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集中連載:「Good 馬場!」第8回

■道悪が苦手な馬の条件
それでは具体的に、雨が降り続けて馬場状態が悪くなる(道悪になる)ことによって、どのような影響が競走馬にあるのだろうか。

ちなみに、道悪(重、不良馬場)のレースでは、良馬場でのレースに比べて着差がつきやすい。なぜかというと、各馬の道悪への巧拙がはっきりと出てしまうからだ。能力的にはほとんど変わらなくても、道悪に対する巧拙が分かれてしまえば、ゴールの時点では大きな着差となって表れてしまうのである。だからこそ、道悪で行われるレースは波乱の決着となることが多い。よって、道悪になった際に考慮されなければならないのは、何よりも各馬の道悪馬場に対する巧拙である。

まず前提にしたいことは、「道悪が得意な競走馬はいない」ということである。つまり、良馬場よりも重馬場の方が走りやすいという馬はいないということで、俗に言う「道悪が得意な馬」というのは、「道悪でも苦にしない」馬ということである。それでは逆に、どういう馬が「道悪を苦にする馬」、つまり「道悪が苦手な馬」なのであろうか?以下に一般的に言われている「道悪が苦手な馬」の条件を挙げてみたい。

(1)ベタ爪の馬
(2)大跳びの馬
(3)スタミナに不安のある馬
(4)気性が後ろ向きな馬
(5)精神面の弱い馬
(6)切れ味勝負の馬

■ベタ爪、立ち爪
(1)のベタ爪とは、馬が普通に立った状態の時に、前脚の爪が標準の状態と比べて「ベタっと寝ている」爪のことを指す。その反対が標準の状態と比べて立っている「立ち爪」である。なぜベタ爪の馬が重馬場を苦手とするかというと、立ち爪と比べて地面に対する着地面積が大きいため、それだけ濡れている馬場では滑りやすいからである。
 
しかし、実際は各馬それぞれに形が少しずつ違っているため、どこまでがベタ爪でどこまでが立ち爪かという判断は微妙であるし、着地面積にはツメそのものの大小も関わってくるので、ベタ爪だからといって必ずしも重馬場が苦手とは言い切ることは出来ない。そのため、一般に言われているほど、蹄の形が重馬場の巧拙を決定づけるといったことはない。

■大跳びの馬
ベタ爪、立ち爪よりも、「道悪が苦手な馬」を判断する上で重要になってくるポイントは、(2)の大跳びの馬かどうかということである。大跳びというのは、体全体を使って走るため、一歩一歩(一跳び一跳び)の幅が大きくなる走法のことを指す。その反対が、手脚だけを使ってピッチ走法で走る馬である。

大跳びの馬には一長一短があり、長所としては、体全体を使って走ることができるため、一歩一歩(一跳び一跳び)で進める距離が大きく、それだけ推進力が優れていることである。そして、体全体のパワーを無駄なく推進力に変えることができ、スタミナのロスが少なくなるため、ステイヤータイプの馬に大跳びの馬が多い。血統的にはステイヤーではない馬でも、走法が大跳びであることによって距離をこなせてしまうこともある。大跳びの馬には比較的能力の高い馬が多く、ひと昔前でいうとスペシャルウィーク、ナリタトップロード、最近でいうとウオッカなどがそうである。

Specialweek by sashiko

しかし、大跳びの馬の短所としては以下の3点が挙げられる。
①不器用な馬が多い
②先行力がない
③重馬場が苦手

■大跳びの馬の弱点 
①の「不器用さ」は小回りコースにおいては弱点となる。小回りコース、つまりコーナーがきついコースだと、跳びが大きいことによってコーナリング毎にどうしてもスピードが落ちてしまい、ノビノビと走ることが難しくなる。また、レース中に前が壁になってしまうなどのアクシデントに巻き込まれてしまった場合、器用な脚(小脚)が使える馬ならば臨機応変に対応することも可能だが、大跳びの馬は一度ブレーキがかかってしまうと、もう一度スピードに乗るのに時間を要するため、ちょっとした不利が致命的になってしまうこともありうる。

②の「先行力がない」は、大跳びの馬は小脚(一完歩の小さい走り方)を使える馬と比べて、スピードに乗るのに時間がかかるためである。そのため、スタートからヨーイドンでのポジション争いでは劣勢に立たされてしまうことになる。だからこそ、スプリント戦などの忙しい競馬は合わず、ある程度の距離があった方がレースはしやすい。もちろん①②の両方に言えることなのであるが、大跳びの馬の中には状況によって器用な脚も使える馬もいるため、必ずしも大跳びの馬が不器用で先行力がないとは限らない。

そして、③の「重馬場が苦手」こそが、大跳びの馬の大きな弱点となる。大跳びの馬は手脚を一杯に伸ばし体全体を使って走るため、重馬場のような下が滑りやすい馬場では体勢を崩しやすく、フォームがバラバラになってしまい、本来の走りが出来なくなってしまう。騎手がハミをしっかり馬にかけてやることによって、馬がバランスを保つための補助をしてやることができるが、馬自身が完全にバランスを崩してしまうと、騎手の力だけではいかんともし難く、その馬の本来の走りをすることは難しくなってしまうのだ。

(第9回へ続く→)

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