以上の確率で他の馬が勝つ可能性はあるんですが・・・。ただこの中学生エース、江夏豊級じゃあないかしら。実力もふてぶてしさも。

カンブはマカオJCTというレースを勝っていますね。その前日カルバニックという馬が同じようなラップを刻んで条件戦を勝ち上がりました。JRAの場外でこの2つのレースをラジオ日経賞の参考レースとしてたまたま見比べることができました。ラップは少しカルバニックが勝っていたようですがインパクトは断然カンブが上なんです。ゾクっとするような抜け出し方!前走もGダリアに並ばれそうになってからの脚が際立っていました。Mサムソンと同じでラップとラップの間で強さを見せる馬なのかもしれません。怪力が売り物のサムソンと違ってどことなくカンブには上品さが漂っていますが・・・なんて言ったらまた叱られますね。

今回は強敵に先行馬がそろっていますね。これも前走、次から次に並びかけられる厳しいレースを経験できたので心配はないと思います。血統を不安視する向きもありますね。母系のベースはファインモーション、ピルサドスキーでしょ、しっかりしている。去年のソングオブウィンドのように異種がかかっている母系ではありませんが、まずBSとして定評のあるフェアリーキングから底力を受け継いでいます。

それだけでも十分なんですが、次にエラマナムーがかかっているというのがなんともいい。覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、競馬会が購入したピットカーンが欧州に残してきた大物で古馬になってG1を勝ちまくった馬です。ペティション系といってファラリスから出ている系統なので異種とはいいませんが、ネアルコ系とは別系統なので傍流のひとつには違いありません。この父系には先ほどのエラマナムーやサンプリンセスなど、底力のある馬が並びます。この父系は軽い競馬の日本ではたびたび失敗しているのですが母系に入ると心強い。ディープの母系にもクィーンズフザーを介してペティションがかかっています。

中学生エースですが、彼が江夏豊だと信じてここからいきましょう。キンシャサの10倍強いというありがたいお言葉!おまけにヒッタイトグローリーだか、ヒクソングレーシーだか知らないがとても強いらしい。今年は意外な出来事で彩られる1年かも知れませんよ。ただ武騎手の最新のコメントに「主役不在」とある通り、カンブはあくまで中学生エースなんだと肝に銘じて◎を打とうと思います。1番人気に祭り上げられるのはすこし癪ですが。

対抗はアルナスラインでいきましょう。これは中1週という無茶なローテですね。前走の京都大賞典はG2の中でもレベルの高いレースでした。神戸新聞杯組ではポップロックとはかなりの差が開いたのではないでしょうか。世代屈指の実力馬だと思います。母系はレディージョセフィン系ですのでクラッシックでは十分に注意を払う必要があります。ただこの馬はLJ系でもマムタズビガムを経ない血統なんで、近親には最近これといった活躍馬は出てません。マムタズ経由のLJ系にはギムレットがいますよね。ちょっと前にはベガはベガでもホクトベガがマムタズ系ですね。なにベガだと、アルナスラインのてておやはアドマイヤベガではないか。こりゃあカンケーネーや。世代屈指の実力とありがたい血統、中1週という不利を上回る魅力はありますよ。

Aキングスはどうか。この血統はジェニュインのころから苦手なんです。この血統にもずいぶんいじめられたなあ。ダービーではツェッペリンより強い競馬をしていると思います。おやじが思うよりうんと強い馬かもしれませんね。カンブの1着に賭けてますので▲は打てませんが怖い馬です。

春の牡馬最強はフサイチでしょう。グレイソブリン系ですからスランプはある。夏をはさんで2走の凡走をどうみるか、今回ではっきりするでしょう。とりあえず展開も向きそうなので△は打っておいた方が無難でしょうか。

8枠はメジロマックイーンゆかりの枠になりましたね。特にDジャーニーは今回展開が向きそうです。武、横山、岩田、騎手も名手が3人そろって怖い枠です。無印にさせてもらいますが、おさえでカンブとの枠連は買っておこうかな。

×はエーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーンに打ちます。
エーシンは大穴になると思います。春、この馬が条件戦を走るところをみました。何とも大きなストライドで走る馬です。京都コースでの一発が・・・。ダンスの仔ということでほんの少し3着候補として期待してます。ヒラボクロイヤル、ボクはカレのスタミナに期待してます。デュオはエーシンを完封しています。

さて、まとめますか。
カンブとアルナスの実力が抜けていると思います。特にカンブには今後とも大きな期待を寄せていいんじゃないかなあ。この2頭の馬連とワイドに賭けることにします。

◎ロックドゥカンブ
○アルナスライン
△Aキングス、フサイチ
×エーシンダードマン、ヒラボクロイヤル、デュオトーン
押さえ 8枠
なんか、すっきりしたー!

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「21世紀の馬券戦略ライブ」CDの販売を再開します。

いよいよ本格的にG1シーズンに突入しましたね。

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このライブCDは、昨年、各地で開催された「21世紀の馬券戦略ライブ」を完全版としてCD化したものです。どうしてもご都合がつかなかった皆さま、遠方にお住まいで足を運んでいただけなかった皆さま、前回の販売で締め切りに間に合わなかった皆さまにお分けしたいと思います。さすがに、こればかりは無料でプレゼントしてしまうと、ライブに参加していただいた方に怒られてしまいますので、参加費分だけ頂戴する形になります。

ライブの内容をひと言で言うと、競馬に勝つためには知っておかなければならないノウハウです。とは言っても、誤解しないでいただきたいのですが、これは必勝法ではありません(そのようなものがあると思っている方は、このブログは見ていただいていないと思いますが…)。具体的には、回収率をアップさせる効果的な馬券の賭け方や買い方、予想に臨むに当たっての手順やポイント、そして最も大切な「思考の流れ」についても詳しくお話しています。とても基本的なことですが、おそらく今まで誰も教えてくれなかったことです。

一部ではありますが、実際に参加していただいた方々の声をご覧ください。

買い方自体が刺激的でした
買い方自体が刺激的でした。解説がはじめは抽象的で、少し?が出ましたが、皆さんの質問を交えてのやりとりで少し輪郭が分かった気がしました。競馬を続けているうちに、いろいろと馬券の買い方が変遷していったのですが、今回のライブでまた変化が起きそうです。点数を減らす決断力をつける努力をします。(Y様)

後から痛い目を見たことでしょう
競馬新聞やTVを見て予想して、運が良ければ儲けられればと、競馬を楽しい夢のように思っていたおろかさがしみじみわかりました。ここに来ないまま、仮にたまたま当たったとしても、後から痛い目を見たことでしょう。それがわかった上で、では何をすればいいのかがわかるのがこの戦略ライブですね。競馬で勝って楽しむという夢を「あってほしい現実」にしたかったら参加すべきですね。(T様)

馬券に対する考え方が変わった
馬券に対する考え方が変わったし、すごくタメになりました。その馬券を買う意味を再考してみようと思いました。「21世紀の思考法」で聞いた話は、今後意識して行ってみようと思います。また機会がありましたら、ぜひ参加させていただきたいと思います。(M様)

悩みに対して前向きになる勇気がでた
悩みは簡単には解決されませんが、悩みに対して前向きになる勇気がでました。その意味で、解決に向かうはずです。そして、自分なりのスタイルを見つけたいと思います。今まで目を背けてきた、「理由探しの限界」を直視しようという勇気をもらいました。もっともっと競馬を見て、経験を積んでいこうと思います。次の機会楽しみにしています。(jirobacks様)

自分の考えを再確認できた
大変ためになり、自分の考えを再確認できました。「結論から考える」は勉強になった。ブログいつも楽しみにしてみていますので、これからも面白い記事をお願いします。(山之内様)

特に複雑系の話は大変参考になりました
これまで私が断片的に行ってきた(考えてきた)馬券の買い方について、よく整理していただいた。本日のお話は思い浮かんでいた部分もあったので、大分すっきりしました。特に複雑系の話は、意識していたこともあり、大変参考になりました。(K様)

今日で方向が決まりました
直観をつめていくこと。網羅思考的に有力馬を広げていくとダメだということを再確認しました。これからは馬を絞り込んでいきます。オッズで変えてはいけないことも、心に残りました。直観の中に正しい答えがあることが多いというのは、うすうす気付いていましたが、今日で方向が決まりました。競馬とは関係がないですが、ブラックボックスのイメージは人生で役立ちそうです。今日で何を意味している図で、何に適応されるのかよく分かりました。(中島様)

競馬以外にも使える広がりのある話でした
大変セミナーの進め方もお上手だし、人前で話すことに慣れていらっしゃるようにお見受けいたしました。資料等も分かりやすくまとめられていますし、ビデオなども使われていて、色々な角度から、競馬というジャンルにおいてはかなり難しいと思われる話ですが、頭に入りました。今日のお話は、競馬以外にも使える広がりのある話でした(特に21世紀の思考法)。月下の棋士のように、駒が光って見える如く、馬柱の馬名が光って見えるといいですね。(H様)

競馬にマンネリ気味だった私には良い刺激になりました
けっこう長い時間でしたが、楽しかったです。集まった人たちも皆良い人で、雰囲気も良かったです(怪しい雰囲気だと嫌だと少し心配しておりました)。競馬にマンネリ気味だった私には、良い刺激になりました。(Iさん)

自分の頭の中で少しモヤモヤしていたものがまとまった気がする
自分の頭の中で少しモヤモヤしていたものが、まとまった気がする。直観思考の大切さ、自分が網羅思考に陥らないようにしたいことと、考え続けることが必要なのだと思った。自分は考えることをやめている。(T.Iさん)

今日のテキストを家に帰ってからも読み直したいと想いました
「分からないことを分かること」これはなかなか奥深い言葉でした。自分なりに掘り下げて、理解したいと思います。<感情>を磨くこと、これも意外でしたね。今日のテキストを家に帰ってからも読み直したいと想いました。(Iさん)

自分にうまく取り込んで昇華させたい
私は馬の精神状態を読み解くというMの法則という考え方で5~6年競馬を見ています。長年その考え方を使ってきましたので、逆に固定観念に捉われてしまうようになってしまいました。あるいは、必要以上に難しく考えることも増えました。直観思考という考え方を自分にうまく取り込んで、昇華させたいと思います。(大矢さん)

「ゆらぎ」を抑えることがヒントになりました
競馬中級者くらいになったと思っていましたが、まだまだでした。また競馬は複雑なゲームであることを認識することができ、「ゆらぎ」を抑えることがヒントになりました。今日から、直観思考を実践してみたいと思います。ありがとうございました。(萩本さん)

成程…と思いました
皐月賞は取りましたが、予想の根拠としては恥ずかしいほどに情けないもので、とても声に出して言えないものでした。馬券は取るには取りますが、どうも自分の予想に「ブレ」を感じて、その修正をしたいと思っていたところ、先のライブの告知を拝見して、参加させていただくことにしました。結果、得ることはとても大きかったです。特に「めりはり」をつける箇所は、成程…と思いました。(匿名希望)

「21世紀の馬券戦略ライブCD」の具体的な内容は以下のとおりです。
Disc1 幸せな競馬勝利者になるために知っておくべき3つのルール+1(43分)
■競馬は儲からない!?
■確実に負けていく人、勝てるチャンスが残された人
■回収率が大幅にアップする3つのルール+1
■コース設定に基づきめりはりを決める
■本命に賭け続けるとどうなる?
■同じ点数でも賭け方によって効果が違う
■質疑応答

Disc2 競馬~『複雑』なゲーム(36分)
■競馬は『複雑』なゲーム
■20世紀の競馬理論とその限界
■「複雑系」ゲームの2つの攻略法
■ノースフライトの安田記念
■どれぐらい競馬が分かっていますか?
■競馬は無限なり、個を立てよ!

