ヘイルトゥリーズンからの早熟性の血が

昨年の皐月賞は、「勝利」という名のブライアンズタイム産駒が、田中勝春騎手に15年振りのG1勝利をプレゼントしました。ブライアンズタイム産駒としてのG1勝利も久しぶりでしたね。ひと昔前は皐月賞といえばブライアンズタイム産駒が連想されたほどでした。ナリタブラインをはじめ、サニーブライアン、ノーリーズン、ダンツフレームなど、サンデーサイレンス産駒に負けず劣らずの強さを見せてくれました。サニーブライアンが勝った年などは、確かブライアンズタイム産駒のワンツーフィニッシュでしたね。近年は芝での活躍馬が少なくなってきた矢先の出来事でしたので、意表を突かれたと共に、ブライアンズタイムの血の底力を見せ付けられた気がしました。
ブライアンズタイム産駒が皐月賞を得意とする理由として、まずは力の要る馬場に強いということが挙げられるでしょう。この時期の中山競馬場は、春開催の最終日ということもあり、見た目には分かりにくいのですが、ベースの野芝がかなり傷んでいます。そのような荒れ馬場をモノともせずに走り切ってしまうパワーを、ブライアンズタイム産駒は備えているということです。ダート戦ではサンデーサイレンス産駒よりも上という実績が、そのことを如実に物語っていますよね。
もうひとつの理由として、早熟性ということが挙げられます。昔から「皐月賞は速い馬が勝つ」と言われてきましたが、この時期のクラシックレースを制するには、スピードだけではなく、仕上がりの早さが不可欠です。他馬に先んじて、早くから能力を発揮できるという早熟性ですね。クラシックレースは3歳のこの時点での完成度を問われるレースでもあり、もちろんサンデーサイレンスもそうでしたが、クラシックに強い血統というのは早熟でなければならないということです。
スピードと早熟性を極端に重視する傾向は、今からおよそ100年前にアメリカで生まれ、その後、ナスルーラやネイティブダンサーやロイヤルチャージャーの血を引いた馬たちが大活躍したことで発展しました。その中でも、ロイヤルチャージャーの血を受けたヘイルトゥリーズンという馬は、まさにスピードと早熟性の権化のような馬でした。
そうです。サンデーサイレンスとブライアンズタイムが共通して父の父に持つヘイルトゥリーズンですね。最近はサンデーサイレンス系という言葉が当たり前のように使われていますが、世界的に見れば、まだサンデーサイレンスもブライアンズタイムもヘイルトゥリーズン系という括りでしょう。そのうちサンデーサイレンス系という言葉もワールドワイドになるのかもしれませんけど。
1958年に生まれたヘイルトゥリーズンがデビューしたのは、わずか2歳の1月のことでした。カリフォルニアのサンタアニタ競馬場でデビューし、初勝利を挙げるのに6戦を要してしまいますが、そこをレコード勝ちするや、ホープフルS、グレートアメリカンSなど2歳の主要重賞レースを勝ちまくったのです。2歳の9月の時点では、なんと18戦9勝というキャリアを誇っていました。また、ほとんどのレースがスプリント戦でした。ヘイルトゥリーズンという馬がどれだけ早熟でスピードに秀でていたか分かりますね。
残念なことに、ヘイルトゥリーズンは調教中に怪我をしてしまい、そのまま引退してしまったのですが、種牡馬としても大成功を収めたのです。1970年には2歳部門のリーディングサイヤーと総合部門のリーディングサイヤーの両方に輝きました。サンデーサイレンスの父ヘイローやブライアンズタイムの父ロベルトが生まれたのもその頃ですね。つまり、サンデーサイレンスの産駒にも、ブライアンズタイムの産駒にも、2歳の1月にデビューしたヘイルトゥリーズンからの早熟性の血が脈々と受け継がれていて、両者がクラシック血統として成功した最大の理由のひとつになっているというわけです。
今年の皐月賞で1番人気が予想されるマイネルチャールズも、このヘイルトゥリーズンの血をしっかりと引いているようですね。デビュー戦こそ落としてしまいましたが、それ以後は連対を外していませんし、目下3連勝中です。その緩急自在の大人びたレースぶりやスピードは、クラシックを勝つに相応しい早熟馬のそれです。非の打ち所がないことがかえって嫌われそうな嫌いもありますが、他馬がこの馬に先着することは容易ではないはずです。

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
どうやら今度は◎が一致しそうですね(^^)g
マイネルチャールズに先着するには、この馬に
並ぶことすらさせずに差し切る鋭い末脚が必要だと
思います。
アグネスタキオン辺りの産駒で切れ味のある
先行脚質の馬が出てくれば天敵になりそうなのですが
今年はどうやらそれほどの期待馬は出てきていない模様。
ジリジリとした競い合いになればそう簡単に
譲る馬ではなさそうです。
ウイニングチケットの例もありますので
全幅の信頼を置くのも怖いですが、順調にいけば
不動の軸になってくれそうだと期待しています(^^)g
Posted by: けん♂ | April 17, 2008 at 02:27 AM
けん♂さん
こんにちは。
私もマイネルチャールズは最有力候補の1頭だと思っていますよ。
でも勝ち切れるかどうかというと別の問題なので、単勝を買う私としては悩み中です(笑)
連軸の本命としては、この馬にかなう馬はいないと思うのですが。
とにかく競馬が上手いですよね。
>マイネルチャールズに先着するには、この馬に
>並ぶことすらさせずに差し切る鋭い末脚が必要だと
>思います。
→そうですよね。でも、馬場も荒れてきているので、そういった脚を使うことも難しくなってきているんですよね…うーん、難しい。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 17, 2008 at 11:46 AM
松岡騎手にあれ程、吹かれると逆に不安になっちゃいますよ。
なんかナリタトップロードみたいに、他の馬に足下をすくわれそうな気がします。
3連複の軸には良さげですが。
ブラックシェルも信用ならないですし、ショウナンアルバは暴走しそうで距離も心配。
小牧の連勝?うーん。基本あり得へん様な。
馬体だけならタケミカヅチを買いたいんですが、鞍上が柴田善。無難に乗って無難に負けてくれそう。
負けた後のコメントも”馬場が悪くて馬が可哀想だね”みたいなものになりそうな気がする。
(何の予想しとるんね?)
