ASIAN WINDS!
by echizen
ヴィクトリアマイル2008-観戦記-
逃げ切り困難な府中のマイル戦を意識して、各ジョッキーが金縛りにあったようにハナを譲り合った結果、前半47秒9-後半45秒8という究極のスローペースが作り出された。直線に向いてからの瞬発力勝負になり、33秒台の脚を使える馬でなければ勝負にならないレースであった。また、馬群が団子状態になって進んだため、外々を回された馬は脚を溜めることができず、ゴールまで伸び切れなかった。
エイジアンウインズは極上の切れ味を発揮して快勝した。ここにきて馬体の充実が光っていたが、府中のマイル戦では馬体的にも血統的にも距離が僅かに長いと考えていただけに、今回の差し切りには少なからず驚かされた。たとえG1であろうとも、絶好の馬場でこれだけスローに流れるレースになれば、距離適性が僅かに短いスプリンターでも最後まで何とかもってしまうということだ。昨年に続き、今年もフジキセキ産駒の勝利であり、しかもエイジアンウインズの母父はデンヒルであることからも、ヴィクトリアマイルを勝つためにはスピードとパワーが問われるという傾向が明らかになってきた。
これまで差して勝ったこともあったが、前走を逃げ切っているだけに、エイジアンウインズを本番で再び差しにモデルチェンジした藤田伸二騎手には、勝利にこだわる男気を感じた。逃げ切りが難しいことが分かっていても、実際に勝ちパターンを変えるのは勇気の要ることだ。よほど昨年の安田記念のコンゴウリキシオーで差し切られたことが頭に残っていたのだろうか。馬の気分を壊さないよう、ペースに関係なく折り合いに専念した結果が、ゴール前の4分の3馬身差につながった。
ウオッカは折り合いも付いて、ギリギリまで仕掛けを我慢されたが、それでも僅かに届かなかった。武豊騎手はほぼ完璧な騎乗をしており、今回こそは素直に負けを認めざるを得ないだろう。33秒2の末脚で上がってきたものの、その伸びはウオッカ本来のものでないことは誰もが認めるところで、短期の放牧に出したぐらいでは、ダービーの後遺症は癒されなかったということだ。デビュー以来、最低の馬体重も気になったが、それ以上に、最後のもうひと踏ん張りが出来る精神力(気持ち)が回復していないのではないか。今度こそ思い切って休ませるタイミングが来ている。
ブルーメンブラッドは内々の経済コースを進み、最後まで良く伸びている。石坂厩舎に転厩してから以前のひ弱な面がなくなり、馬が大きく変わった。短期放牧を挟みながら、坂路調教を繰り返して課したことによるものだろう。特に前脚のかき込みが強くなったことで、どんなレースになっても、安定して走ることが出来るようになった。父アドマイヤベガと違い、ジワジワと伸びるタイプなので、今回のような究極の瞬発力勝負は苦しかったが、それでも力を十二分に発揮していた。後藤騎手の安定した手綱捌きも目に付いた。
2番人気に推されたニシノマナムスメは、直線で苦しがって、最後まで伸び切れなかった。あくまでも結果論ではあるが、プラス10kgの馬体からも、直前の調教が少し軽すぎたのかもしれない。長距離輸送を見越しての仕上げだからこそ、難しい部分もあったに違いない。スローペースを見越して先行した吉田隼人騎手の判断は見事だったが、直線での左右の斜行においては、ムチの使い方が自己中心的だったように映った。将来性のある素晴らしいジョッキーであることは確かなのだから、まずは馬を真っ直ぐ走らせることを心掛けて欲しい。
ベッラレイアは馬体こそ仕上がっていたが、スローの展開で外々を回らされてしまいアウト。下げすぎると届かないし、前に行けば馬群の外を走る羽目になる枠順だっただけに、今回は運が悪かったと諦めるしかないだろう。ただ、今回の馬体重の減少からも、次回への上積みは期待しづらく、吉田勝己氏に馬主名義が変わっているように、競走馬としては役割を終えた気がしないでもない。
ジョリーダンスはスタートから攻めに徹し、直線に向くまでは、まさに勝ちパターンの競馬であった。しかし、スパッと切れる馬ではないので、直線でのパッチンが痛かった。瞬発力勝負のレースで、スピードに乗る瞬間にあれだけ急ブレーキをかけてしまっては万事休す。抜け出していても結果はどうなっていたか分からないが、後味の悪いアンラッキーなレースとなった。

菊花賞2
有馬記念
阪神大賞典
天皇賞春1
天皇賞春2
宝塚記念1
宝塚記念2
宝塚記念3
凱旋門賞1
凱旋門賞2
ジャパンカップ
ファイナルフライト1
引退式
ハーツクライ
伝説のウオッカ
メイショウサムソン
スイープトウショウ引退記念
アドマイヤムーン
ダイワスカーレット桜花賞
ディープスカイ
ウオッカ安田記念
伝説の天皇賞秋
ダイワスカーレット有馬記念
Comments
ジョリーダンスの不利は本当に痛かったですね。
私は邪魔したのがウオッカである事を祈ってたのですが。。。(降着なればヤマニンメルベイユで馬券GETだったのですが)