Disc3 21世紀の思考法(57分)
■結論から考える
■網羅思考と直観思考
■上級者と羽生の決定的な違い
■正しい答えを高い確率で出すためには?
■途中で思考が行き詰ってしまった場合、どのように決断するか?
■競馬の予想で一歩抜け出すために
■質疑応答

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Sityou

ライブCDの内容は、CD3枚(合計137分)と当日使用したテキスト(23ページ)になります。

私個人の時間的な都合で大変申し訳ないのですが、今回も100部限定とさせてください料金はライブの参加費であった3500円のみ(税込み、送料、代引き無料)でお分けいたします。お支払い方法は代金引換になります。安くて心配と思われるかも知れませんが、情報商材ではありませんので、ひとりでも多くの皆さまに聴いていただきたいという思いを込めました。早めになくなってしまうことが予想されますので、ご希望の方は今すぐお申し込みください。

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プライバシーポリシー特定商取引に基づく表記もご覧ください。

お申し込み方法
Step1_2メールフォームにてお申し込みをしてください。
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です
*個人情報を第三者に開示をすることは決してありません。

Step2_2お申し込み確認メールが届きます。

Step3_2お届け先住所にライブCDが届きます。
*代金引換ですので、ライブCDをお受け取りの際に料金はお支払いください。

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また、質問メールも受け付け致します。このライブCDを聴いて頂いて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、もしありましたら私宛のメールにてドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご感想もお待ちしております。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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アサクサ好調維持、ロック万全:5つ☆

アサクサキングス →馬体を見る
筋肉の付き方、全体のライン共に非の打ち所がない。
前走でもキッチリ仕上がっていたが、好調を維持している。
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アルナスライン →馬体を見る
重厚さを感じさせる馬体だが、その分、シャープさには欠ける。
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ヴィクトリー →馬体を見る
春当時と比べ、馬体の成長が著しい。
ステイヤー体型ではないが、ここにきて晩成の血が開花してきた。
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サンツェッペリン →馬体を見る
夏に緩めた影響か、まだ春当時の張り詰めた馬体にはまだ遠い。
この馬も体型的にはステイヤーではない。
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タスカータソルテ →馬体を見る
この馬なりに少しずつ成長しているが、まだまだ馬体は力強さに欠け、若さを残す。
Pad3star

ドリームジャーニー →馬体を見る
2歳時は腰高が目立つ馬体であったが、夏を挟んだことによって伸びが出てきた。
切れすぎる馬だけに距離は心配だが、なんとかこなせそう。
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ヒラボクロイヤル →馬体を見る
春当時から、馬体の成長はほとんど感じられない。
少しノッペリしたようにも映り、使い込まれて良くなるタイプか。
Pad2star

フサイチホウオー →馬体を見る
力強さは相変わらずだが、全体的に絶好調時の覇気が感じられない。
背中のラインから見ても、距離延長には不安が残る。
Pad3star

ホクトスルタン →馬体を見る
このメンバーに混じっては、平凡でほとんど目立たない馬体。
芦毛だけに毛艶も良く見せず、馬体からその調子を見極めるのは難しい。
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ロックドゥカンブ →馬体を見る
遅生まれもあってか、もう少し成長の余地を残した馬体。
それでも、つくべきところに筋肉が付き、全体のラインも理想的。
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レッドラムの詩

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レッドラム
競馬の本場イギリスで最も愛された馬。
完走さえ難しいと言われる、
世界で最も苛酷なレースを3度制覇した伝説のジャンパー。
決して良血ではなく、
生まれつき肉体的に恵まれていたわけでもない。
脚部には慢性の病を抱えていた。
勝ったレースよりも負けたレースの数の方が圧倒的に多い。
それでも生涯で100戦を走り抜き、
「グランドナショナル」という宝石を3つ手に入れた。
目の前にどれだけ大きく高い壁がたちはだかろうとも、
一度たりとも逃げることなく、
敢然と立ち向かって行った。
人生で苦しく辛い局面におかれたとき、
人々はレッドラムのことを思い、
自らに勇気を奮い立たせる。



レッドラムが制した3つの「グランドナショナル」の模様はこちら。
3連覇のゴール前はあまりの興奮に観客が…。
*レッドラムはシャドーロールを付けた馬です。


こういうのを見ると、サラブレッドとの距離の違いを感じてしまいます↓
それでも、だいぶ近づきつつあるのかな…

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ロックはキンシャサの10倍強い

Jiromaru

今年の菊花賞は、失われた希望を取り戻せるかがテーマですね。そういえば、昨年の私たちも、惜しいところで勝ち馬を取り逃がしてしまいました。ソングオブウインドの母系に眠るヒッティングアウェーという異種の塊に、20数年間、代々トニービン、サンデーサイレンス、ノーザンテーストなどの力を注入しながら、走る仔を出すように育ててきた社台のソロソロでしたね。

菊花賞は日本競馬のレース体系の中でも特殊な部類に入るレースですので、やはり血統的にも他のレースとは異なった偏りが求められます。そのことは、菊花賞の父仔制覇がダービーのそれよりも多く見られることからも分かります。

今年のダービーはタニノギムレット→ウオッカという父仔制覇でしたが、これは歴史上5ケース目に当たります。その前はシンボリルドルフ→トウカイテイオーですから、実に16年振りということになります。

★ダービーの父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 カブトヤマ マツミドリ
2組目 ミナミホマレ ゴールデンウエーブ
3組目 ミナミホマレ ダイゴホマレ
4組目 シンボリルドルフ トウカイテイオー
5組目 タニノギムレット ウオッカ

対する菊花賞はというと、これまでに8ケースの父仔制覇があります。

★菊花賞の父仔制覇

父馬名仔馬名
1組目 セントライト セトノオー
2組目 トサミドリ キタノオー
3組目 トサミドリ キタノオーザ
4組目 トサミドリ ヒロキミ
5組目 シンザン ミナガワマンナ
6組目 シンザン ミホシンザン
7組目 ダンスインザダーク ザッツザプレンティ
8組目 ダンスインザダーク デルタブルース

「ダービー馬はダービー馬から」というよりも、「菊花賞馬は菊花賞馬から」と言った方がより適切だということが分かります。最近でいうと、ダンスインザダーク→デルタブルースがそれで、実はその前の年もダンスインザダーク→ザッツザプレンティという父仔制覇でした。また、パッと見て分かるように、8ケースが4頭の種牡馬で占められています。これは明らかに菊花賞に強い種牡馬があるということを表していると思います。

さらに、菊花賞の血統的な偏りを示すのは父仔制覇の多さだけではありません。菊花賞は兄弟制覇もまたダービーのそれよりも多いのです。ビワハヤヒデ→ナリタブライアンを最後にして出ていませんが、4組もの兄弟が菊花賞を制覇しています(ダービーは2組のみ)。

★菊花賞の兄弟制覇

兄馬名弟馬名母馬名
1組目 セントライト トサミドリ フリッパンシー
2組目 キタノオー キタノオーザ バウアーヌソル
3組目 メジロデュレン メジロマックイーン メジロオーロラ
4組目 ビワハヤヒデ ナリタブライアン パシフィカス

菊花賞の父仔制覇と兄弟制覇を比べてみると面白いですね。セントライトとトサミドリは兄弟で、なおかつ父として菊花賞馬を計4頭も生み出しています。また、トサミドリの仔であるキタノオーとキタノオーザは兄弟として菊花賞を制していることになります。ちなみに、キタノオーとキタノオーザの母であるバウアーヌソルは、血統表上で純粋なサラブレッドと証明されていないサラ系でした。

何が言いたいかというと、ここで名前が出てきている種牡馬の血を引く馬がいたら要注意だということです。メジロマックイーンは、天皇賞春を親子3代制覇したように、長距離血統の権化のような馬です。昨年に急逝したことが惜しまれますが、残った産駒が天皇賞春を勝てばまさに歴史的な勝利となりますし、もちろん菊花賞を勝つ可能性も十分にあります。ダンスインザダークはもしかするとトサミドリの記録を超えるかもしれません。ドリームジャーニー、ホクトスルタン、ローズプレステージ、エイシンダードマンからは目が離せませんね。もちろん、菊花賞2着馬リンカーンを兄弟に持つヴィクトリーも侮れないでしょう。

さて、今年の菊花賞には無敗で挑戦してくる馬がいます。「競走馬とは、どんな名馬であれ、負ける理由を背負って走っている」。これはルドルフおやじさんの名言ですね。私も数々の名馬が負けるシーンをこの目で見てきましたので、競走馬とは基本的には負けるものだと考えています。どんな名馬でも、明日には負けるかもしれない。あのディープインパクトでさえ、有馬記念と凱旋門賞の2つを落としました。そのレースでたまたま負けなかった馬が勝ち馬となるのだと思います。

菊花賞を無敗のまま制した馬は、シンボリルドルフとディープインパクトだけです。シンボリルドルフは7戦7勝、ディープインパクトは6戦6勝での挑戦でした。シンボリルドルフとディープインパクトだけという事実が意味するところは深いですね。ルドルフおやじさんのおっしゃる通り、皐月賞の頃の成長段階の馬が、4戦4勝の僅かなキャリアで菊花賞を制することがあるとすれば、まさに空前絶後の快挙でしょう。

