名馬の条件とは
名馬の条件ですか?とても難しい質問ですが、私は「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ことじゃないかなと思っています。いくら名馬とはいえ、やはり色々な理由があって負けることもあります。それでも、そんな中でも意地を見せるというか、底力を見せる馬こそが真の名馬だと思います。ですから、勝つ時は強いけど、負ける時はあっさりという馬は真の名馬ではないのではないでしょうかね。また、マルゼンスキー(8戦8勝)のような無敗馬も、もし走り続けていたとしたら…と考えてしまいます。
「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」の代表馬はシンザンとシンボリルドルフでしょうか。長くなってしまいますが、日本の名馬の代表ですので、ぜひその全成績を記させてください。まずはシンザンから。
| 競馬場 | レース名 | 距離 | 着順 | 騎手 | 調教師 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 京 都 | 3歳新馬 | 1200 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 3歳オープン | 1400 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 3歳中距離特別 | 1600 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 京 都 | 4歳オープン | 1600 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | スプリングS | 1800 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | 皐月賞 | 2000 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | 4歳オープン | 1800 | 2 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | 東京優駿 | 2400 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 4歳以上オープン | 1800 | 2 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 京 都 | 京都盃 | 1800 | 2 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 京 都 | 菊花賞 | 3000 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 4歳以上オープン | 1600 | 1 | 武田 博 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 4歳以上オープン | 1850 | 1 | 武田 博 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 宝塚記念 | 2000 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 阪 神 | 4歳以上オープン | 1850 | 1 | 武田 博 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | 目黒記念(秋) | 2500 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 東 京 | 天皇賞(秋) | 3200 | 1 | 栗田 勝 | 武田 文吾 | |
| 中 山 | 4歳以上オープン | 2000 | 2 | 武田 博 | 武田 文吾 | |
| 中 山 | 有馬記念 | 2600 | 1 | 松本 善登 | 武田 文吾 | |
もうため息が出てしまうような成績ですよね。シンザンは19戦中4戦しか負けていません。しかも負けているのはG1レースへの叩き台であったオープン戦がほとんどです。なんとG1レースでは一度も負けていないのですね。おそらくかなり太目で使ったであろう叩き台のレースでも、全て2着とほとんど負けていません。この時代において、シンザンはそれほど抜けた存在だったのでしょう。「シンザンを超えろ」というのがホースマンたちの合言葉だったのが良く分かりますね。
次に皇帝シンボリルドルフです。
| 競馬場 | レース名 | 距離 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新潟 | 3歳新馬 | 1000 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | いちょう特別 | 1600 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | 3歳オープン | 1600 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 中山 | 弥生賞 | 2000 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 中山 | 皐月賞 | 2000 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | 東京優駿 | 2400 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | セントライト記念 | 2200 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 京都 | 菊花賞 | 3000 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | ジャパンC | 2400 | 3 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 中山 | 有馬記念 | 2500 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 中山 | 日経賞 | 2500 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 京都 | 天皇賞(春) | 3200 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | 天皇賞(秋) | 2000 | 2 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | ジャパンC | 2400 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| 東京 | 有馬記念 | 2500 | 1 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
