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レディーゴシップの演出

Rudolf →ルドルフおやじってどんな人?

前の手紙で落合監督の話が出ましたね。

落合が好きなのでいつか書こうと思っていたのですが、競馬との接点が見つからないので出し惜しみしていたところなんです。何をやっても誤解を受けたり、疎まれたりする人はいるものですが、落合はそういうタイプの人なのかもしれませんね。野球では「名選手、名監督にはあらず」という言葉がありますが、落合は名選手にして名監督、そして名伯楽だと思っています。ドラゴンズの二遊間は落合のノックバット1本で育て上げられたそうです。うむうむ、治郎丸さんがおっしゃるように例の投手交代劇には、名伯楽落合の山井投手を育てようという深慮が隠されているのかもしれませんね。

第2戦の勝利監督インタビューを落合は「ボールに集中することが大事だ」という言葉で締めくくりました。短期決戦では力が劣っているチームでも集中力があれば勝つことが出来ます。それがボールゲームの本質だと思います。おやじもヘボヘボ卓球チームのヘボヘボ監督をやっていて「勝ち負けに集中する方は負けますよ、ピン球に集中してくださいねえー」なんて選手のみなさまにお願いしています。選手も少ないし練習ぎらいの監督だから結果はまだ出てないんですが、どんなヘボ選手でも集中する姿は美しい、と思いながら見ています。

第5戦8回表、外野に飛んだ1球を見て落合は考えたのでしょうね。次はホームランもありえるな、おやじもそう思ったので、例の交代劇は得心できました。日本シリーズ7戦の戦略よりも「ボールに集中することが大事だ」と初めに言い切った言葉の結末にふさわしい交代だったと思います。センターフライを打たれた投手の1球の球威を見た監督の決断には他意はなかった。勝利を優先させたのではなく監督としてただ1球に集中していたのだと思います。

本質を言い当てて実行するような人は世間からはなかなか理解されませんね。それが落合です。そういえばこの方、名球会にも入ってらっしゃいませんねえ。爽快な孤独、落合博満氏。

治郎丸さんは野球少年だったそうですね。
王貞治のファンだったとどこかで書いてましたか?それはよかった、このおやじの正体をここではじめて明かしますが、わたくしは王貞治だったんです。これからは「王貞治からの手紙」ということでお願いいたします。

このおやじの世代は毎日寒くなって青洟(注青い色のはなみずで現代の人類からは分泌されない)が出るまで草野球をやってました。ガキの数も昔は多かったので2チーム18人なんてすぐに集まる。で、打席に入る前に必ずひとりひとり大声で叫ぶんですな。「1番セカンド、王」「2番ピッチャー、王」「4番サード、長島」そして、このおやじが「9番ライト、王」と叫べば、さすがに「てめーは黒江だろ、おやじ」なんてやじも飛んでましたかな。

そのころ堀内恒夫というピッチャーがいてこれも凄かった。150キロは超えているだろう速球に鋭く落ちるカーブ。当時はこれをドロップなんていってましたな。彼はこんなことを言って引退したんです。「ON(王長島)はきちんと書いてもらってないけど、俺はきちんと書いてもらったよ。」

何のことかというと伝記のことなんです。ONの伝記はうわべだけをなぞったものが多いけれど、俺はきちんとした作家に伝記を書いてもらって俺の人生を残せたぞ、というのです。ONと自分を並べてみせる堀内氏の強烈な自負心がうかがえるエピソードだと感心した覚えがあります。一度読んでみたいと思っていましたが、まだその伝記を手にしたことはありません。

怪物と呼ばれた江川卓氏の人生は伝記ではなく小説で読んでみたいなあと思っています。日本酒のCMで小林繁氏と江川氏が顔を合わせてますよね。ご覧になりましたか。CMでもおふたりの表情がとても硬く、うーむと考えさせられました。この辺りの経緯を書くとまたガラスの野球場になってしまうので止めときますね。