ロックドゥカンブ。しかし、この馬は恐ろしく強い馬ではないかと私は思っています。実は生で馬を見たことはないのですが、ラジオNIKKEI賞のレース振りを見て、この世代でナンバーワンであることを確信しました。スピード、スタミナ、パワーが高い次元で融合され、それらが体全体から漲っているのがこちらまで伝わってきました。レース後にガタっとくるというのが信じられないくらい、レースに行くと古馬顔負けのしっかりとしたレースをしますね。

南半球生まれということで思い出されてしまうのはキンシャサノキセキです。同じオーナーの馬でもあって、ロックドゥカンブにとっては兄貴分のような存在だと思います。兄貴分のキンシャサノキセキが人気になりながらも期待に応えられないのと対照的に、弟分のロックドゥカンブは負け知らずというところが面白いですね。

ルドルフおやじさんは、ヒクソン・グレイシーという挌闘家をご存知ですか?400戦無敗という戦歴の持ち主で、日本では高田延彦や舟木誠勝にも勝っています。このヒクソン・グレイシーはグレイシー一族最強の男とも呼ばれていて、この一族にはホイス・グレイシーという実弟がいます。この弟もまた強くて、UFCと呼ばれる何でもありのトーナメントで、グレイシー柔術を武器に、第1回、2回、4回大会で勝利を収めている1990年代の格闘技界に最も影響を与えた一人なのです。その弟をして、「兄は私より10倍強い」と言わしめたのがこのヒクソン・グレイシーなのです。

えっ、それがどうしたのかって?
格闘技も好きなので、つい脱線してしまいました、スイマセン。

これはキンシャサノキセキのファンの方には失礼に当たるかもしれませんが、もしキンシャサノキセキが口をきけたなら、「弟分のロックドゥカンブは私よりも10倍強い」って言うと私は思うのですよね。もちろんキンシャサノキセキも能力の高い馬であることは間違いありません。しかし、ちょっと大袈裟かもしれませんが、ロックドゥカンブはそれぐらいの強さを持った馬ではないでしょうか。菊花賞うんぬんではなく、将来的にはかなりの大仕事をやってのける器だと思っています。

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失われた希望を取り戻せるか

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

去年は、治郎丸さんもこのおやじもソングオブウィンドでちょいと悔しい思いをしましたね。今年はいいことあるかなあ。

とは言ってもこのおやじ、いつものように最初から躓いてます。バブルウイズアランに期待を寄せていたのですが、故障したようです。3角からまくった小倉のレースを見て、馬力のあるバブルガムから出た最後の大物かな、と思ったのですが、残念です。ハイペリオンの遠いクロスを何本ももっていて今後も期待できる馬なので来春を楽しみに待つことにします。と、心の広いところを見せていたら、ゴールデンダリア、蹄に不安ときたもんだ。セントライトは最後の坂で息切れしたようなので、平坦コースの京都ならばどうだ、3着以内はあるぞと意気込むおやじになぜ競馬の神さんは辛くあたる!レースが始まる前になぜ負けさせる。

競走馬というのは、どんな名馬であれ負ける理由を背負わされて走っているんだ、と思うときがあってたまに馬券を買うのが怖くなることがあります。ことしのダービーではすべての牡馬が負けてしまいました。ウオッカの勝利は永遠に賞賛されて然るべき偉業ではありますが、すべての牡馬が負けたという競馬の怖さにはやはり戦慄を覚えずにはいられません。牡馬の勝つ理由と希望のすべてが奪われてしまったわけですから。

今回の菊花賞には失われた希望を取り戻せるか、というテーマが隠されていると思っています。半端なレースや勝ち方ではだめですね。3歳クラッシックに立ち込める深い霧を晴らしてくれるような胸のすくレースを期待したいと思います。

3歳チャンピョンが神戸新聞杯を勝つというのは珍しい。ドリームジャーニーは父のステイゴールドからも、トゥルービヨンのクロスをもった母系からも成長力を受け継いだようです。阪神コースを追い込んで勝ったというのは、この馬の力が3歳牡馬のトップクラスにあることを示しているように思います。しかし武騎手の口からは「距離がどうか」という慎重なコメントがもれていますね。ドリームジャーニーは、弥生賞で中位でレースを進めるレースを試みて失敗しています。融通のきかない気性と420キロ台の体力から距離うんぬんと武騎手は言っているんでしょうか。この馬の負ける理由はこのあたりにあります。しかし、魅力は不安を口にする騎手の腕ですね。最近ますます凄みを増してます。

アサクサキングスは強い馬なのか、弱い馬なのか、このおやじにはよくわかりません。ただダービーで2着を確保したというのはきちんと評価しておかねばなりませんね。この馬の魅力は母系の良さと父ホワイトマズルのスタミナですね。でもこの馬ヴィクトリーと相性がわるいんじゃあないかしら。ヴィクトリーがまともに競馬をしたときには惨敗しています。負けるとすればヴィクトリーとやりあったときかな。

神戸新聞杯で最も強い競馬をしたのは、そのヴィクトリーではないでしょうか。行くのか行かないのか、ちぐはぐな競馬をしてもきちんとゴール前は伸びています。皐月賞馬という名は伊達ではありません。派手な勝ち方こそありませんが、その名に恥じない実力のある馬だと思っています。しかし岩田騎手が神戸新聞杯で控える競馬を試みたは、やはり距離に不安があるからなのでしょう。それほど荒々しい気性の馬です。

フサイチホウオーはいかにもグレイソブリン系らしい神経質な馬なんですね。人生嫌なことのほうが多いんだからまあ一杯呑もうや、なんて誘っても無駄なのがグレイソブリン系の主たる特徴なんですな。傍からみていると少しこっけいに見えたりもするのですが、自己主張の強いタイプでいつか必ず立ち直る。それが今週の菊花賞だったらどうします?

ホクトスルタンはやはり成長してますね。覚えてくれていますか?春に変な情報を流してご迷惑をかけたのを。ラインクラフト、ソングオブウィンドと続く、ファンシミン系の血の勢いは止まりません。おやじが競馬を始めたころ、ファンシミンといえば勝負弱い血のイメージしかなかったのですがねえ。

菊花賞といえば神戸新聞杯組が毎年強いのですが、今年は多少趣が違うようです。別路線組に希望を託しておられる方も多いのではないでしょうか。

ロックドゥカンブ。この馬が負ける理由は明々白々、南半球生まれということですね。9月27日が満3歳のお誕生日ということで、皐月賞のころの成長段階の馬がいきなり菊花賞に挑戦するというわけです。もし菊花賞を勝つようなことがあれば、空前絶後の快挙となりますね。陣営からは「レースの後にはガタッとくる」という主旨のコメントが少し前に出されていました。まだまだ幼さの残る馬なのでしょう。しかし、この馬、言い知れぬオーラを放っている馬ですなあ。ファインモーションの一族だそうですね、ふむふむ。

アルナスライン。この馬の負ける理由も明々白々、中1週で菊花賞とはちと無謀かと。かつて京都大賞典をたたいて本番に臨んだのは、古くはテンポイント、最近ではシルクジャスティス、セイウンスカイ、ティーエムオペラオーあたりですか。京都大賞典での成績は、順に3、1、1、3着。本番での成績は2、5、1、2着。このころの京都大賞典は京都新聞杯の前週に行われていて、菊花賞まで中3週というローテだった。かつては中3週あける、というゆとりあるローテを狙って京都大賞典をつかったわけだ。無論、古馬一線級と十分に戦えるという見込みもあった。しかし、アルナスライン、ゆとりはないがG1級の古馬と堂々と渡り合いましたね。これ最近ちょっと冴えてませんがレディージョセフィン系の馬なんです。ふむふむ。

1番人気に推されるのはロックドゥカンブか。もしこの馬を買うならばダービーでウオッカを本命に推すほどの気概が必要ですよね。ダービーで牝馬だからといってウオッカを本命にできなかったこのおやじはここできちんと考えるべきだと思っています。治郎丸さんは実際にロックドゥカンブをご覧になったということですので、ぜひそのときの印象などを教えていただきたい。

ウオッカによって剥奪された希望を取り戻せる馬は果たしてどの馬なんでしょう。昨年のDパスポートほどのパフォーマンスがなければ3歳牡馬の霧は晴れることはありません。ちと厳しいかなあ。

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大いなる錯覚

Syukasyo07 by echizen
秋華賞2007-観戦記-
好メンバーが揃い、秋華賞とは思えないほどの盛り上がりを見せたが、終わってみれば、秋華賞とは思えない上がり33秒台の決着でレースは幕を閉じた。前半59秒2、後半59秒9という数字だけを見れば、今までの秋華賞にもあったごく普通の平均ペースだが、レースを前半(テン3ハロン)、中盤、後半(ラスト3ハロン)の3つに分けてみると、今年の秋華賞の特異性が浮かび上がってくる。

今年
12.3 - 10.4 - 11.5 - 12.2 - 12.8 -13.6 -12.4 -11.3 - 11.1 - 11.5

過去5年(新しい年が上)
12.0 - 10.6 - 11.9 - 12.0 - 11.9 - 12.2 - 12.0 - 12.0 - 11.6 - 12.0
12.4 - 11.0 - 12.2 - 12.2 - 12.3 - 12.3 - 11.8 - 11.6 - 11.3 - 12.1
12.4 - 11.0 - 12.1 -12.4- 12.0 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 11.6
12.5 - 11.0 - 11.9 - 12.2 - 12.2 - 12.1 - 11.7 - 11.6 - 11.9 - 12.0
12.3 - 10.8 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 12.3 - 11.9 - 11.5 - 11.6 - 11.8

中盤の4ハロン(800m)において、最も遅かった年のラップを太字にしてみると、今年の秋華賞が恐ろしいほどの中緩みであることが分かる。まるで長距離レースのような、極端な中緩みである。これだけ道中が緩んでしまえば、内回りコースの直線の短さからして、後ろから行った馬はまず届かない。まさに上がり3ハロンのレースであった。

しかし、ここでひとつの疑問が生じる。なぜこれだけの中緩みのペースにもかかわらず、最後の最後まで縦長の隊列が変わることなく流れ続けたのだろうか?ダイワスカーレットの安藤勝己騎手以外のほとんどの騎手が、あたかもハイペースのレースであるかのように、自ら動くことなく溜め殺してしまったのは何故だろうか?

