ただひたすらに
スローになることを意識した若手ジョッキーたちが、好位を確保しようと第1コーナーへ殺到したため、前半47秒9-中盤50秒2-後半49秒3という一昨年にアドマイヤフジが勝った時とほぼ同じラップ構成でレースは流れた。3コーナーからマキハタサイボーグが強引に動いていったことも加わって、先行した馬たちにとってはかなり厳しい、前崩れの展開となった。
それにしても、昨年に続き勝利した安藤勝己騎手の手綱捌きには驚かされた。「全体の流れが速いときには遅く行き、遅いときには速く行く」は騎乗のイロハのイだが、前半800mは死んだふりをして、ペースの落ちた向う正面で位置取りを上げたペース判断には非の打ち所がない。勝負どころでのコース取りや馬群の捌き方は、もはや神業と言ってもよいだろう。直線に向いてからも、抜け出すと気を抜くアドマイヤモナークを焦って追い出すことなく、内からヨレてきた川田騎手のトウカイワイルドを余裕を持って交わしてから、最後の最後にゴーサインを送った。ただひたすらに、安藤勝己騎手の冷静さが際立ったレースであった。
勝ったアドマイヤモナークは、後ろから差して届かずの歯がゆいレースが続いていたが、前走の万葉Sを叩いて体調もアップしていたし、今回は展開面がバッチリと嵌った。首の高い走法の馬だけに、こういう渋った馬場も合っていたのだろう。こういう脚質の馬だけに、展開面に左右されがちな馬ではあるが、長距離戦であれば安定した末脚を生かして活躍が見込まれる。
2着に突っ込んだダークメッセージは、どうしてもワンパンチ足りないが、武豊騎手のソツない騎乗に導かれ、何とか連対を確保した。勝ちパターンの展開だっただけに悔しいだろうが、勝ち馬の決め手が一枚上であった。
テイエムプリキュアは厳しい展開の中、最後まで良く走っている。この馬も頭の高い走法で、渋った馬場を滅法得意とするタイプである。血統的にもネヴァーベンド系の馬だけに、こういう道中の流れが厳しく、上がりの掛かる競馬も合っていた。スローペースが常の長距離戦で安定した走りを期待するのは難しい馬だが、また忘れた頃に穴を開けることもあるかもしれない。
1番人気に推されたアドマイヤジュピタは、雨が降って力の要る馬場で57kgを背負ったこと、先行争いに巻き込まれたこと、そしてプラス18kgの太目残りの馬体と、あらゆる悪条件が重なってしまい、最後は末脚をなくしてしまった。それでも、大きくは負けておらず、これで見限るのは早計か。
モッタイナイ乗り方をしたのがオースミグラスワンである。ギリギリまで溜めてこその馬で、もう少し仕掛けのタイミングを遅らせれば、上位入線も可能であったのではないだろうか。跳びの大きい馬だけに追い出してからノメったところもあったのだろうが、福永騎手の焦りが目に付いたのも確かである。
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