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「ラップギア」 

Rapgear 4star

自慢でも何でもないが、エッセイ本から理論本に至るまで、競馬に関する書物には大体目を通しているつもりだ。しかし、理論本に関しては、最後まで読むかどうかは、最初の前提を読んで決める。前提というのは、戦略的な部分のことである。前提が間違っていたらその先が正しいことはまずないので、そういう本は最後の理論的な部分までわざわざ読み進めることはないと思っている。

雑誌『競馬最強の法則』で取り上げられて以来、「ラップギア」は大きな反響を呼んできたが、まずはその前提が素晴らしい。1章では競馬(馬券)に対するスタンス、2章ではラップギアの成り立ちについて述べられているが、著者である岡村信将氏のスマートさ(頭の良さ)が伝わってきて、ここまで読むと先が読みたくて仕方なかった。長くなるが、その前提をほんの少しだけ紹介したい。

なぜなら、的中率と回収率は「ある程度反比例するもの」だからだ(もちろん、その予想理論が正しいことが大前提である。理論が間違っていれば、的中率と回収率が下がる方向で反比例することもあるだろう)。的中率を突き詰めれば回収率が上がらないし、回収率のみを追求すると的中率が恐ろしいことになる。追い求めるべきふたつの道が反比例するからこそ、競馬は難しい。
(中略)
決して当たりすぎてはいけない。当たりすぎるということはつまり、長期的に見るとそれだけ平均配当が下がっていることになる。これは本人が意識しようがしまいが、間違いのないところだ。もちろん可能なら、的中率100%、回収率1000%なんて予想を出してみたいが、それは私には一生かかっても、何度生まれ変わってもできそうにない。

ここにサラリと書かれていることは、競馬界においては実は当たり前とされていないことでもあるが、全くもって真実である。そこで、岡村氏は「回収率120%超を前提としての的中率20~30%」のバランスを目指すと語る。その簡単に見えるが困難な道を、「ラップギア」という理論を元に切り拓いていくというのだ。

これは余談だが、岡村氏は救いがたいデータ好きで、小学生の頃から野球選手の推定年俸を割り出していたそうだ。打率や長打率、盗塁数、入団年数などのデータを基に、落合や宇野や郭源治の年俸を小学生が決めていたという逸話には笑ってしまった。私も小さい頃から野球が好きで、甲子園球場に行って、スコアカードをつけながら高校野球を観戦していた小学生だったので気持ちはよく分かる。

ところで、本題のラップギアの理論部分だが、タイム理論の新革命と銘打つだけのことはあって、当然のことながら画期的かつ面白い。簡単に説明すると、ラスト3ハロンのラップの増減に焦点を当てた理論で、すべてのレースラップを「▼7▼3△5」という簡潔な記号で表しながら、馬やコースの適性を「瞬発戦」「平坦戦」「消耗戦」の3つに分類しながら解き明かしていくというものである。

正直に言うと、ラップの増減という未開拓のファクターを、ここまで現実のレースや馬にリンクさせられたということが、私にとっては衝撃であった。これは想像でしかないが、おそらくありとあらゆるラップパターンを組み合わせて試してみて、「ラップギア」の理論に収束していったのだろう。実際に使っていくと、たとえば瞬発戦になりやすいレース(コース)には瞬発馬が集まりやすい等という難点は出てくるが、シンプルであるがゆえに様々な応用も利くだろうし、何よりも、これまでに私たちが気付かなかったラップの盲点をあぶり出してくれるのではないかという期待もある。

さらに、巻末にあるコースとJRA現役馬のデータ、各競馬場の距離別データの量にも圧倒された。著者だけでなく、この本に携わっている取材班の血の滲むような努力とこの本に賭ける想いが伝わってくるようである。久しぶりに考えさせられる熱い理論本に出会えて私は嬉しかった。近くの書店でもアマゾンでもいいので、この黄色い表紙の「ラップギア」をぜひ手に取って、まずは読んでみて欲しい。

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Comments

私もちょっと違いますが小学校~中学まで、
その年のペナントレースにタイトル、Bナイン、Gグラブまで
幼馴染と予想してポイントを競ってました。
毎年最多勝は工藤に投票。また新人王を当てるのが得意でしたよ。

その頃から先のことを考えるのが好きだったんでしょうね。
知らないところでこれが競馬にも役立っているかもしれません。
他のとこで使えオレ!

岡村氏はウマニティで知って、競馬雑誌の記事も読みました。
同じ上がり3ハでも200ごとにラップを細かく見れば
加速しているのか消耗戦なのかははっきりしますね。

ひいきにしてますが私には難しすぎます。w
じっくり読んで今度教えてください。(爆)
では。

Posted by: あらた | February 06, 2008 at 11:48 PM

あらたさん

こんばんは。

あらたさんは野球も好きなんですね。

将棋といい、結構志向が似ているのかも。

まあ馬券はあたらさんの方が断然当たっていますが(笑)

ちなみに、私は巨人の齊藤が最高の投手だと思っていました。

学生時代は齊藤の投げ方を真似していましたから。

岡本さんの理論は、この本で初めて読みましたが、ラップの増減がレースのタイプとここまでリンクするとは思っていませんでした。

これから私も少しずつ検証していきますが、この点に最初に気付いたのは本当に素晴らしいと思います。

あらたさんも、ぜひお読みになってみてくださいw。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 07, 2008 at 10:28 PM

こんにちは、昨日コメント書いたのに上手く書き込めなかったようです^^;

僕もこの本買いました。
雑誌連載開始時から読んでいて、この単行本化を心待ちにしていた一人です。

巷でラップ分析が流行ってる中、いつもみたいに何かないかなと考えてたんですが、その中で「レースが動き出す勝負所」からゴールまでのラップで簡単にできないかなかなぁと考えていました。
それも新聞だけでできる何か・・・

タイムから上がり3F引いた残りのタイムで何かわからないか?とか色々考えたんですが、いまいち思いつかず、「うーん」と唸ってた頃に、タイミングよくこの連載に出会いました。

「やられた〜」という感じはないですが、「これか〜」という妙な納得感を感じたのを覚えています。

ラップって計算するのがめんどくさくて(暗算は得意な方ですけど^^;)、もっと簡易化できないものかとずっと思ってたんですが、こういう見せ方で簡単に勝負所の様子がわかるなぁと思い、これはなんと素晴らしい!!と一人コンビにで立ち読みしながら興奮してました・・・(笑)

今年から自分で記録してるんですが、コース毎の特徴もわかりやすく出ており、いいものに出会ったなと感じています。

既に自分なりのアレンジが加わりつつあるんですが、こうやって色々考えるのも楽しいものですね^^

Posted by: たまバス | February 08, 2008 at 11:58 AM

たまバスさん

ご無沙汰しております。

せっかくコメントしていただいたのに、書き込めなかったようでスイマセンでした。

そういえば、たまバスさんはラップ計算がめっちゃ速かったですよね~(笑)

この本というか、この理論はとても素晴らしいと思いました。

これとそれがそんなにリンクしてるんだ、という素直な驚きが私にはありました。

もちろん、これもラップの考え方見方のひとつだと思っていますので、アレンジしていけば、それぞれ面白いものが出来そうですね。

ぜひたまバスさんの理論も今度教えてください。


Posted by: 治郎丸敬之 | February 09, 2008 at 12:37 AM

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