華やかに咲き誇れ

先週の土曜日、Photostudのポスター展を観に、渋谷のプラザエクウスに行ってきました。ポスター展の報告はまた後日にさせていただきますが、その日、たまたま細江純子さんとタレントのだいたひかるさんを招いたイベントが行われていました。細江純子さんといえば、今やテレビなどで活躍中の元女性ジョッキーですね。
細江純子さんは、牧原由紀子(現・増沢由紀子)騎手、田村真来さんらと共に、JRA初の女性騎手として、1996年にデビューしました。この年は花の12期生と呼ばれていて、彼女らの他に、福永祐一騎手や和田竜二騎手らがいます。2年目にフリーになり、1999年には日本人女性騎手としては初めて、シンガポールでの勝利を挙げました。スゴイことですね。しかし、それ以降は目立った活躍のないまま、14勝を挙げたのを最後に、残念ながら引退してしまいました。これからは、天然キャラと柔らかい雰囲気で、鈴木淑子さんの後継者として大きく成長していって欲しいと思います。
さて、JRAの女性騎手といえば、斉藤澄子騎手をご存知でしょうか?細江純子さんらが、JRA初の女性騎手としてデビューする遥か60年も前に、騎手免許を取得した女性ジョッキーです。斉藤澄子さんは、青森の南部地方に生まれ、まさに馬と一緒に生活をして育ちました。同い年の男の子が怖がって乗れないような馬でも、ヒョイっと跨って、手なずけてしまうような女の子だったそうです。父親を早くに亡くしたこともあり、騎手の道を目指すことになります。とはいえ、当時の競馬社会は男ばかりの世界で、女が寝藁を跨いだだけで、けがれるとされた時代でした。
そんな男社会の中で斉藤澄子さんが生きていくには、男になりきるしかありませんでした。髪を短く切り、さらしで胸を押し潰して、ひたすら女であることを隠し続けたのです。もちろん、隠し続けることなど出来なかったのですが、バレてしまっても、それでも応援してくれる人々は少しずつ現れ始めました。初めて受けた騎手試験では、「風紀上の問題を起こす恐れがある」ということで不合格にされてしまいますが、2年後の1936年、ようやく念願の合格を果たしました。
しかし、東京の新聞に、先頭を行く女性騎手がウインクをすると、後続の騎手たちが落馬するシーンを描いた風刺漫画が掲載されるや、農林省から「女性騎手はレース出場まかりならぬ」という通達が届いたのです。こうして騎手免許は幻となってしまい、斉藤澄子騎手は、それ以後、一度もレースに出ることのないまま、肺病を患い、29歳の若さで亡くなりました。(参考文献:「伝説のジョッキー」島田明宏)
ジョッキーという職業は女性にとってはかなり厳しいものですが、ジョッキーになりたいという思いを叶えることが出来た、今の女性騎手たちは幸せなのかもしれません。女性騎手がもっと活躍すれば、これからさらに競馬は華やぎ、盛り上がるはずです。しかし、その影には、女性というだけで騎手への道を絶たれてしまった、不遇の時代を生きた女性騎手がいたということを忘れてはいけませんね。
「サクラがあれだけ美しいのは、樹の下に死体が埋まっているからだ」と語ったのは、梶井基次郎だったでしょうか。レースという樹の下には、出走叶わなかった多くの騎手や馬たちの死体が埋まっています。桜花賞に晴れて出走する16頭のサラブレッドと16人のジョッキーは、そのことを胸に華やかに咲き誇って欲しいものです。
菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
ロジユニヴァース
Strongest Vodka
カンパニー
Keiba is beautiful
Comments
女性騎手には未だ厳しい現状ですが、地方騎手が中央に移れたり、時代は随分と変わりました。
競馬学校が出来て、一般に騎手への道が開けた代わりに騎乗がクリーンになり過ぎてレースにおもしろみが無くなってきたそんな感じも受けます。
安藤勝騎手がドバイ騎乗後に「俺は日本の競馬に慣れすぎたんだな」と反省している通り、日本の競馬はかなりクリーンになっていると思います。
もっと貪欲な騎乗を見せて欲しい。四位騎手が言う様に競馬に乗る事は危険な事でルールを守るべきだ等の意見はもちろん当然なのですが、クリーンに乗るだけで無く勝負師としての腕も是非見せて欲しいものです。
それから調教師、馬主はもっと若い騎手にチャンスを与えてやって欲しいと願いますね。
チャンスも無く埋もれていく騎手も多く、非常に残念に思います。(それでも生き残っている騎手はいるのだから、言い訳にしかならないかも知れませんが)
Posted by: はやひで | April 09, 2008 at 12:16 PM
はやひでさん
変わりましたね。
レースもクリーンになった反面、おっしゃる通り、厳しさもなくなってきているのかもしれません。
私としては、あまり無理無謀な騎乗はレースを乱すので好きではありませんが、それでもギリギリの技術はありだと思っています。
安藤勝己騎手が昨年見せた、4コーナーで後ろの馬を外にスイープするような技です。
地方から来たジョッキーはかなり厳しい中で揉まれていますので、そうしたテクニックも持ち合わせていて、中央の競馬などヌルいのかもしれませんね。
Posted by: 治郎丸敬之 | April 10, 2008 at 01:54 AM