その答えは、スタートしてから2ハロン目のラップにある。過去5年と比較してみると、今年のラップが最も速い(赤字)。なんとハイペースで流れた昨年の秋華賞の10秒6よりも速いのだ。

ジョッキーはスタートしてからの2ハロン目のラップの速さで大まかなペース判断するため、この時点での体感速度で、全ての騎手が「ペースが速い」と錯覚してしまったのである。途中から気付いても動けなかった騎手もいるだろうが、おそらくほとんどのジョッキーたちは、これほどまでに途中が緩んでいたことに気付いていなかっただろう。

勝ったダイワスカーレットは、またもや回ってきただけの楽なレースであった。ペースが速くなろうとも胸を貸せるだけの力を持った馬だけに、ある意味、不完全燃焼といってもよいだろう。ペースが上がっても止まらないダイワスカーレットを見てみたかった気もする。夏を越えて、それぐらい強い馬に成長した。

また、安藤勝己騎手の判断力の良さも光った。遅ければ行く、速ければ控えるという当たり前だが難しいことを、どのレースでも瞬時に的確に判断しているのは見えないファインプレーである。次走はエリザベス女王杯になるだろうが、2200mの距離も、直線の長い外回りコースも問題ないだろう。後ろからモノ凄い脚で一気に来られる以外、このコンビに負ける要素はない。

3強の一角を崩したレインダンスは、夏の間にもレースを使って上がりの競馬に慣れていたことが好結果につながった。道中の折り合いもピタリと付いて、持ち前の瞬発力を如何なく発揮した。これからもこういう上がりの競馬になれば、おのずと台頭してくる存在となるだろう。

休み明けながらも1番人気に推されたウオッカは、外々を回るロスがありながらも、最後は一瞬だけ伸びかけて地力の高さを証明した。外を回ったことは枠順からも仕方なかったとしても、四位騎手が取った位置取りは明らかに消極的すぎた。上記のようにペース判断を読み違えたのと、ウオッカのリズムを大事に乗ろうと意識した結果だろうが、あまりにも淡白に映った。しかし、あそこまで来てレインダンスを交わせなかったあたりは、ウオッカ自身もダービーから尾を引いている疲れが抜け切っていないのだろう。休み明けをひと叩きして次走こそはと考えるのは早計だろう。

ベッラレイアは最後方から32秒9の末脚で迫ったが、時すでに遅し。この上がりであの位置からでは到底届かない。武豊騎手も4コーナー時点で負けを覚悟したに違いない。今回の武豊騎手の騎乗については賛否両論あると思うが、あくまでも勝ちに行くというコンセプトとしては間違ってはいない。折り合いを欠きたくないという気持ちもあって、一か八かに賭けたところが八に出てしまったというだけのことである。一か八かに賭けなければならないぐらいに、ダイワスカーレットとの力量の差があったということでもある。前に行って主導権を握れる馬とそうでない馬との明暗が、大レースに行ってはっきりと出てしまった。

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◎ベッラレイア

Jiromaru

ありがとうございます。ウオッカ陣営以上にプレッシャーが掛かりますが、スプリンターズSのルドルフおやじさんのようにバッチリと当てて、妹には気持ち以上のものをプレゼントしたいですね。

前田長吉騎手については、いつか書きたいと思っていました。お父様(ルドルフじいさん)もシベリア抑留経験者だったのですね。シベリアについて私は詳しくは知らなかったのですが、今回の件で調べたことで、当時、抑留者がどれだけ苛酷な状況に置かれていたかを思い知らされました。氷点下40~50度の、顔をこすっただけで鼻がもげるくらいの寒さの中で強制労働をさせられ、食料もほとんどなく、木の芽を食べて飢えを凌いでいたそうです。

次元こそ違え、私たちロストジェネレーション(就職氷河期世代)も時代の波に翻弄されていることに違いはありません。この問題は、他の世代の人たちには見えにくいだけに、根が深いと思います。ルドルフおやじさんのようにシンパシーを寄せていただける人は意外と少ないものです。私たちはまっとうな仕事に就くことすらままならないのですが、ようやく仕事につくことが出来たとしても、その組織の大きな歪みを一手に引き受けさせられます。

さらに、私はこれが最大の問題だと思うのですが、私たちロストジェネレーションがそのことに慣れ切ってしまっているということです。うすうす気付いてはいても、レジストするだけのパワーがないのですね。そればかりか、大きな権力やメディアに取り入ろうとしてしまいます。そうすることで、あたかも自分だけは救われるかもしれないという錯覚を起こすのですが、実は持てる者に取り込まれてしまうだけなんですね。

私たちがすべきことは、大きな力や声に迎合することではなく、新しい局面を自らの手で創造することだと思います。そして、私はこのロストジェネレーション(就職氷河期世代)の中からこそ、“本物”が出てくると思っています。これはワイン作りをしている農家の人から教えてもらった話ですが、貧しい土壌であればあるほど、良い葡萄が出来るそうです。これは葡萄の木が苦しみながらも深くまで根を伸ばすため、それだけ力強く豊かな作物が生まれてくるそうです。ヌクヌクと育った葡萄にはロクなものがありません。時代の波に翻弄されてもタダでは死ないぞ!それぐらいの気概を私たちは生きていかなければならないと思います。

さて、そろそろ秋華賞の話をしましょう。

前回の手紙でも書いたとおり、ウオッカはこれだけのメンバーの中でも、実力は一枚上の存在です。完成度が高く、スピード、スタミナ、瞬発力、全ての面で秀でていて、およそ非の打ち所がありません。ダービーは牝馬の切れ味を生かして圧勝しましたが、凱旋門賞に挑戦しようとしていたように、2400mくらいまでならば自ら動いて勝負できる馬です。それはルドルフおやじさんがずっと昔から唱えてきたように、母系に脈々と流れるスタミナと底力がウオッカを支えているからです。

宝塚記念を使ったことは、この馬にとっては良い経験になったのではないでしょうか。初めて体験する古馬のレースの厳しい流れと道悪馬場に加え、ダービーであれだけの勝ち方をした後だけに、体調も完全ではなかったはずです。負けて当然だったと思います。それでも直線では伸びようとしていたように、改めてこの馬の精神力の強さを思い知らされました。古馬になって牡馬と混じって走っても、勝ち負けになる牝馬ですね。

しかし、今回、私がウオッカの体調に一抹の不安を覚えてしまうのは、この馬が「ダービー」というレースを勝っているからです。

過去10年のダービー馬の秋シーズンにおけるG1レース成績を見てみましょう。

平成9年  サニーブライアン →不出走→引退
平成10年 スペシャルウィーク→菊花賞2着→ジャパンカップ3着
平成11年 アドマイヤベガ  →菊花賞6着→引退
平成12年 アグネスフライト →菊花賞5着→ジャパンカップ13着
平成13年 ジャングルポケット→菊花賞4着→ジャパンカップ1着
平成14年 タニノギムレット →不出走→引退
平成15年 ネオユニヴァース →宝塚記念4着→菊花賞3着→ジャパンカップ4着
平成16年 キングカメハメハ →不出走→引退
平成17年 ディープインパクト→菊花賞1着→有馬記念2着
平成18年 メイショウサムソン→菊花賞4着→ジャパンカップ6着→有馬記念5着

一目瞭然ですが、あの怪物ディープインパクト以外のダービー馬は、秋のG1レースで凡走を繰り返しています。もしくは、故障してしまい、出走すら出来ていません。唯一、ジャングルポケットがジャパンカップで挽回しましたが、この無理が祟って、これ以降のレースでは一度も勝つことなく引退してしまいました。ディープインパクトさえも、最後の有馬記念ではついに力尽きてしまいました。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか。その世代の最強馬であるはずのダービー馬が、なぜわずか4ヶ月後に行われる菊花賞でいとも簡単に負けてしまい、その後のレースでも凡走を繰り返してしまうのでしょうか。

答えは簡単です。ダービーを勝つためには、極限の仕上がりが要求されるからです。目一杯の調教に耐え、レースでは自身の持つ力の全てを使い切るほどでないとダービーを制することはできないからです。ダービーとは、それほどまでに苛酷なレースなのです。そして、ダービーで全ての力を使い果たした馬を、わずか4ヶ月で再び100%の状態に持って行くことは至難の業です。

たとえば、平成10年のダービー馬スペシャルウィークが菊花賞、ジャパンカップと凡走したのは、ダービーの疲れが抜け切れていなかったからです。スペシャルウィークほどの馬でも、ダービー後には一時的なスランプに陥っているのです。昨年のダービー馬であるメイショウサムソンもそうでしょう。気持ちは前に行くのですが、体が付いてこないというスランプに秋シーズンは陥っていました。サニーブライアン、アドマイヤベガ、タニノギムレット、キングカメハメハのように、肉体的な疲労が故障という形で表れて引退を余儀なくされる馬もいます。

さらに難しいのは精神面での回復です。極限の状態で苛酷なレースを制した馬は、その後、精神的に燃え尽きてしまうことが多いのです。それが一時的なものになるか、完全に燃え尽きてしまうかはそれぞれですが、他馬に抜かれまいとする闘争心、苦しくても走り続ける気力が失われてしまうのです。平成7年のダービー馬タヤスツヨシや平成15年のネオユニヴァースはその典型です。ダービーを勝つほどの能力を持った馬でも、闘争心や気力が失われている状態では凡走を繰り返してしまうことになります。

もちろん、ウオッカが細心の注意を払われて調整を重ねられていることは誰もが知っています。実際に馬に跨ってみて、どこも悪くなく、心配な点もないからこそ、こうして秋華賞に出走してくるのでしょう。凱旋門賞を回避した以上、こんなところで負けていられないでしょうし、ダイワスカーレットに連敗することも避けたいに違いありません。角居調教師は勝つためにウオッカを秋華賞に出走させてくるのは間違いありません。

しかし、本来、疲れというのは目に見えないものなのです。過去のどのダービー馬たちも、陣営は寸分の狂いのない調整を重ねて、本番のレースへと出走させてきました。そして、レース後にはいつもこう言ったのです。「目に見えない疲れがあったのかもしれない」と。ウオッカだけが例外ではないでしょう。