ヤマニンメルベイユの柴山騎手はもっと思い切って逃げて欲しかった。「切れる脚が無いから瞬発力勝負は避けたい」と調教師も談話していたのに、スローの2番手でレースをしてどうする??って感じ。
思い切って2番手を引き離す逃げが見たかった。
エイジアンウインズは脱帽。距離に不安を感じてブルーメンを上に取ったのだが、結果は真逆でした。
ウオッカは休養をしっかり取り、精神力の復活が待たれます。武騎手曰く 「最後に止まるレースが続いているから追い出しを我慢した」 ・・・それでも最後は脚色が悪くなっている気がするので、やはり一回リフレッシュさせるべき。
そもそもエルフィンSを使ったり・・宝塚記念使ったりと馬に対して厳しいローテを組みすぎであり、
昨年秋に一頓挫あったのは、馬が悲鳴を上げていたと考えるべきだと考える。それでいて秋華賞⇒JC⇒有馬は酷な使い方であり、初戦で京都記念⇒ドバイ⇒ヴィクトリアマイル というローテもやはり厳しい。
牝馬離れしているとは言え、やはり牝馬なのだから。
調教師も「ダービー時より成長しているが、今回はレース間隔が短く ±0かな?」 という談話をしていた(サタウマ内)。それなら間隔開けて安田記念を使う位すれば良かったんでは?と思ってしまう。
Posted by: はやひで | May 20, 2008 at 12:23 PM
こんにちは。以前ライブCDを購入させて頂いたものですf^_^;
ウォッカの体調、武豊の騎乗について、某競馬サイト掲示板をじっくり見ていたのですが、
「武豊の騎乗は折り合いの付け方、追い出しのタイミングともに正当なものである」事は分かるのですが「上がり3F最速の33.2」で「最後は伸びなかった」というコメントがどうしても理解出来ないでいます(*_*)
残り1Fで追い出して脚が止まったという前提と、3F最速のタイムという事実がどうしても繋がらないのです。
うまく説明出来てますでしょうか?(笑)
Posted by: childsview | May 20, 2008 at 11:11 PM
はやひでさん
こんばんは。
ウオッカに対する見解、私もまさにその通りだと思います。
休養に出すと、二度と競走馬として戻って来られない気性になってしまうことを心配しているのでしょうか、それともオーナーが手持ちのお金に困っているのでしょうか?
ここまで来ると、角居調教師や谷水オーナーの頭の中を疑ってしまいますよね。
ヤマニンメルベイユは残念でしたね。
思い切って乗るつもりでも、スローの2番手に折り合ってしまうと、自分が可愛くなって動けなかったということだったのでしょうか。
それにしても、エイジアンウインズは快勝でしたね。
観戦記にも書きましたが、ヴィクトリアマイルは距離適性としては短めで、パワー型の馬が合うようですね。
速い時計とスローの展開がそうさせるのでしょうか。
来年はどのような結果が出るのか楽しみです。
Posted by: 治郎丸敬之 | May 21, 2008 at 01:45 AM
childsviewさん
こんばんは。
ライブCDの件では大変お世話になりました。
そして、質問していただいてありがとうございます!
>「武豊の騎乗は折り合いの付け方、追い出しのタイミングともに正当なものである」事は分かるのですが「上がり3F最速の33.2」で「最後は伸びなかった」というコメントがどうしても理解出来ないでいます(*_*)
>残り1Fで追い出して脚が止まったという前提と、3F最速のタイムという事実がどうしても繋がらないのです。
とてもレベルの高い質問だと思います。
かなり競馬のリテラシーが高い方でないと、こういう質問は出てきませんよね。
childsviewさんが疑問に思うお気持ち、よく分かります。
端的にお答えすると、
「本来のウオッカならばもっと伸びた」ということです。
上がり33秒2という時計のことですが、今の府中の馬場は時計が出やすい馬場ですので、500万下の馬でもペース次第では33秒台で上がってくることが出来ます。
レースのリプレイを観ていただくのが一番分かりやすいのですが、今回のウオッカは一瞬伸びたと思わせたものの、エイジアンウインズを交わしにかかる手前で、脚色が同じになってしまっています。
おそらく50mほどしか末脚は爆発していないはずです。
そして、ダービーの直線の脚を観ていただくと、同じ33秒台でも果てしなく伸びていく脚色が違いますよね。
上がりタイムは馬場や展開や距離によって大きく違ってきますので、あくまでも目安にしかすぎないと思います。
他馬よりも速い上がりで走って2着しておきながら、最後は止まってしまっているとコメントされるウオッカは、本調子であればどれだけ強いのだろうと思ってしまいますよね。
そんなウオッカの強さを、私たちはダービー以来見ることが出来ていませんが。
お答えになっていますでしょうか?