江川氏ほどスキャンダラスな半生を送ったスポーツ選手はいませんし、今後も現れることはないと思います。彼を巡るひとつひとつの事件の真相は問いません。が、その事件は彼が本物の怪物だったからこそ引き起こされたということだけは間違いありません。時代もONという怪物の後を襲う本物に飢えていた。

江川卓の最盛期は高校時代だったのではないかと今でも思っています。とにかく速い。何かで読んだのですがそれでもキャッチャーが捕球できるように加減して投げていたといいます。甲子園といえばチームワークだとか友情なのだが、江川卓はひとりで野球をやっていた。やっていたように思わせる、とても18才の少年とは思えない孤独感をにじませるマウンド。30年以上前のことですが、江川卓が敗れた甲子園は静かで、雨も落ちていたことをはっきり覚えています。

日本中を敵にまわしたことのある江川氏の人生がどんなものだったか、うーむとこれも考えさせられます。ただその孤独感はひとり図抜けた才能をもって生まれ、そして育った彼の幼少のころからずっと続いているようにおやじは思います。

そんな江川氏が共同馬主になった馬がレディゴシップ。ゴシップなんです。

今でもそうかもしれませんが、あの頃はプロスポーツ選手や芸能人の方が社台ファームの共同馬主になっておられました。ダイナという冠語のつく馬たちはことの他よく走って社台ファームの経営基盤を安定させました。ホームランキングのランディー・バース氏はダイナキングダムという馬の共同馬主。女優、南田洋子氏はダイナアクトレス。江川氏がゴシップと命名したのは、世間に対して少しすねてみせていたのかもしれません。

しかし、その名とはうらはらにゴシップは堅実に走りましたよ。月に1度は走ってたかなあ。そして賞金をいつもくわえて帰ってきた。タフな母系かもしれません。この一族から今回のマイルCSに2頭のエントリーがありました。コイウタとアグネスアーク。同一G1にひとつの母系が2頭の馬を送り込むといのは繁殖牝馬の数が増えた現代においては大変価値のあることですね。

袖ふれあうも多少の縁とはいいます。江川氏にとって人の縁も馬の縁も2007年は宿縁というものを感じさせた年だったのではないでしょうか。

アグネスアークには何かの印がいるんでしょうね。今年の天皇賞で外に弾き飛ばされても追い込んできた馬はやはり強い馬だと思っています。ただこの馬は体重を減らし続けているのが心配ですね。父の母系からも母からもタフな血を受け継いでいるのと、天皇賞のパドックは馬体を減らしながらもぎりぎりには映らなかったので、個人的には大丈夫だとは思っていますが・・・。

天皇賞で不利を受けた有力馬のなかで唯一最後の伸びを欠いていたのはDメジャーです。やはり彼の調子は下降曲線をたどっているのでしょうか。毎日王冠でもプラス体重とはいいながらおやじには馬体を戻しているようには見えませんでした。

カンパニーには今回厚い印が並びますね。天皇賞で思い切って○を打った馬なので個人的には買いにくくなりました。こういうとき印を打っても打たなくても外れるというのは競馬の不思議です。間隔を空けて使ったほうがよい馬だという意見がありましたが、おやじは晩成の器が完成したと思っています。天皇賞のパドックには既に一流馬の雰囲気を感じました。鞍上も一歩々々、父に近づいていると思いますよ。武騎手と安藤騎手をのぞいて、今おやじが積極的に買いたいと思っているのは福永騎手です。

メガワンダーは1発狙っているようなローテで参戦します。前走はいかにもひと叩きといった感じのレースで好感がもてました。レベルの高い世代の隠れた存在ですので侮れないと思っています。

スワンS組ではキングストレイルに魅力を感じます。人気を下げるのならば買ってみたい1頭です。

レディーゴシップの演出する2007年マイルCS、意外な結末が待っているかも知れません。

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Comments

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