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ご要望に応えて再掲「武豊論」:日本一“押せる”ジョッキー

Ikkannpo by M.H

サラブレッドのスピードは、「一完歩の長さ(ストライド)×頻度(ピッチ)」で決まる。もちろん、疲労してバタバタになった馬は脚が伸びないように、同じ馬でも状況によって一完歩の長さは変わるが、走る頻度(ピッチ)が同じであれば、当然、一完歩(ストライド)を長く走った馬の方が先にゴール出来る。

一完歩の長さ(ストライド)は馬の持って生まれた肉体的特徴によるところが大きいのだが、数センチ位の長さであれば、実は騎手の技量によって補うことが出来るのだ。ゴール前1ハロンの完歩数は平均27完歩であり、もし一完歩が10cm長くなったとすると、27完歩×10cm=270cmで2.7m。つまり、ゴール前1ハロンだけで、なんと1馬身の差が生じることになる。このことからも、一完歩を少しでも長く走らせることが、一流騎手の仕事だといっても過言ではないだろう

日本のジョッキーでは、やはり武豊騎手が、この一完歩を少しでも長く走らせる技術に長けている。たとえば、ロジックを勝利に導いた2006年のNHKマイルCのラスト1ハロンには、武豊騎手の馬を伸ばす技術が凝縮されているといってよい。あれだけの接戦の中で、ほとんど鞭を使うことなく、馬の走るリズムに合わせて、ストライドを少しでも長く走らせることに集中している。そのストライドのわずかな差が、ゴール前のクビの差に結果的につながっているのである。もし他の騎手であったら、負けていても不思議ではなかったレースである。

日本では馬を“追う”というが、海外では“押す(PUSH)”という。馬を“追う”とは、ムチでビシバシ馬を叩くことではなく、手綱を通して馬を“押す”ことである。もう少し具体的に描写すると、馬が着地する時に、もう何センチか先につかせることによって、一完歩を長く走らせるのである。そのためには、馬の走りのリズムに合わせて手綱を引きつけ、タイミング良く解き放つことによって、馬体を最大限に収縮させなければならない。馬のリズムを崩さないように、少しずつ重心を下げて、ストライドを長く伸ばして走らせるのである。武豊騎手は追えないという筋違いの評価があるが、全くの誤解である。あえて言うならば、武豊騎手は“押せる”騎手なのである。


ちょっと余談
このCMシリーズはJRAの最高傑作だと思う。全力で追っていないため、馬を「押す(PUSH)」感覚は伝わってこないと思うが、武豊騎手の長身を馬の背に折畳んだ美しいフォームや、華麗な鞭捌きを堪能して欲しい。小田和正の歌声も最高!

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Comments

はじめまして。
まったく同感です。
ほんと豊の技術には感動させられます。

あっ、ランキングぽちっと!

Posted by: 夏競馬 | July 14, 2008 at 03:47 PM

最近めっきり武豊の存在感が無くなってきましたね。
周りに良い馬が流れているだけ・・と言う訳でも無さそうに感じます。

しかしながら、プロキオンSで岩田騎手が武騎手をマーク(してたと私は思っている)していた様に、その影響力は未だ絶大なのでしょうね。

アドマイヤ軍団に「ここに武豊あり」を見せつけて欲しい所なんですが・・。

Posted by: はやひで | July 14, 2008 at 06:30 PM

夏競馬さん

はじめまして。

最近、他のジョッキーの台頭などもあり、力の衰えを心配されている武騎手ですが、やはり巧いところは上手いですよね。

日本のトップジョッキーには、これからも頑張ってほしいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | July 15, 2008 at 11:20 AM

はやひでさん

これまでが武豊ばかりだったのがおかしかったのかもしれませんね。

地方出身のジョッキーや若手騎手の台頭で、少しずつ面白くなってきたのではないでしょうか。

それでも、武豊騎手の連対率や勝率といった数字は一枚抜けていますよね。

大きなところで運もなくて勝てていないのですが、そのうち巻き返してくると思っています。

Posted by: 治郎丸敬之 | July 15, 2008 at 11:23 AM

こんばんわ!
以前治朗丸さんの記事で見た記憶があったのですが・・・

最後の10完歩
http://jp.youtube.com/watch?v=yO0zz_3XWg4

この動画を見て、
サラブレッドってなんと美しいのだろう!と思いました。
と同時に武豊の無駄のなさにも美しさがあります。

まだまだ素人で具体的に武豊の凄さが分からないですが、
伊藤雄二調教師の本を読んでると、
武豊は超一流なのだなと感じます。
秋華賞のエアメサイアとか。。

Posted by: childsview | July 16, 2008 at 12:06 AM

childsviewさん

こんばんは。

お返事が遅れてしまい失礼しました。

このエントリーは以前も掲載させていただいたものですが、今回、「最後の10完歩」がYOU TUBEから削除されていました。

でも、別のところにもあったのですね!

本当に無駄のない美しいフォームですよね。

日本の競馬を背負ってきたのは武豊騎手であることは間違いのない事実であり、日本一のジョッキーでもあると私は思っています。

childsviewさんのおかげで、改めて観ることが出来て感動しました。

今回は本当にありがとうございました。

Posted by: 治郎丸敬之 | July 17, 2008 at 02:26 AM

こんばんは。

余計な事をしたような気がしてたので
そう言って頂いて良かったです。

しかし。
何度見ても美しいですね(^_^)

Posted by: childsview | July 17, 2008 at 11:58 PM

childsviewさん

いえいえ。

何度も探してみたのですが、なかったので諦めていたところでした。

そのうち、この美しい映像ももっと紹介しようかなと考えています。

本当にありがとうございました!

Posted by: 治郎丸敬之 | July 18, 2008 at 01:26 AM

こんにちは。

北京オリンピックで金メダルを獲得した北島康介選手の
泳ぎを観ていて、この武豊騎手の記事が頭に浮かびました。

明らかに周りの選手よりもゆったりとしたストライドながら
ひとかきで確実に長い距離をスーッと無理なく進んで行く・・・

平泳ぎは他のパワータイプの種目と違って
いかに水の中でリラックスしてリズムを保って
泳げるかが重要なんだそうです。

まさに武豊騎手はこういう騎乗をしているんですね。
一事は万事に通ず、名手の境地を垣間見れた気がしました(^^)

Posted by: けん♂ | August 15, 2008 at 06:30 AM

けん♂さん

こんにちは。暑いですね~。

久しぶりに連休が取れて、オリンピックや高校野球をのんびりと観ています。

北島康介選手は、「勇気をもってゆっくりと泳げ」というアドバイスを、本番前にコーチからもらったらしいですね。

>平泳ぎは他のパワータイプの種目と違って
>いかに水の中でリラックスしてリズムを保って
>泳げるかが重要なんだそうです。

そういうことだったのですね。

ジョッキーの追える追えないは難しい問題ですが、
武騎手の成績を見れば、追えないとは口が裂けても言えないですよね(笑)

春はウオッカやメイショウサムソンなど、完調にないタイミングで騎乗を任されてしまい結果が出ませんでしたが、歯車が噛み合えば、また大きなところをあっさりと勝ってくることでしょう。

それにしても、オリンピックからも競馬のヒントって得られるのだなぁと感心。

Posted by: 治郎丸敬之 | August 15, 2008 at 02:24 PM

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