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こんな男に私はなりたい

馬を尊敬しているなんて言うと、頭が変だと思われてしまうかもしれないが、それでも私はブラックホークという馬を尊敬している。見た目は牛のような体つきで、普段も牛のように大人しいのだが、いざレースになると、まるで闘牛のように闘志を漲らせて走る。とにかく男らしい馬だった。ブラックホークを見ると、なぜかいつも私は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出してしまう。

「雨ニモマケズ」

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい

サラブレッドは走るために生まれてくるのだが、それでも競馬のように目一杯走るのが好きな馬はいない。自分の走りたいように走りたいのだ。人間に走らされるのは大嫌いで、なんとかしてサボろうとするのが普通である。

Blackhawk_2

しかし、ブラックホークは違った。彼は調教でもレースでも、ロケットスタートを決め、常に前へ前へと進み、走ることを決して嫌がらない馬であった。たとえ苦しくとも、脚が痛くとも、展開が向かなくとも、いつも明るく前向きに、口笛を吹きながら、8歳まで走り続けた。そして最後のレースで、念願のマイルのG1を手に入れた。こんな男に私はなりたい。

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