| アメリカ | サンルイレイS | 2400 | 6 | 岡部 幸雄 | 野平 祐二 |
シンボリルドルフは15回走って、ルドルフおやじさんが書いてくれたジャパンカップと天皇賞秋の2回しか負けていません。これだけを見ても、シンボリルドルフは負けてはいけないという使い方をされていますね。シンザンは悪く言えば本番を勝てばいいやという使われ方だったのに対し、シンボリルドルフはたとえ叩き台のレースでさえも負けられないという陣営のプライドのようなものが感じられます。
その完璧主義が裏目に出てしまったのが、負けた4歳時(現3歳時)のジャパンカップと天皇賞秋でした。ジャパンカップは無敗で3冠を制した疲れがドッと出てしまったレースです。当日はシンボリルドルフも下痢をしていたと言いますね。天皇賞秋はブッツケで馬が気負ってしまっての2着でした。負けてもいいからどこかで叩いていれば、間違いなく勝っていたレースでしたね。付け加えるとシンボリルドルフは最後にアメリカのサンルイレイSにも出走し6着に敗れましたが、左前脚繋靭帯炎を発症したため、まともに競走をしていません。
このように、シンザンもシンボリルドルフもどれだけ体調が悪くとも、惨敗を喫しなかった馬でした。負け方に名馬の意地があったというか、勝ったレースよりも負けたレースでその強さを競馬ファンに見せ付けた馬だったのではないでしょうか。この2頭が20世紀の真の名馬であることに異論を挟む余地はないと私は思います。
21世紀の名馬はやはりディープインパクトでしょう。私は幸いなことに、この馬のレースを新馬戦から同時代で観ることができました。ルドルフおやじさんはシンボリルドルフとディープインパクトの2頭の名馬を観ているのですから、羨ましい限りです。名馬と同時代に生きた幸せは、年月を経るに従って大きくなっていきますよね。
| 競馬場 | レース名 | 距離 | 着順 | 騎手 | 調教師 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 阪神 | 3歳新馬 | 2000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 京都 | 若駒S | 2000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 中山 | 弥生賞 | 2000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 中山 | 皐月賞 | 2000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 東 京 | 東京優駿 | 2400 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 阪神 | 神戸新聞杯 | 2000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 京都 | 菊花賞 | 3000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 中山 | 有馬記念 | 2500 | 2 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 阪 神 | 阪神大賞典 | 3000 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 京 都 | 天皇賞春 | 3200 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 阪神 | 宝塚記念 | 2200 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| フランス | 凱旋門賞 | 2400 | 3 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 東京 | ジャパンカップ | 2400 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
| 中山 | 有馬記念 | 2500 | 1 | 武 豊 | 池江泰郎 | |
ディープインパクトも、フランスの凱旋門賞を含め14戦走って2回しか負けていません。負けた菊花賞にしても、3冠達成の反動から、まともに走れる体調にありませんでした。凱旋門賞はシーズンオフに近い宝塚記念を勝ったことによる反動がありましたし、現地(フランス)での調教で仕上げが少し緩かった気がします。それでも有馬記念は2着、凱旋門賞は3着ですから、今から考えても信じられないぐらいの能力を持った名馬でした。
「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」という私の名馬の条件は、ルドルフおやじさんのおっしゃる「晴雨不問は名馬の条件」ということと重なりますよね。雨が降ったから、ドロドロの馬場だからなどと言ってあっさりと負けてしまうのは、真の名馬ではないということでしょう。
そして、ひづめ、性質、体格、血統、生産地の「五調」。これらが揃っていなければ、どんな条件でもどんな状態でも「ほとんど負けないが、負けても大きくは負けない」ということを実現するのは難しいでしょう。ディープインパクトは蹄が薄く、決して強い馬ではありませんでしたので、現代の装蹄の技術に助けられたという部分もあるとは思います。また、体格という面でも決して恵まれた方ではありませんでしたが、天性のバネと性質の良さで補っていたのかもしれません。
シンボリルドルフが菊花賞で3冠制覇に臨む直前に、和田共弘オーナーと野平祐二調教師のもとを、シンザンを管理していた武田文吾調教師が訪れた話はご存知ですか?ちょうど20年前に3冠馬シンザンを送り出した武田文吾調教師は、これからシンボリルドルフで3冠を目指す二人に対してこう言ったそうです。
「ありがとう。私の生きている間にシンザンを超える馬が出ない。それが実に寂しかった。つい最近までは諦めていたのだが、君たちはシンボリルドルフという立派な馬をこしらえた。ルドルフは完全にシンザンを超えた。私はもう思い残すところはないよ。ありがとう和田君、そして野平君」
