攻めるか守るか、それが問題だ。

最後までブラックシェルとディープスカイの2頭で悩みに悩んだ。どちらの馬にもそれぞれ強みと弱みがあって、レースが始まる前の時点では、勝つ可能性はほぼ同じに私には思えたのだ。前日のオッズはブラックシェルの単勝が10倍以上、一方のディープスカイは3倍台の1番人気であった。こういう時、人気薄に賭けるか、それとも人気のある方に賭けるのか、つまり、攻めるか守るかの判断は非常に難しい。攻めれば人気馬があっさりと勝ち、守れば人気薄が突っ込んで来るといった経験など、競馬をやっている者ならば数知れないだろう。
どこかの本で読んだことがあるのだが、人間は追い詰められた状況で二者択一をすると、確率以上に間違った方を選んでしまうという。たとえば、極端な例を挙げると、カードが2枚あって、片方の1枚を引くと命を奪われてしまい、もう片方の1枚を引けば無事に解放されるとする。そうすると、最後の最後まで悩み抜いた末に、普通に引けば2分の1の確率にもかかわらず、なぜか前者のカードを選んでしまうということだ。私の経験からいっても、確かに迷えば迷うほど誤った選択をしてしまうことが多い気がする。
そこで私は自分の中であるルールを決めている。もし最終的に2頭の勝ち馬候補が残り、どうしても優劣をつけることが困難であった場合、どちらを買うべきか。人気のある方の馬を買うのか、それとも人気薄の方を買うのか。攻めるべきか、守るべきか。私はそのレースが行われるコースを基準として、その決断をしている。あまり具体的には述べられないが、各馬が実力を出し切れるコース設定で行われるレースにおいては、人気のある方の馬を買う(守る)というルールである。その逆もまた然りである。
なぜなら、各馬が実力を出し切れるコース設定で行われるレースは、当然のことながら、力のある馬が勝つ確率が高いからである。逆に、各馬の実力が正直に反映されにくいコース設定で行われるレースにおいては、展開などの紛れやレースの綾によって、力のない馬が強い馬に勝利することが少なくない。だからこそ、人気のない方の馬を狙った方が妙味なのだ。
もちろん、人気=実力ではないことは百も承知の上である。人気のある馬がない馬に比べて、常に力があるということにはならない。人気のなかった方が実は強かったなんてことは歴史上、山ほどあった。一方で、ウェブ2.0的な考え方でいうと、人気(オッズ)とは見えざる民衆の集合知であるともいえる。普通に走れば、人気のある馬の方が勝つ確率は高い。ひとつの目安として人気というファクターを用いて、人気とコース設定という客観的な要素に拠って、攻めるか守るかを決断するということである。
しかし、私はそのルールを破ってしまった。東京のマイル戦で行われるNHKマイルCは、各馬が実力を出し切れるコース設定なのだから、人気のある方のディープスカイを素直に買うべきレースであった。守るのが正解のレースだったのだ。自分で作ったルールにもかかわらず、なぜブラックシェルを買ってしまったのかと問われれば、ただ単に人気のない方に印を打ちたいという虚栄心や見栄を張ったばかりの欲目だったのかもしれない。毎日杯→NHKマイルCというパターンのディープスカイに印を打つのは、あまりにもヒネリがないと考えたのかもしれない。後藤浩樹騎手がそろそろ久しぶりにG1レースを勝ってもいいと思ったのかもしれない。思い返してみると、そのどれもであったような気もするが、いずれにせよルールを守れなかった私が悪い。
競馬は、攻めるか守るか、それが問題だ。

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Comments
こんばんは。
麻雀においては瞬間瞬間に次々と選択のタイミングが
押し寄せてくるので
「この場合はこの牌を切る」
という自分なりのパターン(決め事)がないと
大変なことになります(^^;
決め事がない人の成績は安定しませんし、
常に迷いを含んだ打牌になるのでその点でも良くありませんね。
この決め事をどれだけ細分化して自分の中に持っているかが
麻雀における実力差、と言ってもいいところ。
情報収集力、経験の蓄積・・・全てがこの決め事に
反映されていると思います。
競馬では情報や欲目、思い込み、執着心など
色んなものに振り回されて自分の中に決め事が
出来ていないことに改めて気付かされました(^^)
まだまだ経験を積まねばなりませんね。
Posted by: けん♂ | August 25, 2008 at 12:42 AM
けん♂さん
こんばんは。
けん♂さんが麻雀と競馬を絡めてくると、とても含蓄があって聞きほれてしまいます(笑)。
>情報収集力、経験の蓄積・・・全てがこの決め事に
>反映されていると思います。
→なるほど。特に麻雀は、瞬間瞬間の決断を迫られるので、ブレないためにも決め事が大切なのでしょうね。
反面、あまり決め事に縛られ過ぎてしまうと、マンネリ化や壁を破ることが出来なくなったりするのはという心配も常にありますよね。
ですので、なるべく決め事は少なくして、状況状況に対応し、しかしルールを決めた以上はそれをいかなる状況でも貫くという気持ちを持っていたいなと思う毎日ですが、私もまだまだ経験が足りません。
Posted by: 治郎丸敬之 | August 26, 2008 at 02:24 AM