密かに期待しているのはノットアローン。
昨年のサンツエペリン的な立場になれそうな気がする。
サイコロで決めようかな・・・(;´Д`)
Posted by: はやひで | April 17, 2008 at 12:20 PM
ひと昔前の話、1990年の天皇賞(秋)は岡部幸雄騎手はヤエノムテキに騎乗し、見事に同馬を勝利に導きましたが、そのレースの直前に、同騎手に話を聞く機会がありました。その時の非公式コメントは…
<要約>「皐月賞以来、惜しいところでなかなかGⅠに届かないヤエノムテキ。実力はあるがなかなか勝ちきれない。そんな馬が西浦から自分のところに回ってきた。安田記念、宝塚記念もあと一歩届かなかったが、そんな勝ちきれないこの馬でGⅠを獲って、『やっぱり岡部は上手い』と思わせたい…」
このコメントに、超一流のジョッキーのプライドを感じたものでした。
余談ですが、騎乗馬が重なり、振られた形になったメジロアルダンの宮崎厩務員(レオダーバンも担当、当時Quinaは担当厩務員の予定まで聞き込んでPOGでアルダン・ダーバン指名していました)は、横山典騎手に、「他の馬には負けても良い、岡部の馬だけは負けないでくれ…」と言ったとも。
そんな2頭のワンツーフィニッシュに、身体が震えたものでした。
さて、前置きが長くなりましたが、今回のマイネルチャールズ騎乗の松岡騎手。「自分が下手にのらなければ勝てる」とコメントしたのが話題になっています。若武者らしい発言とも言えますし、不遜とも取れます。
Quinaは後者とみます。たかだかB級GⅠを人気薄で勝ったり、昨年の皐月賞で惜敗したくらいで、GⅠレースを支配できるような発言は、まだまだ早いのでは?
騎手大賞受賞ジョッキーが全盛の時にも(公式には)聞かれなかった言葉ですからね。
もちろん勝負事ですから、相手を見下ろす強い気持も必要ですし、自分を鼓舞する意味もあるのでしょうし、もしかしたらコメントが違った意味で伝わっているのかもしれませんが。そんな彼に対して百戦錬磨の侍たちが刃を研いでいる音が聞こえて来ます。
という事でQuinaの予想、まず最初に切ったのは松岡正海でした。
Posted by: Quina | April 17, 2008 at 08:56 PM
はやひでさん
そうですよね。
Quinaさんもおっしゃっているように、あまり吹いて良いことがあった例がありませんよね。
ただ、マイネルチャールズは偏見なしの目で見れば、やはり勝利に最も近い馬であることは確かだと思います。
最も近い馬がいつも勝つわけではないのですけどね(笑)
>負けた後のコメントも”馬場が悪くて馬が可哀想だね”みたいなものになりそうな気がする。
→面白い!確かに言いそうですね。
さてさて、どんな皐月賞になるのでしょうか。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 18, 2008 at 02:40 AM
Quinaさん
こんばんは。
おっしゃる通り、わざと強気な発言をして自分を鼓舞しているのでしょうが、ある意味、邪心の表れであるとも言えます。
もちろん、他の超一流ジョッキーたちが黙っているはずもありませんよね。
中山2000mという舞台だけに、ジョッキーたちによる様々な駆け引きや技術が見られそうです。
枠順も確定して、またまた難解な皐月賞になった気がします。
どのような結末になるのか、今から楽しみですね。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 18, 2008 at 02:44 AM
松岡騎手のドリパ騎乗は決して上手いと思えなかった。確かに昨年のヴィクトリアマイルは上手い!と思ったが、ただ内をすくったら伸びただけやったんでわ?
あそこまで吹いちゃうと、ベテランジョッキーが黙ってへんやろね。特に横山典騎手とかは気分悪いんちゃうかなぁ?
個人的に関東騎手ならば後藤騎手の方が好き。
馬は良いだけに馬券的に3連複からは消せないけど、単勝は要らん気がする。
Posted by: はやひで | April 18, 2008 at 05:49 PM
はやひでさん
こんばんは。
仕事でバタバタしておりまして、レスが遅くなって失礼しました。
確かにドリパの騎乗は特に光ったところがありませんでしたね。
個人的には高田騎手は上手く乗っていたような気がします。
まあ、松岡騎手には攻撃的な騎乗をしてもらいたいものです。
勝ちに行って負ける可能性はあると思いますが、勝つ可能性の方が高いかな。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 20, 2008 at 03:29 AM