« 高松宮記念のラップ分析 | Main | 重量感溢れるファイングレイン:5つ☆ »

ミステリーの匂い

Jiromaru

いよいよ春のG1シリーズが始まりました。春と秋のG1シリーズのどちらが好きかと問われれば、春になれば春のG1シリーズが、秋になれば秋のG1シリーズが好きと答えます。1年の間に、最高の季節を2回も過ごせるのですから、私たち競馬ファンは幸せですね。

と、ワクワクした気分でもあるのですが、今年の高松宮記念を前にして、私の胸の中にモヤモヤした晴れない霧のようなものがあります。本来であれば今回のレースで1番人気になっていたかもしれない1頭の牝馬のことが引っ掛かっているのです。そう、サンアディユの件です。

今年の3月8日、中山競馬場のメインレースとして行われたオーシャンSにて、スタート直前に1番人気のサンアディユがゲート内で暴れ始めました。係員と厩務員らがゲートの下に潜ろうとしたサンアディユをなんとか押し戻し、しばらく気持ちの悪い時間が流れた後、スタートが切られ、サンアディユは大きく出遅れました。終始、最後方を追走したサンアディユは、直線に入っても前との差を詰めることなく最下位でゴールしました。そして、レースの翌日、サンアディユは馬房で倒れているところを発見されました。JRAより発表された直接の死亡原因は心不全とのことでした。

なんだか、ミステリーの匂いがしませんか?

競馬史上、最大のミステリーとされているのは、シャーガー誘拐事件でしょうか。シャーガーはエプソムダービーを歴史上最大の着差(10馬身)で勝ったことよりも、種牡馬入りしてから誘拐され、アイルランドの暗い森の中に埋められたことで、その名を最も知られているはずです。犯人グループであるIRA(アイルランド共和国軍)は身代金を200万ポンド要求しましたが、最大の株主であったアガ・カーンが支払いを拒否たため、やがて接触が途絶えてしまいます。犯行グループの声明によると、シャーガーを誘拐したものの、馬運車に乗るなり暴れ出したため、すぐに射殺してしまったということです。しかし、結局のところ、シャーガーの遺体は発見されていませんので、事の真偽は未だに分からないままです。一説によると、シャーガーは実はアラビア半島で生きていて、その子孫がいつの日にか現れて、競馬ファンを驚かすのではという噂もあります

もうひとつ、これもまた有名な事件ですが、ダイナマイトホースと呼ばれ人気を博したアリダーの死にまつわる話です。アメリカの3冠レースの全てをアファームドの2着と後塵を拝したものの、種牡馬としては、イージーゴア、アリシーバ、クリミナルタイプ、カコイシーズなど数々の活躍馬を出して大成したアリダーですが、突然、悲運に襲われます。1990年の11月13日、カルメット牧場の馬房の中で右後肢を骨折しているところを発見され、緊急手術を受けたものの、再度暴れ出したため、最後は安楽死の処分がとられました。骨折の理由としては、アリダーが扉を強く蹴ったからだ、と発表されましたが、数ヶ月後に、カルメットファームが1億ドル以上の負債を負って倒産すると、実はアリダーは保険金目当てに殺害されたのではないかという疑惑が浮上しました。実際にアリダーの保険金としては3650万ドルが支払われたのですが、そのうち2050万ドルはファーストシチー銀行へ返済されていました。この事件の真相も、結局のところ明らかになっていません。

これらは人間のエゴのためにサラブレッドの命が犠牲になり、迷宮入りしてしまったミステリアスで残酷な事件です。幸いにして、日本の競馬では競馬にまつわる犯罪がほとんど目に付きませんが、まるでディック・フランシスの書くようなミステリーが世界のあちこちで起こっていることを私たちは知っておくべきだと思います。もしかしたら、日本の競馬では、ミステリーが何者かによって闇に葬り去られているだけなのかもしれませんからね。

サンアディユ怪死事件には不可解な点がたくさんあるような気がします。なぜサンアディユはオーシャンSから始動したのでしょうか?なぜ内田博幸騎手に乗り替わったのでしょうか?なぜ圧倒的な1番人気を背負ったサンアディユの体勢が整っていないにもかかわらず、スタートは切られたのでしょうか?そもそも、夏に使い詰めてスプリンターズSで2着した馬を京阪杯に出走させたことも疑問がありますし、川田騎手とも手が合っていたように見えました。また、スタートは、基本的に1番人気の馬の体勢が整ったのを確認してから切られるはずです。

なんだか、ミステリーの匂いがしませんか?