次はダイワスカーレットについてです。ダイワスカーレットは、楽に先行して、そこからさらに33秒台の脚を使って他馬を突き放すことが出来る、馬場の高速化が著しい近代競馬に最もマッチした走りが出来る馬です。新馬戦とシンザン記念以外のレースは全て33秒台で上がっていますよね。あれだけ先行力がある馬に33秒台で上がられては、後ろから行く馬はなす術がありません。

ところが、これだけを見ると、ダイワスカーレットの本質を見誤ってしまいます。確かに、ダイワスカーレットは速い上がりにも対応できる先行馬なのですが、それだけの馬ではないと私は思います。この馬の本質は、ジワジワと伸びる地脚の強い馬です。高速馬場のおかげもあって、この馬のジワジワが33秒台という数字になっただけです(そこがスゴイところなのですが)。この馬の真骨頂は、血統的にクリムゾンサタンを母系に持っていることからも分かるように、持続力を問われるようなレースでこそ発揮されるのです。だからこそ、この馬にとっては、多少なりとも上がりが掛かる秋華賞のようなレースの方が、ヨーイドンの瞬発力勝負よりも合っているはずです。安藤勝己騎手もそのことは知っているので、厳しい流れになってくれた方がやり易いと思っているのではないでしょうか。

さらに、夏を越して体質も強くなってきたようですし、精神的にも安定してきたそうです。前走のローズSの勝ち方も、ゴール前では耳を立てる余裕がありました。今回は外枠を引いて、包まれてしまうこともないでしょう。たとえ途中で外から来られても、我を忘れてしまう馬ではありませんので、我慢もできるはずです。書けば書くほど、ダイワスカーレットは隙のない馬ですね。

しかし、ひとつだけこの馬の負けパターンがあります。どういうパターンが嫌かというと、馬体を併せないで、後ろから一気に来られるようなレースになることです。私がダイワスカーレットは今回苦しいと思っているのは、京都競馬場はそういうパターンの競馬になりやすいからです。阪神競馬場に比べ、京都競馬場は直線が平坦であることも手伝って、後ろからズドンと行く馬にとっては乗りやすいコースになっています。スローに落としてもハイペースで引っ張っても、後ろから一気に来られやすい舞台です。些細なことのように思えますが、ダイワスカーレットにとっては展開云々ではなく、京都競馬場の平坦な直線がネックとなる可能性は大いにあります。

本命は◎ベッラレイアに打ちます。最終追い切りも唸るような手応えで、走りたくて仕方がない気持ちが伝わってきました。理想的な枠順を引きましたし、武豊騎手を背に、今回はギリギリまで溜める競馬を試みるはずです。ローズSはスローに流れましたが、道中ずっと窮屈な格好をして走っていました。位置取りとしては悪くなかったのですが、この馬の強靭な末脚が生きる流れではありませんでした。この馬がこれまでで最も力を発揮したのは、中京競馬場で行われたあざみ賞ではなかったかと思います。小回りコースで、道中が厳しいペースで流れてこそ、首を沈めてどこまでも伸びるこの馬の末脚が生きます。

そういった意味では、オークスの流れもこの馬には合っていたはずです。だからこそ、この点だけはルドルフおやじさんと意見が異なるのですが、オークスは消極的な騎乗に映りました。田原成貴騎手は、オークスの騎乗を「仕掛けが1000m早かった」と評していましたが、私は2400m早かったと思っています。スローになって脚を余すのだけは避けたかったのでしょう。とにかく気持ちだけが先走って、スタート時点から無意識のうちにベッラレイアを仕掛けていたのではないでしょうか。これは秋山騎手だけではなく、おそらく陣営にも、包まれるぐらいなら前に行こうという恐れの意識が強く働いていたのだと思います。でも、そうして負けたことによって、騎手も馬も陣営も成長していくのですよね。あのハイペースを早めに動いて、最後の最後まで先頭を譲らなかったベッラレイアは立派だったと思います。

*その他、穴馬については、メールマガジンの方で配信させていただきます。
配信希望の方は、日曜日の9時までに、右サイドバー上のボックスからご登録ください。

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3強3連福1点

Rudolf

妹さんのご結婚おめでたいですね。最近おやじの職場にも高齢化の波が押し寄せてまいりまして、まず若い人が少なくなった。そして結婚式もなくなった。もう職場の結婚式は8年も行われていません。久々の吉報ですよ。治郎丸さんは妹さんのためにご祝儀馬券を用意するんですね。このおやじはまた変なことを書いて治郎丸さんを惑わすようなことは止めときましょうね。今回だけですが。

前田長吉騎手のお話ははじめて聞いたお話だったんですが、このおやじの父親、すなわちルドルフじいさんもシベリアに抑留されていたので、とても他人ごととは思えませんでした。捕虜として強制労働させられた父親の仲間に力士がいてお腹をすかせては泣いていたという話などを聞いてこのおやじは育ったんですよ。前田騎手だけでなく、時代に翻弄されるのが人間の宿命なんですね。治郎丸さんの世代はいわゆる日本のロストジェネレーション世代にあたるのですか。就職難でこの世代がバブルのつけを払わされている。身に覚えのないことで苦しんでいる。このおやじが憤ったからといって何の足しにもならないのですが、もしこの手紙の読者にロストジェネレーション世代の方がいらっしゃったら、おやじがシンパシーを寄せていることだけはお伝えしたいなと思います。

さて、いよいよ決戦のときが近づきました。本当に楽しみですね。馬券が外れるのはやはりいたいのですが、どの馬から買っても悔いのない馬券になりそうです。

おやじが一番楽しみにしているのはDスカーレットの走りです。2週間後には兄のメジャーも天皇賞で走ります。この母系の本質が見られるといいなあと思っているんです。去年の今頃だったでしょうか、メジャーの母系について、クリムゾンサタンに支配された一本調子血統と表現してちょいと顰蹙をかいましたかね。

アメリカの馬産は本当に奥が深い。クリムゾンサタンは今なおアメリカで大切にその血を守られているヒムヤー系から出た快速馬です。去年はテディー系についてさんざん書きました。ヒムヤーもテディーもエクリプスから出て細々と現代に生き延びてきたアウトサイダーです。日本ではテンポイントの祖に入っているピーターパンがヒムヤー系の馬では有名ですね。血統の世界で非主流に追いやられるとスピードが失われてしまいます。スピードを求めて主流派が形成されるのだからどうしようもないことです。しかしヒムヤーのすばらしいのは主流からはずれた今も豊かなスピードを維持しているところです。

大種牡馬の大種牡馬たるゆえんは母系の良さを引き出すところにあります。もちろんサンデーも例外ではありません。多様なサンデー産駒のなかにあって特にDメジャーは異質なスピードの持ち主ではないでしょうか。彼の異質なスピードはメジャーの母系で生きているヒムヤー系50年代の傑作クリムゾンサタンに由来するものかも知れません。そしてもう1頭、サンデーの中でもおやじはサイレンススズカのスピードにも異質なものを感じていました。スズカには「音速の貴公子」というあだ名がついていると教えてもらいましたが、このおやじには妖怪かバケモノのイメージしか残ってないんですよ。それほどスズカの力強いスピードには恐ろしいものがあった。スズカの母系にはアックアックがかかっています。アックアックはヒムヤー系70年代の傑作です。クリムゾンの命脈は絶たれましたがアックアックの血は細々と現代につながっています。アメリカというのはなんと凄い馬産を行う国なんでしょうか。

今回の秋華賞に登録のあったエイシントゥルボーはヒムヤー系の貴重な直系です。狂ったように走るこの馬、本番には出られませんでしたがいつかきっと走り出しますよ。そういえばサンアディユの母系にかかっているユースもアックアックの直仔でした。ハイペースのレースを2、3番手で追走して5馬身ちぎって勝つというアディユの力強いスピードはこの血統の特徴なんだと思っています。クリムゾンサタンを母系にもつ力強いスピード馬、Dスカーレットにとって秋華賞は絶好の舞台です。どんな展開になっても3着以上を期待してよいと思います。

ダービー馬のウオッカについて牝馬限定のG1競争で云々するのは失礼ですが、ちょっと想像をたくましくして、もしDスカーレットが桜花賞をパスして皐月賞に出走していたらどうなっていただろう、と考えてみました。うむうむ、ケッコーケッコーコケコッコー、いい線いったんじゃあないかなあ。もしローズステークスに神戸新聞杯の牡馬が出走していたら、何頭の馬が上位争いできたんだろう、と考えました。うむうむ今年の3歳牝馬はやはり強いや。今回の秋華賞が決着の場だとおやじは思っています。

ローズステークスを見るかぎり、体調が万全なのはベッラレイアだと思います。体重を戻してさらに成長している。パドックを周回する雰囲気も落ち着いて好感がもてました。本番ではさらに前進が見込めるはずです。対するスカーレットは少しいらついてましたね。本番でこれがどう出るか。パドックはじっくり見たいものです。強行軍でのぞんだ宝塚で厳しい競馬をしたウオッカの体調はどうなんでしょう。これもパドックで確かめるほかはありません。四位騎手は「ダービー馬ということを意識せずに乗りたい」というコメントを出しています。こりゃあ、相当意識してるなあ、無理もない。

ローブデコルテも強い世代の一翼をになう良い馬です。ただ休養明けでこのメンバーを相手に1着になれるか、というと疑問です。ピンクカメオも底力のある馬ですが良馬場の予想される本番では少し苦戦しそうです。穴人気しているルミエールは下級条件で連勝した馬ですね。前走はなかなか強かったそうです。しかし、これを買うなら紫苑Sで3角をまくって出たアルコセニョーラを買いたいと思います。ラブカーナもさすがにオークスで3着した馬です。前走の瞬発力は凄かった。ただぎりぎりの馬体をしていたのは気にかかりました。最後にレインダンスですが、これは相当強い牝馬だと思っています。姉のレンドフェリーチェは能力の高い馬でしたが大成できませんでした。この血統の潜在能力には期待していいと思います。

上に書いたように今回が決戦の場だと思っています。従ってこのおやじには1着馬のイメージがまだ湧いてこないんですよ。ただ3強だとは思います。

そこで印なんですが・・・
◎3強(ウオッカ、スカーレット、ベッラレイア)3連福1点とさせていただきます。
細かい話なんですが今回は結婚を祝して「3連福」とさせていただいております。