真のホースマンたちは、こういう絆で結ばれているのですね。もし和田共弘オーナーや野平祐二調教師が生きていて、ディープインパクトの走りを見ることが出来ていたら、彼らは何を思ったでしょうか。ディープインパクトはシンボリルドルフを超えたと思ったでしょうか。それともまだまだシンボリルドルフの域には達していないと感じたでしょうか。彼らもまた、吉田勝己さんや池江調教師の手を握って「ありがとう」と言ったに違いない、と私は思っています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今週は朝日フューチュリィティS改めマルゼンスキー記念でしたね。先週のウオッカ記念は、同厩舎で同じようなローテーションで臨んできた馬が勝ちましたが、果たして今回はどうでしょうか。ちなみに、マルゼンスキーは府中3歳Sを勝って、旧朝日杯3歳Sに臨んできました。府中3歳Sとは今でいう東京スポーツ杯2歳Sのことですね。
マルゼンスキー記念をひとことで言えば、「絶対能力と完成度が問われるレース」ということです。この時期にしてはかなり速い時計での決着となりますので、現時点においてマイルを1分33秒台で走れるかどうかという資質を試されるということになります。つまり、実力の有無がはっきり出てしまうレースということになります。だからこそ、1番人気が強くて、過去10年間の成績は【3・4・4・0】となっています。1番人気が強いマイルCSと比べても高い数字で、今となっては最も1番人気の信頼度が高いG1レースと言ってもよいのではないでしょうか。
その1番人気になりそうなのはアポロドルチェですかね。この馬の前走のレース振りは圧巻でしたね。出遅れ気味のスタートでしたが、余裕綽々で上がって行き、4コーナーでは大外を回しての楽勝でした。2着馬との差はわずかでしたが、着差以上の力差があったと思います。パワーのある馬ですので、重馬場が向いていたと解釈することも出来ますが、晴雨不問という名馬の条件はクリアしていることになりますね。
3着に負けてしまったいちょうSは、折り合いを教えている過程でのものですので、それほど心配することもないかもしれません。あそこで控える競馬をしっかり教えたからこそ、行ったっきりの馬にならずに済んだということでもありますから。欲を言えば、負けるにしても2着は確保して欲しかったなと思います。名馬は負けても2着ですからね。ただ、この馬の武器はスピードとパワーで、それに加えて柔軟性も持ち合わせているようです。外国産馬にありがちな一本調子のところがなく、スッと抑えられて、ゴーサインにも瞬時に反応する素直さが強みでしょう。
スズジュピターは、タニノギムレット×サンデーサイレンスという血統の良さが、馬体にも如実に表れていますね。タニノギムレットの種牡馬としての価値は、これまでも何度か書きましたが、2歳の種牡馬チャンピオンでないにもかかわらず、初年度からクラシック馬を出したという点に集約されていると思います。外的要因などもありますので一概には決められませんが、タニノギムレットはサンデーサイレンスやトニービン級の影響力のある種牡馬になる可能性を十分に秘めていますよね。
この馬も仕上がりが早く、夏の新潟で早々に2勝した後、新潟2歳Sには目もくれずに休養に入りました。まるでシンボリルドルフのような使い方ですね。そして休み明けで東京スポーツ杯2歳Sを使って、敗れてしまいましたがキッチリと2着は確保しています。休み明けを叩いて、ここはさらに良化してくることは必然で、好勝負になることは疑いようがありません。
ただ、どうしても引っ掛かるのが、高橋調教師は「ゆくゆくはダービーを目指したい」と語っているにもかかわらず、なぜここを使ってくるのかということです。もし本気でダービーを目指すならば、ここ(朝日杯フューチュリティS)ではなく、ラジオNIKKEI杯を使うべきなのではないでしょうか。この時期にマイルのスピードレースを経験してしまうと、来年ダービーの2400mをこなせるようなリズムで走れなくなってしまいます。かつてサクラプレジデントという素質馬がいましたが、あの馬は無理にここを使ってダメになってしまいました。特に若駒だけに、ちょっとしたローテーションの違いで大きく歯車が狂ってしまうことがあります。そんな馬をたくさん見てきただけに、スズジュピターのような馬は、もっと長い距離を使ってあげるべき馬だとも思っています。
キャプテントゥーレは、近代日本の競馬の申し子のような血統ですね。あのスキーパラダイスを祖母、スキーキャプテンを祖父に持ち、母は阪神牝馬Sを勝ちフランスのモーリスドゲスト賞で2着したエアトゥーレ、そして父が今をときめくアグネスタキオンです。前走のデイリー杯は楽勝でしたが、馬体を見ても、まだ距離が伸びても良さそうなタイプです。
デイリー杯はスローの逃げでしたのでフロック視されるでしょうし、デイリー杯の勝ち馬自体が軽視される傾向にありますが、この馬をあまり見くびらない方がいいと思います。新馬と野路菊Sはコロッと負けていますが、これはソエを気にしていてシッカリ調教できていなかったからです。ソエが治まり、ビシッと追い切れるようになった前走は全くの楽勝でした。今回も坂路でビシッと仕上げてくるはずですので、好勝負は間違いなしです。
サブジェクトは3戦共に1番人気を背負いましたが、1度しか期待に応えられていません。新馬戦は追い込みの利きにくい札幌1800mコースで、直線だけで差し切ったように、スピードに乗ってからの脚は素晴らしいものがあります。札幌2歳Sは早めに動いてオリエンタルロックに差されてしまいましたが、内容は悪くありませんでした。
ただ、前走の萩Sに関しては、スタートで出遅れたにしても、最後もこの馬らしい伸びもありませんでしたし、不可解な負け方でした。やや重馬場で他馬より1kg重い斤量を背負っていたということもあったのでしょうか。いずれにせよ、3戦の走りを見る限り、この馬には距離が長かったという印象を受けました。こういうタイプの馬はマイルで末脚を生かす乗り方をしたほうがいいですね。安藤勝己騎手も今回は一発狙ってくるでしょうし、ハマれば勝ち負けになるはずです。
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ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
毎度です。そうですねぇ。ほぼ同じ意見ですねぇ。
当たると良いですねぇ。
今回は結構真面目に予想してますヨ~!
Posted by: はやひで | December 07, 2007 at 08:27 AM
はやひでさん
こんにちは。
もちろん、スズジュピターも候補に入っていますよ。
お互いに当たるといいですね。
私はいつも真面目に予想しているのですけど(笑)
Posted by: 治郎丸敬之 | December 07, 2007 at 10:48 AM