そしてまた夢は続いてゆく
by photostud
ダービー2008-観戦記-
レッツゴーキリシマが果敢にハナを奪い、前半73秒6―73秒1というイーブンペースを作り出した。前日の降雨の影響で、後ろから行く馬にとっては追い込みにくい荒れた馬場だったにもかかわらず、全馬を直線だけで一気に差し切ったディープスカイの強さが目立ったレースであった。
勝ったディープスカイは、中2週という強行ローテーションをものともせず、NHKマイルCに続いてまたもや強靭な末脚を繰り出し、キングカメハメハ以来の変則2冠を達成した。府中のマイル戦を勝つ底力とスタミナが、ダービーでも通用することを証明した。初勝利を挙げるのに6戦を要した馬が、NHKマイルCだけではなく、まさか頂点のダービーを制するまでに成長するとは、関係者でさえも当初は想像できなかったに違いない。大外を風のように駆け抜けたディープスカイを観て、競馬は本当に分からないものだと思った。
四位騎手がディープスカイを完全に手の内に入れて、末脚を信じて乗っていたことも大きい。最後の直線に向くまでは、とにかくディープスカイのリズムを最優先して走らせていた。1番人気を背負ったプレッシャーもあっただろうが、落ち着いて折り合いに専念できたのは、昨年のダービーを優勝した自信と経験の裏づけがあったからに違いない。前にも書いたように、ディープスカイは決して乗りやすい馬ではなく、それをいとも簡単に勝たせたかのように見せてしまう四位騎手の技量の素晴らしさ(特に折り合い面)は見逃されてはならない。
あわやという場面を作ったスマイルジャックは、スプリングS後に萎んでいた馬体を、皐月賞後の1ヶ月で見事に立て直してきたのだろう。馬体こそ良くは見えなかったが、パドックでの歩様には力強さが漲っていた。最後はねじ伏せられた格好になったが、正攻法の競馬をして負けたのだから、今回は勝った馬を褒めるべきである。夏を越して、実りの秋につながる成長を心待ちにしたい1頭である。桜花賞やオークスに続き、小牧太騎手は無欲無心で乗って好結果につなげた。
ブラックシェルはスタート後に前をカットされ、その後、馬がエキサイトして終始引っ掛かってしまい、末脚を失ってしまった。武豊騎手があれだけ引っ掛けられ続けたのも珍しく、一旦スイッチが入ってしまうと抑えきれないほどに、ギリギリの仕上げで出走してきたのだろう。それでも3着を確保したように、スタート後のアクシデントがなければ、勝ち負けになっていたのではないだろうか。一生に一度しかないダービーだけに、陣営の悔しさは思い余りある。
2番人気に推されたマイネルチャールズは、折り合いを欠くことやアクシデントもなく、最後まで力を十分に出し切っていた。敢えて苦言を呈するとすれば、これだけの器の馬を寒い時期にも走らせ続け、成長を止めてしまった陣営もしくはオーナーサイドの方針には疑問が残る。少なくとも京成杯は使う必要のないレースであった。本気でクラシックを勝ちたいと思うならば、目先の勝利を捨てる決断も必要なのではないだろうか。
ダート4連勝で臨んできたサクセスブロッケンは、最後の直線で力尽き、最下位でゴールした。芝のレースがダメということではなく、パドックから入れ込んでいたように、これまでのレースとは全く異なる環境に対応できなかったということだろう。芝に挑戦するのは、もう少し体がシッカリと出来てからでもよい。ただ、挑戦そのものには意義があったと思うし、私たち競馬ファンにも大きな夢を与えてくれたことは確かである。そして何よりも、普段は馬のリズムを優先して走らせる横山典弘騎手が、スタートから馬を押してでもダービーを勝ちに行った姿を見て、私は久しぶりに心が震えた。夢は破れ、そしてまた夢は続いてゆく。

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Comments
今晩は♪
>夢は破れ、そしてまた夢は続いてゆく。
いい言葉ですね。私はサクセスブロッケンの単勝を買っていたので、次の夢をまた見たいと思います。
ダービーの日にTVでサクセブロッケンの小さな特集をやっていました。
元々脚元が弱く、競走馬になることさえ危ぶまれた馬だったそうです。
それでも関係者の努力がこのダービーに繋がったという話を
聞いて、益々勝つと確信してしまったのですが・・・
残念でした。しかし、ブロッケン陣営の夢はまだまだ続くのです。
今後も応援していこうと思います。頑張れ!
Posted by: ナルトーン | June 03, 2008 at 08:49 PM
ナトルーンさん
そうですよね。
これからもサクセスブロッケンとその関係者の夢は続いていくのだと思います。
私はもっと体がしっかりしてくれば、芝でも走る可能性があると考えています。
その時が来る日を楽しみにしたいですね。
横山典弘騎手の気迫にも心を動かされました。
このコンビで大きな仕事をしてくれそうな予感がします。
頑張れ!
Posted by: 治郎丸敬之 | June 04, 2008 at 12:36 AM