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ラブカーナが大きく見せる:☆5つ

アルコセニョーラ →馬体を見る
馬体重以上に大きく見せて好感が持てる。
ただ、ダート馬のような硬さがあり、切れ味という点では見劣りがする。
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ウオッカ →馬体を見る
無駄な肉がそぎ落とされ、毛艶も良く、個人的には好印象の馬体。
こういう感じの馬体であった桜花賞で凡走したことだけが唯一の気掛かり。
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ザレマ →馬体を見る
完成にはもう少し時間が掛かりそうだが、全体的には柔らか味がある馬体。
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ダイワスカーレット →馬体を見る
少し細く映るが、タフな調教を中間にこなしてのものだけに問題ないだろう。
兄のダイワメジャー同様、基本的には体調に大きなブレのない馬である。
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タガノプリミエール →馬体を見る
馬体だけの印象では、どう見てもG1レースでは物足りない。
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ピンクカメオ →馬体を見る
前走(ローズS時)はゆったりと映ったが、今回はきっちりと絞ってきている。
あとは、パワータイプの体型だけに、瞬発力勝負にならなければ好走可能だろう。
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ベッラレイア →馬体を見る
前走同様、春当時と比べ、明らかに馬体がフックラしてきた。
成長分も大きいが、本番までにはもうひと絞り必要か。
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ラブカーナ →馬体を見る
この馬も馬体を大きくみせて、連戦の疲れを微塵も感じさせない。
手脚の長さは、この馬の長距離適性を物語っている。
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レインダンス →馬体を見る
夏の間に使ってきた疲れが、表情からは幾分感じられる。
全体的なバランスは良く、この距離はピッタリの印象。
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ローブデコルテ →馬体を見る
薄い馬体からも、この馬も距離が伸びて良さが出るタイプ。
ただ、春のクラシック時に比べて、毛艶と馬体の張りが今日ひとつ良く映らない。
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ウオッカは別格の存在

Jiromaru

今年の3歳牝馬世代は、私が知っている限りでは、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイ、キングヘイローの世代ぐらい、レベルの高い個性豊かな馬たちが揃っていると思います。ルドルフおやじさんに言わせると、テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス、クライムカイザーの世代なのですね。彼らはレースで覇を競っただけではなく、貴重な血を残したことで日本競馬の発展に大きく貢献しました。これから彼女たちが見せてくれる白熱したレースも楽しみですが、10年後、20年後、彼女たちが祖となって新しい牝系が生まれていくのかと思うと、1頭1頭の姿をこの目に焼き付けておきたいくらい愛おしく思えます。

その中でも、シラオキから流れる日本古来の牝系の血を引くウオッカは、別格の存在と言っても過言ではないでしょう。昭和18年のクリフジ以来、牝馬による43年ぶりのダービー制覇には驚かされましたが、今年の3歳牝馬世代のレベルの高さを思えば、それも必然だったかと思わせられます。凱旋門賞に出走できなかったのは残念ですが、もしかするとこれで来年もウオッカの走りが見られるのかもしれませんね。秋華賞は休み明けの1戦となりますが、他のメンバーの強さを誰よりも知っている角居調教師だけに、キッチリと仕上げて臨んでくるはずです。

クリフジといえば、ダービー、オークス、菊花賞を勝った最強牝馬ですね(当時、オークスは秋に行われていました)。ダービーの賞金が1万円の時代に、4万円で落札されたように、かなりの期待と素質を背負って走った馬だったようです。毛色こそ違え、額に大きな流星が目立つ美しい顔立ちは、ウオッカと通じるものがあります。私が尊敬してやまない故野平祐二氏は、クリフジほど体積のある馬は後にも先にも見たことがないと語り、自身が管理したシンボリルドルフと同じくらい、クリフジの競走馬としての強さを評価していたそうです。

Kurifuji

そのクリフジに乗って、弱冠20歳の若さでダービーを制する「幸運」を手にしたのが前田長吉騎手です。第二次世界大戦後、シベリア抑留中に若くして病死した伝説の騎手でもあります。これまであまり語られることはありませんでしたが、これほど時代の波に翻弄された騎手もいないのかもしれません。もし彼が生きていたならば、今は殿堂入りしている保田隆芳騎手、野平祐二騎手を超える勝ち星を上げていたことは確実とされています。

招集令状が来たとき、彼は泣いて、家族にも「(戦争に)行きたくない」と言ったそうです。当時のトップジョッキーであった保田隆芳騎手も、戦争によってジョッキーにとって大切な時代を奪われた一人です。今でいえば、たとえば武豊騎手や若手の松岡騎手、川田騎手らが、鞭ではなく銃を持って戦地へ赴いて行くということです。どれだけ残酷な時代であったか。前田長吉騎手の遺骨は昨年6月、62年の時を経て、ようやくシベリアから故郷の青森に帰ってきました。彼の乗った馬の血統表のどこかに「No Luck」が入り込んでいたのかもしれませんね。

話が暗くなってしまいましたね。ハッピーな話をしましょう。

実は今週末に私の妹の結婚式があります。そこで、ご祝儀の一部を馬券で渡そうと計画しているんですよ。縁起の良い名前の馬が相応しいので、有力馬それぞれの名前の由来を少し調べてみました。

・ウオッカ…ロシアを代表するアルコール度数40%の無色の蒸留酒。父(ギムレット)よりも強くあって欲しいという願いを込めた。
・ダイワスカーレット…冠名+深紅色。母はスカーレットブーケ。
・ベッラレイア…イタリア語で「美しい」を意味するベッラと、ギリシア神話の「女神」レイアを組み合わせた。
・ピンクカメオ…シャクヤク(芍薬)の一種。開花時期は5~6月。カメオの花言葉は「ぜいたくの美」
・ローブデコルテ…胸・肩・背などが大きく開いた、女性の正礼装にあたるイブニングドレスのこと。女性の最高礼装。

牝馬のG1レースだけあって、男勝りのウオッカ以外は、どの馬も結婚式のご祝儀としては相応しい、美しい名前を付けてもらっています。中でもダイワスカーレットは母にブーケが入っていますので、これが最も有力でしょうか。ベッラレイアとローブデコルテも悪くありませんね。ピンクカメオは5月~6月に開花する花なんですね。知っていればNHKマイルCは取れたかもしれません(笑)。まあこれは半分冗談ですが、兄貴の面目も掛かっていますので、自分の頭でしっかりと考えて、ぜひとも勝ち馬の名が刻まれた投票券を渡したいな思っています。

さて最後に、少し真面目に秋華賞を占いましょう。今回の秋華賞に関しては、私もウオッカ、ダイワスカーレット、ベッラレイアの3強だと思っています。実力的に言うと、ウオッカの1強だと思うのですが、今回は休み明けというマイナス材料があります。別の言い方をすると、ウオッカが休み明けぐらいで丁度、ダイワスカーレットとベッラレイアと互角の勝負になるかなというところです。そして、その後にローブデコルテとピンクカメオが僅差で続いていると思います。展開やレースの綾に恵まれれば、この2頭が間に割って入ってくることもあり得ます。そもそも、秋華賞はペースの乱れやすいレースです。枠順や展開を味方につけた馬とジョッキーが、混戦を制することになるのではないでしょうか。最終結論は、枠順が発表されるまで待った方が良さそうですね。

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「幸運」なんてものは

Rudolf_2

牝馬の質は本当によくなりましたねえ。血統も素晴らしいし、どんどん競走能力も高くなってきていると思います。このおやじが競馬を始めたころには、強い牝馬が現れると女傑だの女王だの騒がれたものですが、今では死語になってしまいましたね。それほど牝馬の質が上がっている。今が花だったってことにならないように、これからも頑張りたいものですね。おやじが頑張ってどうする、と言われそうですが、もちろんせっせと馬券を買えるように頑張るわけですよ。馬券なしに日本の競馬は成り立たないわけですから。

のっけから秋競馬のハイライトがやって参りました。2強対決とおっしゃる方もいれば、3強という方もいる。4強という人は3着までが馬券の対象だということをうっかり忘れてる。戦国という人もいれば大奥絵巻に鼻の下を長くしている人もいる。つまり、まつりだな、祭りだ、祭りだ、マツリだヴァンゴッホ!

と、浮かれているととんでもないことになる。

3強だろうが、2強だろうが、競馬で勝つのはただの1頭。フルゲートなら17頭は負けるわけです。そこへもってきて、たまさか、その1頭の勝ち馬の中に勝つ理由の解しがたい馬がひょいと顔を出すもんだから競馬は危うい。

ブゼンキャンドル。

平地23戦3勝という生涯成績を残したこの馬のG1競走を勝つ理由を探すのは、探鉱夫が金脈を掘り当てるより難しいのかも知れません。母系はムーティエイチなどがでる地味な障害血統です。父のモガミはすでに活力を失いつつあった種牡馬。モガミは輸入されたNダンサー系の種牡馬のなかでも最も成功した馬ですが優秀なハードラーも出すことでも知られていました。キャンドルの生産者、上田牧場の配合の意図はこんなところにあったのでしょうが、ブゼンキャンドルは秋華賞を勝っちゃった。

日本の競馬が大金持ちのパトロンによって支えられていた時代がありました。炭坑王、上田清次郎をご存知ですか。彼もそんな羽振りのいい馬主のひとりでした。彼は、ダービーの1着賞金が1000万円の時代、ダービーを勝つためにレースの直前にダイコーターという馬を2500万円で買い取ったのですが、ダイコーターはダービーで負けちゃった。彼は、その後馬産にも事業を広げ、ブゼンやホウシュウの名を冠して馬を走らせました。ブゼンキャンドルのふるさと、上田牧場は清次郎ゆかりの牧場です。

「幸運」なんてものはブゼンキャンドルのように意図せぬところから突然やってくるものかもしれないし、ダイコーターのように掴み取ろうとするとするりと逃げていってしまうものかもしれない。競馬が賭け事に過ぎぬものならば、これほど危ういものはありません。現にキャンドルの血統表には「No Luck」と大書してある。キャンドルとともに秋華賞を追い込んできた騎手はその大書には気づかなかったのだろうか。夏の終わり、社会面の片隅に載った記事を何度か読み返しながらそう思わずにはいられませんでした。

競馬の危うさを思い出しながらも、好メンバーのそろった今回の秋華賞、秋華という名に相応しい楽しさを味わいたいものですね。

ダイワスカーレットのトライアルは2冠に挑む彼女にとって有意義なレースだったと思います。他の馬にスカーレットと同じ位置取りで競馬をしても無意味だと悟らせたからです。他の馬はスカーレットの前で競馬をするか、後ろから不意をうつか、いづれにせよ、厳しい選択肢しかない。ゲートが開く前からレースのスタートは切られているわけですが、スカーレットの前走、見事な先制の一撃であったとみました。これが1番人気ですか。うむ2番人気か?