現在のランキング順位はこちら

|

Comments

こんばんは

ゲレイロが好きなので、
こういう状態で出てこれるのはうれしいのですが、
やはりサンアディユの件があるので複雑です。

それと、引っ越して、まだGCを契約していないので
今年はドバイの中継が見れなくて歯がゆいです(笑)

Posted by: さとし | March 27, 2008 at 09:15 PM

何かの雑誌で

日本での本当のスプリンターは

「サンアディユとアストンマーチャンだ。

 この2頭が出走しない高松宮記念なんてうさんくさくて

 やってられない。」

と書いていた方がいらっしゃいました。

まさに その通り。

治郎丸さんがおっしゃるように、

ミステリーにしては残酷でとてもやりきれませんが・・・・。

Posted by: onyxkiss | March 27, 2008 at 09:29 PM

さとしさん

お久しぶりです。

元気でやっていますか?

ゲレイロは強かった頃の勢いを取り戻していますよね。

今回もそう簡単には崩れないはずです。

さとしさん、引越しされたのですね。

またお会い出来る日を楽しみにしております。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 28, 2008 at 12:50 AM

onyxkissさん

ご無沙汰しております。

お元気でお過ごしでしょうか?

あっと言う間にG1シーズンがやってきましたね。

サンアディユとマーチャンにはぜひとも出走して欲しかったところです。

やっぱりキップのいいスプリンターが出走すると、レースが締まりますもんね。

ミステリーの件は大袈裟に書きましたが、どうにも腑に落ちないことが多くて、半分冗談で書いてみました。

でも、世界の競馬にはここに書けないぐらいのミステリーがたくさんあるんですよ~。

今年もまた一緒に競馬を楽しみましょう!

Posted by: 治郎丸敬之 | March 28, 2008 at 12:53 AM

Quinaです。

サンアディユ、本当に残念でした。出遅れた事と死亡との因果関係は僕には分かりませんが…

何かすっきりとしませんよね。その場にいた者に状況を聞いても歯切れが悪いですし。ちょっと防衛省の事故後の対応と印象が重なります。お金が絡んでいるからこそ、透明にするべきだと思うのですが、それでも競馬という大きな船は動くのを止めないと思っているのでしょうね。

シャーガーの事件は、謎の多い、ミステリアスな話です。ニューマーケットのナショナルスタッドに行った時、進入防止策として牧場のラチに電流を流せるようにしていたのには驚きましたが、これもあの事件の影響との事でした。

僕が選ぶ競馬のミステリーは、もうひとつ、あのディック・フランシスの著作が実は奥さんの作だったという事。奥さんの死後、本人がそれ以上語らないから、事の真偽は分かりません。僕は執筆の佳きパートナーで、最高のアドバイザーだったのだと、そしてこの事によって作品の価値が下がる事は全く無いと思っていますが。

Posted by: Quina | March 28, 2008 at 01:39 AM

Quinaさん

え~、そうなんですか!

ディック・フランシスの件は初耳です。

たとえそうだとしても、共作というか共同作業というか、それはそれで素晴らしいことですが。

サンアディユの件は情報があまりにも少なすぎますが、そこがかえってミステリアスな感じがします。

もちろん、そんなことがあって欲しくはありませんし、だれかを悪者にしたいわけではないのですが、そういうことも世界の競馬ではあったのだということを書いてみました。

現場の方々の話もぜひ今度聞かせてください。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 28, 2008 at 01:52 AM

他のブログを見たりしていると、スタート時硬直したサンアディユをスタートが切られたから、出遅れて追い出し急激な運動をさせた事も因果関係として考えられるとの事でした。

当日は阪神競馬で指定席観戦してたのですが、ターフビジョンを見てても、一旦ゲートに戻ろうとした係員を腕をつかんでコース外に連れ出すシーンがしっかり映っており、
「なにやっとんぢゃ?」と思いました。

Posted by: はやひで | March 28, 2008 at 08:21 AM

はやひでさん

こんばんは。

因果関係については、当然のことながら直接の証拠はありませんが、普通に考えて因果関係があると解釈するのが自然ではないでしょうか。

私はなぜあそこまでサンアディユを追い詰めて走らせなければならなかったのか、または誰も馬のことを考えていなかったのかという疑念が残りました。

JRAはスルーしようとしていましたが、結構深い事件なんじゃないかなと思い書きました。

はやひでさんと私のG1予想大会の馬名、結構被っていましたね(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | March 29, 2008 at 01:41 AM

Post a comment