もしまた質問等ありましたら、メールでも構いませんので、遠慮なくご質問くださいね。
Posted by: 治郎丸敬之 | May 21, 2008 at 02:01 AM
Quinaです。
エイジアンウインズの単・ワイドのみ的中でした。
今回もウオッカの取捨で悩みました。自分のルールでは買えない馬でしたが、パドックでの谷水さんの晴れやかな表情を見て、心が動きました。
「周って来るだけでそこそこに来る」とか、「またJRAに貸しをつくった」とか、今回の出走についての真意は全く分かりませんが、とても印象的な表情でした。それでもキリましたけど。
あえて切った馬に交わされるほど悔しいことはありませんから。ゴール前は思わず声が出ました。
しかしウォッカのポテンシャルの高さには驚かされます。と同時に「一瞬の脚」は短く、二の脚が続かないという難しい乗り方だという弱点を今回も証明してしまいましたが。瞬間移動しているとしか思えない爆発的な脚が最大の武器だけに、使いどころ(次郎丸さんのおっしゃるように50m程度でしょう)が難しく、それがはまらないとこれからも勝つのは苦しいかと。もちろんこれからも好成績は収めるとは思いますが。
エイジアン、JDD使わないかな…
諸般の事情によりベルモント行きは断念しました(涙)。その分日本・東京両ダービーで有り金勝負(嘘)。
Posted by: Quina | May 21, 2008 at 12:21 PM
差し出がましいですが、次郎丸さんのおっしゃる通り
ゴール前で勢いが止まってしまっている様に私も見えました。2着馬を差しきるのも何とか・・・差したって感じで。
脚を余していたのなら、もっと凄い勢いのままゴールを突っ切る筈でして。特にウオッカの場合は。
ウオッカから馬券を買ってる人にしては、多分に「何やっとるんじゃ武ぇ~」って気持ちになるとは思いますが。
Posted by: はやひで | May 21, 2008 at 12:26 PM
身に余るお褒めの言葉で恐縮です。身に余り過ぎて誰かに渡したい気分です。。
知らないうちに、タイムに縛られた考え方をしてました。勝手に限界を作って、それ以上のタイムはないだろうと。
リプレイを改めて見てみました。
ダービー→宝塚→ヴィクトリアマイルの順です。
ゴール前もの凄い気迫のダービーを見れば、宝塚もヴィクトリアマイルも「あれ?」という感じがしますね、確かに。
ぼんやりとしたイメージだけでダービーは記憶してたので、見直してみると伸び方が凄いですね。ただ一頭だけ、別の道を走っているかのような。
すっきり理解出来ました。と同時に間隔を開けて立て直した上での強さを見てみたいと思ってしまいました。
はやひでさんもコメント頂きありがとうございます。
ダービーの時の強さならもちろんですが、3着に上がった時の勢いを見る限り、もっと伸びそうな感じがリプレイを見直してようやく理解出来ました(^^;
今回のレースは当然のように馬券外しましたが(泣)、騎乗と展開(特に牝馬同士の追い比べ)で勉強になりました。
Posted by: childsview | May 21, 2008 at 11:42 PM
Quinaさん
おめでとうございます。
私は正直エイジアンがあのような競馬をするとは思っていませんでした(さたうまを観ていなかったのでw)
これまでのレース振りからも、どんな競馬も出来る馬なのですね。
それにしても、藤田騎手の好判断だったと思いました。
おっしゃる通り、ウオッカの能力の高さには驚かされますね。
ドバイで4着したのも凄いですし、今回の2着もよく走っていますよね。
もうここまで来たら陣営もやぶれかぶれなのかもしれませんが、とにかく故障だけは避けて欲しいものです。
ベルモントSは残念でしたね。
ぜひとも両ダービーで大勝負をかけてください。
一方はプレミアムレースですし。
Posted by: 治郎丸敬之 | May 22, 2008 at 01:01 AM
はやひでさん
いえいえ、はやひでさんに同意していただいて光栄です。
確かジャパンカップの時も同じような感じで伸びて、最後は止まっていました。
誰もが一瞬勝ったと思わせる脚ですよね。
それにしても、武豊騎手は貧乏くじを引いてしまうことが多くなりましたね。
先週のファリダットと今回のウオッカを勝たせるのは非常に難しかったにもかかわらず、どちらも1番人気ですからね。
childsviewさんとのやり取りに対するコメントありがとうございました!
Posted by: 治郎丸敬之 | May 22, 2008 at 01:05 AM
childsviewさん
きちんとお伝え出来たようで嬉しいです。
ラップタイムは200mごとのタイムですので、100mの脚や50mの脚は現状では肉眼で確認するほかありません。
>ただ一頭だけ、別の道を走っているかのような。
的確な表現だと思います。
馬群を突き放した時の脚の速さは、まさにワールドクラスですよね。
私もまた立て直してからの本来の走りをもう一度観てみたいと心の底から思いました。
はやひでさんのコメントも的確でしたよね。
またいつでもレベルの高い質問をお待ちしております!
Posted by: 治郎丸敬之 | May 22, 2008 at 01:10 AM