ウオッカは宝塚のような競馬をするに違いありません。治郎丸さんはダービーの観戦記だったと思いますが、「ダービーはマイルの競馬になった」と書かれてましたね。おやじも春、ウオッカは強いマイラーだとどこかで書いた覚えがあります。ウオッカには脚をためて究極の切れを見せてほしいものですが、3歳の頂点に立った今、四位騎手は安全策をとらざるを得ないでしょう。4角過ぎて早々にスカーレットに並びかけるはずです。仕上がりの早い気のいい馬で緒戦からも十分に戦えますし、むしろレースを使わないほうがよいタイプのようにも思えます。秋は秋華賞を含め3戦というローテだそうですが好感がもてますね。これが1番人気ですか。うむ2番人気か?

両者に迫る力量の持ち主は、ローブデコルテではなく、ラブカーナではなく、ベッラレイアだと思います。秋山騎手のオークスの騎乗ぶりは決して過ちではありません。能力の極めて高いこの馬にふさわしい騎乗だったと思います。首を深く沈めて走るこの馬、徒者ではありません。ローズステークスのパドックではスカーレットよりも好印象をもちました。秋山さんは残念ですね。チャンスは再び巡ってきます。

誠につきなみで申し訳ありませんが、このおやじは3強だと思っています。ただこの世代の牝馬はテンポイント世代の牡馬を思わせる強さを秘めていますので、たやすくワン、ツー、スリーを決められるというわけでは無論ありませんね。

3歳牝馬に心よりGood Luck!

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集中連載:「Good 馬場!」第9回

■最後の直線ではバランスを崩しやすい
特にバランスを崩しやすいのは最後の直線である。いざ最後の直線でラストスパートをしようとした時に、それまでは悪い馬場でも普通に走ってきた馬が、急にバランスを崩し全く伸びないということがよくある。これには2つの理由が考えられる。

ひとつは、最後の直線では、それまで以上のスピードにギアチェンジするため、体全体を使って走らなければならないからである。そのため、最後の直線までは滑らないように小手先で走っていた馬が、最後の直線ではしっかりと体全体を使って走らざるを得ないため、滑ってバランスを崩してしまうのである。

もうひとつは、最後の直線では肉体的、精神的なスタミナが残っていないからである。そのため、ほんの少しバランスを崩しただけで、体勢を立て直すことが出来ずにバラバラの走りになってしまうのである。

平成10年の高松宮記念は、直前の豪雨によって不良馬場で行われた。1番人気に推された武豊騎乗のシーキングザパールは絶好の手応えで4コーナーを回ったにもかかわらず、直線では前にいたシンコウフォレストを捕らえられなかったばかりか、後ろからきたワシントンカラーらにも差されてしまった。

「それにしても、まさか、あんなにノメるとは思っていなかった。レースはほんとうにいい感じで進められていたんですが、いざ追い出してから伸びてくれませんでした」はレース後の武豊騎手のコメントである。大跳びであるシーキングザパールは、4コーナーまではなんとか重馬場をこなしていたが、最後の直線で追い出してからバランスを崩し失速してしまったのである。

このように、道悪に対する巧拙は最後の直線で最もよく現れるのである。道悪のレースで、道中は手応え十分に走っていながらも直線でさっぱり伸びなかった馬は、道悪を苦手とするのではないかどうか疑ってみた方がよい。逆に重馬場において最後の直線でグイグイと伸びるような馬は、重馬場を苦にしない馬だと考えられる。

■状態が良ければ重馬場は克服できる
大跳びの馬は、下が滑るような馬場ではフォームを崩してしまい実力を発揮できないことが多いのだが、その時の馬の状態によっては悪条件を克服してしまうこともあり得る。普段は重馬場を苦手とする馬でも、肉体的、精神的に100%完璧に仕上がり、絶好調といった場合に限っては、重馬場を克服し素晴らしい走りをすることがあるのだ

体全体を使って走る大跳びの馬であるナリタトップロードにとって、重馬場は明らかにマイナスの要因になる。しかし、3歳時の弥生賞においては、直前に雨が降ったやや重馬場(稍重といっても重に近かったと記憶している)を見事に克服し、のちのダービー馬であるアドマイヤベガを退けて勝利したのだ。しかし、次のレースの皐月賞では、同じように雨が降り表面に水が浮くような馬場(良馬場発表であったが)で3着に完敗してしまった。もちろんメンバーも違うので着順だけを見て単純に判断することはできないため、これら2つのレース後のナリタトップロード騎乗の渡辺騎手のコメントを参考にして比較してみたい。

弥生賞後のコメント「手応えは前走以上。追い出してからの瞬発力には惚れ直しました。」

皐月賞後のコメント「ノメっていました。どこかで外に出したかったんだけど、手応えが悪くて。最後は力だけで来てくれたんですが。」

弥生賞では道悪を苦にしたようなコメントは一切なく、皐月賞では「ノメっていた」と実際に道悪を苦にしていたことを明言している。これら2つのレースの馬場状態に違いがあるのではないか、という反論があるかもしれないが、やや重の弥生賞の勝ちタイムが2.03.5に対して、良の皐月賞の勝ちタイムは2.007である。ペースの緩急などを差し引いても、皐月賞の方が弥生賞よりも悪い馬場で行われたとは考えられないだろう。このことからも分かるように、ナリタトップロードは弥生賞においては苦手とする道悪を克服してしまったのである。

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なぜなら、弥生賞時のマイナス6kgの馬体重が示すように、ナリタトップロードが弥生賞において肉体的にも精神的にも完璧な状態にあったからである。100%の状態にある馬は、精神的にも安定し集中しているため、少々の不利があっても動じることがなく、それを乗り越えてしまうということである。実際、ピークの状態から下降線をたどっていた皐月賞では、悪い馬場にノメってしまったことも手伝い、本来の能力を発揮することはできなかった。本来重馬場を苦手とする馬でも、そのレースに臨む状態次第では、悪条件すらも克服してしまうこともあるということを覚えておいてほしい。

(第10回へ続く→)

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毎日王冠の分析

■1■とにかく逃げ・先行有利
府中の1800展開いらず、どんな展開になっても強い馬が勝つという意味の格言だが、開幕週に限っては当てはまらない。この時期の東京競馬場は、夏の間に十分根を張った軽いオーバーシード芝となる。洋芝はまだ芽が出かけた程度で、ほぼ野芝100%の極めて軽い馬場であるため、前に行った馬が簡単には止まらない。たとえかなりのハイペースになったとしても、とにかく逃げ・先行馬に有利なレースとなる。

■2■前走がG1もしくは重賞勝利馬
過去10年の連対馬中で、11頭が休み明けの前走G1組、その他9頭はG2、G3をステップとしている。前走がG1組であれば着順は関係ないが、G2、G3をステップとしてきた馬は、前走勝って臨んできている上り馬であることが必須条件となる。

■3■4、5歳馬中心
世代別の成績は以下の通り。
3歳馬【0・1・1・9】 連対率9%
4歳馬【5・3・4・21】 連対率24%
5歳馬【3・3・1・26】 連対率18%
6歳馬【0・2・1・13】 連対率13%
7歳馬【1・0・2・10】 連対率8%

勝ち馬、連対馬共に、夏を越して本格化した4、5歳馬の活躍が目立つ。秋の中距離G1シリーズに向けてキーとなるステップレースである以上、ひと夏を越しての成長が見込まれる4、5歳馬を中心視すべきレースである。

追記
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勝ちに行ったのは

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雨のスプリンターズSは800mのレースであると言ってよい。スタートしてから4ハロンをどれだけ速く走ることが出来るかが勝負のレースである。平成12年のダイタクヤマト、平成16年のカルストンライトオ、平成18年のテイクオーバーターゲット、そして今年のアストンマーチャンと、道悪になったスプリンターズSは全て逃げ馬が制していることからも、それは明らかである。逃げる馬を当てるレース、逃げた馬以外は何者でもないレース、それが雨のスプリンターズSである。

もう少し具体的に説明すると、スプリンターズSはパンパンの良馬場で行われても、重・不良馬場で行われても、前半の800mのタイムはほとんど変わらない。たとえば、平成17年に良馬場で行われたスプリンターズS(勝ち馬サイレントウィットネス)と、不良馬場で行われた今年のスプリンターズSのラップをご覧いただきたい。

平成17年 12.1-10.1-10.7-11.1-11.5-11.8 良馬場 
平成19年 12.0-10.3-10.8-11.1-12.0-13.2 不良馬場

これほど異なる条件下で行われた2つのスプリンターズSだが、テンの4ハロンのラップタイムはほとんど同じであることが分かる。平成17年がスローペースで流れたわけではない。どちらかというとハイペースで道中は進み、中団から進出したサイレントウィットネスが最後の急坂で差し切り、2着には最後方からデュランダルが32秒の脚で追い込んできた。パンパンの良馬場をハイペースで流れたスプリンターズSと、ドロドロの不良馬場のスプリンターズSの前半800mがほぼ同じラップなのだ。これはどういうことだろう?

