天国のどこか
先日の根岸ステークスで、トウショウギアが競走を中止した。関係者にとって、馬は家族の一員であり、愛する家族を失った悲しさは私たちの想像を絶するだろう。サラブレッドはレースで走るために生まれてきたことは分かっていても、悔やんでも悔やみきれない思いがあるに違いない。
競走馬の怪我や故障は、年齢、性別、クラス、ジョッキー、枠順、レースの間隔、気温など、様々な要因が複雑に絡み合って発生する。*詳しく知りたい方はこちら(英文PDF形式)
その中でも、馬場状態は大きな要因となる。芝コースにおける怪我や故障の発生率は、馬場状態が良から不良になるほど低くなり、一方、ダート馬場におけるそれは、良から不良になるに従って逆に高くなる。つまり、道中のスピードが速くなればなるほど、骨折のリスクが高くなるということだ。特にダートの不良馬場は、スピードが増加するだけでなく、滑ってバランスを崩しやすくなるから、最もリスクの高い馬場状態のひとつと考えてよいだろう。
だからといって、開催を1週間延期していれば…、などと野暮なことを私は言わない。どうするかというと、いつも一編の詩を思い出すのだ。「競馬漂流記」(高橋源一郎著)の中で紹介されている「天国のどこか」という詩のさわりの部分。
天国のどこかにある、その競馬場はいつもいいコンディション
花の香りが漂い、内馬場の池はまるで鏡のよう
太陽は光り輝き、優しい風が吹く
ごらん、あのエメラルドの海は
枯れることのない深い芝だほら、パドックに馬たちがやって来る
あの芦毛はネイティブダンサー
あの黒い馬はダークスター
あのちっちゃいのはノーザンダンサー
いつも堂々としているスウェイルこの競馬場では
誰も苦しまない
誰も傷つくことはない
馬たちはただ全力で走るだけだ
ここでは誰もラシックスなんか使わない
鞭打たれることもなければ
注射を打たれることもない
病気も骨折も苦痛も死も
もう馬たちには追いつけない
さあ走っておいで
友よ
きみが地上で走るのを止めたところから


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Comments
あの日は確か午前中のダートレースでも一頭骨折してたと思います。
直線走路で突然骨折。騎手は落馬。
嫌な感じがしていた所に、トウショウギアの故障発生。
オープン馬もどうで無い馬もこの瞬間だけは痛々しく感じてしまいます。
Posted by: はやひで | February 08, 2008 at 12:14 PM
はやひでさん
こんばんは。
確か2レースで安楽死が出ていましたね。
ある本に書いてありましたが、薬殺処分の現場はもう見ていられないそうです。
関係者の辛さは想いはかる他ありません。
Posted by: 治郎丸敬之 | February 09, 2008 at 12:40 AM