I believe I can fly.
by echizen
NHKマイルカップ2008-観戦記-
スタートからハミをガッチリと掛けられたゴスホークケンが、前半46秒7―後半47秒5という数字以上に厳しいペースを作り出した。前に行った馬は揃ってバテているように、水分を含んだ力を要する馬場状態も加わり、マイル戦以上のスタミナを問われるレースとなった。
勝ったディープスカイにとっては、まさに打ってつけの展開となった。スタートを決めるや、あとは馬任せでジッとしているだけで、勝手に4コーナーでは前がバテてきて、差が詰まったという感じだろう。手応えに余裕があったからだろうが、他馬が馬場の良い外を回す中、ズバッと内を突いた四位騎手の冷静なコース取りも光った。最後の直線に向いて、先に抜け出したブラックシェルをアッという間に交わし去ると、ゴール前では手綱を抑えるほどの余裕すらあった。
前走の毎日杯に続き、今回も楽に勝ったように見えるが、ディープスカイのような乗り難しい馬をいとも簡単に乗りこなす四位騎手の騎乗技術はさすがである。止め際の仕草からもディープスカイが口元の過敏な(操作の難しい)馬であることは想像がつくし、レース後に検量室前で振り落とされた一件も気性の激しさゆえである(あれば愛嬌だが)。そして、何と言っても、そんなディープスカイが厳しいペースになり気の難しさを出さずに済むであろう、マイルG1に向けて照準を絞った昆貢調教師の見立ては賞賛に値する。
ブラックシェルは暖かくなってきたことにより馬体が絞れ、本来の力を出し切れるだけの体調に仕上がっていた。器用な馬ではないだけに、幅員の広い府中コースに替わったことも好走の理由のひとつだろう。後藤浩輝騎手もスタートから負荷を掛けることなく流れに乗せ、最高のポジショニングでレースを進めていた。惜しむらくは、直線に向いてゴスホークケンをマークする形で追い出してしまったことだろう。あれだけのペースで行っているのだから、後ろから来る手応えの良い馬を待ってから追い出していれば、もう少し際どい勝負になっていたはずである。
ダノンゴーゴーは、最後方からレースを進めたことが吉と出て、他馬が揃ってバテる中をグイグイと最後まで伸びた。スプリント戦で切れ味を発揮する馬だけに、スタミナに不安のある状況の中でも最高の走りが出来ていた。ハイペースに賭けて、腹を括った藤岡佑介騎手の騎乗が見事にハマッたのだが、それを実際にやってのけたことが凄い。藤岡佑介騎手が大きなレースを獲る日はすぐそこまで来ている。
ファリダットは道中で引っ掛かってしまった分と、4コーナーで外を回したことにより、最後の伸びを欠いてしまった。これだけのペースでも掛かるのだから、本質的にはスプリンターなのだろう。武豊騎手が騙し騙し乗ってはいたが、上位2頭とは決定的なスタミナの差があった。しかし、将来性は十分に感じさせる馬だけに、成長に合わせてマイル以下の距離を使っていけば、いずれ大きなところを勝つ器であることは間違いない。
ゴスホークケンは果敢に逃げたが、4コーナー時点で既に手応えがなかった。キッチリと仕上がってはいたが、精神面でまだ立ち直っていない部分があるのだろう。馬なりで先手を取れた朝日杯フューチュリティSと、押して押してハナを奪った今回のレースでは雲泥の差があった。内田博幸騎手もハナを奪うことを優先したのだろうが、あれだけ強くハミを当てて出してしまえば、さすがに中央の競馬ではゴールまで持たないことを実感したはず。
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Comments
ブラックシェルは詰めてレースを使った時に良績があるそうです。今回詰めて使ったというのも好走の原因かも知れませんね。
ディープスカイは四位騎手が最初からINを狙ってた様な事を言ってました。私には他馬が必要以上に外をブン回したので内が開いただけの様に見えましたが。。
藤岡騎手は、荒れて避けられた内を少しだけ通って馬群を捌いた後、外に再度持ち出していく頭脳プレイが光った。良馬場なら更におもしろい切れ味だったと思います。
ゴスホークケンは前日に馬主さんが亡くなったそうです。思い切って悔いの無い様に逃げに徹したのかも知れませんね。
Posted by: はやひで | May 13, 2008 at 03:48 PM
はやひでさん
こんばんは。
ブラックシェルはゲートに難があって、強い調教を課すと当日入れ込む可能性が高いのですよね。
だから、レース間隔を詰めて使うことで、馬体重の調整がしやすいのだと思います。
四位騎手は今回は手応えが良かったから(最初からかは分かりませんが)内を狙うつもりだったのでしょうね。
ブラックバースピンで中京競馬場の重馬場のレースを勝った時の好騎乗を思い出しました。
藤岡騎手も見事に設計された騎乗で3着を確保しましたね。
ゴスホークケンの馬主さんの件は知りませんでした。
確かまだお若い方だったように記憶しておりますが…
Posted by: 治郎丸敬之 | May 14, 2008 at 01:51 AM