これこそが雨のスプリンターズSは800mのレースであるということに他ならない。つまり、スタートしてから800mで究極のラップを刻むため、ラスト400mはどの馬もバテてしまい、レースどころの騒ぎではないということである。また、競走馬はスタミナが切れたところを追い出されるとフォームを崩してノメるという特性があるため、4コーナー手前からはどの馬も真っ直ぐ走らせるだけで精一杯という状況にもなる。勝負は800mで決まってしまうのだ。

いや、800mの時点での隊列(位置取り)はスタートしてからのそれと変わらない以上、本当の意味で勝負が決まってしまうのは、スタートして200mの向こう正面の直線なのかもしれない。雨のスプリンターズSの本当の直線は向こう正面にある、と言ってもよいのではないだろうか。そこで懸命に追わなかった騎手たちは、直線に向かっているにもかかわらず手綱を持ったままゴールインしたも同じだ。

私は松岡騎手の怖いもの知らずの若さとアイルラヴァゲインの1番枠を買って、このレースを勝ちに行ったのだ。しかし、もう一度、レースリプレイを観てみると、このレースを勝ちに行ったのはアストンマーチャンとエムオーウィナー、アンバージャックの3頭だけであった。

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「若手カメラマンが魅せる サラブレッドの世界」

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Photostudのポスター作品が、「優駿」の今月号(10月)で取り上げられました。「若手カメラマンが魅せる サラブレッドの世界」というタイトルの特集で、5名の新進気鋭のカメラマンたちの作品が11ページにわたって掲載されています。どの作品も素晴らしいものばかりです。

「優駿」で競馬カメラマンの世界が特集に組まれるのは、1999年の3月号以来になるそうです。その時は、トニー・レオナルド、今井寿恵、久保吉輝、山本輝一などの作品が特集されていました(敬称略)。1994年にエクリプス賞を受賞したトニー・レオナルドの「雪の4コーナー」という作品を見て、感動したことを今でも覚えています。

その頃の作品たちと今回の特集とを比べてみると、やはり競馬の写真も変わってきていることがよく分かります。撮影機材やデジタルによるところが大きいのでしょうけど、昔の写真には昔ながらの良さが、現代の写真には現代の良さが感じられます。そんな中でも、Photostudの作品は現代の最先端を走っていますね。もう100mくらい先にあっても、ひと目で彼らの作品だと分かりますから。

今回の特集では、Photostudは3作品しか出していませんが、それ以外のポスターも観てみたいという方は、ぜひ彼らのホームページを訪れてみてください。ディープインパクト、トウカイテイオー、ナリタブライアン、グラスワンダーなどなど、たくさんの名馬たちが見事に切り取られ、デザインされています。ちょっと今までに観たことのないようなポスターばかりですよ。

■Photostudのホームページはこちらから
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集中連載:「Good 馬場!」第8回

■道悪が苦手な馬の条件
それでは具体的に、雨が降り続けて馬場状態が悪くなる(道悪になる)ことによって、どのような影響が競走馬にあるのだろうか。

ちなみに、道悪(重、不良馬場)のレースでは、良馬場でのレースに比べて着差がつきやすい。なぜかというと、各馬の道悪への巧拙がはっきりと出てしまうからだ。能力的にはほとんど変わらなくても、道悪に対する巧拙が分かれてしまえば、ゴールの時点では大きな着差となって表れてしまうのである。だからこそ、道悪で行われるレースは波乱の決着となることが多い。よって、道悪になった際に考慮されなければならないのは、何よりも各馬の道悪馬場に対する巧拙である。

まず前提にしたいことは、「道悪が得意な競走馬はいない」ということである。つまり、良馬場よりも重馬場の方が走りやすいという馬はいないということで、俗に言う「道悪が得意な馬」というのは、「道悪でも苦にしない」馬ということである。それでは逆に、どういう馬が「道悪を苦にする馬」、つまり「道悪が苦手な馬」なのであろうか?以下に一般的に言われている「道悪が苦手な馬」の条件を挙げてみたい。

(1)ベタ爪の馬
(2)大跳びの馬
(3)スタミナに不安のある馬
(4)気性が後ろ向きな馬
(5)精神面の弱い馬
(6)切れ味勝負の馬

■ベタ爪、立ち爪
(1)のベタ爪とは、馬が普通に立った状態の時に、前脚の爪が標準の状態と比べて「ベタっと寝ている」爪のことを指す。その反対が標準の状態と比べて立っている「立ち爪」である。なぜベタ爪の馬が重馬場を苦手とするかというと、立ち爪と比べて地面に対する着地面積が大きいため、それだけ濡れている馬場では滑りやすいからである。
 
しかし、実際は各馬それぞれに形が少しずつ違っているため、どこまでがベタ爪でどこまでが立ち爪かという判断は微妙であるし、着地面積にはツメそのものの大小も関わってくるので、ベタ爪だからといって必ずしも重馬場が苦手とは言い切ることは出来ない。そのため、一般に言われているほど、蹄の形が重馬場の巧拙を決定づけるといったことはない。

■大跳びの馬
ベタ爪、立ち爪よりも、「道悪が苦手な馬」を判断する上で重要になってくるポイントは、(2)の大跳びの馬かどうかということである。大跳びというのは、体全体を使って走るため、一歩一歩(一跳び一跳び)の幅が大きくなる走法のことを指す。その反対が、手脚だけを使ってピッチ走法で走る馬である。

大跳びの馬には一長一短があり、長所としては、体全体を使って走ることができるため、一歩一歩(一跳び一跳び)で進める距離が大きく、それだけ推進力が優れていることである。そして、体全体のパワーを無駄なく推進力に変えることができ、スタミナのロスが少なくなるため、ステイヤータイプの馬に大跳びの馬が多い。血統的にはステイヤーではない馬でも、走法が大跳びであることによって距離をこなせてしまうこともある。大跳びの馬には比較的能力の高い馬が多く、ひと昔前でいうとスペシャルウィーク、ナリタトップロード、最近でいうとウオッカなどがそうである。

Specialweek by sashiko

しかし、大跳びの馬の短所としては以下の3点が挙げられる。
①不器用な馬が多い
②先行力がない
③重馬場が苦手

■大跳びの馬の弱点 
①の「不器用さ」は小回りコースにおいては弱点となる。小回りコース、つまりコーナーがきついコースだと、跳びが大きいことによってコーナリング毎にどうしてもスピードが落ちてしまい、ノビノビと走ることが難しくなる。また、レース中に前が壁になってしまうなどのアクシデントに巻き込まれてしまった場合、器用な脚(小脚)が使える馬ならば臨機応変に対応することも可能だが、大跳びの馬は一度ブレーキがかかってしまうと、もう一度スピードに乗るのに時間を要するため、ちょっとした不利が致命的になってしまうこともありうる。

②の「先行力がない」は、大跳びの馬は小脚(一完歩の小さい走り方)を使える馬と比べて、スピードに乗るのに時間がかかるためである。そのため、スタートからヨーイドンでのポジション争いでは劣勢に立たされてしまうことになる。だからこそ、スプリント戦などの忙しい競馬は合わず、ある程度の距離があった方がレースはしやすい。もちろん①②の両方に言えることなのであるが、大跳びの馬の中には状況によって器用な脚も使える馬もいるため、必ずしも大跳びの馬が不器用で先行力がないとは限らない。

そして、③の「重馬場が苦手」こそが、大跳びの馬の大きな弱点となる。大跳びの馬は手脚を一杯に伸ばし体全体を使って走るため、重馬場のような下が滑りやすい馬場では体勢を崩しやすく、フォームがバラバラになってしまい、本来の走りが出来なくなってしまう。騎手がハミをしっかり馬にかけてやることによって、馬がバランスを保つための補助をしてやることができるが、馬自身が完全にバランスを崩してしまうと、騎手の力だけではいかんともし難く、その馬の本来の走りをすることは難しくなってしまうのだ。

(第9回へ続く→)

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天 地 人

Sprinters07 by gradeone
スプリンターズS2007-観戦記-
土曜日から降り続いた雨の影響により、不良馬場でレースは行われた。夏の間にシッカリと根を張った野芝100%の馬場だけに、元々、前に行った馬が止まりにくいだけでなく、さらに道悪になったことによって、後ろから来る馬も脚が使えないという典型的な前残りのスプリンターズSになった。平成12年のダイタクヤマト、平成16年のカルストンライトオ、平成18年のテイクオーバーターゲットの勝利を再現したような、アストンマーチャンの逃げ切りであった。

アストンマーチャンの勝利には、天と地と人の運命的なものを感じざるを得ない。雨が降ったから、逃げるために中舘英二騎手に乗り替わったのではなく、逃げを得意とする中舘英二騎手に乗り替わり、当日に雨が降り、そして不良馬場をまんまと逃げ切ったのだ。まるでアストンマーチャンが勝つためのシナリオが出来上がっていたかのように、彼女は一直線にゴールへ導かれた。もちろん、アストンマーチャン自身のスプリント能力が高かったこと、調教量を増やしたことで精神的な落ち着きを取り戻していたこと、不良馬場の中で53kgの斤量が有利に働いたこと等々も勝因の中のひとつではある。それにしても今年の3歳牝馬は強い。

中舘騎手はヒシアマゾンで勝ったエリザベス女王杯以来、13年振りのG1勝利となった。逃げといえば中舘、中舘といえば逃げとされるほどに、馬を逃がす技術をひたすらに磨き続けてきた騎手である。レースが始まる前から、名前で逃げることが出来るのは、この騎手をおいて他にはいない。今回のスプリンターズSも、技術で逃げたというよりも、「俺は中舘だ。逃げるのは俺だ」という気迫だけでハナを奪っていた。他の騎手も逃げるのは中舘騎手という暗黙のルールでもあるかのように、ハナを主張するジョッキーはひとりもいなかった。まさにこれまでの騎手人生の結晶と言っても過言ではない美しい逃げ切りであった。

2着に敗れたが、サンアディユも強いレースをしている。馬の気に任せ、揉まれることなくレースを進めた川田騎手も上手く乗ってはいたが、4コーナーで追い出されてからの反応が鈍かった。これだけ馬場が悪くなってしまうと、追ってから伸びる馬は少ないだろう。道中の位置取りが勝負を決めたレースではあるが、1番人気を背負って無理に逃げるわけにはいかない以上、同馬にとっては苦しい展開となってしまった。それでも最後は差を詰めているように、このメンバーでは力上位であることを改めて証明した。

アイルラヴァゲインは積極的に立ち回り、何とか3着を確保した。4コーナーでアストンマーチャンを捕まえにいった分、最後は後ろから差されてしまったが、勝ちに行ってのもので仕方ないだろう。ひとつだけ欲を言えば、もし勝ちに行くのならば、1番枠と人気を背負っていないことを最大限に活かして、スタートしてからの200mで勝ちに行く気を見せてほしかった。

キングストレイルはあわやと思わせる場面を作っての4着。これだけ差し込みにくい馬場を、外を回してあそこまで差してくるのだから、夏の休養を挟んでまさに本格化したとみてよい。若干短いと思われた距離も克服して、スピードの能力も十分にあることを証明した。この後、順調に行けば、マイルCSでも好走は可能だろう。

スズカフェニックスは、4コーナーですでに手応えがなくなってしまった。高松宮記念を勝っている以上、距離が短いということではないのだが、こういう馬場ではとにかくテンのダッシュ力のある馬でないと勝負にならない。また馬インフルエンザで調整が遅れた影響も少なからずあったはずである。スプリンターとしての資質は疑いようがないが、今回は不良馬場と体調不良の二重苦にやられた。

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